人の出会いってのは
運命できめられてるのかもしれねえな………
概要
作中ではファミリーネームである「スピードワゴン」で呼ばれている。1863年10月16日生まれ。
名前の由来はアメリカのロックバンド「REO Speedwagon(アール・イー・オー・スピードワゴン)」から。この「REO Speedwagon」の「REO」の部分はアメリカの自動車メーカー「レオ・モーター・カー・カンパニー」からで、この「レオ」の部分は創業者のRansom Eli Olds(ランサム・エリ・オールズ)にちなんでいるので、「スピードワゴンの"E"と"O"って何?」と疑問を持つ人の手助けになるかもしれない。
静かに去ったりクールに去ったりする。クールなほうが知名度は高め。
第1部
25歳。ロンドンの貧民街「食屍鬼街(オウガーストリート)」を根城とするチンピラのボス。
眉間から左頬に走った切り傷と太い眉毛、ボサボサの長髪が特徴。
ゴロツキではあるが、人情を大切にする義理堅い好漢でもある。
ディオがジョースター卿に密かに飲ませていた毒薬を捜索していたジョナサンを「金を持っている貴族」と見て部下の二人を引き連れて襲撃。
刃を仕込んだハットで腕にダメージを与えるが、ジョナサンの強い覚悟によって敗北する。
しかしジョナサンの攻撃を受けた自身も部下も大したケガではなく、何故止めを刺すことをしないのかとジョナサンに問うと「僕は父親を助けるためにここへ来た。だから君達の親も悲しませたくなかった」という理由から手加減していた事を知る。
どう見ても正当な大義名分も無くいきなりジョナサンを襲ったスピードワゴンに非があるにもかかわらずそれを知ってもなお紳士的な態度と誇りを持つジョナサンの姿に惚れこみ、彼に協力するようになる。その後もジョナサンの良き友人として、吸血鬼と化したディオとの闘いに参戦した。
強盗殺人も厭わないほど凶暴な食屍鬼街のチンピラや貧民達が忠実に従うボスだっただけに、腕っぷしの強さは半端ではない…のだが、さすがに吸血鬼や屍生人相手に正面切って戦えるほどの力はない。
帽子のつばにプロペラ状の刃を仕込んでおり、この帽子を回転させながら投擲して戦う。…が、戦闘に使用したのは一回だけ。というのも、それ以降に彼が相手取っていた敵である屍生人(ゾンビ)を倒す方法が「波紋等で太陽のエネルギーを流し込む」「頭を完全に破壊する」の二通りなので、刃物で戦うのは難しかったためであろう。
(実際、彼は物語終盤の戦闘ではハンマーを使い、頭を潰すという戦法で戦っていた。彼の数少ない戦闘シーンである)
そもそもこの帽子自体、ジョースター邸での戦い以降かぶっていないため、屋敷と共に焼失してしまった可能性が高い。
波紋の才能は全く無かったが、サポート役に徹してジョナサンの良き友人で有り続けた。
ディオ一派がジョナサンによって倒された後日に、彼とエリナが豪華客船で新婚旅行に出発するのを他の仲間達と共に2人の幸せを願いながらも見送ったが、悲惨なことにそれが親友であるジョナサンとの今生の別れとなってしまった。
戦闘以外の能力として、これまで世界各地を旅して得たというエスキモーの凍傷治療の方法など豊富な知識を持ち、さらにその中で多くの人間を見てきたことから善人と悪人が「におい」で判別できるらしく「こいつはくせえーッ!ゲロ以下の匂いがプンプンするぜーッ!!」と、弁明するディオの本性を看破してみせたことがある。ある意味、第5部のあの人の先駆け的存在でもある。
しかしこいつの変装と本性までは見抜けなかった。
その他にも、良い感じになっているジョナサンとエリナを目撃し「スピードワゴンはクールに去るぜ」と、場の空気を読む心遣いも出来る。
また、ジョナサンやツェペリのように、前衛で戦うタイプではないせいか、ジョナサン達が戦闘を繰り広げる中、誰がどんな攻撃を仕掛けているのかよく説明する役に回される。
解説、突っ込み、相槌と喋りをよくこなすため、一部ファンからはスピードワゴンと言えば『解説王』といわれている。
公式もその辺をわかっているのか、最近のアニメやゲーム版などでは、PVのナレーションやゲーム中のナビボイスに採用されることも多い。
ゲーム『ファントムブラッド』と『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘヴン』ではプレイアブルキャラクターとして参戦する。『オールスターバトル』では解説役であったが、後継作品である『オールスターバトルR』にはめでたくプレイアブルでの参戦を果たしている。
