概要
但し『ジョジョの奇妙な冒険』における吸血鬼は外見上は人間と瓜二つとなっている。石仮面に血を付着させ、それを被ることで変身できる。石仮面の性質については石仮面の記事を参照。
なお、吸血行為は伝承どおり口で噛み付いて経口で血液を摂取するだけでなく、自分の指を人間の身体に突き刺して血液を直接吸収するという方法もある。
吸血鬼になった者は犬歯が文字通りの「牙」となり、爪が鋭くなる。そして生命力と身体能力が極端に高くなる。
生命力に関しては、一部を除いてどんなケガをしても生きていられるレベルである。
再生力も高く、完全に切断されない限り再生でき、切断されてもくっつければ元に戻る。切断面から遠くにある腕などをつけるための触手(血管?)を生やすこともできる模様。
具体的に説明すると、腕を斬られても付けるだけで元に戻る、首だけになっても体を真っ二つに斬られても生きていられるなど。
身体能力については固有能力を得られる他、手刀で人を刺せることが出来るほど力が強くなる。
壁を普通に歩くこともできるほかジャンプ力も飛躍的にあがる。
固有能力は吸血鬼によって異なる。ディオの気化冷凍法と空裂眼刺驚が一番有名であろう。
本人に素質がある、若しくは「矢」の影響を受けることにより固有能力とは別にスタンド能力も使える。
また、吸血鬼化には若返る作用もあり、ごろつきの浮浪者やナチスに実験台にされた老人、およびストレイツォ(当時75歳)は吸血鬼化した途端に若い頃の外見になっている。DIOに至っては120歳を超えているにもかかわらず若々しい姿を維持している。
もうひとつの特徴として、人間に屍生人化エキスを与えることで、その者を屍生人(ゾンビ)にすることができるというものがある(血を吸うだけでは屍生人にならない)。
また、屍生人化エキス入りの自らの血を与えることで死人を蘇生させて屍生人(ゾンビ)にすることも可能。
ディオはこれを応用して、遊び心で犬と人間・鳥と猫のキメラを作ったりしていた。
弱点としては、
のいずれかを受けると死亡することになる。
体力を回復するためには他の生物、特に人間の血を吸わなければならない(勿論普通の食事をすることも可能だが、あくまで嗜好品レベルである)。
だが火傷による重傷を負った場合、完全回復するのに数百人近い人間の血を吸わなければならない為、やや燃費は悪い。ジョースター邸の火災に巻き込まれた際には逃げ遅れて全身火傷の重傷を負ってしまい、長期間の車椅子生活を余儀なくされた。
ストレイツォは劇中では一人の人間の血も吸わなかったため、一度の肉体の再生でかなりの体力を消耗してしまった。
吸血鬼が波紋疾走や太陽光に弱い理由についてはツェペリ男爵曰く、吸血鬼は他人の血液から吸い取ったエネルギーから生み出された波紋で生きているので太陽光と同じ波長をもつ波紋疾走を受けると波紋使いの波紋と吸血鬼の波紋がぶつかり、ふたつのエネルギーがプラマイゼロに相殺されるからとのこと。
吸血鬼となって以降も波紋は使えることは使えるが、相反するエネルギーに吸血鬼の肉体といえども耐えられず、肉体が崩壊してしまう。
第二部では太陽光の中に含まれる紫外線が柱の男や屍生人と同様に特に有効であることがナチスやSPW財団の研究で判明した。そのためナチスが作り上げ、後にSPW財団により小型化された携帯式の「紫外線照射装置」によって波紋の呼吸を使えない一般の人間に駆逐されるという憂き目にも遭っている。
なお、吸血鬼となっても生物的には人間のままである為、その子供には吸血鬼としての特徴は受け継がれない。
(初期設定ではジョルノがほんの僅かに受け継いでる予定だったが、取りやめたとの事である)
吸血鬼の正体は長らく不明だったが、後の第二部「戦闘潮流」にて、柱の男であるカーズが食料にするために生み出したものであることが判明した。
『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』ではこのことを踏まえたセリフがあり、柱の男はDIO(またはディオ)を捕食しようとし、DIOは柱の男を蛇蝎の如く嫌うという一面が描かれた。
吸血鬼一覧
古代アステカ文明のある戦闘部族の族長。時系列的には最初になるであろう吸血鬼。世界を支配しようと企んでいたようだが、アニメEDでサンタナに喰われた事が示唆されている。
PS2ゲーム「ファントムブラッド」では、吸血鬼になった直後の彼を操作して部族を抹殺するバトルがある。
ツェペリ男爵の父
航海の帰り、誤って石仮面を発動させてしまい、意図せず吸血鬼となってしまった。
船内の人達を虐殺した後、最期は息子のウィルを追い詰めも夜明けの太陽の陽射しを浴びて消滅。ツェペリ男爵が波紋の師父トンペティと会う切っ掛けを作った出来事である。
実の息子すらも殺しに掛かるなど完全に邪悪な心に支配されていたことが窺える。
ゴロツキの老人
