概要
本作の敵組織・次元戦団バイラムが使役する、小型の異次元生物。
蜘蛛や蠍等、節足動物を思わせるような姿形をしており、そのサイズは人間の掌よりやや大きい程度。背中には溶岩のような橙色の模様が浮かび上がっており、黒い体色と合わせて毒々しさを醸し出すものとなっている。
様々な物体に寄生し、その物体を元々の特性が反映された怪物「次元獣」へと変化させる性質を備えている。また次元獣が多大なダメージを受け、次元虫にも命の危険が及びそうになると、次元獣の身体を巨大化させる働きも持つが、次元虫が死滅もしくは活動停止状態に陥ってしまうと再生・巨大化は不可能となる。このように次元虫は、次元獣の中核ともいうべき役割を担っているのである。
物語も折り返しに差し掛かった頃に、マリアによって改造を施され、地球上の全生物の遺伝子を組み込んだバイオ次元虫に強化された。
次元虫(母虫)
バイラムが最初に地上に放った尖兵で、昆虫のような姿をした異次元生物。
その名の通り、上記の次元虫(小虫)の親に当たる存在であり、背中の翅には小虫と同様の模様も浮かび上がっているが、小虫に備わっていた脚が8本であったのに対し、母虫は4本に減っている上に二足歩行へと変化している、といった差異も見られる。
小虫が他の物体に寄生せず、そのまま成長を遂げるとこの母虫の姿となるのか、はたまたそれとは別の何らかの要因でこの姿に変化するのか、といった点については作中では触れられていない。
母虫は人間を養分として次々と捕食していくことにより、その体内で一度に数十個程度のの卵を生育。そして小虫達の誕生が近づくと尾部の卵嚢を切り離すという習性を持つ。作中でもラディゲによって地上に送り込まれ、多数の人間を次々と捕食しているが、その中には年端も行かない男児もおり、東映特撮では数少ない子供を毒牙にかけた怪物・怪人といえる。
ひとしきり捕食を済ませた後、グリナム兵の一団に追われていた香と雷太を採石場にて待ち受け襲いかかるも、竜の駆るジェットホークの攻撃に阻まれ、そのまま彼の変身したレッドホークと対峙。口から伸ばした舌で動きを封じる等レッドホークを苦しめたが、反撃を受けた末にラディゲの手により魔城バイロックへと回収された。
バイロックにて卵嚢を切り離し、ラディゲ達に次元獣の卵を提供すると、アコを仲間に加えようとしていた香と雷太を再度強襲。さらにジェットマンが5人揃い、ファイタージゲンを撃破するとその前に立ちはだかり、未だ足並みの揃わぬ彼らを苦戦させるが、必殺のバードボンバーを受けて爆散。これがジェットマンにとっての最初の勝利となった。
備考
挿入歌「悲しきグリナム兵」の歌詞は、グリナム兵は自分達に次元虫が取り憑き、次元獣になる事(つまり昇格)を夢見ていることが窺えるものとなっている。実際にTVシリーズ第28話でも、トランがそれを示唆する発言を残しているが、前述の通りこの時期には既に次元虫もバイオ次元虫へと作り変えられていたため、その台詞を口にした際に持ち出したのもバイオ次元虫となっている。
デザインは小虫・母虫とも野口竜が担当。卵についても小虫と併せてデザインが起こされており、オレンジ色の模様は前述の通り溶岩を意識したことが言明されている。また母虫については、東映特撮の怪人としては珍しく背面からのデザインも別途起こされている他、実際の造形物では省略されているが腹部も二色での塗り分けとなっている。
次元獣のデザイン画稿の中には、次元虫が付いているものとそうでないものとが混在しているが、これはタイトな時間の中での作業ゆえに、一々描くのが面倒くさかったり忘れたりなどといったことに起因するものであろうと、後年のインタビューの中で振り返っている。
関連タグ
ビービ虫:『天装戦隊ゴセイジャー』の登場キャラクターの一つ。次元虫と同様に名前に虫が付く巨大化アイテムであり、作中で改造が施されたり、(立ち位置は異なるものの)上位種が存在するといった共通項も有している