「ライダーになって、頂点を極めるのは興味深い…!」
概要
『仮面ライダー龍騎』に登場する仮面ライダーの1人。刑事の須藤雅史が変身する。
基本カラーはオレンジ寄りの金。
視聴者からの愛称は「蟹」「蟹刑事」。
召喚機はシザースバイザー。やはりというかハサミが付いている。形状的に仮面ライダー龍騎のドラグバイザーと同じガントレット型だが、ハサミがあるため近接武器として使用でき、そのハサミも高い切断力を持つ。アドベントカードをベントインする際は、上部のカバーを二股に開き、そこにカードを装填してカバーを閉じることでカードを読み込む。
因みに、『龍騎』ライダーの召喚機としては唯一、契約モンスターの名前の一部ではなくライダー名を冠している。
シザースバイザーを用いた白刃格闘を主体とし、ストライクベントの使用でシオマネキのように両腕に大小のハサミを装備した形になり、片方のハサミで相手を挟み込んで動きを封じ、もう片方で斬りつける戦法を得意とする。
甲殻類がモチーフのボルキャンサーと契約した為か堅牢な防御力を有しており、TV版では一撃でミラーモンスターを撃破するほどに強力な龍騎のドラグクローファイヤーをガードベントで跳ね返した。またTVSP版では王蛇のファイナルベントで倒されたものの、盾自体は破壊されておらず、盾を連続キックで弾かれてそのままキックを喰らってしまった事が敗因である。
胸部装甲「ボルチェスト」には深海1万メートルの水圧にも耐えるとあるので、本体もそれなりに硬い模様(出典:『仮面ライダー龍騎』(講談社・2002年)P24より)。
Oシグナルに当たる部分の名称は「Sシグナル」で10km四方にいる敵の気配が分かるとされる。
頭の触角は「ボルアンテナ」といって、ボルキャンサーに意思を伝えるための器官である(出典:『仮面ライダー龍騎』(講談社・2002年)P24より)。
ちなみに目(ゴールドアイ)はサングラスのような部分…ではなく、その上の部分にあるスリット(色はオレンジ色)。
変身者
- 須藤雅史(『仮面ライダー龍騎』、『仮面ライダー龍騎 スペシャル 13RIDERS』)
- 石橋(『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』)
- 根津忠太(『仮面ライダーアウトサイダーズ』)・・・変身後の姿は未登場。
スペック
身長 | 190cm |
---|---|
体重 | 93kg |
パンチ力 | 250AP(12.5t) |
キック力 | 300AP(15t) |
ジャンプ力 | ひと跳び35m |
走力 | 100mを5秒 |
所持カード
- アドベント
ボルキャンサーを召喚。3000AP。
PS版ではハサミを構えたボルキャンサーが突進(どうみてもスライドしながら突っ込んでいるように見えるが)、『クライマックスヒーローズ』シリーズではボルキャンサーが泡を発射して援護する技となっている。
ボルキャンサーのハサミを模した籠手「シザースピンチ」を召喚。1000AP。
相手を挟んで切るというより、叩きつけて使っている事が多い(PS版でも同様の使用方法である)。
ボルキャンサーの背の甲羅を模した盾「シェルディフェンス」を召喚。2000GP。
防御力が特徴のシザースにとっての主戦力。
必殺技「シザースアタック」を発動。4000AP。
契約モンスター
蟹型ミラーモンスターのボルキャンサー。ストライクベントで己のハサミを模したシザースピンチ、ガードベントで甲羅を模したシェルディフェンスを与える。(後の装着変身では肩のアーマーをシザースに装備できる)
ライダーの契約モンスターの中では最もポテンシャルが低いが、TV本編では後述する理由からカタログスペック以上のパワーを有している。
また、甲殻類だけに防御力は高く、背中の甲羅は龍騎のドラグセイバーで斬り付けられても傷付かなかった。
活躍
『龍騎』本編および放送当時の派生作品
『仮面ライダー龍騎』
小竹署の刑事という地位を隠れ蓑として悪事を働いていた須藤は、裏の仕事仲間の加賀友之と報酬の件で揉めて殺害してしまい、遺体を壁に埋めていたところに神崎士郎と出会い、カードデッキを受け取って仮面ライダーとなる。
そしてライダーバトルで頂点を極めるという目的の為、ボルキャンサーと契約し彼の周囲を嗅ぎ回る輩や一般人を次々とボルキャンサーに捕食させて強化していた。
