「子ネコちゃん、俺で良かったら協力するよ」
「勝つ為には相手を蹴落すのも作戦の内でしょ」
演:あべこうじ
変身する仮面ライダー
概要
『仮面ライダーギーツ』の登場人物。
人物像
遊び人のような性格をしていて、演者曰く「ピンク色で可愛いのに何だかせこい、ずるい、若干うざい」との弁。
良くてにこやかで接しやすい、悪ければ軽薄で本音の見えない態度を一貫しているが、第4話では金銭に執着している本心を匂わせる発言や、効率良くスコアが入る方法を率先して行うなど目先の利益を優先したり、身を守る為なら協力した人物であっても楯突く様な自己中心的な面も見られる様になった。
仮面ライダーとして
マグナムやゾンビのような大型のレイズバックルを所持していないため、アームドシールドなどの小型バックルで主に変身。
基本的に近接戦闘をメインとしており、ハズレとされているシールドレイズバックルでジャマトを討伐する活躍を見せた。
劇中の行動
- 第2話「邂逅Ⅰ:宝探しと盗賊」
第2話にて初登場。助けを求めていた祢音に声を掛け共闘関係になり、彼女から「メリーおじさん」と呼ばれる様になる。
そしてサロンにて自身が獲得したシールドレイズバックルが「ハズレ」と呼ばれている事を知ると大型のマグナムレイズバックルを持つ墨田奏斗に交換を持ち掛けた(当然即却下されたが)。
- 第3話「邂逅Ⅱ:ゾンビ狩り」
ゾンビ狩りのミッションにて、アームドシールドのみでゾンビと奮闘。
その後、景和に「自身と同じくハズレ武器でどうやって戦ったのか?」を聞き、「人命救助でポイントを稼いでいた」方法を耳にし、自身も景和と同じく人命救助に徹する。
- 第4話「邂逅Ⅲ:勝利条件」
ゾンビ狩りのミッションの後、祢音が奏斗と同じくゾンビに感染している状態だと知ると、彼と同じくサロンの外で縛ろうとしていた。
その後も、ポイント獲得の為にワザと逃げ遅れた人々を一旦放置し、ゾンビに襲われるのを待ってから助けたり、ミッション終了時には「良かったー! 俺が無事で!」と安堵したりと、ただの善人ではない、良くも悪くも人間らしい一面を見せた。
第3ウェーブの最中、ゾンビ化が進行していたダパーンに噛まれて感染するなど散々な目にも遭ったが、ゾンビ化する前にミッションが終了したため、ゾンビ化は免れた。
また、景和が道長の言葉に「命よりも、大切な願いなんてあるんですか!?」と食って掛かった際には、「あるから戦ってんでしょーが! カネだって……何だって叶う世界だ。命だって賭けるさ……!」と真剣な表情で反論するなど、普段の軽い態度の裏にある、戦いに懸ける確かな覚悟を垣間見せている。
- 第5話「邂逅Ⅳ:デュオ神経衰弱」
前回のスコア順の影響でくじすら引かせて貰えず、謎のライダーパンクジャックとデュオを組む事になった。一応、チェーンアレイレイズバックルは手に入ったが、パンクジャックが欲しそうな様子を見せていた。渡すつもり無かったのか、自身のシールドレイズバックルを渡して妥協させた。
その後、2人でトランプジャマトと交戦していたが、喋らない上に自分の言う事も聞かないパンクジャックに苛立っていた。その後、デザイア神殿にて、「もう、こんな相棒じゃ(勝つのは)無理だよ。もう!」と愚痴った上にどついた為、パンクジャックに即どつき返された。
あまりの相性の悪さにうんざりしていた時にギロリから「デュオ交代チャンス券」を提案されたことで何か妙案を思いついていた様だが、果たして……。
- 第6話「邂逅Ⅴ:逆転のブースト」
前話でギロリから貰った「デュオ交代チャンス券」を持って道長を誘い、デュオ交代を勧めていた。尚、その際に「職業柄、手先が器用でねぇ……」と発言していたが……。
ここから先は第6話のネタバレです。未見の方は注意!
