概要
『ジョジョの奇妙な冒険』第2部「戦闘潮流」のラスボス。名前の由来はアメリカのロック・バンド「カーズ」から。
二千年の眠りから目覚めた「柱の男」の首領であり、他の「柱の男」と同じく一見人間のように見えるが、人間とは異なる進化を遂げた種族である。
カーズの出身である「闇の一族」は驚異的な長寿を持つ反面、太陽光を苦手としていた。もともと争いを好まないこともあり「闇の一族」は太陽光のあたらない地下で生活していた。そんな時に生まれた天才がカーズである。
彼は「あらゆる恐怖の克服」を求め、いつしか弱点なき究極生命体(アルティミット・シイング)の追及を信念とするようになった。
カーズは脳に隠された力を引き出すことで究極生命体に近づくことができることを突き止めるが、その研究は地球上の他の生物を根絶やしにしかねないものであり、彼の思想を危険視した「闇の一族」から抹殺されそうになる。
だが、カーズは逆に一族郎党返り討ちにして滅ぼし、自らの思想に共感したエシディシ、そして当時まだ赤子で事情を知らなかったワムウとサンタナを引き連れて旅に出た。
もともと石仮面はカーズが究極生命体になるための研究の過程で作ったものであり、ディオを始めとした吸血鬼も研究の副産物に過ぎない。しかし、人間の脳を刺激して吸血鬼の力を引き出す石仮面でさえ、柱の男にとっては脳への骨針の「押し」が弱い「失敗作」であった。
やがてカーズは研究の過程で、光を増幅する性質を持つ鉱石「エイジャの赤石」の力を使えば骨針の問題を克服できると突き止め、一点の曇りもない高純度の赤石「スーパーエイジャ」を入手するためにローマ帝国時代のヨーロッパへ侵攻するも、赤石を入手できないまま休眠期に入ってしまい、エシディシ、ワムウと共にローマで眠りについていた。
そして1939年1月30日にワムウやエシディシとともに復活。
自らの野望を実現するべく再びエイジャの赤石を巡って活動を開始し、ジョセフらと激しい争奪戦を展開する。
正確にいつ生まれたのかは不明だが、サンタナの事を「(自分たちの)十分の一しか生きていない若僧だ」と言っているので、年齢的には最低でも10万歳を超えていると思われる。
因みに、10万年前は人類の祖先となる存在が丁度アフリカから世界へと流れ始めた時期でもあり、カーズを始めとする闇の一族は人類と祖先を同じにする突然変異的に生まれた存在の可能性もある。
容姿
普段はターバンのようなもので隠しているが、ロン毛で且つクセ毛である。
また、額には他の柱の男と同様に短めの角が生えている。
なお、作中で提示された究極生命体の定義の一つに「 その形はギリシアの彫刻のように美しさを基本形とする 」というものがある。
性格
彼にとって自らの信念は絶対であり、そのためには手段は選ばない卑劣さと同族さえ皆殺しにする冷酷さを持ち合わせている。波紋の素養があれば相手が子供であっても容赦なく惨殺する冷酷さを持ち、自身の脅威となるものは決して許さない。
最終決戦時の「勝てばよかろうなのだァァァァッ!!」という台詞は、そのような彼の性格を象徴していると言える。
その一方で、自分の理念に共感し、行動を共にする者に対しては強い仲間意識を持っていたようで、復活直後にワムウの影をうっかり踏んでしまって彼から反射的に攻撃されてしまった際に「私はお前のその闘争の士気を何よりも頼りにしている。お前の影に入った私が悪かったのだ」と、罰するどころか彼の持つ戦闘能力を褒め称え、エシディシが郵送した赤石を追って潜伏先のスイスに現れたジョセフ一行との戦いでも「エシディシが死を賭して輸送してくれたのだ!断じてエシディシの死を無駄にするわけにはいかぬ!!」と言っている。
また眼前のシュトロハイムを無視してもエシディシを倒したジョセフを睨み続ける程の復讐心も持ち合わせており、彼らの事を仲間として、大切に思っていた事が窺える。エシディシもワムウもカーズに従順だったのは彼のカリスマ性も含めてそういう所にも惹かれたからかもしれない。
また、車に轢かれそうになっていた子犬を助けたり、崖から転落した際に雪の中で健気に咲く小さな花を踏まないようにかなり無理のある動きをしてでも着地したり、独自の博愛精神と価値観を持っている。 リサリサに対しても当初は「女は殺したくない だが波紋戦士は生かしておけない」と言い、苦しまずに死ねる毒薬を渡して自害を促している。
しかしリサリサへの騙し討ち以降は慢心や仲間を殺されたことへの復讐心が強くなり、(たとえ表面だけだったとしても)他者を労わることをやめた。その変貌ぶりは、ジョセフに「カーズ!てめーの根性はッ!畑にすてられ カビがはえてハエもたからねーカボチャみてえにくさりきってやがるぜーーッ!!」とまで罵らせたほどだった。