その連続失踪事件を調べていた桃井令子がボルキャンサーに襲われた事で、真司達と関わる事になる。
劇中では龍騎とナイトと対決、最終的にはナイトとの一騎打ちの末にファイナルベントの撃ち合いで競り勝ち、あと一歩のところまで追い詰める。
しかし、偶然ナイトに直接斬りつけられて傷ついていたカードデッキが、必殺技の相殺の衝撃に耐えきれずに割れて地面に崩れ落ちてしまう。
同時にボルキャンサーとの契約が打ち切られ、野良に返ったボルキャンサーに変身が解除された生身の状態で頭から捕食されるという悲惨な最期を迎えてしまった。
これによって、視聴者に対して本作の「仮面ライダー」がどういう立ち位置の存在なのかを強く知らしめる事となった。
ちなみにシザースピンチでナイトを押さえ込んだ際に「私の勝ちですね」、必殺技を撃ち合った直後に「これで一人減りましたね」と死亡フラグじみた発言(この台詞は視聴者から『自己申告』とネタにされている)をしており、皮肉にも自身が最初の脱落者になってしまっている。
「馬鹿な!私は、絶対生き延びて…!」という悲痛な台詞と悲鳴、須藤のもがき苦しむ手のみを映したリアルな咀嚼音を伴う捕食シーンという朝8時の時間帯におよそ似つかわしくない一連の描写は、ライダーシリーズ屈指のトラウマシーンとして挙げられるに至っている。
TVSP『仮面ライダー龍騎 13RIDERS』
TV本編とは異なり警視庁の刑事であり、「浅倉威=仮面ライダー王蛇を逮捕する」という目的でライダーになる。
浅倉の逮捕には成功するが、実は真司と出会った時点で既に高見沢逸郎=仮面ライダーベルデ率いるライダー連合と手を組んでおり、真司と一緒にモンスターを倒すなど友好的な関係を保っているように見せかけたのも、彼が油断したところを騙し討つ為であった。連合のライダー達と共に龍騎を囲んで窮地に陥れた際、「クセになるんですよ…そして頂点を極めたいと思うようになる」と発言している様子から、完全にライダーの力の虜になっていた模様。
しかしそこに乱入してきた王蛇に「ミラーワールドに刑事は要らない」と吐き捨てられ、ファイナルベントで爆殺されてしまった。
コミカライズ版ではこのくだりはカットされ、最後まで生き残った。
後年の映像作品
『仮面ライダーディケイド』
「龍騎の世界」のライダー裁判に登場する。初登場シーンではベルデのクリアーベントに苦戦するが、判決を譲って降参するように見せかけ、アドベントでベルデの背後にボルキャンサーを喚び寄せ、挟み撃ちでベルデを倒すという卑怯な戦法で勝利する。人の社会生命がかかっている裁判をいったい何だと思っているのか。
続くナイト戦でも同様の手口でナイトを騙そうとしたが、タイムベントのカードを入手する目的があり、判決には興味が無いナイトには通用せず、ファイナルベントの餌食になって脱落した。
「卑怯もラッキョウも大好物だぜ!」と某宇宙人を連想させる迷台詞を吐いて卑怯な戦法を悪びれる素振りも全く見せず、雑誌の特集でも「漁夫の利戦士」「卑怯なライダー」「弱さが売り」と散々な書かれようである。7%という低い勝率もネタにされているが、参加人数が13人ということは平均勝率は7.6%という事になる為、極端に低い訳でもない。
その後は「シンケンジャーの世界」での仮面ライダーディエンドvsシンケンゴールドのバトルで登場。同じ海産物繋がりの仮面ライダーライアと共にディエンドに召喚されたが、サカナマルによって捌かれ…もとい斬られて倒されてしまった。
『仮面ライダージオウ スピンオフ PART2『RIDER TIME 龍騎』』
『龍騎』のスピンオフだが、変身者は須藤ではなく新キャラクターの石橋(という若者で、芝浦淳/仮面ライダーガイ)が率いるチームのメンバーとして行動する。
今回の変身者である石橋は、慇懃無礼で頭脳派な悪役であった須藤に対し、芝浦の腰巾着の様に振る舞い、残忍で軽薄な性質を隠さないなど、どちらかというと『ディケイド』版のシザースに近い短慮な小悪党として描かれている。
その末路は祝杯代わりの食事中、芝浦と手塚海之に唐突にナイフで刺殺され、生身の状態で脱落するという原典とはまた違った意味でトラウマものな最期だった。
このような悲惨な死に様だったとはいえ、変身して戦った末に死んでいった須藤の方が、ライダーとしてはまだマシな死に方だったと思える人もいるかもしれない。
