演:井上正大
「大体わかった」
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ」
「ちょっとくすぐったいぞ」
概要
『仮面ライダーディケイド』の主人公。
いつの間にか光写真館に居候していた青年。素性不明で本人も過去の記憶がない。
年齢20歳。ディケイドライバーを手に入れた事で仮面ライダーディケイドに変身する。
紅渡から「世界の融合を防ぐ為に旅に出なければならない」と告げられ、自分の本当の世界を探す為、世界の崩壊を防ぐ為に光夏海達と世界を巡る旅に出る。
ネタバレのため詳細は伏せるが、本編が最終回を迎えた後も様々な世界を渡り歩き続けることとなり、春映画や平成ライダー第20作の『ジオウ』にも重要人物として参戦。いわゆる「客演」のレベルを超えた活躍を見せている。
性格
かなりの自信家で、誰に対しても尊大な態度を取る俺様キャラ。「イケメン」を自称したりと容姿にも自信がある模様。
襲われている人を身を挺して守る熱いハートを持ち合わせる(子供はどの世界でも宝だと考えているから)一方、作戦のためとはいえ無辜の仲間を痛めつけたり女性の顔面を平気で殴る等、ややひねくれた言動が目立つ。
行く先々でライダー達に「悪魔」呼ばわりされたり敵視されたりしても、表面上は気にせず「破壊者」の汚名を被っているが、殆どの場合は自虐的なニュアンスが含まれており、彼なりに思い悩んでいる節はある模様。
俺様キャラに相応しく台詞回しも全体的にキザ。とは言うものの、状況によっては敬語を使う事もあり、第9話での接客態度は完璧であった。
「焼き加減はどれが好みだ?レア?ミディアム?それとも、ウェルダン?」
小難しい話は「だいたいわかった」で済ませてしまい(脚本家である井上敏樹の口癖が由来)、自身が使用するライダーの特色も大雑把にしか理解していない。各ライダーの名前や概要が口を衝いて出てきたこともあるが、なぜ知っているのかは本人も不思議がっており、過去に由来するのかは不明。
また変身後は、ライドブッカー(ソード形態)の刀身を撫でたり、手を払う仕草をよくする。
そんな彼が各ライダーの世界を巡る度に、その世界で学んだ事柄を活かした格言(通称:お説教)を敵にかますのがお約束となっている。
その際、敵に「お前は何者なのか」と問われ、「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ」と名乗るまでがワンセット。
対峙する敵に対しては基本容赦はなく、怪人は勿論、同じ仮面ライダーや例え元人間であったとしても躊躇無く必殺技を叩き込み粉砕する。戦いに対してもなんの抵抗も躊躇も無い。
これに関しては仮面ライダー大戦にて迷いを抱える乾巧に対して「ライダーの世界は倒すか倒されるか。」「所詮はただの殺し合い。」と語っており、ライダーとはそういうものだとドライに割り切っていると思われる。
ニンジンが苦手らしく、第3話ではポトフのニンジンをユウスケと押し付け合うシーンがある。
また、海東大樹によく「ナマコは食べられるようになったのかい?」と言われていたが、ナマコが苦手なのは海東の方であり士自身は問題なく食べられるらしい(仮面ライダー図鑑より)。「仮面ライダーディケイド ファイナルステージ」のステージショーでは、ディエンドがナマコを食べて錯乱していた。
『ジオウ』第42話ではレジスタンスの食糧からレーズンパンを勝手に食べているシーンがあったが、何故かレーズンを執拗にむしって避けながら食べていた。レーズンが嫌いなら、別のパンを食えば良さそうなモノだが、他に種類がなかったのだろうか……。
趣味・能力
写真撮影を(自称)本業兼趣味としており、2眼のトイカメラ「BlackBirdFly」を常に首からぶら下げて持ち歩く(このマゼンタカラーのタイプは、数量限定で実際に販売された)。
だが、彼の撮る写真は何故かいつも歪んで映る。本人曰く「世界が俺に撮られたがってない」との事(うまく撮れなかった際に「ここも俺の世界じゃないみたいだ」と判断するシーンもある)。
写真が上手く撮れないことは本人なりに気にしているらしく、周囲に指摘されたときこそ気にも留めない態度を取るが、カブトの世界で出会ったマユにその写真を「真の才能」と絶賛された際にはかなり機嫌が良くなっており、ネガの世界でちゃんとした写真が撮れた際には自らその写真を「究極」と称していた。
