「雑魚ばっかだな…」
「どうせ、もう終わりなんだよ…!」
演:宮本龍之介
変身する仮面ライダー
※注意
このキャラクターの評価は現在、賛否両論となっています。
編集の際は賛否どちらかの立場に傾く事なく、公平な記述になるよう注意してください。
概要
『仮面ライダーギーツ』の登場人物。
デザイアグランプリの参加者として選ばれ、仮面ライダーダパーンとして参戦した高校生ライダー。
人物像
かなり歪んだ性格で身振りも話し方も非常に気怠げ。協調性に著しく欠けている。
自分の人生や周囲に不満を抱いており、時折虚ろな視線を向けたり、自分の思い通りにならないことに直面すると感情を乱したりと年相応の脆さを持つ。また同じ参加者の仮面ライダーナーゴこと鞍馬祢音には非常に強い嫉妬心を抱いている。
だがこの性格は「かつてバスケットボール部に所属していたが、交通事故に遭って右足を負傷し、その結果選手生命を失ってしまった」
ことが影響しているようで、元から歪みきった性根というわけではない模様。とはいえ彼の中に芽生えた絶望は破滅願望となり、デザ神となる事で「人類が滅亡した世界」になる事を望むに至った。
祢音への嫉妬はどうやらこの怪我を負ってからのものらしく、将来が潰れた自分に対して「財力も美貌も備えているのに自らそれを捨てようとしている事(が贅沢だと考えている)」に対するものだと思われる。
後述の動向での発言から一見かなり毒舌なだけで正論を言うタイプのようだが、よくよく聞くと正論の皮を被った暴言になってしまっている。それほど辛辣に当たるほどに怪我への自棄も相まって荒んでしまったことが分かる。
なお、事情を知った祢音から「“大好きなバスケが思いっきり出来る世界”って、デザイアカードに書けばよかったのに…」と聞かれた際は、 「もうどうだっていいんだよ…!」 と自棄気味に答えていた。
先述の自棄になった性格からして、全人類を道連れにしてやろうとでも思っていたのだろう。
仮面ライダーとして
仮面ライダーダパーンの変身には第二話のミッションで手に入れたマグナムレイズバックルを使用。
拡張武装・マグナムシューター40Xによる銃撃戦をメインとするが、ハンドガンモードを軸にした正面から攻めるギーツとは違い、高所などの安全圏からライフルモードによる狙撃を好んでいるため本来のマグナムのスペックを生かしきれておらず、ギーツと距離を詰められた際には対処出来ずにカウンターを受けてしまっている。
一方でこうした戦闘スタイルは、激しい動きを必要としない立ち回りを基本としていることから前述した右足の怪我の後遺症が未だ影響していると考えられる。
劇中の行動
- 2話「邂逅Ⅰ:宝探しと盗賊」
他の参加者との馴れ合いを嫌い、鞍馬祢音に「手を組んで」と誘われたり、小金屋森魚にレイズバックルの交換を持ち掛けられたりしていたが両者とも「誰が?」と一蹴して睨みつけていた。
緊急ミッションでは盗賊ジャマトを安全圏である木の上で狙撃していた。
- 3話「邂逅Ⅱ:ゾンビ狩り」
ゾンビ狩りのミッションではゾンビジャマトに襲われているナーゴに助けを求められるも「ライバルを助ける馬鹿がどこにいるんだよ」と毒づき見捨てる(これに関しては道長も似たような発言をしていた)。
しかし、油断していたのか(後遺症で素早く動けないのも災いして)ゾンビジャマトの攻撃を喰らってしまう。
その癖、ファンを名乗ってナーゴに接触し「僕が君のSPになる」と掌返しで協力するが、それは彼が仕込んだ罠でポイント減点を気にせずマグナムシューターでナーゴを狙撃し、ゾンビジャマトの群れに誘い込んで道連れを目論む。
「世間知らずのお嬢様だなぁ!世の中の人間が皆お前のために存在してると思ったら大間違いだ!
