「我等アヤカシを縛る五月蠅い存在、御大将・血祭ドウコクの抹殺!それに力をお貸しいただけるか否か……」(第二十三幕)
データ
【身長】一の目・199㎝(暴走形態・217㎝)→二の目(暴走形態)・54.3m
【体重】一の目・111㎏(暴走形態・122㎏)→二の目(暴走形態)・30.5t
概要
第二十三幕「暴走外道衆」、第二十四幕「真侍合体」に登場する牛のような、蜘蛛のような姿を持つアヤカシであり、妖怪『牛鬼』伝承のルーツとされている。武士のような古風な口調で話す。
蜘蛛の胴体がそのまま頭部になっており、その下の胸部から腹部に掛けた胴体は赤い眼を持った牛の顔、そして頭頂部と両腕、両足の爪先部分には鋭く伸びた角が生えた外見をしている。
なお、こうした角らしきパーツも含めて蜘蛛らしく八本の手足であるらしい。
外道衆の中でも一位二位を争う力自慢と自負しており、それに見合うだけの高い実力を持つ猛者。事実、劇中では状態問わず、志葉丈瑠と梅盛源太を除いたシンケンジャーを単独で完封していた。
専用の武装は無いが、口から出した粘着毒を持つ糸で相手の動きを絡め取ったところへ、そのまま計八本の手足の爪でバラバラに引き裂く戦法が十八番。大柄でありながら異常なほど素早く動ける上、爪からは斬撃、腹部の牛の目からは光弾も放てるため、遠近共に隙がない。
アヤカシの中でも取り分け自信家だが、その本性は血祭ドウコクに対しても自分達の行動を制限する目障りな存在として平気で楯突き、あわよくばその命すら取ろうと目論む程の大胆不敵で慇懃無礼な野心家である。
ただし、まともに戦ってドウコクに勝てない事は流石に弁えていたらしく、幹部達が秘匿していた封印の文字の情報を秘かにつかんでおり、それを利用してドウコク打倒を目論む、そのために丈瑠を戦闘不能にさせてシンケンジャーの戦力を削ぐと同時にシンケンジャーも葬ろうとするなど狡猾な策士の面もある。
その強い野心故に六門船を出禁にされていたが、封印の文字の存在を知った事で、夏に入って増幅した力の開放の為にドウコクが動けなくなった隙をついて六門船に侵入。骨のシタリを脅迫した上で自身に協力させ、彼と共に封印の文字の情報収集の為に現世に出撃するが…
劇中での活躍
第二十三幕「暴走外道衆」
夏になってドウコクの力が増すと共に三途の川も荒れ狂い、その影響で巨大ナナシ連中が街に大量発生。シンケンジャーがその対応に追われる中、ようやくドウコクも薄皮太夫の三味線の音で落ち着きを取り戻そうとしていたが、そんな時にゴズナグモが出現する。
上記の台詞と共に自身の爪を突きつけ、ドウコクを打倒すべく自身に協力するようシタリを脅しつけるが、当のシタリはドウコクに敵う筈がないと鼻で笑ってあしらおうとする。しかし。
「左様。しかしこの隙に知ることは可能でござる…封印の文字を」
ゴズナグモは封印の文字を知っていた。これによってかねてより封印の文字に興味を持っていたシタリも、脅迫されたという前提の上ではあるが、ゴズナグモの作戦に協力する事を決意する。
その第一歩として、浄寛和尚が住職を勤める天幻寺を志葉丈瑠達が訪れたのを受け、シタリに隙間から丈瑠のお茶に毒を入れさせた。
何も知らずに茶を飲んだ丈瑠が毒に侵され、苦しんでいる隙に寺をナナシ連中で包囲すると、ゴズナグモ自身も出陣。寺の竹林でシタリが丈瑠から封印の文字を吐かせる(下手をしたら吐かせた直後に始末することも計画していたとも思われる)間シンケンゴールド以外の四人と交戦した。
