「ふざけるな…何の為に…何の為にここまでやってきたと思ってんだーっ!!」
「この力さえあれば、全部うまくいくはずだったのに!」
演 / CV:粟島瑞丸
スーツアクター:永徳
データ
- 身長:198.0cm
- 体重:90.0kg
- 特色/力:ウィザードのような指輪を使った魔法操作
概要
『仮面ライダージオウ』EP07『マジック・ショータイム2018』から登場するアナザーライダーの1人。
タイムジャッカーの一員・ウールから変身能力を与えられた、寂れたマジックハウス「キノシタ」の裏方を務める早瀬という男が変身する。
モデルは仮面ライダーウィザード・フレイムスタイル。
その原動力はオーナーの木ノ下香織に対する愛情であったが、それはどこまで行っても片想いにしかなりえないもので(ウールやオーラはこれを事前に知っていたと思われる)、6年経って真実を知った早瀬は絶望してしまう。
オリジナルのウィザードは絶望しそうになりながらも、希望を諦めず、エンゲージウィザードリングで多くの人の希望になって来たのに対し、アナザーは思い人の結婚(エンゲージ)による絶望が決定打となり、さらなる絶望を他者に齎そうとした点や、その力をもって一度は取り戻されたように見えた希望が打ち砕かれたこと、オリジナルが本物の魔法使いでアナザーがマジシャンである点など、どこまでも皮肉が効いた存在である。
容姿
仮面ライダーウィザードフレイムスタイルに似た姿をしているが、他のアナザーライダー同様にオリジナルに比べて歪な外見となっている。
顔は粉々に割れてしまった宝石、後頭部の装飾は異形の怪物の鷲掴んだ手を連想させ、目はドクロのように落ち窪んでいるものの瞳は存在し、オリジナルには無かったクラッシャーもシールドの中に隠れるという形で存在している。
その顔の造形はさながら、ゲートの人間のひび割れた体から現界しようとするファントムのようである。
加えてその表情は角度によっては苦悶の表情にも絶望し、今にも泣きだしそうな悲痛な表情にも見える。
こめかみからリングが生えており、オリジナルの称号指輪の魔法使いを意識したデザインをしている事がわかる。
指にはウィザードがウィザードリングをはめていたのと同じように指輪を装着しているが、左手にしかついていない他、メリケンサックを思わせるかなり尖った形状になっている。肩や胸はドクロを意識した造形、ローブの色は赤色になっているなどフレイムドラゴンの要素も見られる(フレイムドラゴンはドラゴブレス発動時にウィザードラゴンの『ドラゴスカル』を胸に顕現させる為、ここから骸骨を意識したデザインに繋がったと考えられる)他、マントにはWIZARDのライダー名が書かれ、背中には2012の年号が刻まれている。
加えて、ウィザードライバーの掌であったハンドオーサーまでも骨になってしまっており、原作を知る者にとってはそれがどれほど悪趣味な造形なのかは想像に難くない事だろう。
変身する際は本家のように炎のエフェクトが現れるが、魔法陣は出現せず直接アナザーウィザードの体から出ており、まるで変身者が焼き尽くされているようにも見える。
総じて、見る人によっては夢に出そうな、相手に強い不安感を与える姿をしており、希望の象徴たる本物のウィザードとはそういった意味でまるで正反対の絶望の魔法使いである。
能力
オリジナルのウィザードと同じ魔法を使う事が可能。ただし音声は原典より低く、棒読み気味。
寧ろややワイズドライバーに近い音声である。
劇中では主に、コネクト、フレイムなどの魔法を駆使し、中にはグラビティ、岩の壁のディフェンド、リキッド、ウォーターといったウィザード本編ではフレイムスタイルで使用しなかった魔法、離れた対象を眠らせるスリープなど、オリジナルの上位互換となっている魔法も存在している(オリジナルのスリープはリングを付けている者を眠らせるという魔法であり、普通に使えば自分が眠ってしまう使いにくい魔法だった)。2012年の最初の変身時には物体を緑のオーラに変えて霧散させるという、もはや何の属性なのかもわからないような凶悪極まりない魔法まで使用していた。