そのまま噛まれて、スーパーセレブゾンビにでもなってろ!」
しかしそこでゾンビフォームに変身するギーツに妨害されたことで失敗。邪魔された逆恨みで攻撃を仕掛けるも全く当たることはなく、最終的には必殺技を叩き込まれるというお灸を据える形で返り討ちにされてしまった。
しかし、本来は他のプレイヤーへの攻撃は減点対象になるはずだが、何故かギーツのポイントは減っていなかった。
その理由は実は奏斗は既にゾンビジャマトの攻撃でゾンビにされており、ゾンビジャマトの攻撃対象にならなかったのもその為であった。また、攻撃による他のライダーの減点対象からも外されているため「参加者であり討伐対象」という中途半端な存在になっている(道長も英寿から減点対象から外れることを知らされるまでは、彼に「血迷ったのか?」と呆れられていた)。
しかし祢音をゾンビ化させることには成功しており、倒れる祢音を嘲笑うかのように
「ハハハハッ!ご愁傷様…。」
と吐き捨て、デザイア神殿を去っていった。
- 4話「邂逅III:勝利条件」
完全にゾンビ化した際に襲われるのを防ぐため、サロンの外に拘束される羽目に。
しかし、第3ウェーブが始まってメリーに噛みついてきたのはゾンビジャマト…と共に現れたエントリーフォーム姿のダパーン。
よく見ると複眼に植物のような紋様が入っているなどゾンビ化がかなり進行していた。
森魚「こ…こいつ…か…噛みやがった…!」
「まっず…」
実は道長と裏で取引しており、マグナムレイズバックルを道長に渡すことと引き換えにゲームに参加していたのだった。
それでも祢音の変身するナーゴが参加したことでクリアの兆しが見え始める。
なおも執念深く妨害行為に走り、ゾンビ化の進行が進んでいるナーゴを手にかけようとするも、タイクーンに変身する景和に阻止されてしまい、最終的にナーゴが放った「ブーストハンマーグランドビクトリー」によってミッションが完了した。
当然、祢音と一緒にゾンビ化から解放されるが…
最後まで他者の幸福を妬み世界を呪い続けた者の末路
道長「スコア最下位は脱落する。」 森魚「おおっ、そうだった!」
ツムリ「スコア最下位は………」“PLAYER'S RANKING”
ツムリ「ダパーン!」
既にゲームを諦め、スコアもろくに稼いでいなかったためにランキングは最下位。
自身が妬んでいた祢音よりも下になるという結果となってしまう(最下位の原因として途中でギーツに攻撃したためにペナルティによる減点もあると考えられる)。
そのため、最下位となった彼は脱落することになった。
英寿「妨害なんかせずに戦っていたら、最下位はお前じゃなかった。
諦めない人間には希望がある。それがデザイアグランプリだ。」
「ハハハ…ハハハハハッ…!
ハハ…!どうせ一人しか残らないんだ!
次は誰が脱落するか…楽しみだなぁ!
ハハハハハ…!ハハハハハ…」
「“RETIRE”」
自分の人生すらも諦め、道連れとばかりに他人の足を引っ張るどこまでも自分勝手だった彼は、最期まで己を省みる事無く虚勢を張りながら自分が消滅する事への恐怖や悲哀、何もかも思い通りにならない世界への怒りが入り雑じった虚勢の叫びを周囲に撒き散らしながら、「仮面ライダー失格」の烙印を押されてゲームから脱落した。
この時、彼を励ましていた祢音は台詞こそなかったが彼の脱落に対し俯いており、景和は脱落という言葉に反応するなど両者とも多少のショックを受けていたことがうかがえる。
彼は作中で初めてのリタイア(=脱落)となった。
2話の第1ステージ「宝探し」にてレイズバックルを獲得出来なかった人達も描写こそないものの脱落しており、彼を始めとするリタイアとなったライダーの生死に関しては当初明かされていなかった。
後にリタイアとなった参加者はデザイアグランプリに関する記憶を消され、普通の生活に戻されると判明した。
はずだったのだが…
復活(45話のネタバレ注意!)
