人の出会いってのは運命できめられてるのかもしれねえな………
ひとのであいってのはうんめいできめられてるのかもしれねえな
『ジョジョの奇妙な冒険』第1部『ファントムブラッド』に登場するロバート・E・O・スピードワゴンの台詞。
場面は、主人公のジョナサン・ジョースターが人間をやめてしまった親友のディオ・ブランドーを、勇気の選択で決着をつけ、その激闘で彼は意識不明の重体となり病院へ入院し、おせっかいやきの情に熱い友人・スピードワゴンが病院側の対応に「心」から猛抗議をした後日。
(不法侵入で忍び込み)ジョナサンへ見舞いのために真夜中の病院を訪れたスピードワゴン。かつて自分が彼の人間味に惚れ込み凄みがあった一人の男へ、今は人生の泥沼な状況にある独りの男へ、どう言葉をかけるか考えあぐねながら、ジョナサンの病室までやって来ていた。
だが大丈夫、と思いがけずスピードワゴンは心を動かさせる「偶然」と出逢うのだった。
病室の中から漏れる明かりに気づき、そっと室内をのぞくスピードワゴン。まだ大やけどの重傷で意識を失いベッドで眠っているジョナサンの傍らに、一人の看護師が手当てをしている。よく見ると、火傷の熱を冷やすために冷たい水で布を絞り続けたために、指先の皮がふやけて血が滲んでいた。こんな真夜中の介護、その真摯な姿から、彼女は一日中付きっきりで千回は超えていると思わされるほど冷水で布を絞り、患者へ献身的な手当てをしていた事を察する。
そして、目が覚めたジョナサンと看護師の女性・エリナの親しげな会話から、かつて2人は恋仲だった事を知る。
それは思いがけず夜空に輝く星に届きそうな、最良の希望・道標を感じさせる運命的な光景だった。この眩しい星の光を目の当たりにし、今の自分には役不足だと悟り、そっと病室へ背を向けてスピードワゴンはクールに去っていくのだった。
病院を後にし、先ほどの出来事を顧みるスピードワゴン。
" 運命か…… "
" 人の出会いってのは 運命で決められてるのかもしれねえな……… "
男は顔に傷のある強面だが、尊い相手へ向けるような眼差し、その相手へ祝福を贈るかのように晴れやかな笑みの顔つきだった。
補足
原作にあるスピードワゴンの台詞「役不足」は、意味として「役割に不満」と相手に訴えるニュアンスが強い言葉。自分自身に向ける言葉として不適切な言葉選びとも解釈できる。これが絶対ではないと思うが、劇中の場面的にチョッピリ不一致なためか、後の改訂で「力不足」や、TVアニメ版では「役者不足」と表現されている。
本台詞「人の出会いってのは運命できめられてるのかもしれねえな………」は劇中の若き男女へ向けられた言葉-
また「運命的な出会いの素晴らしさを現す」という内容から、その他の相手へも向けられる汎用性のある言葉であろう。
ジョナサン・ジョースター エリナ・ペンドルトン / ジョナエリ
運命の奴隷:第5部「黄金の風」に登場する「運命」の定義。こちらは悲観的な意味合いが強い。だからこそ、この「奴隷解放」がされた瞬間とは、別格の幸福を得られるのだろう。
君は「引力」を信じるか?:第6部「ストーンオーシャン」に登場する「出会い」の言葉。こちらは「運命的な力」が働いて、自分と相手は引き合う関係にある場面で用いられている。