写真以外の事であれば、料理、スポーツ、営業、音楽など何でもこなす多才ぶりである。
その身体能力は改造人間がいない平成主人公の中でも屈指の人間離れをしており、上級オルフェノク2人とテニヌ対決を行い勝利する、カードを手裏剣のように投げて鎖を切断するなどの離れ業を見せている。
料理についても、「ブレイドの世界」のBOARDの社員食堂のチーz…もといチーフに就任するなり、料理や接客などで大改革を行い、食堂の売り上げを大幅に高めている。
なおその際「なんだこの小洒落た味は」「ソースとケチャップをぶちまけろ」とそれまでの食堂の料理に苦言を呈していたことも鑑みると、庶民派の献立や味付けを好むようである。
さらには(どう身につけたかは謎のままだが)グロンギ語すら流暢に喋り、ユウスケと出会ったクウガの世界におけるグロンギ族の大ボスン・ガミオ・ゼダからは「貴様はリントでもクウガでもない」と言われている。
歴代ショッカーの幹部はほぼ例外なく改造人間であり、彼もお飾りとはいえ一度は首領に祭り上げられたのだから、ひょっとすれば…。
服装
世界を移動すると、士の意志とは無関係に何らかの「役割」が与えられ、服装(場合によっては髪型も)が変化する。クウガの世界で巡査になった際は警察手帳が、キバの世界でヴァイオリニストになった際はバイオリンが装備されるなど、職業に応じた道具も自動的に付属する。
ピンクの道着や昭和真っ盛りなどを充てがわれることもあるが、「俺という奴は何を着ても似合っちまうな」と豪語し、実際のところよく着こなしているオシャレさん。
なお一度服装を披露した後は私服に着替えることが多く、テーラードのセットアップやトレンチコートなど、平成・令和ライダー主人公では珍しくドレス寄りのコーデを好む(職業柄スーツ寄りになる例を除けば、他は翔太郎と飛羽真程度である)傾向がある。
ただ、シンケンジャーの世界で黒子に回された時は不服そうで、RXの世界では霞のジョーに間違われたのがイヤだったのか早々に着替えてしまった。
ジオラマ小説『S.I.C HERO SAGA』では城茂の衣装を着こなしていた。確かに性格もどことなく似ている。(リ・イマジネーション城茂は士と容姿が瓜二つという設定)
因みに各世界の職業は以下のようになっている。
世界 | 職業 |
---|---|
クウガの世界 | 警察官(巡査) |
キバの世界 | ヴァイオリニスト |
龍騎の世界 | 弁護士 |
ブレイドの世界 | BOARD社内食堂チーフ |
ファイズの世界 | SMART BRAIN high schoolの生徒 |
アギトの世界 | 郵便局員 |
電王の世界 | 桜井さん(の服装) |
カブトの世界 | ZECT隊員 |
響鬼の世界 | 音撃道伝説の師匠(の服装) |
ネガの世界 | なし(金持ち) |
ディエンドの世界 | サラリーマン |
シンケンジャーの世界 | 黒子 |
RXの世界 | 霞のジョー(の服装) |
アマゾンの世界 | 野球選手(のユニフォーム) |
ライダー大戦の世界 | タキシード(服) |
TV本編以外での活躍
劇場版 超・仮面ライダー電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦
本編15話のラストで起こった時空の歪みの影響で、昭和10年の世界に光写真館ごと飛ばされていた。
昭和10年には同じく時空の歪みの影響でモモを除く3人のタロスズも飛ばされており、それを探しに来たデンライナーの面々が写真館に現れて遭遇。登場時は同じく15話で登場していたジークに憑依されたいわば「W士」の姿を見せた。
その後、オニ一族と電王たちの本格的な戦いが始まった頃にオーロラカーテンを使って再び登場。ジークを返却しに来たついでに加勢することになる。
本編同様モモタロスに憑依された状態でディケイドに変身し、電王が超クライマックスフォームになるまでは憑依された状態で戦闘。
電王 超クライマックスフォーム及び仮面ライダーNEW電王 ベガフォームの同時攻撃でシルバラを撃破した後、ゴルドラが鬼の戦艦を起動すると、電王に戦いを任せてオーロラカーテンで帰っていった。
劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー
士の元の世界にたどり着いた一行は、妹「門矢小夜」と出会う。(「カブトの世界」での「妹がいたような気がする」という発言は事実だったということになる)
彼女に仕えていた男、月影ノブヒコの「世界の崩壊を止めるには最強のライダーをたった1人決めるしかない」という言葉に促され、士は記憶を取り戻す。
そして、最強の仮面ライダーを決める「ライダートーナメント」の開催を決めた。
実は門矢士の正体は大ショッカーの大首領であり、世界の崩壊を防ぐ為の「全ライダー討伐」が彼の真の目的であったのだ。
大首領としての記憶を取り戻した彼は、ライダーを全滅させた事で世界の崩壊が止まると信じていたが…。
仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010
2作品がコラボした3部構成の映画。
第1部にあたる『仮面ライダーディケイド 完結編』では、世界の破壊者として覚醒し、ディケイド激情態となり次々と仮面ライダーをなぎ倒していく。
士を演じた井上正大氏が「最終回ではまだ覚悟が決まっておらず、襲ってくるライダーを撃退するだけだったが、何度も襲撃されるうちに撃退では無く「完膚なきまでに叩き潰す」スタイルに変わっていった。」とコメントしている通り、手段を選ばないダーティーな戦い方をする。
劇場版では「最強の悪のライダー」として描かれるディケイドだが、その際の士の髪型がハネた感じに共通している。井上いわく、これが大首領スタイルなんだとか。
仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦
海賊戦隊ゴーカイジャーのゴーカイレッドと並び、かなり重要なポジションとして出演。
全ての戦隊を倒す為、他の仮面ライダーを引き連れ戦いを挑んでいった。
ディケイドは激情態ではないものの、士のヘアスタイルは「大首領スタイル」である。
「潰す…!」
……まるで成長していない…。
仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z
変身後の姿のみ、及び代役で登場。「○○ひろ」繋がりで、レッドバスター=桜田ヒロム役の鈴木勝大が声の代役として出演。ディケイド自身はスーパーヒーロー大戦シリーズ皆勤賞である。
仮面ライダーウィザード
特別編(第52・53話)に登場。
召喚された歴代平成ライダーの中で唯一変身前の姿を見せており、操真晴人と会話するシーンもある。
「ここがウィザードの世界か」(晴人からの返答は「多分違うと思う」。正確にはウィザードのリ・イマジネーションに近い魔宝石の世界)、「大体わかった」、「通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけ!!」といった決め台詞の数々も健在でファンを沸かせた。
平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊
「今度こそ最後の勇姿か」と思われ続けて、またまた劇場版に帰り咲き。
変身後のみではあるが一度対面したことのある現役の仮面ライダー鎧武である葛葉紘汰に加え、以前絡みがあった仮面ライダーウィザードの操真晴人、仮面ライダーW(の片割れ)の左翔太郎、まさかの登場となった仮面ライダーファイズの乾巧の仲を取り持ち、昭和ライダー達へ戦いを挑んだ。
しかも、キャスト発表では最初に発表されている。
映画の内容も、士・紘汰・巧、そして本郷猛の4人が主役の映画とも言える構成となっている。
劇中ではドルーパーズでやや大型のパフェを食べるシーンがあるが、上から見るとディケイドを模したデザインになっていたりする。
また、キャストクレジットではトップなだけあって事件の調査や紘汰・巧を加えたお馴染みの説教、柊の救出・彼の願いを叶える為の手段を提案、EDでのメインの登場人物たちのその後の描写では本郷を除くと最後に描かれていたりとトップクレジットに相応しい扱いをされている。
仮面ライダージオウ
ウォズによって呼び寄せられ、タイムジャッカーの刺客として常磐ソウゴの前に立ちはだかる。他のレジェンドライダーとは扱いが一線を画し、所謂準レギュラーとして扱われている。こちらを参照
仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER
スーパータイムジャッカーのティードが大量に呼び出した怪人軍団との最終決戦でも、他の平成ライダー達と共にディケイドが参戦した。
士としての姿は見せていないものの、今作では井上氏も声での出演を果たしている事から、このディケイドも士が変身した存在と思われる(新規ボイスのため、ジオウ客演時と同じく本編当時より低い声である)。
ただ、映画劇中ではディケイドライバーが白い旧式のものであったため、「ジオウ本編より前の時系列の士」である可能性が強い(他のライダー同様に『仮面ライダーディケイド』という作品から召喚されたのであれば、白いドライバーであったのもある意味当然と言えるか)。
或いはこれまでの旅と同様に、召喚時に『ディケイド』の主役という「役割」が与えられたことで一時的に白いドライバーの姿になったのでは、という声もある。
小説版
鐘弘亜樹が執筆した小説『小説 仮面ライダーディケイド 門矢士の世界~レンズの中の箱庭~」(TV版、劇場版のどれとも繋がりはないリメイク作)では性格や設定が異なる。
この作品では自分本来の世界では人と交わることや孤独を恐れ、レンズの向こうに現実逃避を繰り返している陰気な青年であり、尊大な態度は不安の裏返し、ディケイドの力を手にした高揚感によるものとして描かれている。
並行世界を旅しながら自分の弱さを見つめ直し乗りえる事が小説版での大きなテーマ。
前述の「なまこ嫌い」も小説版ではちゃんと本人の口から語られている。
余談
ファンからの愛称は「もやし」。これはもやしっ子という意味ではなく、名前を音読みすると「門→も(ん)」「矢→や」「士→し」になることから。
余談だが、児童誌にて「もんやつかさ」と誤記されたことがある。
劇場版ジオウのパンフレットのスタッフインタビューなどでは「カード屋(門矢)士」などと言われていた。
士を演じている井上正大氏は平成ライダーとしては2人目の平成生まれ(ただし彼らは早生まれのため学年的にはギリギリ昭和であり学年も含めた完全な平成生まれは『仮面ライダーW』の菅田将暉氏が初)で、『仮面ライダー電王』で主人公を演じた佐藤健氏とは3月生まれの同い年で誕生日は1日違い。
初代クライマックスヒーローズに登場するオリジナルライダー、ダークディケイドはゲームと劇場版でも同じ「俺はすでに究極を超えている」というセリフを言っているため、当初の嘘予告そのままの内容、もしくは脚本が変わらず會川氏の構成で行った場合は嘘予告の本当の士が世界を破壊する使命を受け持った世界線のダークディケイドでテレビ本編のもやしはライダー達と仲良くなるリイマジのカドヤツカサではないのかという説もある。
関連イラスト
関連タグ
仮面ライダーディケイド ディケイド 世界の破壊者 クロスオーバー
小野寺ユウスケ 光夏海 海東大樹
光写真館
もやし
関連・類似キャラクター
- 一文字隼人、瀬川耕司、相川始、辰巳シンジ、詩島剛:同じくカメラマンライダー。
- 五代雄介、天道総司、五十嵐一輝:妹がいる主役ライダー。天道はなんでもこなせる俺様キャラ。
- 津上翔一、フィリップ、桐生戦兎:物語開始時点では記憶喪失の主役ライダー。
- キャプテン・マーベラス:自分以外の歴代シリーズの戦士に変身して戦える、いわばスーパー戦隊版ディケイドとでも呼ぶべき戦隊のリーダー。大概なんでもこなす自信家の俺様キャラで、偽悪家だけどそのくせ仲間思いなところなど、共通点は非常に多い。劇場版「スーパーヒーロー大戦」では、大ショッカー大首領として歴代スーパー戦隊を破壊して回る士に対応するかのように、大ザンギャックの大帝王として歴代仮面ライダーを撃破して回り、劇中でディケイドvsゴーカイレッドの直接対決にも至った。
- 明神つかさ:名前が「つかさ」で怪盗との対立者、桃系戦士繋がり(ディケイドはマゼンタ、3号はピンク)。
- 上司(テイコウペンギン):読み方はかどつかさ。お気づきの通り、門矢士の名前をモチーフにしているキャラ。性格は全然似ていない。
- 志葉丈瑠、桃園ラブ:ニチアサ同期の主人公。丈瑠ことシンケンレッドが率いる侍戦隊シンケンジャーは、ディケイドとは互いの本編TVシリーズ放送中にクロスオーバー回で直接共演している。
平成ライダー主人公
紅渡 → 門矢士 → 左翔太郎・フィリップ