シンケンブルー達に異常なほどの強さを見せつけ圧倒、そのまま変身解除に追い込んだが、そこへ駆けつけた梅盛源太が事情を聞き、丈瑠を救うべく寺へと急行。
池波流ノ介と花織ことはに抑えこまれて源太を取り逃がし、代わりに身動きの取れない程傷付いた四人に引導を渡そうとするが…
「ゴズナグモォォッ!!!」
「ドウコク!?まさか!!」
「勝手するのもそこまでだ!!」
突如として怒号が響き渡り、戦慄する間もなく隙間から飛び出てきた数珠のような鎖で「縛」られ、六文船へと強制送還される。そしてそこにいたのは。
「ゴズナグモよ、残念だったな…もうちょっと早く動いてりゃあオレの寝首かけたかも知れねェが、この通りよ!!」
完全復活と共にパワーアップしたドウコクだった。
一度見逃してやったにもかかわらず懲りずに反乱を起こされたことで、遂に堪忍袋の尾が切れたドウコクはゴズナグモに制裁を与える。
「思ったより早く抑え込んだな…」
「抑え込んだし蓄えもしたぜ…ゴズナグモ!オメェにもちょっとばかし分けてやろうじゃねェか…」
「や…ドウコク…!!待て…!話を…」
「もう遅っせェんだよ!!!」
「……!! うぁぁぁああああああーーーーッ……!!!」
抵抗する間もなく身の丈に余る力を注ぎこまれ、ゴズナグモは苦悶の叫びを三途の川中に響かせるのであった。
一方で、シタリもゴールドと腑破十臓の乱入によってその場を撤退。そして十臓は倒れた丈瑠を抱えてどこかへ消えるのだった………
第二十四幕「真侍合体」
前回の件についてシタリは、ゴズナグモに脅されただけで「お前さんの命より、自分の命が惜しいからね!」と弁解になっていない弁解をするが(上記の通りシタリは封印の文字への知的好奇心でも動いていたが)、シタリの性質を理解しているドウコクは「その正直さに免じようじゃねェか」と不問にする。
しかしその一方で、十臓の介入のせいで丈瑠を仕留め損なった事への苛立ちを露わにし、いよいよ十臓を目障りと判断して、以前十臓を助けた件で疑いを持っていた太夫に十臓の始末を命じる。
幹部三名がそうした険悪なやり取りをしているのをよそに、ゴズナグモの方は賽の河原に放り出された上で、そこでドウコクから注がれた力の影響で悶絶して苦しみ続けていた。
「──さてと、後はアレか」
「お前さんに無理矢理力注ぎ込まれて壊れる寸前さ……」
「壊れたら人間共の中に放り込んでやれ… 久方ぶりに人間のいい悲鳴で酒が飲める」
「…おのれェ……ドウコク……!!」
「──終わりだね……お前さんも馬鹿だよ、ゴズナグモ」
苦悶の叫びと共に蜘蛛が更に前に乗り出して来た様な頭部となり、胴体の牛の目も血走って見開かれた凶暴なそれに変貌。更に両腕の爪と頭部の角はより大きく肥大化して禍々しく伸びており、外見の凶悪さにこれでもかと磨きがかかったものに強化した(頭部のもののうち一部はよく見ると前に突き出ている)が、その自我や人格は完全に崩壊。暴走形態の誕生である。そして、ドウコクらの手によって、人間の悲鳴を聞く為の手駒として現世に強制的に送り込まれる。
そのまま街へ出てナナシ連中と共に、目的も無くただ破壊の限りを尽くすゴズナグモは、シンケンレッドとゴールドを除く四人と交戦して彼等を前回同様に苦戦させる。しかし、そこへ十臓の荒療治で毒から回復したレッドと、インロウマルを完成させたゴールドの2人が合流して参戦する。
そして、レッドがインロウマルによって強化変身したスーパーシンケンレッドの力の前になす術もなく圧倒され、最終的には真・火炎の舞を受けて倒される。