また、人間時でも各種魔法を使用する事が出来る。
これらの魔法は原典と異なり使用時に魔法陣が発生せず、正体が分からない超常現象の様な怪しげな雰囲気を醸し出している。
それだけ多彩な攻撃魔法を有している一方、いざ徒手空拳での格闘(ウィザードにはフォーム問わずに使用したウィザーソードガンがあるが、アナザーライダーは既存のライダーが有していた手持ち武器を持たないことが多い)となると終始ジオウやゲイツに圧倒されっぱなしであり、生身のソウゴの蹴りで吹き飛ばされるなど不得手な様子が窺える。
また、指輪を付けている事からウィザードは最終回の一度だけしかパンチを放たなかったが、アナザーウィザードは指輪を付けた状態で普通に殴りかかっている。
変身しないまま、手にした能力をマジックショーという形で披露しており、アナザーライダーとしては珍しく、その力を悪事に使うことなく2018年まで過ごしていた。
誕生による改変
活躍
- EP07『マジック・ショータイム2018』
2012年、閑古鳥の鳴くマジックハウス「キノシタ」の裏方として働く早瀬は、この小屋はしばらくすると閉鎖するとウールに聞かされる。先代オーナーの娘である現オーナーの木ノ下香織に思いを寄せる早瀬は、香織を悲しませたくない一心でウールと契約してウィザードの力を手にするが、アナザーウィザードに変身しないまま、その魔法の力をマジックという形で披露し、ハウスのメインだったマジシャンの長山に代わって大人気となった。おかげで「キノシタ」には客足が戻って閉鎖は免れ、いつしか早瀬は「ウィザード早瀬」と呼ばれるほどの有名マジシャンとなっていく。
2018年で順一郎からその話を聞いて、マジックハウス「キノシタ」へと赴いたソウゴら3人だったが、ショーを見てマジックと言うより魔法に近いと違和感を感じる。タイムジャッカーが彼にウィザードの力を与えているなら魔法が使えてもおかしくないと考えた3人は、ショーが終わった早瀬の元へと向かう。早瀬ははぐらかして立ち去ろうとするも、ゲイツが変身した仮面ライダーゲイツに攻撃され、やむなくアナザーウィザードに変身。グラビティやディフェンドを発動して応戦するもゲイツの猛攻に追い込まれていたところ、ジオウがゲイツを止めている隙にリキッドの魔法を発動して逃走した。
その後、自宅に逃げ帰って「自分の正体が知られた」と怯えていると、いつの間にか部屋に忍び込んでいたオーラが「もっと深い傷を負ってもらわないとね」と、不吉な言葉を口にする。
さらにチャイムが鳴って、さっきの2人がここまで嗅ぎつけて来たかと思い、恐る恐る様子を窺うと、訪ねてきたのは長山だった。今は舞台を早瀬に譲って逆に裏方に回っていた長山は、「キノシタ」を閉めること、そして自分が香織と結婚することを告げてきた。
実は長山と香織は昔から恋仲で、6年前に先代オーナーが亡くなった頃、経営難に陥った「キノシタ」を閉鎖しようとしていたのだが、早瀬が魔法の力を手に入れたことで閉鎖の危機は回避された。そして早瀬が「ウィザード早瀬」として一流になった今、あえて「キノシタ」の看板を下ろし、早瀬にはもっと大きな舞台へ旅立ってもらいたいというのが2人の願いだった。
しかし長山と香織に裏切られたと思い込んでしまった早瀬は憎しみを爆発させて暴走。アナザーウィザードに変身すると、逃げる長山をコネクトの魔法で捕まえ、至近距離の火炎弾を浴びせて大火傷を負わせる。(ウールとオーラは、前述の台詞から、早瀬が失恋することを知っていた故にウィザードの力を与えた可能性が高い。)
そこへ、長山の悲鳴を聞きつけたゲイツが駆けつけ再度交戦。魔法を使った攻撃で応戦するもファイズアーマーを装備したゲイツのエクシードタイムバーストを受けて敗北、元の姿に戻った。
しかし、再度オーラにアナザーウィザードウォッチを埋め込まれた事で変身し、彼女から「その力、今度は憎しみと共に使ってみなさい」と言われると、邪魔してきたツクヨミにスリープの魔法を使用し昏睡状態に陥らせた後、その場から逃げ去った。
- EP08『ビューティ&ビースト2012』
