「だからだ!だから、そんな奴との戦いに巻き込んでいいのか?会ったこともない奴らを。」
「最初に言っておくぞ。この先へ進めば、後戻りする道はない。外道衆を倒すか、負けて死ぬかだ!それでも戦うって奴にだけ、これを渡す。但し、家臣とか忠義とか、そんなことで選ぶなよ?覚悟で決めろ!」
演:松坂桃李
概要
三百年前から外道衆と戦ってきた、侍の家をまとめる志葉家十八代目当主。火のモヂカラを使う侍。
シンケンレッドに変身する。
通称殿、タケちゃん。
使用する折神は獅子折神、虎折神、牛折神。
人物
個性的なメンバーを纏めあげるカリスマの持ち主。初めて家臣たちの前に現れたときは馬に乗っていた。殿と言うだけあって、軍略家としても優秀であり、劇場版でクサレ外道衆のマンプクと3日にも渡る戦いを迫られた際にも、丈瑠がマンプクならここで勝負をつけると言ったり第八幕で花嫁誘拐事件でも策を念入りに仕掛けている。
初期は尊大な態度をとり、休日に外出に誘われても断るなどして、家臣たちと距離を置いていた。
武術やモヂカラで他の家臣たちに劣る谷千明にも容赦がなく、厳しい言葉を放っていたために反発されていたが、殿としての覚悟や仲間への気遣いを侍たちに示し、予期せずケーキを奢らされたり、トランプに興じて敗北したら顔に落書き(猫殿)をされるほど、徐々に家臣たちと打ち解けていった。
しかし、第三十九幕でとある島の事件の調査に訪れた際、因縁の敵である腑破十臓に弱体化を指摘された焦りから家臣たちの声も聞かずに独断専行しており、第四十幕冒頭の稽古で千明との訓練中に思い出して千明の竹刀を切り払い、本気で倒そうとしたところを池波流ノ介に静止された。
アクマロと戦ってる最中に外道衆総大将の血祭ドウコクが現れ、家臣たちの制止も無視してドウコクに切り掛るも返り討ちに会い、丈瑠のシンケンマルは切っ先が折れボロボロの状態だったが、手元にあった花織ことはのシンケンマルを手に取りインロウマルでスーパーシンケンレッドになりモウギュウバズーカにセットしてドウコクに突っ込んだが、二度あることは三度あると言わんがばかりに、返り討ちに遭い意識不明の重傷を負った。
基本は上座に胡坐であり、Vシネマ「帰ってきた侍戦隊シンケンジャー特別幕」では他のメンバーのイメージした幻でもほとんど上座に胡坐だったため、正気に戻った後でふくれていた。
丈瑠「おかしいだろ!」
千明「似たようなもんだって」
白石茉子「いつも通り」
苦手なものなど
幼少期は育ての親である日下部彦馬に遊園地に行きたいとよく強請っていたが、メリーゴーラウンドなどの穏やかな乗り物にしか乗らなかった。
幼少期は恐怖のあまりお漏らしをしており、彦馬にしょっちゅうそのエピソードを持ち出されている。成長してからも克服できなかったようで、梅盛源太に付き合って苦手克服を志したときは、お化け屋敷の中で悲鳴をあげ、出た瞬間に気絶した。
「外道衆(妖怪)と戦っている癖になぁ…」と突っ込まれた際は、「作り物が駄目なんだ」と返している(そもそもお化け屋敷のお化けは「人を驚かす、怖がらせる」ための存在であり、倒すべき敵である外道衆とは認識が違うという可能性もある)。
源太いわく、腹が弱いらしく現に茉子の料理を口にした際に受けるダメージが一番大きい(腹痛で一晩寝込んだこともあるほど)。
また他人と距離を置いて育っていたこともあり、人見知りが激しく、『侍戦隊シンケンジャーVSゴーオンジャー』では江角走輔の共闘を素直に受け入れられずに、彼を素人呼ばわりして一時決裂してしまったことさえある(この際、千明からも「出たよ丈瑠の人見知り……」と小声でツッコミをもらっている)。
それもあってか、千明に誕生日ケーキの頼み方を聞くなど少し世間知らずなところがある。
第四十三幕で彦馬と黒子がクリスマスツリーを用意してた時には目を輝かせるなど、年相応な部分を見せている。
しかし、その決裂が原因で危機に陥ったことや本編終盤の件で信頼関係の大切さについては改めて思い知らされたらしく、最終幕でも茉子から「人見知り直したほうがいいかも」と言われたこともあってか、最終回後を描いた『天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー』では多少人見知りが改善されており、ゴセイジャーの面々と最初から共闘を受け入れたり、天地家での黒子の振る舞いをとがめるなど自ら歩み寄ろうとする姿を見せている(逆に走輔との共闘を個人的にはそこまで拒んでいなかった流ノ介と千明が事情込みな部分があるとはいえ、ゴセイジャーの面々と協力することを拒んでいる)。
