解説
仮面ライダーシリーズの用語の一つ。
意味としては「仮面ライダーに変身するための原理・アイテムの総称」として用いられる。
勿論、個々の作品で原理は異なるが、「人の手によって開発された」「人間の技術単体では成立せず、怪人の能力や知識を取り入れている」という共通点がある。
用語として初登場したのは『仮面ライダー剣』。
登場する作品
「仮面ライダーに変身するためのシステム」は以下に限らないが、本稿では「ライダーシステム」という呼称が使われているもののみ列挙する。
仮面ライダー剣
BOARDの所長・烏丸啓がジョーカーの能力を解析して開発した、不死生物・アンデッドと人間を融合させ、超常的な能力を得るシステム。
ジョーカーそのものである仮面ライダーカリスを除く、すべての仮面ライダーがライダーシステムに基づく。
仮面ライダーカブト
正式名称は「マスクドライダーシステム」。
ZECTが宇宙生命体・ワーム(ネイティブ)と共同開発した、ワームと同じ「脱皮」と「超加速能力(クロックアップ)」を人間に与えるシステム。
すべての仮面ライダーがライダーシステムに基づく。
仮面ライダーキバ
素晴らしき青空の会や3WAが、ファンガイアを始めとした13魔族の能力・技術を取り入れて開発したシステム。
仮面ライダーイクサや仮面ライダーレイがライダーシステムに基づく。
仮面ライダービルド
正式名称は「プロジェクト・ビルド」。葛城忍がエボルドライバーを基に設計・考案し、葛城巧が完成させた、フルボトルの力を人間に与えるシステム。
エボルドライバーで変身する仮面ライダーエボルと仮面ライダーマッドローグを除く、全ての仮面ライダーがライダーシステムに基づく。
仮面ライダーゼロワン
仮面ライダーの変身システムの総称として、設定上は存在する。
共通して、各プログライズキー/ゼツメライズキー固有のデータイメージ「ライダモデル」「ロストモデル」を変換反応させ、生物の能力を戦闘機能として変身者に付加する役割を持つ。
基本的にライダーシステムの成り立ちや機能は、各勢力の仮面ライダーごとに異なるため、従来のシステム上の共通点は少なめの傾向となっている。
全ての仮面ライダーがライダーシステムに基づく。
以下のようにシステム名を持つ者も居る(仮面ライダーは省略する)。
仮面ライダーリバイス
ジョージ・狩崎が開発した、仮面ライダーに変身するためのシステム。
共通して、押印されたバイスタンプから、生物の遺伝子情報と強大なエネルギーを引き出して変身者に供給する役割を持つ。
詳しい説明はライダーシステム(リバイス)を参照。
ライダーシステムの影響
「仮面ライダーに変身するシステム」という概念の登場は、シリーズにおいて初代からアギトまでの原則だった「変身者=仮面ライダー」という図式の崩壊を齎した。
昭和ライダーはほとんどが改造人間であり、「改造された後の怪人としての姿」がそれぞれの仮面ライダーとしての姿に当たる。そしてこれは、ライダーそれぞれと変身者が完全にイコールの存在であり、分けて語れないことを示している。
しかし、『龍騎』において登場したVバックルとカードデッキの組み合わせによる変身は、この図式を崩し、「契約したモンスターに対応するデッキとVバックルがあれば、その仮面ライダーに変身できる」という形を齎した。
つまり、仮面ライダー=変身者の別の姿だったこれまでと異なり、その概念が「登場人物の使う戦闘用の装備」になったのである(TVSP『13RIDERS』では城戸真司がナイトに変身したほか、最終回では由良吾郎がゾルダに変身している)。
これに伴いライダーシステムおよびそれに類するシステムが登場する作品では、ライダーと変身者が必ずしもイコールではなくなっている(基本的には資格や適性などの理由でほぼ固定ではあるが)。
ただし完全に関係性が断絶したわけではなく、ベルトが同じでも変身者が違えば別のライダーになるなど、むしろベルトと関係なく変身者とライダーが紐づけられることも増えており、関係性はややこしい。
大まかには以下に分類できる。
- タイプA:ベルト完全依存型
変身先の仮面ライダーがベルトに完全に依存するタイプ。よってベルトが同じなら、変身者が誰であろうがそのライダーになる。
ただしベルトではなくセットするアイテムの方が重要なパターンの方も多い他、一つのベルトが特定個人にしか使えないパターンもある。主に平成一期のライダーがこのタイプ(『キバ』以前の平成ライダーはリ・イマジネーションライダーという別人が存在するためこちらに該当する)。
ライダーズギアは全てこのタイプであり、他には『剣』のシステム、イクサや毛色は違うがキバ、ダークキバ、ソードオブロゴスの聖剣も該当する。
また、いわゆる量産型ライダーも全て該当するが、例外中の例外としてガンバライダーが存在する。
- タイプB:アイテム依存型
ベルトではなく、ベルトにセットする変身アイテムの方に依存するタイプ。セットするアイテムが違えば、ベルトが同じでも別のライダーとなる。
『龍騎』のミラーライダーは全てこのタイプであり、マスクドライダーシステム、スペクター、ネクロム、『エグゼイド』のゲームライダー(特にクロノス)、シノビドライバー、デザイアドライバー(IDコア)が該当する。
- タイプC:変身者依存型
ベルトやアイテムの組み合わせではなく、変身者に依存するタイプ。ベルトが違ってもその変身者であれば基本的に同じライダーとなり、ベルトが同じでも変身者が違えば別のライダーになる。
平成二期以降多いのはこのパターンで、主にセットするアイテムでフォームチェンジするタイプのライダーが多い。中でも仮面ライダー斬月・真を皮切りに出現した「変身ベルト自体が別物になる」ライダーは例外なくこのパターンである。
ドーパント(『W』のライダーは広義のドーパントである)、アーマードライダー、ドライブシステム、ネクストシステム、ゴースト グレイトフル魂、ゲンム ゾンビゲーマー レベルX、クローズ、グリス、ローグ、プログライズキーを用いたライダー全般が該当する。
このタイプのうち、ゴーストドライバーとジクウドライバーは若干定義がタイプBと被っているが、これは変身するライダーを指定する基本形態の眼魂/D’9サイドのライドウォッチがそれぞれの変身者にしか使えないためこちらのタイプに当たる。
また例外としてアークドライバーワンを用いた仮面ライダーは、変身者それぞれに違うライダーとなり、かつ元のライダーとは別枠となる。
- タイプD:完全固定型
タイプCの亜種で、変身者とライダーシステムが一組で運用され、互換性がないタイプ。
セットするアイテムの方は基本的に共通規格であるが、ベルトはそれぞれ使用者専用となっており交換は基本的に不可能。
オーメダルシステム、アストロスイッチ、ウィザードリング、オーマジオウ、『リバイス』のライダーシステムが該当する。