怪物化して長山を襲ってしまい、さらにゲイツとソウゴに追われているとあっては、もう「キノシタ」にも自宅にも戻る事ができず、早瀬は怯えながら路地裏で潜伏生活を送っていた。しかしそこへ現れたオーラに焚き付けられ、今度は香織に復讐を果たそうと活動を再開。彼女を見つけて変身し襲い掛かろうとするも、入院している長山から事情を聞き、早瀬の目的を知ったソウゴが変身したジオウが止めに入る。邪魔が入った事に激怒する早瀬はリキッドの魔法を使い、その場を撤退する。
その後、長山の入院する病院に現れ、見舞いに来ていた香織に再び襲い掛かろうとするも、隠れていたソウゴが妨害し、彼が変身したジオウと交戦。カフェテラスにいた無関係な人々をグラビティの魔法で引き寄せて、ジオウに投げつけその隙に逃走を図るも、ビルドアーマーを武装したジオウのボルテックタイムブレークを受けて爆散。
しかし、まだ撃破の条件を満たしていない為に再度復活を遂げ、今度はフォーゼアーマーを装備したジオウと戦い続けるが、その撃破の際に一瞬だけ記憶が戻った仁藤攻介=仮面ライダービーストからウィザードライドウォッチを託されたゲイツが2012年に飛ぶ。
香織への想い破れ、ヤケを起こして暴れ続ける早瀬を、ソウゴは「目覚ませよ! 守りたかった人を襲ってさ…! あんたに必要なのは魔法の力なんかじゃない!想いを伝える勇気だろ!?」と説得する。
自分でも十分理解しているはずなのにそれを認められない早瀬は、一度は苦悩しながら変身を解くが、既に自暴自棄になっていた彼は、もうどうにでもなれとばかりに再変身。ウォーターの魔法で反撃するが、ジオウ・フォーゼアーマーのリミットタイムブレークを受けて敗北した。
そして2012年のクリスマス、早瀬はウールと契約してウィザードの力を手に入れ、魔法の力で乗用車や高層ビルを消滅させて「この魔法の力さえあれば…!」と歓喜していたが、そこへ現れたゲイツがウィザードアーマーで武装し、まだ魔法を手に入れた直後で全く使いこなせない早瀬を容赦なく打ちのめす。
最後はゲイツ・ウィザードアーマーのストライクタイムバーストを受けて敗北し、変身が解けると同時にアナザーウォッチも消滅。昏睡状態だったツクヨミも、アナザーウィザードが倒された事で無事に目を覚ました。
撃破後、ソウゴはウォズからファイズフォンⅩを借りて、2012年のゲイツに電話をかけ、過去と現在の早瀬に会話をさせる。
早瀬は6年前の自分に「勇気を出せ。お嬢さんに思いを伝えるんだ。きっと結果は変わらない。でも、お前の未来は必ず変わるから!」とメッセージを送り、それを受け取った6年前の早瀬は勇気を振り絞って香織に思いを伝えるのだった。
- EP25『アナザージオウ2019』
契約者であった早瀬がおよそ半年ぶりに再登場。
未来の自分の言葉通り未来は変わり、現在はMAGIC Cafe「AQUA」で人気マジシャンとして働いていた。
その明るい表情から香織の件は乗り越えた様子。
アナザージオウに襲われる可能性があるとしてソウゴがボディガードを名乗り出るも、早瀬はソウゴの事を覚えていなかった。
ウォズ曰く「アナザーウィザードになった早瀬は2012年にゲイツによって倒されたことで歴史が変わり、今の早瀬はソウゴの存在自体知らない」という。
そのため突然話しかけてきたソウゴのことを不審に思って信用せず、店からこっそり逃げ出そうとしたところを加古川飛流に襲われ、アナザーウィザードウォッチを生成されそうになる。
ところがソウゴが助けに駆けつけて阻止したことにより完全なウォッチの生成には至らなかったらしく、他の元アナザーライダーの被害者達とは違って意識を失ったりはせず、その場から逃走に成功している。
- EP26『ゲイツリバイブ!2019』
ソウゴは再び早瀬が飛流に襲われる事を危惧し、再びMAGIC Cafe「AQUA」に訪れるが、店員に話を聞くと、電話一本で仕事を唐突に辞めてしまったらしい。
一方早瀬は、何故か以前働いていたマジックハウス「キノシタ」に出向く。前回で飛流に力を奪われかけた事がトリガーになったのか、本人には全く覚えがないと思い込んでいる失われた筈のアナザーライダーの過去の記憶が脳裏に蘇ってきたことで混乱しているところへ、再び飛流が今度こそ完全なアナザーウィザードの力を奪うため彼の前に現れ、遂にアナザーウィザードウォッチが生成されたことで意識を失ってしまう。
