「だって楽しいじゃん」
「あっそう、じゃ死んでよ」
演:一條俊
変身する仮面ライダー
概要
仮面ライダーガイに変身する青年。21歳。
明林大学経済学部2年生で、ゲームサークル「マトリックス」に所属する気弱な青年…と当初は思われていたが、実は全て演技であった。
ハマったら本当に殺し合いをしてしまうゲームを製作したり、それをプレイして殺し合うサークル仲間を影から見て楽しんだりと本性は残忍且つ凶悪。
父親が大会社の社長で、いわゆるボンボン。その為か我儘で自信家という悪ガキ染みた一面が強く、同じくどこか精神的に幼い一面がありながらも根はれっきとした善人で人が傷付くのを嫌う城戸真司とは、ある意味で一つの対極に位置するキャラクターの1人と言える。
カードデッキを手に入れるも、出生が前述の通りなので特に叶えたい願いは無く、あくまでも「ゲーム感覚」でライダーバトルに参戦した。
経歴
初登場時はサークル仲間にこき使われる気弱な青年を演じていたが、明林大学に現れる「仮面の男」の噂を追って部室にやって来た真司にゲームの実態を暴かれると今までとは一転、残忍な本性を表す。
隙をついて龍騎を倒し、アドベントのカードを奪うと顧客の情報を盾にOREジャーナルを乗っ取り、日本全体を前述のゲームで支配する拠点にしようと画策する。
島田菜々子に阻止され失敗。龍騎のアドベントカードもナイトとライアによって取り返されてしまい、自身もこの殺人ゲームの事が警察にバレて逮捕されるが、父のつてで知り合いだった北岡秀一に協力を要請し直ぐに釈放された(この時北岡がカードデッキの事で質問を投げ掛けた事でお互いにライダーである事を知る)。
尚、OREジャーナル乗っ取りの際には元々の4人を引き連れて謎のPV(内一つはご主人様&給仕もの)を撮影したり、大久保(元)編集長と真司にボウリングピンのコスプレでビラ配りをさせて遊んだり、例の奪ったカードを用いて真司を露骨に煽ったりと、やりたい放題していた。
最後の煽り以外はシュールギャグチックに演出されていたが、北岡の陰口「道楽息子」に違わないその如何にもな(悪い意味での)頭の幼さが窺える。
命を弄んだゲームマスターの報い
願いの為に人を殺す事に抵抗を感じていた秋山蓮をおちょくりまくった上で神崎優衣を人質にミラーワールドにおけるライダー大乱闘を演出しようとするが、蓮や手塚、真司はまだしも、自分はまともに戦った事が無い北岡と当時ライダーになったばかりだった浅倉威をも彼は完全に見縊っていた。
続々と集まるライダー達に心躍る彼だったが今迄の報いを受けるが如く仮面ライダー王蛇に仮面ライダーゾルダのファイナルベント「エンドオブワールド」に対しての盾にされ、ボロボロになりながら怒り狂って王蛇に反撃するもファイナルベント「ベノクラッシュ」で返り討ちに遭い、トドメを刺され文字通り爆死した。
ライダーバトルすらゲーム感覚で挑んでいた彼は皮肉にも、自分が言い放った上記の台詞を己自身で体現したと言える。
「お前…! オレが、ゲームを、面白くしてやったのに…!!」
芝浦自身は浅倉に対しては『自分と同じで闘いを楽しむタイプ』という事もあってか、浅倉に北岡がライダーである事を教えて『頑張りなよ、デビュー戦は大切だからね。」と応援する(そのデビュー戦で自分が死ぬ事になるのは何とも皮肉な話だが)、レストランで立て籠る浅倉を見て『最高だよアイツ!』と興奮する等、好意的な様子を見せており、だからこそ余計に自分を盾にした浅倉に怒りを覚えたのだろう。尤も、浅倉からしたらそんな事どうでもいいのであろうが。
また、エンドオブワールドを撃たれる直前の場面をよく見ると、その場にいたライダーの中で唯一ガイだけが危険を察知出来ていない。
ガイと相対していた龍騎、その隣で向かい合っていたナイトとライアは咄嗟に振り返る描写があるが、ガイだけは無反応で背中を晒している。
ゾルダの前にいた王蛇は飛び上がって初撃を回避するが、後ろにいた4人はエンドオブワールドに巻き込まれ、その中に王蛇が飛び込んでいく形となる。
爆風で他の3人は吹き飛ばされるが、逃げ遅れたガイは王蛇に捕まって吹き飛ぶ事も許されず直撃を食らうハメになった。
王蛇の盾代わりにされたということから「王蛇専用ガードベント」という情けないネタがあったりする。
芝浦に忠誠心を見せていた契約モンスターのメタルゲラスも、後に王蛇の契約モンスターにされてしまっている。