とは言え、ワムウと違って元々人間は食料としか見なしておらず、本人からすれば「人間ごときにたいして背信する」ことなど「悪」とは感じていなかっただろう。
ちなみにEoHの掛け合いでは、スピードワゴンから「こいつは生まれついての悪(ワル)だッ!とことん腐り切ってやがるッ!!」と言い放たれている。
能力・技
光の流法(モード)「輝彩滑刀(きさいかっとう)」
腕や脚から光り輝く刃を生やすカーズの流法。刃が輝いて見えるのは、刀身の表面でサメの歯のような極小のトゲが高速で動き回ることによる光の乱反射が原因らしい。つまり、全身どこからでもチェーンソーを生やせる能力というわけである。
この刃は生物の体組織が変化したものとしては異常なまでの切れ味を誇り、山小屋の壁からナチス兵士、30ミリの鉄板を撃ち抜く重機関砲の弾、はてはサイボーグになったシュトロハイムの胴体まで、敵対する者を片っ端から切断して回っていた。このほかにも刃の輝きを利用し、戦闘中の目眩ましや離れたところに合図を送る手段としても使える。
また、刃もやはりカーズの体の一部だからか、ジョセフの肩に突き刺した刃を肩の皮膚と同化させる、刃を刺した相手から生命エネルギーを吸い取るなどの芸当も可能。だが、逆に刃から波紋を流される危険もあり、現にジョセフに刃を折られた際は、刃から流れてくる波紋で相当なダメージを受けてしまっていた。
これらのほか、壁越しに温度差を感じ取って壁の向こう側の様子を探る術や「苦しまずに死ねる毒薬」を作るほどの薬学の技術なども披露している。
究極生命体になってから獲得した能力や技能については当該項目にて。
ちなみに他の柱の男であるワムウはシーザーを、エシディシはロギンズを殺害しているのに対し、実はカーズはジョセフを不利な状況に追いやるためとはいえリサリサを殺さなかった、切断したのが修復可能なサイボーグだったなどの偶然が重なって歴代ジョジョシリーズでネームドキャラを殺していない唯一のラスボスとなった。
とはいえカーズは、ワムウが手を掛けられなかった「波紋戦士の素質を持った子供」を惨殺したり、ワムウの死を侮辱した吸血鬼たちを吸収したりと、殺人行為にインパクトや意味があるところが多い。
最期
エシディシが命を懸けて送り届けようとしたエイジャの赤石だが、いち早く動いたシュトロハイムたちに奪われてしまっていた。そこでカーズはシュトロハイムたちを襲撃するが、ジョセフの奮闘によって撃退されてしまう。
その後、カーズは本拠地に乗り込んできたジョセフとリサリサに対し、100体の吸血鬼をけしかけようとした。しかし、リサリサから「エイジャの赤石は爆弾を仕掛けて隠した」と告げられ手を止める。
そこでリサリサの提案に乗り、ワムウはジョセフと、自身はリサリサと一騎討ちを演じることとなった。
ワムウはジョセフに敗れ、消滅。
その死を重く受け止めたカーズは何が何でも目的を果たそうと替え玉をリサリサと戦わせ、一瞬の隙を突いて勝利する。
こうして赤石を手にしたカーズは、邪魔ものでしかなくなったジョセフを抹殺するべく吸血鬼たちに始末を任せる。ところがシュトロハイムたちが援軍に駆け付けたことで形勢逆転され、吸血鬼たちは次々と倒されていった。
カーズは怒れるジョセフと一騎討ちとなるが、そこで重傷を負ったリサリサを人質にとることでジョセフの動きを制限させる。
圧倒的優位に立つもジョセフの策に引っかかり、二人を仕留めたと思ったところで油断が生じてジョセフに接近を許してしまう。
輝彩滑刀で対抗するがジョセフの波紋カッターによって破壊され、波紋を流されたことで大ダメージを受ける。
その間隙を突いたシュトロハイムたちにトドメを刺されそうになるが、エイジャの赤石を嵌め込んだ石仮面を被ることで「紫外線照射装置」を逆利用。
石仮面から骨針を出現させ、ついに究極生命体(アルティミット・シイング)へと至った。
これによりカーズは太陽光及び波紋を克服し、地球上の生物のあらゆる特徴・能力を体現することが可能となった。
手始めに仲間たちの仇であるジョセフを「生贄」として始末しようと襲い掛かる。
戦闘機を用いて逃げながら戦うジョセフに対し、カーズはその新能力を駆使して追い詰めていく。しかしまたもや策に嵌り、戦闘機ごとヴォルガノ島の火山に突っ込まされそうになる。
なんとか脱出しようとしたが密かに同乗していたシュトロハイムに妨害される。逃げ場を封じられたカーズは溶岩の中に身を投じてしまい、カニのようなプロテクターをまとうことで対処しようとする。しかし岩も溶ける高熱の前に無力に終わった。
