「君がどんな未来を選ぶか……見せてもらうよ」
演:板垣李光人
概要
仮面ライダージオウに登場する人物で、タイムジャッカーと呼ばれる集団の一員。
額に斜めにかけたチェーンのヘアバンドがトレードマーク。
オーマジオウに代わる新たな王を擁立するために各時代でアナザーライダーを生み出している。
見た目通りの無邪気な少年のような所もあり、気まぐれに行動し、目的とは別に騒動を起こすことで楽しんでいる部分がある。一方でタイムジャッカーの中でも「オーマジオウを倒し、新たな王を擁立する」という目的に最も拘っている。
目的さえ達成できれば他はどうでもいいオーラと違い、彼のみが疑問や真実に気づく場合も多いが、スウォルツやオーラからは一蹴されることが多い。
また、その気まぐれさから、行動が図らずもジオウやゲイツの手助けとなる場合も多い。
アナザーゴーストの契約の際「死んだら意味ないじゃないか」と発言していることから、死に対する同情はあるようだ。
劇中では最初にアナザーライダーを作ったが、その手口が
「対象者が車に撥ねられる直前に時間停止の力を使い、そのまま死ぬか、契約して生き延びるかを迫る」
という、選択肢を与えているようで事実上、受け入れざるを得ないという質の悪いもの。これを笑いながらやってのけるあたり、彼の悪辣さがにじみ出ている。
この能力の他、触れもせずに車を跳ね飛ばす事が可能など得体のしれない力を持つ。
しかし、EP17で白ウォズの力によって上記の時間停止機能が強制解除され、今度は自分が車に轢かれそうになった時に死を感じて怯えるなど、特殊能力以外で相手に対抗する力は今のところ持ってないと思われる。
劇中での活躍
EP03では同じタイムジャッカーであるオーラにジオウに気を付けろと忠告していた。
もっとも、メンバー同士の仲はあまり良くないようで、軽口を叩いてはオーラをからかっている。その一方、自分がからかわれるのは我慢がならず、時間停止を行い「ショコラはいるかい」と菓子を与えて頭を撫でるという形でスウォルツに愚弄された際は、日頃の無邪気そうな表情も消し飛び「ガキ扱いすんなよ!」と殺気に満ちた目で彼を睨みつけていた。
EP04ではキャプテンゴースト型タイムマジーンを使ってジオウを妨害し、それ以降も何度かジオウが操縦するタイムマジーンと対決している。なお、彼のタイムマジーンがキャプテンゴーストを模している理由は不明のままである。
EP23でアナザーキカイが出現した際、ジオウⅡに敗れたアナザーキカイの本体を捕獲したスウォルツにより、状況が飲み込めないまま無理やりアナザーキカイにされてしまった。
EP24では苦しみながら町を彷徨っていたところを、白ウォズの力で一般人のいない荒野に誘導され、3人のライダーと戦うことに。
この時点では「ウールを助けたい」というオーラの言葉もあり、まだ救いはあるかに思えたが、オーラは進むべき道に迷うゲイツの隙を突いてアナザーキカイにパスワードを入力。手に入れたアナザーキカイウォッチをウールに挿入し「私の傀儡として王になってもらう」と宣告した。
オーラの卑怯な作戦により再びアナザーキカイとして活動、ツクヨミを爆撃し事態はバッドエンドに……と思われたが、ソウゴが時間を巻き戻したことにより事なきを得、ゲイツと、フューチャーリングキカイに変身した白ウォズの力で何とかアナザーキカイの呪縛から逃れることができた。
だが、自分を罠にはめようとしたオーラから謝罪の言葉は一切なく「せっかく私とスウォルツでお膳立てしてあげたのに」と逆に罵倒される始末。
白ウォズに倒されたばかりで憔悴していたこともあってか、離脱するオーラに一応ついていったが、悪い大人に利用される悪い子供であることが明らかになってしまったウールにはこの先過酷な運命が待ち受けていることが予感される。