羊の皮を被った男の正体
英寿「ただ者じゃないと思っていたが……ここまでとはな」
祢音「何なに~? 何見てんの?……これって、森魚さん?」
英寿「『違法カジノのディーラー、小金屋森魚。売上を持ち逃げし、海外に高飛び』」
実は、違法カジノでディーラーをしていた過去、警察による捜査の手から逃れる為に職場から売り上げ金を持ち逃げして姿を晦ましており、ネットニュースでは海外へ高飛びした可能性を疑われている事実が判明。
気の良いお調子者を装っているが、その本質は自分が得する為なら他人を蹴落とすのも追い詰めるのも躊躇しない、詐欺師やチンピラ染みた性格の持ち主。ディーラー時代に培った手先の器用さを(悪い方に)活かして、英寿が景和に譲ったブーストバックルを盗み出すなど、お人好しの景和を汚い手段で脱落させようと試みていた。
しかし、彼の所業を間近で見た道長が森魚に伝えないまま「デュオ交代チャンス券」を使用し、元のデュオに戻されていた事実が発覚。バッファ&タイクーンのデュオにスコアが入った事態に憤慨するも、当の道長は悪びれずに言い放つ。
道長「勝つ為には手段を選ばない、それが俺のやり方だ。」
自分のやってきた悪事をそのまま返される結果となり、残りのジャマトもギーツ&ナーゴに撃破されて3回戦は終了。結局0ptのまま最下位となってしまった。
「こんなはずじゃ……」
道長「どんな手を使っても勝たなければ無意味だ」
「お前ら覚えてろよ! 次会ったら……容赦しねぇからな!!」
祢音「何なのこの人? 怖っ……」
英寿「安心しろ。こいつに次なんて無い」
自身の所業を棚に挙げて、生き残った参加者達にチンピラ染みた口調の本性を晒け出し脅迫めいた恨み節をぶつける(その豹変振りに祢音も上述の通りドン引きしていた)も、そんな人間に次の機会などある筈も無く、「仮面ライダー失格」の烙印を押されて脱落。狼狽した様子を見せつつも、尚も他の参加者達に負け惜しみを吐き捨てようとしたものの、その前にジャマーエリアから消滅した。
“RETIRE”
他人を欺き続けた一世一代の大博打の果てに行きついた先は、逆に自身が欺かれての大敗という逃れようもない事実。
そして皮肉にも、彼が脱落したゲームはカジノディーラーが良く使う「トランプ」に関するモノであった。
彼の理想の世界が明かされなかったが、景和に反論する際のセリフで真っ先に「カネ」と言及した姿から察するに、金銭関連の願い事だと思われる。あるいは、過去の所業から自らの罪を帳消しにして貰おうとしていたのかもしれないが、いずれにしろ劇中での彼の変貌ぶりから、ロクなものではない願いの可能性が大いに考えられる。
最終的にはデザイアグランプリの記憶を消され、デザイアカードに記載した理想を願う心を失い日常に戻された筈だが、他に脱落した参加者(劇中で脱落した参加者3名の内、桜井景和だけは次の謀略編で他のライダーから出場権を譲渡する代わりに再エントリーを果たしている。また、デザ神決定後に敗退した参加者は脱落扱いになっており、吾妻道長は少なくとも2回、鞍馬祢音は1回脱落宣告を受けているものの、道長は邂逅編・謀略編でいずれも最初から、祢音は謀略編の第1回戦の追加エントリーする形でそれぞれエントリーを果たしている)。と違い違法な職業に手を着けていた彼に待ち受けている日常とは「違法行為に手を染めて警察の捜査から逃げ続ける」過酷なモノであり、更には違法カジノ=カタギではない職場を裏切り売り上げ金を持ち逃げした以上、そちらからも報復対象として追われている可能性がある。いずれにしても平穏な日常を送るはほぼ不可能だろう。その後の彼に更生する意思があるならば、話は別かもしれないが。
直前に放たれた英寿の「コイツに次なんて無い」発言も合わせて、多数の(特に歴代ライダー)視聴者からは「ガチで(色んな意味で)敗者に相応しいエンディングを迎えたな」と評されている。
第16話にて景和の回想に登場。利用されたにも拘らず、彼なりに願いのために立派に戦っていたと考えているようだ。
第35話にて祢音の似顔絵で再登場している。彼女の境遇が境遇なので、祢音としても森魚のその後に興味が無いわけでもなく、思う事はあるのだろう。
最終話にて、神となった英寿を祀る社の絵馬の1つに森魚の名前が登場。境遇故に脱落後の安否が心配されていたが、生存が確認された。作中では願いの内容は他の絵馬に隠れて「せるくらいの」しか見えなかったものの、後にTHE仮面ライダー展で展示された物で明かされたその内容は「一生遊んで暮らせるくらいの大金持ち」……あれ以降も、お金への執着心は相変わらずのようである(ちなみにこの絵馬、よく見ると名前が小金“井”森魚と誤表記されてしまっている)。
彼の場合、更生して真っ当に働かなければ本当に「次」がないという前提があるだけで景和に投げかけた言葉通り英寿の理想からは、犯罪者である森魚ですら例外ではなかったのが分かる。
余談
- 演者は嘗て『ウルトラマンティガ』に出演した事がある。
- 元ディーラーの森魚だったが、トランプゲームの1つに「シャーフコップフ」と言うモノがあり、英訳すると「シープスヘッド(Sheepshead)」、直訳すればその名の通り「ヒツジの頭」となる彼にピッタリのゲームがある。
- ライダー名の由来であるマザーグースのメリーさんのひつじは実在の少女のエピソードをモデルにしているのだが、彼女が飼っていた子羊は最終的に「誤って牛小屋に入ってしまい、怒った牛に角で突き殺される」という悲運の最期を遂げてしまったとされており、策を弄した結果バッファ(道長)に返り討ちに遭った森魚の顛末はなんとも皮肉なものであった。
- 犯罪者であるためダークライダーに該当はするが、後に出てきたダークライダー達とは異なり、主人公サイドに直接的な攻撃を仕掛けたり一般人を傷つけたり殺害したりはしていない。
関連タグ
沼袋一男:後に登場した、ライダーになる前は犯罪者だった人物。
佐野満:ライダーバトルが主体である作品のサブライダー。表面上はお調子者だが、本性は金に汚く勝つ為なら裏切りや蹴落としも辞さない小物。ただし、彼は「心を許した人間には優しい一面も覗かせる」善性な部分も見せていた。
マネー・ドーパント:違法カジノを経営していた怪人。こちらの最後も負け犬の遠吠えそのものだった。
シド:仮面ライダーになる前は犯罪(こちらは違法薬物の売買)に手を染めており、表面上の振る舞いの裏に卑小な小悪党としての本質を隠し持っていた人物。