概要
『仮面ライダーディケイド』第20話・21話に登場した世界。
この世界にはベースとなる原作の世界は存在せず、光夏海が暮らしていた世界(第1話で怪人軍団の攻撃を受けた世界)に比較的近いものになっている。
9つの世界を巡り終えた門矢士はこの世界に来るなり、天才バイオリニストの紅音也から熱烈な歓迎を受け「お前は生きるべき世界を手に入れた」との言葉を掛けられた。
なお、ディケイドこと士を激しく敵視し色々と邪魔をし続けてきた鳴滝も「これからの君には幸せな人生が待っている」と珍しく祝福の言葉を掛けた。そしてその言葉を肯定するかのように、この世界で撮影された写真はこれまでの世界と違い何の歪みも無くちゃんと撮れていた。
なお、本エピソードはディケイドの最強形態「コンプリートフォーム」の初登場エピソードであり、脚本はあの井上敏樹が執筆しているため、一部の視聴者からは「キャラの描写が19話以前とは異なりややダーティな部分(通称井上面)が強調されているように見える」との意見もあった。
この世界での士の役割は大富豪。第20話にて偶然入ったレストランで1万人目の来客者となり、そのレストランの先代オーナーが遺した遺言により100億円を手に入れ突然士は大富豪となったのだった。
しかし、光写真館の背景ロールは「爆炎から逃げ惑う人々」という不吉な絵だった(ここは第1話の状況の再現で、これで夏海の世界と錯覚させた)。
更に士は上記の1万人目の座を射止めた事を始め、第21話でいきなりスカウトされ短期間で大スターに登り詰める等不自然な程次々と幸運な出来事に出くわしている。
このように一見平和なように見える世界だが、どこか不自然な部分が多く見られる等歪んでいて…。
以降、その正体。ネタバレ注意!
その正体
ネガの世界は、怪人たちの暮らす世界である。
音也は原作と上っ面だけはそっくりなものの、心は紛れもない怪人のものであり、人間を弾圧し怪人たちを管理するダークライダーたちを統べる仮面ライダーダークキバ(人間は本来鎧を纏う資格が無く、変身しただけで瞬時に死に至ってしまう。事実原作で音也は3回変身した後死亡してしまった)として暗躍していた。
また、この世界は見かけどおり第1話の世界(通称「夏海の世界」)から派生したパラレルワールドであり、この世界にも別の「光夏海」は存在する。しかし、この世界のTGクラブ(退学クラブ)とはダークライダーから逃れる為のサバイバル集団であり、夏海の友人たちは既に亡き者にされ、彼らの偽物がリュウガ、オーガ、ダークカブトとして活動していた。
但し、劇中での描写から怪人やダークライダーはある日突然現れたらしく、彼らへの対抗手段を持たない人類は瞬く間に支配されたことがうかがえる。
下級ダークライダーとしてオルタナティブも登場している。原典ではオルタナティブも人間だったものの、この世界では人間は差別され迫害される存在でしかないため、改造人間や異種族の擬態である可能性が高い。今回夏海の友人に擬態していたライダーも何の因果か原作では鏡像、オルフェノク、ネイティブといった怪人が変身するライダーである。
余談
上記の士の不自然なまでの幸運については士にこれ以上旅を続けさせない為ではないかと考えられる。
実際に正体を明かした音也が士に「この世界に留まればあらゆる願いを叶えてやる」といった趣旨の発言をしており、士がネガの世界に留まる事を拒んだ際には容赦なくダークライダー達が彼に襲い掛かった。
更に戦闘が終了した後には、ネガの世界そのものが不都合な真実をもう隠す必要はないと判断したと言わんばかりにそれまで普通の写真であった士の写真の明暗や色が反転しネガの状態に変化してしまった(一部除く)。
士を引き留めようとする音也が、夏海の世界で士を旅へと送り出した紅渡の父親であり、黒い仮面ライダーキバ・ダークキバである(無論、公式で同一人物とされている渡と違い原作とは別人だが)というのも、ある意味ネガの世界らしい巡り合わせであるとも言える。
スタッフが意図したのか定かではないが、後年にハンドレッドと呼ばれる異世界を渡る悪の組織が登場。こちらも怪人(カッシーン)を尖兵として利用したり、原典とは異なる人物が仮面ライダーに変身するなど共通点も多く、仮面ライダーのいない世界を侵略しているなど共通点が多い。また、ディケイドが彼らと敵対していたらしき描写もある。
関連項目
ダークヒーロー アンチヒーロー ディストピア レイドラグーン
パラダイス・ロスト:仮面ライダー555の劇場版。同じく怪人が世界征服に成功した世界を描いた作品。オーガは本作が初出。
アナザーディケイド:仮面ライダージオウに登場する怪人。ダークライダーが勝利した世界であるアナザーワールドを創り出す。