その後はオーラやスウォルツに対して不信感とも恐怖ともとれる感情を抱いており、スウォルツがオーマジオウになりかねない危険性を持つアナザージオウを生み出した事でスウォルツの目論見により確固たる疑いを懐き、オーラと行動を共にしつつもゲイツに接触してツクヨミの動向を探ろうとしたり、黒ウォズと手を組んで白ウォズの変身能力を奪ったりと他の二人から離れて行動を取っている。
EP28で仮面ライダーウォズの力の強奪に手を貸した礼として加古川飛流に大量のブランクライドウォッチを与え、自分のアナザーライダー軍団を作るよう示唆。しかし力を奪われた事に憤り報復に動いた白ウォズに足蹴にされ、黒ウォズの目的を問われるも「お前もスウォルツも何考えてんだ」「オーマの日に王が決まるのとジオウとゲイツの決着では話が違う」と逆に問いただし、「君もスウォルツ氏の使いっ走りに過ぎない」「私達の計画に支障はない」と言い捨てられ、「私達」という単語に怪訝な顔を見せた。
EP31以降は一応はタイムジャッカーの目的達成のため行動しているが、響鬼本人を探すことに固執したり、地球が滅ぼされるのを良しとしなかったり、次々とライドウォッチを入手していくジオウに疑問を持ったりして理詰めで考えることも多くなった。
EP41では「ジオウの焦り顔が見たかった」と称して彼がトドメを刺される直前に時間を止め「一旦退くことを勧めるよ(要約)」と敗走の手助けをした(これによりジオウとゲイツの対立関係も成立させることに成功する)。
EP42終盤では、アナザージオウllにより召喚されたアナザービルドとアナザーカブトに追われるツクヨミの前に立ち塞がり、(この時点では飛流の側近として動いていた)ウォズの助けもありツクヨミを捕らえることに成功する。そしてツクヨミをスウォルツの前に連れ出すが、ここでスウォルツは、ツクヨミが自分の妹であることを明かす。ツクヨミは勿論、ウールにとっても衝撃の事実であった。
EP43にて、ウールはそんなことは聞いたことがないと言うが、スウォルツは言う必要がなかったからと一蹴し、さらに王座を我が物にすると言い放った。
これに対しウールは、自分たちの目的はオーマジオウに代わる新たな王を擁立することだと反論するが、スウォルツに吹っ飛ばされてしまう。その直後、オーラがスウォルツに力を奪われる様を目の当たりにする。ウールは倒れたオーラを抱え、ツクヨミから奪っていたファイズフォンXを撃ちながらなんとかその場を脱する。
自分たちはずっとスウォルツに利用され続けていたことを知ったウールは苛立ちを募らせ、絶対に仕返しをするとまで言ったが、ここでスウォルツから2人を始末するよう要請された海東大樹が現れる。だが大樹は始末しようとは思っておらず、以前スウォルツに(無理矢理)与えられた力で奪っていたグランドジオウライドウォッチを「好きに使っていい」とオーラに投げ渡した。その後、大樹は勘ぐられないように、と追っ手のアナザーダブルとアナザーファイズを呼び、2人は追いつかれるが、駆けつけたジオウとゲイツにより事なきを得る。
この後オーラはスウォルツに一泡吹かせたいと、グランドジオウウォッチをソウゴに渡した。そしてソウゴたちの活躍により、アナザージオウllは撃破された。
EP44にて、突如ウールは重加速を駆使するアナザードライブに襲われてしまう。スウォルツの差し金だとオーラは推測し、ウールは今一度仕返しを考えるが、今の自分たちはかなり危うい立場にある。そんな2人が向かったのは... クジゴジ堂だった。
ソウゴとゲイツ、そしてウォズを前にウールは「僕たちを匿ってほしい」と単刀直入に願い出る。無論ゲイツは「散々敵対し、人々を苦しめておきながら都合がよすぎる」と拒絶したが、ソウゴの一存によりひとまず入れてくれることになった。
夕方の河原で、ウールはついさっきまで敵対していたソウゴに語りかける。
ウール「滑稽だろ?僕たちは時間を支配している気がしてた。君たちのことを見下していた。でも、今ではこうやって助けを求めている」
ソウゴ「いいじゃん。賑やかで楽しいよ?」