その他、小説版においてまだ幼く死というものをよく理解できていないうちに父親の死を迎えたために「大切な人を亡くす」ということに対し、今ひとつ実感が持てずにいたことが判明。そのため、娘のために外道に堕ちた修羅が行動原理としていた「遺された者の義務」について明確な反論ができず精神的にも劣勢に立たされていたが、作中の事件を通じ「それは亡くした人のことを忘れないことである」という答えに辿り着いている。
戦闘スタイル
正眼ではなく剣を肩に担いでから切っており、それを見た十蔵は、疲労を軽減するためと言っていたが、Twitterにて丈瑠の太刀筋をゲームなどで剣術の監修をしてる方への質問する方がいて、このような回答が来た
また、仲間のシンケンマルを借りて二刀流で戦うことがある。
余談
- 演ずる松坂桃李氏は今作がデビュー作であり、シンケンジャーの後は数々の作品で活躍しているが、演技も初で何も分からない状態であったため監督やスタッフにかなり怒られたことをテレビのトーク番組などで語っている。
- しかし、そのプロフェッショナルが集まった現場で揉まれた事が今でも活かされていると語っており、シンケンジャーに出演したことは今でも誇りとも語っている。
- 本編終了時にリリースされた『侍戦隊シンケンジャー全曲集』には丈瑠を含めた6人のキャラソンが収録されており、丈瑠以外の5人は各演者がキチンと歌っているのだが、丈瑠のキャラソンである『シンケンレッド 一筆奏上』はというと、歌詞のほとんどをヤング・フレッシュが歌っており、丈瑠(松坂桃李氏)は「一筆奏上」や「天下御免」といった決め台詞を言うだけというキャラソンとしてはあんまりな仕様となっている。
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俺余ってるだろ!:ネタにされるツッコミ
以下ネタバレ
以降、重大なネタバレにつき、閲覧注意。
実は丈瑠は志葉家の当主ではなく、それどころか志葉家の人間ですらない。
真の志葉家十八代目当主は志葉薫という女性であり、丈瑠は彼女の影武者である。
先代当主の志葉雅貴がドウコクと苦しい戦いを強いられていたさい、次代にあたる薫がまだ出生前であったため敵の目を欺くため、あらかじめ家臣らが見いだしていたモヂカラの才能がある男児を引き取り、代わりに影武者として用意し、雅貴の死後に影武者として立てていたものである。
従って志葉家とは血縁がまったくなく、火のモヂカラも後天的に修行して身につけていたものなので本来の志葉家のものとは挙動や性質が違っていた。ヨモツガリの鬼火弾を食らっても火傷で済んだのも志葉家の者ではないためであり、真の志葉家の者が受けたら焼死するはずであった。
やがて薫が実戦に耐えるモヂカラを身に着けたため、役目を終えた丈瑠はシンケンレッドの座を本来の持ち主である彼女に返上。
「俺はお前たちを騙してた!ずっと騙し続けるつもりだった。預けなくてもいい命を預けさせ、お前たちが危険な目に遭っても、それでも黙ってた。そんな人間が、これ以上一緒に戦えるわけはない。侍なら、この世を守るために姫と…」
土下座してまで家臣たちにそう懇願し、屋敷から去っていった。
今まで家臣たちを騙していた罪悪感と、アイデンティティを亡くした喪失感で一時は自暴自棄になり、そんな中で自身との決着を望んできた宿敵である腑破十臓の唆しもあって「殿ではない自分には(剣以外)何もない」という考えに行き着き、十臓と昼夜問わず怒涛の殺陣を展開。彼と同じ轍を踏み、外道への道を歩みだす一歩手前まで差し掛かったものの、丈瑠の正体を知りつつも丈瑠を想い、駆けつけた家臣たちの言葉もあって寸前のところで踏み留まり、彼らと紡いできた絆は嘘でない事実を痛感。
十臓との決着後、ドウコクとの戦いで負傷した薫から再びシンケンレッドになってほしいと要請が届く。
薫の養子になったことで正式に志葉家の十九代目当主となり、薫のことを「姫」から「母上」と呼ぶようになった(ちなみに、薫は丈瑠よりも年下である。なお、現実の日本の民法では自分より年上の人間を養子にする事はできない)。