ちなみにこの『RT龍騎』でデッキを与えられているのは、『ジオウ』の世界線で過去に実際に神崎士郎主催のライダーバトルに参加して死んだ者達という設定なので、石橋もれっきとした士郎に選ばれた人材ということになる。
須藤にデッキを与えなかった世界線でデッキを与えたのがこの石橋という辺り、士郎がシザースのデッキをどう思っていたのかがよくわかる。
『仮面ライダーアウトサイダーズ』
政治家の根津忠太がデッキを所持している。
……しかし、こちらは変身することもなく、浅倉に殺害されるという、無残な最期を辿ってしまった。
演じた人物
キャスト
- 木村剛(『仮面ライダー龍騎』、『仮面ライダー龍騎スペシャル 13RIDERS』)
- 中島健(『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』)
- 阪田マサノブ(『仮面ライダーアウトサイダーズ』)
- 増谷康紀(CV、『仮面ライダーディケイド』)
スーツアクター
ゲーム
『小説 仮面ライダー龍騎』
仮面契約者の1人であるシザースとして、物語冒頭に登場。変身者が須藤だったかは不明。
これまでナイトと3度に渡って戦い続け、その度に不意打ちをかました為「素顔はわからないがきっと現実世界で出会っても嫌な奴に違いない」と嫌悪感を抱かれていた。
右腕の巨大な鋏でダークブレードを寄せ付けなかったが、龍騎に気を取られている隙に龍騎の背中を蹴って放たれた飛翔斬で胸に風穴を開けられ、爆死した。
『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT』
当作での名称は仮面ライダーインサイザー。インサイザーとは「挟み込む」と言う意味。
金持ちのボンボン、リッチー・プレストンが変身。須藤よりも佐野満に近いキャラクターになっている。
吹き替えを演じたのは高橋広樹。
詳細は当該項目参照。
ライドウォッチ
『仮面ライダージオウ』のレジェンドアイテム。投票で選ばれたライダーをDXライドウォッチ化して発売する番組放送中に行われた玩具の企画「君が選ぶ!欲しいDXライドウォッチ大投票タイム」では、王蛇と肩を並べるように上位20名に食い込みプレミアムバンダイ限定「DXライドウォッチスペシャルセット2」のセット内容の一つとして商品化された。
ボルキャンサーと契約した狡猾なライダーは…シザースだ!
アドベント! シザース!
必殺技は「ファイナル」。
ネタ的な話題
本編での登場話数がたったの2話(第5話&第6話)という短さやストーリー中での扱い、契約していたモンスターに喰われるという死に様、能力面での不遇さなどから、ファンの間で妙な人気を博しているライダーであり、実際に商品化されたり、ファンにサバイブの強化形態のコラ画像が作られたりと随所で人気の高さを窺い知れる。TVSP版でも活躍はぱっとせず、初めて明確な勝利シーンが描かれたのは『ディケイド』で再登場した時と、恐ろしく時間がかかっている。PS版では攻撃手段の一つが「背後からの首絞め」であるため、本編よりも三下感が増している(変身者は本編と同じく須藤なのだが)。
特に龍騎以降の作品の登場作品である『ディケイド』での「卑怯もラッキョウも大好物」発言や『DRAGON KNIGHT』での「ベントされた」発言などネタ台詞の立役者でもあり、ネタキャラ化にますます拍車がかかっている。
後者は2話退場までそっくりである。
2話退場は伝統にでもなったのか、『IDER TIME 龍騎』でも2話(第1話&第2話)で退場となった。呪われてないか蟹デッキ。
公式が認めるハズレデッキ持ちでもあるため、彼の扱いが影響してか「蟹モチーフの敵=弱い、不遇」などと言われるようになってしまった。
放送当時のカードダス版アドベントカードでは他のライダーはファイナルベントと契約モンスターのカードは名前と紋章(※)が箔押し仕様だったのだが、一人だけそのようなものとは無縁であった。
※リュウガは紋章が黒龍である関係から名前のみ箔押し。
龍騎以降の作品において、クラブオルフェノク(この怪人の声を当てた声優が蓮役の人である為)、大量に出現しトドロキのカモにされるバケガニ、「蟹が飛ぶな!」とデカい石塊を蹴り込まれたりウラタロスに騙されて散々な目に逢ったりするクラストイマジンなどやたら不憫な目に遭う蟹怪人が多いが、これにはほとんどシザースのイメージが強い事が影響している節があり、一部で蟹の呪いなどと囁かれている。