直後に二の目となって巨大化すると、大ナナシ連中に加えて大ノサカマタを率いてシンケンオーとダイカイオーと交戦するが、両者が真侍合体したダイカイシンケンオーによって大ナナシ連中を一掃され、最期は折神大開砲を大ノサカマタと共に喰らって爆散した。
余談
モチーフは牛とトゲグモ。そして名前の由来は牛頭(ごず)な蜘蛛。
ただし、牛頭と牛鬼は似ているが全く別な妖怪である事は留意されたし。
現代の伝承では『牛鬼』は牛の頭部と土蜘蛛の身体を持ち、凶暴な性格で暴れ回る鬼のような化け物であるらしく、シンケンジャー世界ではゴズナグモの外見と暴れ回る姿がそのルーツだとされている。
作中では、脂目マンプクやフタガワラと同じく第二形態を披露した個体だが、二の目で本領発揮した姿である彼等とは違い、上記の通り彼の場合は、ドウコクによって無理矢理目覚めさせられたただの暴走形態に過ぎない。
劇中、一般アヤカシでドウコクを面と向かって呼び捨てで呼んだのはこいつだけ。かつて幹部だった時でもあるのだろうか。
第二十三幕では浄寛和尚役として高橋元太郎氏がゲスト出演していたが、同じく日下部彦馬役の伊吹吾郎氏とは、『水戸黄門』でそれぞれ格さんとうっかり八兵衛として二人は共演していた。
続く第二十四幕はインロウマル、ダイカイシンケンオー、ノサカマタと、敵味方問わず新戦力が目白押しとなり、物語が一つの佳境に差し掛かっている事を強く視聴者に印象付ける回となった。
声を演じた安井氏は、2年前の『獣拳戦隊ゲキレンジャー』でも、臨獣スネーク拳ブラコ及び幻獣ケルベロス拳コウを担当。これらも野心家の怪人である。
海外版「パワーレンジャー・サムライ」ではアラクニターという名前になっている。まんま蜘蛛な見た目から名付けられたと思われる。
主な活躍は本家通りだが、声のせいか原典と比較するとやや小物臭い。こちらではインロウマルに当たるブラックボックスが未完成だったため、一斉攻撃を浴びせることしかできなかった。その後巨大ムーガーが現れたどさくさに紛れて退散しており、消息不明となっていた。
そのためか、通常の姿のシンケンレッドがゴズナグモと戦う新規映像が作られている。
続編の「パワーレンジャー・スーパーサムライ」第1話にて生き延びていたことが発覚。今度こそブラックボックスが完成したことでスーパーサムライモードを発動したレッドレンジャーによって倒され、巨大化後もクローアーマー・メガゾードによって撃破された。
関連タグ
侍戦隊シンケンジャー 外道衆 アヤカシ(シンケンジャー) 牛鬼
脂目マンプク:劇場版に登場したクサレ外道衆の頭目。ドウコクに対して内心では下剋上を目論んでいた事が共通しており、一人称が「拙者」で喋り方が武士風の古風な口調である事も共通している。また、第二形態を持っていた事も共通しているが、こちらは二の目となる事で披露した真の姿である。
ウシオニ(カクレンジャー):『忍者戦隊カクレンジャー』に登場した先輩。
冥獣スパイダー:『魔法戦隊マジレンジャー』の怪人で、こちらも同じくStage.23、24に登場した蜘蛛モチーフの怪人である。
魔神ラモン:『鳥人戦隊ジェットマン』の怪人で、こちらも同じく敵組織の幹部から過剰な力を与えられて変貌し、自我を失って暴走すると言う顛末を辿っている。
牛鬼(魔化魍):『仮面ライダーディケイド』に登場したオリジナルの魔化魍で、牛鬼繋がりのライダー怪人だが、ゴズナグモと違ってこちらは最後まで意識を保ったまま倒された。そしてディケイドはその数週間後にシンケンジャーの世界を訪れて共演している。