「お前たちの命、改めて預かる!」
本来の姓や身元は一切不明。死んだ父親も侍ではなかったが、彦馬に敬語を使っていた間柄であり、彦馬や志葉家とは元々なんらかの縁はあったようである(裏設定では志葉家の下男だったという)。ちなみに母親の詳細も一切不明だが、『天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー エピックon銀幕』のパンフレットで「外道衆に両親を殺された」とあり、作中に姿を見せなかったことからも、実母も既にこの世にいない可能性が高い。
ドウコクを倒した後も三途の川は存在し続けるため、日常に戻っていく家臣たちを見送り、薫に託された志葉の屋敷を守っている。
家臣たちと別れた後、丈瑠が見せた表情は晴れやかだった。
丈瑠が影武者であるという設定は当初から予定されていたものであり、序盤で内心気にしていることを見抜く能力を持つ敵から「嘘つき」と呼ばれた辺りから、伏線は張られていた。実はEDにも伏線が張られており、「ひとのためにつよくたたかうきもち」という歌詞の所で丈瑠の姿が映るが、歌詞に出てくる「人」と「為」という言葉を合わせると「偽」という漢字になる。また、事実人のために他者を偽ってきたことを考えると偶然とは言え、見事に丈瑠の境遇を歌っているEDと言える。この他、第五幕などで「SPARE」(代わり)というロゴが書かれたシャツを着ているなどの伏線もある…と言われていたが、後に監督を勤めた竹本のぼる氏が「この段階では、プロデューサーと小林靖子と監督陣しか真実を知らなかったので、衣装さんが知ってる訳ないのです」として偶然であると否定している。
演者である松坂氏もこの事実を聞かされたのは第三十九幕収録前で、この時は他に彦馬役の伊吹吾郎氏のみにこの設定が伝えられて、他のレギュラー陣にはすべてが明らかになる第四十四幕の台本を渡されて初めて明かされたという。
なお、松坂氏は第六幕でズボシメシに嘘つきと言われた理由は、「兜折神を使えるようになるために虚勢を貼って隠れて1人修行をしてたからなのか」と六幕と五幕を監督した竹本昇監督に質問しており、その問いに関して竹本監督は「今のところはかなあ」とタブらかしている。
また、放映当時、視聴者の子供たちの中には「影武者」という概念を事細かく理解できず、影武者=偽者と端的な解釈をしてしまった子も少なくなく、第四十四幕が放映されて以降、松坂氏は子供たちから「偽ヒーロー」「偽レッド」呼ばわりされることが、しばしばあったという。
メインライターの小林靖子氏によると、丈瑠が影武者と設定されたのは、前作のレッドである江角走輔との差別化のためであり、極めてクールで寡黙で陰がある性格となった理由づけとして設定されたものである。なので当の走輔とは言うまでもなく性格が真逆であり、実際に共演した際も上記のようになかなか反りが合わなかった他、劇場公開時期がTV本編終盤だったこともあり走輔を「本物を持っている者」として羨む面も見られた。
関連タグ(ネタバレあり)
リョウマ/ギンガレッド:本来のレッドではない、獅子の力を使うレッド繋がり。こちらも本来の変身者の代理だが、後に正式にレッドを受け継いだ。
浅見竜也/タイムレッド:彼の場合、人数調整のため代打として半ば強制的に序盤は一緒に変身せざるを得なかった。その後、自分の意思で加わった。しかしその後、本物が現れたことでメンバーから一時外されてしまうレッドつながり。
赤座伴番/デカレッド:こちらは前任者がある事情で抜けざるをえなかったため、急きょ辞令が入った。そのせいか、前任者と一緒にいたメンバーからは序盤煙たがられた。その後ある事件をきっかけに、前任者を連れ出すという無茶振りの行動を前任者に見込まれ、新たな組織へのスカウトを受け、現在はその組織で働いている。
門矢士/仮面ライダーディケイド:本編にて共演した仮面ライダー。こちらは自身の本当の世界を探す為の旅をしている。あちこちで『破壊者』や『悪魔』と忌み嫌われ居場所の無い彼に対し丈瑠は『この世界にいても構わない』というニュアンスの発言をしていたがこれは『居場所が無い者』同士(丈瑠は後に居場所を見つけたが)故のシンパシーから来た発言だったと言える。