ベロバ「アンタに敗者復活のチャンスをあげるわよ。ダパーン」
「…誰あんた」
ベロバ「この世界の不幸を望む者よ」
「へぇ…気が合うじゃん…!」
45話にて、実に41話振りに再登場すると同時に、英寿たちへの刺客として再び仮面ライダーの資格を与えられる。
グランドエンドの際に英寿が全てのライダーの記憶を復元したことで破滅願望も戻っており、不幸を望むベロバとは意気投合し、速攻で協力を承諾。バッドエンド至上主義のジットからすれば文字通りの客寄せパンダであり、同じ嗜好のオーディエンスからも彼の活躍は好評だった。
かくして仮面ライダーダパーンとして復活した彼は、「幸せな人間を見ると…壊したくなる!」と相変わらずの態度でマグナムバックルを片手にショッピング帰りの祢音/ナーゴへと牙を向く。
流石に既に経験値の差が圧倒的にある上にファンタジーフォームとのスペック差や特殊能力でデュアルオン状態でも圧倒されるが、同行していた鞍馬伊瑠美を積極的に狙う卑怯な戦法とオーディエンスから贈られる追加分のレイズバックルを活用し、祢音の隙を突いて伊瑠美を狙撃する事に成功し、「ハハハハハ…!お前だけ幸せになんてさせねえぞ」と吐き捨て、撤退。
その直後、ベロバにアジトへ案内され、家族を再び喪って闇堕ちした景和と対面し、「人って変わるもんだね」と不敵な笑みを浮かべる。
当たり前の日常をある日突然奪われた者同士として仲間意識を抱くが一緒にするなと一蹴されるも「善人ぶんなよ…!あんたは失った家族を取り戻すためなら他人を犠牲にしてもいいと思ってんだろ!」と景和の図星を突く。
その後はギーツVSタイクーンの決闘を「そうだ!そんな奴ぶっ潰せ!」と不敵に笑いながら柱の陰から観戦していたが、道長からは「相変わらず性根が腐ってんな」となじられ、祢音からは「誰かを不幸に陥れたって幸せになんてなれないよ!」と咎められ、「どっちが正しいか…あの二人の闘いで決まる!」と返すも、決闘の結果は創世の力を目覚めさせた英寿の勝利……それに加え景和の心すらも救う事になり、彼の望む結末には至らず、完全敗北し、「そんな…」と絶望していた。その際に、祢音に「きっと幸せになれる日が来るよ…あなたも…!」と慰めの言葉を掛けられた。
その後については描写されてないが、英寿が世界を作り変えたことで、再び記憶を失い、彼にとっては面白味のない元の生活に戻されたと思われる。
彼に対する評価
彼に対する評価はやはりと言うか賛否両論である。
内容としては「同情出来る」か「同情出来ない」かの大きく2つに分かれており、
- 「怪我でバスケが出来なくなった事には同情出来るが作中の彼の態度と行動には全く同情出来ない」とする場合
- ライダーには色々な正義があるが、やはり基本的には勧善懲悪である事が多く、此方の方が多く言われている意見である。
- 確かに怪我でバスケを出来なくなったのは気の毒だが、やはり「ソレとコレとは話が別」と分けている人が多く、自暴自棄になって「人類滅亡」を願い、挙句の果てには道連れで犠牲者を何人も出して良い事にはならない、「怪我までは同情するけどデザイアグランプリでの素行は全く同情できない」とする意見が多い。
- オマケに、後述の「助けてあげるべき」の意見に対して上述の通り彼の素行及び態度は非常に悪かった為、「人類滅亡」の可能性に加えて「アソコまでされてその上性格が悪かったら流石に助けようとは思わない」とする意見もある。
- その影響で、劇中での末路を「自業自得」と評される他に、劇中の台詞を取って文字通りの「仮面ライダー失格」と言われる事も。
- 「奏斗にも祢音と同じ情報を教えてあげるべきだった」とする場合
- リタイアした奏斗に同情する人からの意見。人によっては祢音に対しての対応が所謂「姫プレイ(主に、オンラインゲームのチームプレイにおいて“仲間に守って貰いながらゲームを進める”様なプレイスタイル)」に見えた事と奏斗への対応が「イジメ」っぽく見えた様でこの点で彼に同情がある様子。