だがしかし、まだカーズは死んではいなかった。プロテクターを溶かされても次々に生み出していき、更にそれを泡状にして空気の層を作ることで高熱をシャットアウトし、溶岩の中を泳ぐことで窮地を脱したのだった。
岩面を割って復活したカーズは不意打ちでジョセフの左腕を切断。その様を見たシュトロハイムは、どうやっても殺すことができないカーズを「神」と呼んで恐怖するのだった。
それでもジョセフは波紋を用いた蹴りで反撃するが、カーズは足を潰すことであっさりと阻止。波紋に触れたにも拘わらず一切影響を受けなかった。
しかも逆に波紋を流されたジョセフの足は融解を始めていた。そう、カーズは波紋を克服したどころか逆に使えるようになっていたのである。
無力化したジョセフに対し、カーズは「ジョセフの数百倍の波紋」を練ることでトドメを刺そうとする。
決着の瞬間、生にしがみつこうとするジョセフの身体はエイジャの赤石をかざすことでカーズの波紋を防御。赤石の効果によって増幅された波紋エネルギーは、岩面を突き破って火山に刺激を与え、噴火を誘発させた。
カーズは鳥に変身して逃れようとしたが、そこへ切断されたジョセフの左腕が突き刺さる。噴火のエネルギーによって起きた現象だった。「これも計算の内か」とジョセフに発言しようとしたところ、腕に気を取られていたため火山弾に対処できず、空の彼方へ……成層圏を突き抜けて宇宙へと放逐された。
溶岩という地球のエネルギーを用いてもカーズは殺せなかったが、代わりに地球から追放されるという末路を辿った。
そこでカーズは身体から空気を放出することで軌道を変え、地球へと舞い戻ろうとする。だが場所は宇宙空間。瞬く間に空気は凍り付き、カーズもまた全身が凍り付いてゆく。
絶対零度の世界で活動できる生物は存在しない。それは究極生物のカーズも同じこと。
結果、カーズは鉱物と生物の中間の存在となってしまった。こうなっては身動きもできず、二度と地球に戻ることなく永遠に宇宙を彷徨うのだった。
死にたいと思っても不老不死ゆえに「死ぬ」ことができず、そしてカーズは考えるのをやめた。
『JORGE JOESTAR』
火星に流れ着いたところをジョージ・ジョースターたちによって発見され、共に地球へと帰還する。意外にも敵対はせず一応味方となってくれる。なお今作のカーズは宇宙が1巡しようが生きており、今作の宇宙は36巡しているので1巡する度に宇宙に追放されて火星に36人(+1人)のカーズが居ると言う地獄絵図が誕生している。因みに残りのカーズは宇宙船の燃料にされた。
終盤では同じく究極生命体となったディオと対峙し、ジョージが見守る中死闘を繰り広げる。
この小説ではスタンドを発現しており、スタンド名は不明だがwikiではアルティメットと記載されている。能力は他者のスタンドをコピーし、それを自分用に強化して使用すると言う究極生物に相応しい物。コピーしたスタンド名にはそれぞれアルティメットが付き、ザ・ワールド・アルティメット(これはこの小説のDIOも使用している)、メイド・イン・ヘブン・アルティメット・レクイエム等を使用可能。他にも使用しているがこれ以上は挙げたらキリがないので割愛する。また、このスタンドが発現する前は一時的にU・ボートと言うスタンド(本来はこの小説のナランチャのスタンド)を使用し、この時にスタンドを学習し発現したのがアルティメットである。
『クレイジー・Dの悪霊的失恋』
直接の登場はないが仮頼谷一樹の祖父・茂儀造の話として示唆される形で登場。
茂儀造は諜報任務でスイスのサンモリッツァに派遣された際、カーズによって吸血鬼にされていた一人で、カーズを万物を超越した「真実」として崇拝していた様子。
一樹の祖父は戦後も生き残り日本に逃れていて、幼い一樹に成人したら吸血鬼にしてやろうと教えていたが、その前に行方知らずとなったとのこと。
小説版では外国人の集団が近所をうろついていたという話があり、波紋使いないしスピードワゴン財団辺りに処理された可能性が示唆されている。
また小説版の仮頼谷一樹は、自らをアルティメット・シィンガー(究極の存在)と名乗っている。
声優
ちなみにジョセフと戦うエピソードがTVアニメで放送されていた頃、そのジョセフ役の杉田智和氏とカーズ役の井上和彦氏はなんと同時期に同じジャンプ系列の別作品でも敵同士で戦っており、アフレコの収録で週2回激しいバトルを繰り広げていたらしい。
そして戦い終結後には「次は仲良しの役をやりたいね」と杉田智和氏に語っていた。
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