第一部に登場。ディオに絡んだのが不運となり、石仮面の殺傷能力を確かめようとしたディオに無理やりかぶせられた。結果、吸血鬼となってディオに襲い掛かり、石仮面の正体を明かす形になった。
ディオから吸血するも朝陽に照らされたことで消滅した。
第一部と第三部に登場。「ジョジョ」の代名詞とも言える吸血鬼。作中初めて自分の意思で吸血鬼になったキャラ。
波紋戦士。ディオを強大な力を持つ吸血鬼に仕立て上げた石仮面の力を目の当たりにして力と永遠の若さを与えてくれるという憧憬と波紋戦士としての宿命の板挟みになっていた。第二部では老いて醜くなり、力も弱ったところに再び巡り合った大量の石仮面を前に「若さ」への憧れという衝動が抑えられず、ディオに次いで自分の意志で吸血鬼になった。元は波紋を扱う人物であったが、吸血鬼化した肉体となって以降はそれらは相反する同士となりそれを使う事は自身を破滅にしか他ならない状態となった。一方で波紋への対策も熟知しており特殊な昆虫の腸で作ったマフラーでそれを実践しジョセフに対決を挑むが、最期はジョセフの前で自身で波紋を練り自滅した。
捕虜の老人
第二部に登場。シュトロハイムの命令で強制的に石仮面を被らされ吸血鬼にされた捕虜の元老人。サンタナの力量を測る為の当て馬にされた。
吸血鬼化したことで老化で抜け落ちた歯は見事に生え揃った上に牙も生え、体格も筋骨隆々となりかつての寝たきり老人の面影はないとシュトロハイムに言わしめさせた。
貴重なサンプルであるサンタナを殺害してしまわないように有事に備えて予め頭部に脳組織を破壊する為のリモートコントロール式の爆弾を仕込まれていたが、サンタナに噛み付いた際に爆弾ごと全身をサンタナに「食われて」しまった。
鋼線のベック(ワイアードのベック)
第二部に登場。脱獄犯だったが、カーズに吸血鬼にさせられ、忠誠を誓った。
彼の他にも多数の凶悪犯が(雑兵兼餌として)吸血鬼にされており、後述の戦車競技を観戦していた。
カーズとワムウにより石仮面を載せられ吸血鬼化した馬。通常の150倍のパワーと瞬発力を持ち、戦車競技に使用される。
第三部に登場。作中では吸血鬼ということにされているが、一度死んだ後にDIOの血を受けて再生した、ポルナレフの攻撃を何度受けても死ななかったが傷が再生していない、などの描写から正確には屍生人(ゾンビ)である可能性が高い。
第三部に登場。こちらも作中の描写から屍生人(ゾンビ)なのではという疑惑あり。
コブラジョジョでは未登場の代わり、第2部のような雑魚吸血鬼が量産されている。
仮頼谷 茂儀造(からいや もぎぞう)
クレイジー・Dの悪霊的失恋の回想に登場。名前は小説版から。
仮頼谷一樹の祖父の話として過去の回想に登場。一樹の祖父は諜報任務でスイスのサンモリッツァに派遣された際、カーズによって吸血鬼にされていた一人で、柱の男たちを万能を超越した「真実」として崇拝していた様子。
一樹の祖父は戦後も生き残り日本に逃れていて、幼い一樹に成人したら吸血鬼にしてやろうと教えていたが、その前に行方知らずとなったとのこと。
祖父の言葉から一樹は「自分は特別な人間」と思い込むようになり、次第に歪んだ人格を形成していった。
小説版では同僚らから戦争が原因で頭がおかしくなったと言われていたが、事実は上記の通り吸血鬼化が原因である。
戦争後は紫外線アレルギーと言って顔に厚いドーランを塗り、日中は決して外に出ようとしなかった。家族との食事も夕飯だけ一緒に取っていた。
人当たりは良かったので評判は悪くなく、その神秘性から周囲には「仙人みたいだ」と言われていた。
実は普段は老人の顔だが、孫の前で化粧を落とした顔は20代としか思えなくなっていた。体格も老人とは思えないほど立派である(若返っていることを示すことで「真実」の話に信憑性を持たせたかったのか)。
夕食以外食事を摂った様子がないが栄養失調になっておらず、夜な夜な出歩いていたということから他者を捕食していた可能性がある。
普段は温厚な表情をしているが、孫にだけは狂気的な野心家としての顔を見せていた。
茂儀造が失踪する直前、近所をうろついていた怪しい外国人たちも姿を消したという。どうやら波紋戦士(あるいはスピードワゴン財団)たちにやられてしまったようだ。
などなど屍生人の空軍司令官のオマージュが窺える。
補足だが『「石仮面」で脳に骨針を刺された者が「吸血鬼」』であり、その『吸血鬼からのエキスを受けた者が屍生人(ゾンビ)』というのが当初の設定であった。
そのため第一部に登場する屍生人はディオからエキスを受けた者たち、第二部の吸血鬼はカーズの石仮面で変異した者たちと明確に区別が漬けられていた。
作中ではディオとツェペリ男爵の父が屍生人(ゾンビ)を生み出しており、石仮面を実験中のカーズの台詞からも、屍生人(ゾンビ)を生み出せるのはディオだけの専用能力ではないようである。
PS2ゲーム「ファントムブラッド」では、ワンチェンに襲われた者たちも屍生人になってしまっていた。