- 一方で、この意見に対して上記の意見を含めた反論が多い他、「いくらヒーローでも人類滅亡を手助けするのはどうかと思う」とする意見もある。
- また、祢音の姫プレイの指摘に関しても、本当に姫プレイだとしたら祢音以外にも普通にポイントが入るので意味が無い上に、少し助言やサポート等があったが最終的には自力で打開している為、この指摘も「ズレている」と指摘される事も。
- ゲーム参加前から冷静な判断やマトモな思考が出来ていなかった為、仮に教えたとしても祢音の様に諦めずに戦えたかは微妙と言えるかもしれない(実際に、英寿が生き残る方法について述べていたが彼の態度等から「教えても無駄だと思う」とする意見もある)。
どちらにせよ「DGPの記憶は消されたが、それだけで元の生活に戻れた」と明かされた事から、彼が前を向いて自分の運命を切り開けるのだろうかと思ったら、英寿の創世の力で記憶が戻り、ベロバの口車に乗っているので、やはり人は簡単に変われないのだろうか…。第45話での「アナタにも幸せになれる世界がある筈」と祢音に掛けられた言葉の様に、今度こそ彼が前を向いて自分の運命を切り開く事を願うばかりである…。
そして最終話、神となった英寿を祀る社の絵馬の中には彼の物もあった(最後に絵馬に書かれた願いがスクロールで表示される際、スクロール開始時の左下に一瞬だけ確認できる)。作中では内容までは映らなかったが、後にTHE仮面ライダー展で展示された物によると「バスケがしたい」と書かれていた事が判明した。
45話での祢音からの言葉を受けて、もしかしたら彼も前を向く事ができたのかもしれない。
余談
- 公式では一時期「墨田黒人」と誤記されていた。
- てれびくんの仮面ライダーダパーンの紹介ページにて「なにもかもおもしろくないぜ!!」という奏斗が言いそうで言わなさそうなセリフが掲載されており、一部でネタにされている。
- 11話で「ゲームから脱落した者は、デザイアカードに記載した理想を願う心を失う」と判明したため、脱落後の彼は真っ当に平和を願う人物に生まれ変わっている可能性もあるが、ギーツⅨがライダーの記憶を全て元に戻したので無かった事になってしまった。
- 第4話から41話ぶりの出演となったため、当然撮影と放送の間に進む数話でも目まぐるしい変化が起きていた。
- その為、クランクイン前に台本を読んで、世界に何が起こっているかを理解した上で撮影に臨んだとの事。
- また、現場では星乃女史が「これ、チートなの」と切り出してファンタジーフォームのスペックを説明していたため、それを聞いた宮本氏は「ダパーン無謀よ、これに行くの」と憔悴していた。当たり前だ。
関連タグ
仮面ライダーダパーン 破滅願望 自己中 自暴自棄 客寄せパンダ
哀しき悪役(怪我の面で)
関連・類似キャラクター
- 東條悟:ライダーバトルが主体である作品に登場する、主役ライダーと同じ変身ベルトでライダーに変身する、不気味な雰囲気を漂わせていて途中から狂気的で危険な本性を現す、不意討ちや裏切り等の卑怯な戦法を行う、紫の4号ライダーとの絡みがある、自暴自棄になって他のライダーに襲い掛かると共通点の多い哺乳類がモチーフの白い(厳密には銀)サブライダー。ただし、彼の死に様は奏斗と違って人を救うと言うものであった。
- 海堂直也:元号4作目に登場した、交通事故で夢を絶たれた青年。オルフェノクとなり、自暴自棄に身を任せようとしたが、夢を託せる相手と出逢えた事で一線を保ち続けた点で境遇は対照的。また、一時的だが仮面ライダーになったことがある。
- アナザービルド:バスケットボール選手が変貌したアナザーライダー。本来なら奏斗同様に交通事故によって選手生命を絶たれる筈だったが敵幹部の介入によってアナザーライダーとなった。なお、奏斗とは違い撃破された後は元に戻り、事故に遭わずに済んだ。