第2部
75歳。アメリカに単身渡り石油王として巨万の富を得て「スピードワゴン財団」を設立。
粗暴な言動は鳴りを潜め落ち着いた老紳士となっている。
50年前の悲劇から、吸血鬼と石仮面の捜索とその根絶を目的に世界中を調査し続けていたが、いつしか石仮面を製造した「柱の男」達の存在を知り、再び激闘の渦に巻き込まれていく。
ジョナサンの死後も、彼の妻エリナをはじめとするジョースター家との交流は続いており、ジョナサンの孫であるジョセフやエリナからも「かけがえのない大事な家族」として慕われていた。ジョセフは冗談まじりに彼とエリナの仲を疑う発言もしたことがあるが、あくまでスピードワゴンはエリナと良き友人として接してきた。
老齢のため闘いには参加できないが、財力と技術力でジョセフをサポートし続けた。カーズとの最終決戦時においてシュトロハイムを始めドイツ軍が体に装着していた小型紫外線照射装置も彼の財団が開発した技術である。
カーズが倒された後も財団設立者としてアメリカの医学界と経済界を更に発展させたが、1952年(エリナの逝去から2年後)、心臓発作で死去。89年間という長い人生ながらも生涯独身を貫いた。TVアニメ版では、彼のラストシーンは仕事のため飛行機に乗り込もうとする場面で締めくくられている。
スピードワゴン自身が亡くなってからも、彼の意向により財団からのジョセフや彼の子孫達へのサポートはずっと続いており、第3部以降もその財団の名前がたびたび登場している。
本人の出番は第2部を最後に終了するが、第1部〜第6部までの物語はスピードワゴンの存在がなくては成立しないと言っても過言ではない。
ゲーム版
PS2ゲーム「ファントムブラッド」ではプレイアブルキャラクターとして操作が可能。ストーリーの整合性を無視し、ジョナサンやツェペリの代わりにボスキャラと戦わせることができる。原作通りハンマーを武器として戦うが、波紋が使えない。反面攻撃力がかなり高く、強豪キャラになれるだけの能力値を持っている。なお、スピードワゴンの攻撃方法はいずれもハンマーを使ったものであり、チャージアタックをするとハンマーを巨大化させて振り下ろす。更に覚醒技(超必殺技)は、ハンマーを持って突撃し、大回転しながら敵を打ちのめした後、強烈な一発を打ち込んで吹っ飛ばすというもの。ちなみにこの時、スティックを回さないでいると台詞が変化する。
なお、アイズオブヘブン、オールスターバトルRにも参加しているが、その中でただ一人、波紋も使わずその他特殊な能力も持たず身体改造もせずに身一つで挑む正真正銘の一般人である。
ワムウと戦わせると「波紋も使えぬただの人間が……」と格下扱いされ、引き下がるように告げられる。
スピードワゴンが勝利すると「よく勝てたな」と自分が一番驚いている。
バトルスタイルは「食屍鬼街(オウガーストリート)」。原作の燭台キックを再現した蹴りなどの徒手格闘に手下のゴロツキ、ナイフ使いの「刺青」と中国拳法の使い手「東洋人」を呼び寄せての攻撃やハンマー、帽子といった武器を使った攻撃を織り交ぜて闘う。
関連イラスト
余談
スピードワゴンと言えば帽子。帽子を投げる → スピードワゴン化。
コマのインパクトも手伝ってか、本項の上記のセリフと並んでスピードワゴンに関するネタとして代表的なものとなっている。上述通り、使ったの一回こっきりのはずなのだが、ジョジョファンからは割と高い頻度でネタにされる傾向にある。
パラレルワールドの世界を舞台とした第7部「スティール・ボール・ラン」においても、北米大陸横断レースのスポンサー企業の中に「スピードワゴン石油株式会社」という名前が確認される。また、ジョニィに差し向けられたと思われる追手が「SPEED WAGO」と書かれたトランクを持っている描写があったり、エピローグにおいてルーシー・スティールが財団の職員としてある人物と共に登場している。
2007年に公開された劇場版第1部では、スピードワゴンは尺の都合で丸々カットされてしまっている。だが、スピードワゴンを名前の由来とする、お笑いコンビ「スピードワゴン」は声の出演を果たしており、「スピードワゴンは出てないのに出てる」という奇妙な現象が生まれてしまった。