「ちょうどいいや、俺の腕見せますよ! 俺強いんですから!」
演:日向崇
変身する仮面ライダー
概要
『仮面ライダー龍騎』の登場人物の1人にして、13人の仮面ライダーの1人仮面ライダーインペラーに変身する青年。年齢21歳。
人物
定職を持たないフリーターで地下駐車場の警備員として働いている。現在の状況に不満を抱いており、バイトも続かず、彼女にも振られて死にたいような毎日を送っていたところ、神崎士郎にデッキを渡される。「大金持ちになって贅沢三昧する」という子供にも大変わかりやすい夢を叶える為にライダーバトルに身を投じた。
お調子者でお世辞を言うのが得意だが、警備員時代に高級車に乗った金持ちにおべっかを使って媚を売りチップをせしめる事もしばしばあるなど、上記の理由から金の亡者的一面も持っている。ライダーとしての力も金儲けに使うことか考えていなかった為に、契約をねだり金次第で相手に付く傭兵のような事を行っていた。
こうなると、単なる太鼓持ちのお金に強い執着心を持つ強欲な奴っぽいが、心を許した人間には自分の都合こそあれやや優しい一面を覗かせる事もあり、良い意味でも悪い意味でも他のライダーたちとは違った人間臭く庶民的な人物でもある。
彼を端的な言葉で語るなら、『軽い』人間であることに尽きる。須藤雅史や芝浦淳などと違い根っからの悪人というわけではないのだが、香川英行に「何の信念もなければ理想もない」と吐き捨てられた通り、ひたすら私利私欲のためだけに蝙蝠の如くコロコロと立場を変える軽薄さに加えて、ライダーバトルの行き着く先である「人の命を奪う事」については金のためだから仕方ないと一点張りであり、全く重く受け止めていない。
上記のようにそもそも命の重みについて考えているかも怪しい行動すら見られ、仮に考えていても人の命より目先の金を優先するなどサイコパス的な一面も見られる。
当初は、金儲け兼ライダーバトルに楽して勝ち残るために自身の他のライダーたちに売り込もうと真司たちや香川教授に対して自分を売り込み、報酬を得んと接触。
その後は城戸真司達側に付くも、香川達に寝返り（いっそ気持ちのいいぐらいの掌返しである）、神崎優衣の命を狙い龍騎を攻撃する。
香川の死後は、平気で元の鞘に収まろうとした事で真司の逆鱗に触れてしまい、殴られた上に追い返されてしまう。この件で真司達とは組めなくなり、それでも悲惨な状況を打破しようと躍起になり、北岡秀一やよりによって浅倉威にまで取り入ろうとするも失敗。しかしそれが縁で、浅倉達に重傷を負わされた東條悟に出会う。
何かに利用できるかもと、負傷した彼を自宅に招いて介抱。(打算ありきではあるが)次第に善性ともいえる部分を見せ始め、彼への友情を抱き始める事となる。
戦う意味の喪失、そして…
ライダーバトルが佳境に入る中、佐野の下に父親が死んだという知らせが入った。実は佐野満は大企業「佐野商事」の御曹司で2年前に父親から何らかの理由で勘当されていた（世間を体験してほしかったから勘当されたとされるが、あくまで役員たちがそう言い張っているだけのため真偽は不明）。
父親の遺言で一人息子である彼は「次期社長」に任命されてしまう。戸惑う彼だったが豪華な食事と役員からのヨイショですっかりと舞い上がってしまう。
次の日、佐野に百合絵という社長令嬢と婚約の話が舞い込んできた。父親同士が知り合いだったらしく、佐野も百合絵もまんざらでもない様子。
こうして願いを叶えるためにライダーになった彼は、ライダーバトルで勝ち残る前に自分の願いが全て叶ってしまった。
そして、今になってようやく金以外にも大切なものを見つけた佐野はライダーである意味を失いカードデッキを返却するが、それをよしとしない神崎士郎はそれを拒否し、契約モンスター達をけしかけるという脅しをかける。なんとかして生き残りたいと金で仲間をつけようとするが、日頃の行いから信用貯金がすっかりなくなっていた彼を助ける者はおらず、佐野は途方に暮れる。
そして……
神崎「この先には佐野満の結末というネタバレが書かれている。それを見ることを選ぶか？」
結果的にライダーとなるリスクに押し潰される形で幸せになれなかった彼。
それぞれライダーになった者達は彼等なりの重みがあり(例外もいるが)、終盤に登場するには場違いとも言えるキャラクターだったが、それが逆に彼の悲哀と自業自得を際立たせた。
派生作品
DC版では、既にインペラーは脱落していることが冒頭で判明している。
変身者は不明。
佐野自身は登場しないが、本編に先駆けてインペラーが登場する。
CVは日向崇ではなく塩野勝美であり、別人が変身していたと推測される。
有象無象のライダーの一人としてインペラーが登場。ファムを倒そうとしていたところを龍騎に撃破された。
変身者について詳しいことは言及されていないが、死に際に放ったセリフは本編の佐野を彷彿とさせる。
余談
百合絵を守るため、即ち「自分以外の誰かのために」初めて変身して戦った佐野の行動は、高見沢の「人間はみんなライダーなんだよ」という言葉を別の意味で体現したことになる。
最終回の「ライダーもモンスターも存在しない世界」には、役者のスケジュールもあってか登場はしていない。しかし今度こそ欲に溺れることなく堅実に生き、幸せな生活を送って欲しいと願う視聴者も決して少なくはない筈である。
関連タグ
石田(RIDER_TIME_龍騎)：16年後の作品のスピンオフにおけるインペラーの変身者。
小金屋森魚：ライダーバトルが主体である作品のサブライダー。表面上はお調子者だが、本性は金に汚く勝つ為なら裏切りや蹴落としも辞さない小物。