ウール「僕たちは敵だろ!?なんで素直に受け入れてんだよ」
ソウゴ「君たちが散々俺の民をいじめてくれたことは、許してないよ。でも、君たちが君たちなりに、未来を創ろうとしていたことはわかる」
ここでウールは、自分とオーラはスウォルツによって別々の時代から連れてこられたことを明かした。ゲイツとは違い、2人には帰る場所がないことに気づいたソウゴは、こう提案した。
「クジゴジ堂を家だと思ってもいいんだよ?」
その一言にウールは驚き戸惑いの表情を見せるも、ソウゴはお構いなしに肩を組むと、2人でクジゴジ堂へ走って戻っていった。
生み出したアナザーライダー
何らかの鬱憤を抱えた人間に接触し、その鬱憤を解放するように唆すケースが多い。
またオーラやスウォルツほど王にこだわっておらず、愉快犯的な側面が強いためか、「ライダーだった人物に全く別のライダーの力を与える」「死人と契約する」など何かイレギュラーな要素を混じらせることが多い。
上記の項でも説明されている通り、EP23では自分自身がイレギュラーなアナザーライダーであるアナザーキカイとされてしまった。またEP32ではスウォルツの生み出したアナザーアギトを手なずけて自分の手駒にしていた。
名称 | 元となった人物 | 登場話 | 時代 | 契約内容 | 特記事項 |
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アナザービルド | バスケ選手 | EP01 | 2017年 | 練習中に轢き殺される運命を変える | 理性を失い暴れる |
アナザーウィザード | 早瀬 | EP07 | 2012年 | マジックハウスを立て直す為の力(魔法)を与える | 仮面ライダーと遭遇するまで悪事には手を染めていなかった。早瀬を煽動するのはなぜかオーラが担当 |
アナザーオーズ | 檀黎斗王 | EP09 | 2010年 | その才能で世界の王として君臨する | 別の仮面ライダーだった人物がアナザーライダーと化している(余談だが、アナザーオーズとゲンムのスーアクは別) |
アナザーゴースト | マキムラ | EP13 | 2015年 | 死から蘇生させる(契約者の意志は無視)/タイムジャッカーとしての目的達成のため強制変身 | 死者がアナザーライダーと化している為か理性を失い暴走している |
アナザーシノビ | 2019年の神蔵蓮太郎 | EP17 | 2022年 | 悪人を懲らしめる為の力を与える | 本来は存在しない未来のライダーの力を持ち、正規の変身者がアナザーライダー化している。ウォッチ製作はスウォルツ |
アナザーリュウガ | 2019年(?)の鏡像の城戸真司 | EP21 | 2002年 | 現実世界の城戸真司が心の底に封じた悪意を叶える | 失われた歴史の存在であったレジェンドライダーのかつての正規変身者がそのままアナザーライダー化している |
アナザー響鬼 | 2019年の鼓屋ツトム | EP33 | 2019年 | 鬼になる夢を叶える | アナザーライダー特攻効果のあるジオウⅡとゲイツリバイブのダブルライダーキックを受けてもアナザーウォッチが砕けなかった。響鬼をおびき出すのが目的 |
アナザーカブト | 2019年の矢車想 | EP37 | 2019年 | 不明 | カブト本編に登場したレジェンドライダーが変身しており、かつて変身していたライダーの力もそのまま残っている |
タイムジャッカー追放後
EP44後半にて突然いなくなったオーラを探して町に繰り出したウールは、再びアナザードライブの襲撃に合うが、その変身者がオーラかもしれない事実に戦々恐々。
EP45では人間不信になりかけ、大いに混乱する。
そんな錯乱の中で、再びアナザードライブと対峙し、その正体を知るが、ウールは時間停止以外に碌な戦闘力を持たなかったことは勿論、そもそもアナザードライブには時間停止能力が通用しなかったため、オーラ共々散々痛めつけられてしまう。