児童誌では『みんなよけろ。おうじゃだけはゆるせない!』と本編の北岡が到底言いそうに無いセリフと共に芝浦は雑に殺された挙句、ドラマも何も無く契約モンスターを奪われるというより無様な最期になっている。
本編外での芝浦淳
劇場版 EPISODE FINAL
登場せず。
既に仮面ライダーガイは脱落している事は明言されているが、変身者が芝浦淳であったかどうかは不明。但し、メタルゲラスが王蛇と契約している事から、こちらでも王蛇に倒されたと思われる。
TVSP 13RIDERS
「ケツの青いガキがライダーになったって」
「ライダーの戦いなんて所詮ゲームなんだからさぁ、楽しくやろうよ」
昼間から女子数人を侍らせゲームセンターで遊ぶ等、本編以上にドラ息子な振る舞いを見せ、戦いを止めようと説得する真司をバカにしていた。
高見沢逸郎の子分的な存在で、共に龍騎を襲った。しかしベルデが倒された後、それぞれ変身を解除した真司と蓮に襲い掛かろうとしたところをディスパイダーに襲われ、抵抗するも呆気無く捕食されてしまうという、余りにもしょっぱ過ぎる最期だった。
RIDER TIME 龍騎
「殺し合うなんて、すっごい愛情表現じゃない?」
「何処に隠れてる!? 手塚ァ! 俺の愛を受け取ってくれよ…そうすればあんたは、俺だけのものになる! そうだろう! ヒャハハハハァ!!」
仮面ライダージオウのスピンオフ作品『RIDER TIME 龍騎』にも登場。芝浦が映像作品に登場するのは実に17年振りとなる。
劇中では石橋(シザース)、戸塚(タイガ)とチームを組んで行動している。
言葉遣いは年相応になっているものの、頭が切れ、人の命を軽んじる冷酷且つ狡猾な性格や、人を喰った様な不遜な態度は相変わらずな様子。
EPISODE1の終盤で手塚海之こと仮面ライダーライアと協力関係を築いていた事が判明し、彼が石田(インペラー)を殺害した後、残る真司と木村(ベルデ)も始末しようとした……が、そこに突如乱入して来た王蛇のベノクラッシュでタイガが死亡。更には王蛇に付き従っているゾルダまで現れ、混戦状態となる。
EPISODE2ではゾルダのエンドオブワールドから逃げ切った後、手塚や石橋と共に祝杯を兼ねた食事を楽しんでいたが、その最中に手塚と共に石橋をミートナイフで刺殺。しかも手塚はナイフを替えたのに対し、芝浦は凶器に使った血染めのナイフでそのまま肉を切り分け食べるという狂気を見せる。その後、手塚とは肉体関係を築いている事が発覚した。
しかも本人は上述上段にもある「殺し合う事が凄い愛情表現」という独自の理論を宣い、その後裏真司の唆しによって手塚から反旗を翻されると、彼の裏切りに怒りながらもどこか悠々とした様子で戦いを繰り広げ、激戦の果てにライアを撃破。
更に満身創痍となって逃亡した手塚を、上述の台詞(下段)を叫び狂った様に笑いながら自分の愛欲を満たす為に探す等、原典とはまた違う意味で危ない人間性を十二分に見せつけた。
というか原典の頃の面影は、違う意味で最早どこにも無いキャラになっていた。
するとそこへ、本物の真司と一体化した鏡の真司が出現。
鏡の真司は手塚の死を伝えると同時に「代わりに俺が愛してやるよ」と不敵な笑みを浮かべながら宣戦布告し、明らかに今迄と様子が違う彼の態度を訝しみながらもそのまま戦闘に突入する。しかし鏡の真司が変身した仮面ライダーリュウガには敵わず、(コンファインベントを使う隙すら与えられず)ほぼ一方的に圧倒された末にドラゴンライダーキックで撃破され敗北。倒れたところをリュウガに足蹴にされ、断末魔を挙げながら消滅していった。
その最期は動きを拘束された挙句、岡元次郎がスーツアクターを務めたライダーにトドメを刺されるという、TV本編とTVSPを折衷させた様な末路であった。
尚、他の本編のライダー変身者が以前の記憶を思い出す、或いは初めから持っていたのに対し、芝浦のみ本編の記憶を持っている様な描写は無く、自分を殺した相手である浅倉=王蛇を見ても特に反応は無かった。
余談
変身前は細身だが、変身するとがっしり体型になる。これと同じ現象が浅倉にも起こっている。
『RIDER TIME 龍騎』の脚本を担当した井上敏樹は、放送前から「地上波では出来ない位のディープな世界」と評していたが、EPISODE2が公開された後、視聴者からは「そりゃ出来ないわ!」「ディープどころの話じゃねぇ!」「想像していた物の斜め上をきた」とツッコミの声が相次ぎ、ネット上では早くも「芝浦×手塚のユナイトベント」「仮面ライダーゲイ」等とネタにされる事となった。
