概要
『仮面ライダーディケイド』の第6話・第7話の舞台となった世界。
この世界における士の役割は弁護士(光写真館の位置は作中の撮影場所から察するに新宿区)。
元の『仮面ライダー龍騎』で、法廷に関係するキャラクターは、職業が弁護士の北岡秀一のみである。が、この世界では、ライダーが全員、裁判に関わる存在となる。
当時問題になっていた裁判員制度を痛烈に皮肉る内容となっており、恐らく原作と最もかけ離れたリ・イマジネーションライダーワールドである。(偶然にも、民事裁判で争う際に重要な民法にて規定されている典型契約は13種類あり、同じく13人のライダーがミラーモンスターと契約して戦うという妙な共通点がある)
7話終盤で辰巳シンジがタイムベントのカードを使用し、彼と士、鎌田以外の時間が6話の序盤の出来事まで巻き戻されたため、夏海やユウスケ達からはここでは特に何もせずに次の世界に行くという認識になっている。
原典との差異
本作に登場する仮面ライダーは、選ばれた者なら誰でもなれる。これは原典と同じだが、戦いの目的は「願いを叶える」ことではなく、なんと「裁判に勝つために、関係者が鏡の中で戦い合って主張を通す」というものになっている。
事件が発生すると、被害者遺族、被害者の関係者一同、弁護士、検事、警察官、その他裁判関係者に(恐らく国から)カードデッキが支給される。(ただし辰巳シンジはカードデッキを持ったまま事件前にタイムスリップしたため、本編後も仮面ライダー龍騎であり続けている。)
“ライダー同士のバトルロワイヤル”という点は変わっていないものの、殺し合いではなく社会システムとしてのライダーとなった。
ミラーモンスターも仮面ライダーの使役する存在としてしか登場せず、市民やライダーがモンスターに食われる事は無い。この作風は、後の仮面ライダー鎧武初期のアーマードライダーとインベスゲームにおけるインベスの関係に近い。
ただし第5話のラスト、士が龍騎の世界に転移した直後にミラーモンスターとミラーワールド内で戦闘を繰り広げる龍騎が映し出されている。これらのモンスターが野良モンスターなのか、契約したライダーによって召喚された個体なのかは不明。
また、このシーンの龍騎の変身者も不明ではあるが、この時点では夏海の裁判が始まっていないためシンジではない可能性が高い。
ミラーワールドは仮想世界のようなものであり、倒されてもライダーの変身者はミラーワールドから強制離脱されるだけで死亡しない。ただし、ライダーシステムを現実世界に持ち込むことができる。
そのため、ライダーシステムを現実世界で使うことは法律で禁じられ、アドベントカードを使用しても裁判の対象から外されてしまう。
非常にとんでもない制度ではあるが、ライダーバトルで負けても裁判から降ろされる(ミラーワールドから追い出される)だけであり、契約モンスターに裏切られて喰われたり、他のライダーに殺されたり、時間切れで消滅したり、野良モンスターに闇討ちにされたりする原典に比べれば遥かに安全と言えるだろう。
ライダーシステムは原典と大差ないが、他ライダーのアドベントカードを使用することが可能。(原典の場合、使用しても持ち主にしか効果が反映されない)
また、原典には登場しないオリジナルライダーとしてアビソドンと契約した鮫型ライダー・仮面ライダーアビスが登場する。
原作に登場した小規模なWEB雑誌会社「OREジャーナル」は大規模な雑誌会社「ATASHIジャーナル」となっており、シンジやレンなどこの世界における主な登場人物の大半はここに勤務している。
なお、ライダーの枠は法廷のモニターを見る限りでは15人となっており、物語開始時点では4枠空いていた。この枠に入るのはのちに裁判に参戦することになるディケイドと龍騎、そして劇中では登場しなかったリュウガと王蛇だと推測される。なお、劇中に直接登場しなかったが、ファムの存在は確定している。
ちなみにイレギュラー枠であるディケイドとアビスを除くとちょうど原典の13人になる。
元ネタ?
実は中世ヨーロッパには「決闘裁判」と言うものが実在していた。「神は常に正しい者の味方」の名の下に「決闘で勝ったほうの主張が正しい」と言う理論である。
とは言っても流石に実力差がありすぎると無茶なので(特に男女間の争いの場合は)ハンディキャップがつくこともあった。また貴族などは代理人を立てる事も(当然負けたあとに「代理人が悪い」と言う言い訳は不可能)。
一応は裁判なので裁判所の許可の下、立会人を交えて行われる。またあくまでも「決定的な証拠や証言がない」状況でのみ行われたのであって、決定的な証拠や証言を決闘裁判で覆す、なんて事は不可能。
なお、この決闘裁判は『王様戦隊キングオージャー』の劇中にも出てくる。
余談
原典から抽出された要素は「異なる正義のぶつかり合い」、「資格さえ与えられれば、誰でもライダーになりうる」の二つであると思われる。そこから国民の中から選ばれる裁判員制度や様々な主張や正義がぶつかり合う裁判に結びついたものと思われる。
MOVIE大戦2010の「仮面ライダーディケイド 完結編」において「士くんはほかのライダーの写真ばかり撮ってきたから自分の写真が1枚もないんです」という光夏海のセリフがあるが、実はこの世界で撮った写真に士が写っている。
MOVIE大戦2010の時空の士はこの世界で別の写真を撮ったのだろうか。
関連項目
仮面ライダーゾルダ:原典における弁護士ライダー
ミラクルワールド:微妙に違う