「人間は素晴らしい!人間を傷つける者は、全て我々の敵である!」(第31話)
「バイラム? 勘違いするな。我々は太古の時代から存在する絶対神。あらゆる生物には天敵がいる。我々は人間の天敵なのだ!」(同上)
概要
太古より蘇りし三魔神のリーダー格。とがった耳のスキンヘッドで細身の体型をしており、身体を灰色の甲冑で覆った姿を持つ。
超能力で人間を「人間果実」なるパイナップルに似た果実に変え、口から伸ばす管でその中身を啜る事を何よりも好む。劇中では上記の台詞を発して人間を賞賛し、危ないところを助ける優しさを見せるが、それはあくまでも自分達の食糧としてという意味であり、助けられた人間はことごとく人間果実に変えられて彼等に貪られている。
武器として長剣を振るい、両手から出現する牙型の手裏剣を投げて戦う他、ゴーグとの合体光線も技の1つ。更に彼と融合してからは頭部に角と髪が生え、顔もより悪魔然とした物に変貌すると同時に、ゴーグの技も使えるようになっている。
ただし、ラディゲの策略で合体と引き換えにバイオ次元虫を体内に複数取り込まされたため、自我を失い暴走するだけの存在に変えられてしまった。ゴーグとの合体時に彼の腹から次元虫が現れるシーンは、当時の視聴者にとってはまさにトラウマのそれとなったことだろう。
封印される以前から、ゴーグやムーと共に人間達を自分達の糧にしてきたのは疑う余地も無いが、誰がどうやって彼等を封印したのか(あるいは、自ら眠りに就いたのか)までは明らかになっていない。下記のようにこのエピソードが彼らの出自と攻略よりもマリア/藍リエを巡る戦隊側のドラマのダシに比重を置いたことによる「単なる敵」という役割で扱われたことが原因である。
活躍
第30話「三魔神起つ」
ラモンと共に、ムーが生贄に捧げようとした香の血を吸おうと触手を伸ばすが急遽彼女の身代わりになろうとした凱にターゲットを変更。彼の血を吸って衰弱させる。
やがてラディゲの血でゴーグと共に復活するとムーを「無様な!」と罵倒し、ゴーグが彼を処刑する様を見届けると、崩れ落ちる洞窟を脱出した。
第31話「戦隊解散!」
自身を復活させたラディゲに部下になる様強要されるも、「我々は人類を抹殺する心算は無い。人間とは素晴らしい物だ!」と叫んで人間を擁護し、上記上段の台詞を発して決裂。
その後、ゴーグと共にトラックに轢かれそうになった少女達や、岩に押し潰されそうになった作業員達、急病で運ばれたサラリーマンという具合に次々と人助けをしては「死んではならん。生きるのだ」と言って自身の超能力の光を浴びせる。
こうした行動から人類の味方であり友好的な存在かに思われたが、そうやってゴーグと共に助けて光を浴びた人間は悉く人間果実へと変貌。口から伸ばした管で貪り、その幸福感を満喫する。
「人間は素晴らしい。この人間果実こそ、最高のエネルギー源…」
するとそこへ、デートで不在の香と凱を欠いたジェットマン3人が現れる。彼等からバイラムと勘違いされたことに対し上記下段の台詞で憤り、交戦に突入。ブリンガーソードをへし折り、ウイングガントレッドを弾き返すと、ゴーグと共に自身の超能力でレッドホーク達を苦戦させ、更に2人の力を欠いたファイヤーバズーカを跳ね返して撃退する。
その後、戦士の使命とプライベートで揉めて凱と香が離脱しかけたジェットマンと、彼等を始末しようと襲い掛かるマリアの4人の前にゴーグと共に姿を現すと、「貴様達の存在は、我々にとって邪魔になる。抹殺する!」と叫んで強襲。持ち前の超能力で4人を採石場へと吹き飛ばす。その拍子にマリアが藍リエとしての記憶を取り戻し掛けたところにゴーグが追い打ちをかけ、竜共々池へと突き落とすのだった。
ちなみに第31話でのラモンの見せ場はここまでである。
第32話「翼よ!再び」
前回の戦いで瀕死の重傷を負ったゴーグに対し、「ゴーグ、生きるのだ。このラモンと共に……」と言って彼と合体しようとするが、そこへ現れたラディゲに妨害され、再度配下になるように命令される。「無駄だ!何者も我々を支配することはできん!」と断固拒否してラディゲと戦うラモンだったが、ゴーグの亡骸をグレイに奪われてしまう。
その後、採石場にゴーグの亡骸を置くラディゲを攻撃して吹っ飛ばすと、改めてゴーグと合体しようとする。だが、それはラディゲの罠であった。
次の瞬間、ゴーグの腹から5匹ものバイオ次元虫が飛び出してラモンの身体に寄生。そのままゴーグと融合したラモンは自我を失い、暴走するだけの存在となってしまったのだった。
「かかったな、ラモン!我が下僕となるがいい!」
こうしてラディゲの命ずるままに街で人々を襲っている中、駆けつけた雷太とアコの2人と交戦するラモン。だが、肝心の竜の姿が見えない。彼は最愛の恋人のリエが再びマリアになってしまった事がショックで、現実逃避してしまっていたのだった。香と凱も離脱して、空中分解状態のジェットマンを追い詰めるラモン。そこへ香と凱が復帰して4人となるも、尚もラモンは彼等を寄せ付けずに変身を解除させる。だが、そこに再び敵となったマリアの襲撃を機にジェットマンのリーダーとしての責任を思い出した竜が駆けつける。
かくして、再び5人揃ったジェットマンとラモンは戦闘に突入。ジェットウイングを広げた彼等の波状攻撃に怯むも、負けじと巨大化して対抗。巨大戦ではジェットイカロスを格闘で追い詰めるが、相手が召喚したバードガルーダとジェットイカロスがハイパーハーケンに合体した事で形勢が逆転し、ハイパーバスターに怯んだところに止めの「ハイパーGアタック」を叩き込まれて爆散した。
余談
デザイン画の段階では、合体した形態の腹部から鳥の足が飛び出すギミックが描かれていた。
声を演じた丸山氏は昨年の『地球戦隊ファイブマン』にてモグラルギンの声を演じていた。翌年の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』では守護獣ティラノザウルス及び大獣神と剛龍神、そして敵怪人としてドーラコカトリスの声を担当する事になる。
前述したとおり、ラモン達によって『人間果実』にされてしまった犠牲者の中には年端も行かない女の子3人も含まれ、直接ではないものの東映特撮では数少ない子供を毒牙にかけた怪物・怪人といえる(ジェットマンでは他に明確に子供を犠牲にした怪人として次元虫(母虫)がある)。
関連タグ
ゴズナグモ:『侍戦隊シンケンジャー』の怪人で、こちらも敵組織の幹部から過剰な力を与えられて変貌、暴走させられている。
ライノダブラー:『特命戦隊ゴーバスターズ』に登場する怪人だが、本来は宇宙刑事ギャバン出身の敵なので彼らと同じ第三勢力に該当し、こちらはメインの敵組織と手を組んだが最後は同じようにその組織の戦力にされたところも共通してたりする。
カーズ(ジョジョの奇妙な冒険):元ネタとなった「柱の男」の1体。リーダー格である点や、形は違えど最終的に違う存在に変貌した点が共通している。