真司役の須賀貴匡も放送前のインタビューにおいて「『これって仮面ライダーでやって大丈夫か?!』って思う様な“衝撃的”なシーンがある」と示唆していたが、これも恐らくは上記の場面の事を示していると思われる。
尚、このシーンについては、脚本を担当した井上敏樹氏がプロデューサーである白倉伸一郎氏からの「正月までに脚本を仕上げて下さい」という無茶な要求を2018年12月27日に聞いた為、本人曰く「無理強いされたので、『配信限定なら腹いせにやりたい放題やってやる!』という気持ち半分でやった」結果、こうなったらしい。
その後、白倉Pから尺の都合上、色々と削る様に要求されたものの、これだけは意地でも通したとの事。
因みに演者の一條のブログによれば、息子は父親がやられてしまうEPISODE2は見るのが辛く、そこだけ飛ばそうとするらしい。一方で娘の方は「ゲラゲラ笑いながら「お父ちゃんが踏み潰されるところ面白い!!」と最後のシーンしか見ません(笑)」との事。また、その娘曰く「ガイは一本角がダサい」らしい(一條曰く「そこがカッコいいのに(笑)」)。とことん辛辣である。
因みに息子、娘共に芝浦と手塚の”あの問題シーン”については触れていないものの、自分の父親のあんな場面を観せられた心境は如何なものであったのだろうか……?
更に言うと、一條の妻は同場面を見て「少々興奮していた」とか……。
本編の頃は上記の様なキャラクター性と、ぶっちゃけ作中での扱いはただの噛ませだった事等から、当然ながらファンの間での人気も余り無く、「メタルゲラスの方が愛らしくてキャラが立っていた」だの「メタルゲラスの方が浅倉のお陰で活躍してた」だのと、最早契約モンスターの方が印象に残っているという人は多く、人気がある程だった。一方で、その余りにも雑な扱いから、「王蛇専用ガードベント」等と一部ではネタにされていた(それもどっかの蟹刑事程ではないが)。尚、芝浦を演じる一條は『RIDER TIME 龍騎』の撮影をきっかけに龍騎本編を一通り見返した他、この時にネットで調べた事で初めてガードベントネタを知ったらしい。
RIDER TIMEでは、その原典の頃からぶっ飛んだキャラクターのお陰で、上記の通り多くの視聴者に絶大なインパクトを残して改めてネタにされた。しかしこちらは、色んな意味でそれ以上に本編とはかけ離れたキャラクターを見せて、多くのファンに様々なショックや衝撃を与えて賛否両論を呼んだ手塚の方が、ファンからの注目度や話題性は当然高く、彼の方はどちらかと言えばその陰に隠れてしまうという微妙な結果にもなってしまった(その活躍自体も、視聴者からのネタ以外での人気に繋がる様なものだったかは、何とも言えない…)。
そして最期は、やはりリュウガの噛ませにされて死亡した(本編やTVSPの最期よりは健闘していたが)。彼はどうあっても、噛ませにされる運命なのかもしれない。
因みに本編・TVSPでもガイの姿で最期を遂げており、ライダーに変身した状態で2回死亡しているのは彼のみで、RIDER TIMEで初めて生身の姿で死亡した。
また、本編にTVSPと幾度となく真司を苦しめてきた芝浦だったが、同作において初めて(鏡側の方とはいえ)真司の手で引導を渡される形となった。
仮面ライダー龍騎の映像特典のインタビューによれば、一條氏は芝浦/ガイが予想よりも早く退場した事を惜しんでいた(本人曰く『萩野さん=浅倉と悪い事を沢山して浅倉を飼い慣らそうとしたところを逆にやられる』と言う構想があったらしく、後10話位は活躍したかったとの事)。
本編では萩野氏演じる浅倉に殺される形となって退場したが、演者同士は本当に仲が良く、RIDER TIME龍騎の舞台挨拶でもガードベントネタを揶揄われたり、YouTubeで配信されている『超次元電視いと、まほろば』でゲスト出演した時も萩野氏とビールを飲み交わしている。
また、芝浦と因縁があった蓮役の松田悟志氏は、芝浦について、撮影当時は『何だコイツ…」と思ったものの、自身のYouTubeチャンネルで当時を振り返って『若者らしいライトな強さと脆さを持ったキャラクター』として意外にも高く評価している。後に一條氏もゲストとしてチャンネルに出演し、松田氏と当時を振り返る雑談に花を咲かせていた。
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