ちなみに弱い弱いといわれているシザースだが、あくまでカードスペックの低さからネタにされている。
他のライダー達に劣るカードデッキを有していながら格上のナイトを格闘・白刃戦で追い詰めていたあたり、ライダーとしての実力はむしろ優れているとも言われている。その証拠にシザース本体のカタログスペックは龍騎やナイト、王蛇といい勝負である。
というか須藤本人、悪徳刑事とはいえ曲がりなりにも警察官であり、実戦経験はあれど格闘技術においては素人に毛が生えた程度の秋山蓮より強いのはある意味当然と言える。
さらに付け加えるならTVSPで(番宣で語られるのみの描写だが)あの浅倉を倒し、逮捕するという偉業を成し遂げている。また、TVSPでの須藤がライダーになった理由が「浅倉を逮捕するため」であり、それは即ち浅倉がライダーであることを自身がライダーになる前から知っていたともとれる設定である。そのことから考えられるのは(あくまで推測だが)下手したらシザースのスペックで王蛇を一回は倒したということも考えられる(実際に須藤も浅倉も互いのライダーの姿を認知している描写が本編に存在する)。
変身者は強いがライダーは弱いという仮面ライダーとしてはかなり珍しい存在である。
『CSM Vバックル』にはシザースのデッキももちろん付属するが、バックルにデッキをベントインした状態でセリフボタンを押すと、他のライダーはセリフないしはミラーワールド内での消滅音が鳴るのに対しシザースだけは捕食音が鳴る。
余談
史上初の蟹モチーフのライダーである。
TVSPを含めて3回しか登場がないにもかかわらず、2回目の登場の時点で既にスーツがボロボロになっており、尻の部分が破れているのが思いっきり映っていたり、シザースバイザーは擦り傷が酷い上にセロテープで留めている有様で、加えてさらにTVSP版では手袋は剥げているわ、足は色落ちしているわと、異様にスーツの傷み具合が激しかった。
これは龍騎に登場するライダーの中で唯一ミラーモンスターと同じ素材を使用したためであり、後に『KRDK』でスーツを輸出した際に現地で大幅に修復されたため、『ディケイド』以降では綺麗な状態でアクションが撮影されている。
それまでショッカーライダーやシャドームーンなど、仮面ライダーと同格だがあくまで同格というだけでライダーとして扱われない敵キャラは存在したが、「仮面ライダー」の名を冠しながら明確な悪人・悪役と設定されたのはこのシザースが史上初。シリーズ中でもエポックメイキングな存在だったりする。
デザインは他のライダーとは異なり石森プロの早瀬マサトやPLEXではなく、篠原保が担当。篠原が学生時代にデザインした俺ガンダムをアレンジしたものであるとのこと。
初代仮面ライダーに登場するショッカー怪人「カニバブラー」がデザインの裏モチーフとなっている。こいつはライダー史上初の蟹怪人である。
また、肩の突起は「仮面ライダーV3」のグライディングマフラーがモチーフ。
ちなみに『龍騎』の主人公こと城戸真司を演じた須賀貴匡お気に入りのライダーらしく、ラジオで「龍騎の中で好きなライダーは?」と聞かれた時は「僕が一番好きなのはやっぱ…蟹ですね。あのフォルムが堪んなく好きです」と答えていた(正式名称までは覚えていなかった模様)。
(仮面ライダーガイの死に方が本編より酷いことでよく話題にあがる)テレビ絵本版では、ページ数の都合でナイトと交戦した次のコマで制限時間に引っ掛かったところを何故かボルキャンサーに襲われるという、本編どころか絵本版ガイの酷さを上回る死に方をしている。
ナイト「おれが あいてだ。」
シザース「しんで もらうぞ。(ナイトの首を絞める)」
ナイト「ぐぐっ。」
その とき、とつぜん シザースが
くるしみだした。ミラーワールドに
ながく いすぎた ためだった。
そして ボルキャンサーに おそわれて
しんで しまったぞ。
シザース「ぐわーっ!」
それでもシザースがあまり話題にあがらないのは、やはりガイの死ぬまでの状況が一応TV本編の流れをある程度汲んでいたことが大きいのだろう。
哀れなやつである。
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サブライダー 13ライダー ダークライダー ポリスライダーズ オレンジヒーロー
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