その場はウォズや「助けられっぱなしも癪」という理由で駆け付けたゲイツに救われるものの、ウール自身はすでに満身創痍であった。
そんな彼にオーラは寄り添う。
彼を心配そうに見つめる彼女の雰囲気は今までと違い何処か優しげだった。
「大丈夫?」
「ちょっと、やばかったかも…」
しかし…
「じゃあ…楽にしてあげる」
直後、彼女の腕は漆黒の剣と化し、ウールの体を貫いた。
愕然とするウールに、オーラはアナザーキカイウォッチを埋めこんだあの時のように、冷たく言い放つ。
「悪く思わないでよね。スウォルツから逃げて私たち2人とも生き延びるなんて無理。生き残るのは、私…」
そしてウールから羽飾りを奪い、去っていった。
その後止めを刺されたウールは、もがき苦しんだ末に駆け付けたソウゴの腕の中で息を引き取った。
スウォルツによって別の時間軸から強制的に連れてこられ、彼に誑かされていたとはいえ、自分達にとっての身勝手な理由で多くの人々を唆し、時には死者すら使役して、歪な願いを叶える形で利用してきたウール。
様々なイレギュラーを発生させながら幾人もの人生を狂わせてきた愉快犯の最期は、仲間と信じていたオーラに裏切られて騙し討ちされ、倒そうとしていたソウゴに看取られながら息絶えるという、皮肉で因果応報なものとなった。
ただ、彼自身はタイムジャッカーの中で唯一直接誰かを殺したことがない。スウォルツの行動にも初期から疑問を抱いていたし、他にも能力を失った以上足手纏いにしかならぬオーラを、しかもアナザーキカイの一件があったにもかかわらず最後まで見捨てなかったという、彼なりの優しさも持っていた。どこかで道が少しでも違っていたならば、改心の余地や、ソウゴ達と分かり合える可能性もあったのかもしれない。
ソウゴが破壊し再編した後の世界では、オーラと共に光ヶ森高校の生徒になっていた。
ソウゴを「王様先輩」という渾名で呼んでおり、彼より下の学年として生きている模様。改変後もどこか無邪気な雰囲気を漂わせているのは相変わらず。
時間軸さえ越えてこの世界に配置されたのは、ソウゴの「許されないことをしたが、生きていてほしかった」という願いが反映されたからなのかもしれない。
『RIDER TIME ジオウVSディケイド』でも登場。こちらではなんとソウゴに恋愛感情を抱いている(ちなみに彼からラブレターを受け取ったソウゴは、ゲイツに指摘されるまで彼が男子だと気付いていなかった模様)。
Chapter3にて、真実のソウゴに消されそうになったソウゴを庇って死亡。かつての記憶を取り戻したスウォルツやオーラと違い、世界が元に戻った後も蘇る事はなかった。
『RIDER TIME ディケイドVSジオウ』でもウールが登場する事には登場するが、我々の知るウールとはどうやら別人の模様。父親がIT企業の社長と語っていることから、こちらのウールはいわゆるボンボンだと思われる。
Chapter3にて行われたゲームの最中、謎の殺人者に首を斬られて死亡した……かに思われたが?
余談
EP45での死亡退場直後、ジオウ公式では演者の板垣李光人氏のオールアップが報告されなかった。
そのため再登場が期待されていたが、最終回およびVシネクストに出演という形で解答が出されたことになる。
また板垣氏は、過去にインタビュー取材で「3人が力を合わせるエピソードをいつかやってみたいです」と語っていたが、それに対してオーラ役の紺野氏は「タイムジャッカーだからといって仲間とは限らないですね」、スウォルツ役の兼崎氏は「目的が同じながらもお互いを裏切ることもあるのかなと思います」と、双方共に板垣氏の返答を全否定していたが、本編では余りにも残酷な形で実現してしまった。
名前の由来はフランス語で「時間」を意味する「Heure(ウール)」と思われる。
関連タグ
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