ソウゴが駆けつけた時には既に手遅れで、早瀬を守れなかったことを悔やみつつ、飛流に怒りを抱きながら何故自分を襲うのか尋ねるのであった。
- EP28『オレたちのゴール2019』
飛流ことアナザージオウが率いるアナザーライダー軍団の一員として再び出現(アナザーオーズの描写を見るに、恐らく無関係の一般人が変身させられたと思われる)。他のアナザーライダー達と共にソウゴやゲイツに襲い掛かるも、ゲイツ・ウィザードアーマーのストライクタイムバーストを喰らいまたしても撃破された。
- EP43『2019:ツクヨミ・コンフィデンシャル』
加古川飛流/アナザージオウⅡが率いるアナザーライダー軍団の一員として登場。
マントで背中が隠れているので確認不可能だが、アナザージオウⅡが召喚したアナザーライダーと同じように背中に書かれた年号が2019に変わっている模様。
一斉にジオウ達に襲い掛かったが、参戦したアナザーライダーの中では何故か彼(?)のみ撃破されるシーンが映っていなかった(画面外で撃破されたのだろうか)。
余談
- 絶望し、一度は復讐鬼と化した早瀬が未来の自分から託された「希望」をきっかけに絶望を乗り越えるという展開は、「希望」をもたらし、絶望した人間が怪物になってしまうことを食い止めるというウィザード原点の流れを意識したストーリー構成になっている。
- ちなみに契約したのはウールなのだが、彼を補助したのはオーラである。
- なお、何故オーラが担当する事になったのか、その間ウールが何をしていたのかは不明。
- また、EP09で「せっかく私が助けてあげたのに」と言っていたので、ウールより仕事熱心であるオーラが任意で手伝っていたのかもしれない。
- ドライバーをはじめ身体の各部分に骨の意匠が多く見えるが、これは劇場版のタナトスの器要素と思われる。
- 香織役の八代みなせは平成ライダー第11作目の劇場版で火属性の女性怪人を演じたことがある。
- 後に登場するアナザーライダーのアナザー鎧武、アナザークイズ、アナザーリュウガ、アナザー龍騎、アナザーブレイド、アナザーキバ、アナザーカブトとは腕や脚、アンダースーツの装飾などが共通している。
- アナザーウィザードとアナザー鎧武はEP28で並んでいる姿が見られ、EP43でも同じアンダースーツのアナザーライダーが同じ場面で写っている場面がある為、同じ装飾の物を複数作成しているようだ。
- 本編では仮面ライダーウィザードの第16話の映像が使われていたが、奇しくもこの回のフェニックスの捨て台詞は「次の手品を楽しみにしてるぜ魔法使い。」だったりする。
関連タグ
アナザーライダー 仮面ライダーウィザード ウィザード(仮面ライダー)
奈良瞬平:仮面ライダーウィザード本編に登場していた冴えない青年。悪の組織の罠で手から炎を出す力を手に入れ舞い上がっていた。そのためアナザーウィザードは「バッドエンドを迎えた瞬平のIFの姿」ではないかという考察がある。ちなみに彼はHEROSAGAでは未来でもう1人のウィザードに変身している。
操真晴人:現実の仮面ライダーウィザード
プリミティブドラゴン:ドラゴスカルの形態。
ジョーカー・ドーパント、アルター・ゾディアーツ、シーカー・ロイミュード、アランブラバグスター:歴代魔法使いモチーフのライダー怪人。
インビジブル・ドーパント:9年前による自分の能力を舞台の演出に使用するマジシャンの善玉ライダー怪人。その存在が赤いサブライダーからの一方的な敵視を受けている。
スパイダー・ドーパント/松井誠一郎:悪の組織と取引をした後、叶わぬ恋が原因で心が歪み、片想い相手に襲いかかった平成ライダーの悪役繋がり。ある意味アナザーサイクロンと呼べる人物。
エンジェル・ロイミュード:頭のリングの造形が似ている。
チェイス:彼は髑髏の指輪を付けている。
牛鬼(魔化魍):顔の造形が似ている。ただしこちらのモチーフは仮面ライダー響鬼である。