アナザードライブ
あなざーどらいぶ
「やっと会えた....私....」
『仮面ライダージオウ』EP44「2019:アクアのよびごえ」で登場するアナザーライダーの1人。
モデルは仮面ライダードライブ タイプスピード。
スウォルツが不要となったウールとオーラを始末するために送り込んだ刺客。
唯一ソウゴの元に集まっていない平成ライダーの力であるドライブの力を利用して生み出された。
アナザーディケイド共々、EP41の「加古川飛流 変身の像」の中にそれらしき石像の後ろ姿のみ確認されている。
オリジナルのドライブとは逆に、上下からタイヤのエフェクトに挟まれるようにして変身する。
ドライブ・タイプスピードを歪めたような外見だが、今までのアナザーライダーと比較しても非常に凸凹が目立つ容姿をしている。
頭部は鼻から口にかけての装甲がなく、初代ドライブに変身していたプロトゼロや、その兄弟機にあたるサイバロイドZZZなどを彷彿とさせる顔が半分剥き出しになっている。
また、劇場版での超デッドヒートドライブ同様に左の複眼が破損して中から目が覗いており、破損したカバーをかろうじて繋ぎ止めている赤いコードのようなモールドは、事故に遭った犠牲者が流す血の涙を思わせる。
なお、頭のウイングが欠けているのはプロトドライブの要素だと思われる。
さらに右の複眼はアナザーWと同じような模様が入っている。脚本家繋がりであろうか?
タイプスピードの象徴であった袈裟がけのタイヤがなく、代わりに左肩からサスペンションとブレーキディスクと思われるパーツが突き出しており、事故に遭いタイヤを喪失するほどに大破した廃車のような姿をしている。
また、『車を動かす機構』であるタイヤが失われ、『車を停止させる機構』であるブレーキが露出した事で『もう動けない車』を表しているという考察も存在する。
ドライブドライバーに相当する腰のベルトからは赤いコードが飛び出しており、壊れたメーターの様な外見で泥や埃を被ったようにも見える。
これは映画作品を含めて度々機能停止や破壊されることが多かったドライブドライバー、すなわちベルトさんを表しているとも、アナザードライブにはベルトさんが最初から存在しない=未来に向かって歩みだすことのできない、つまり『泥が詰まったような』とかつて進ノ介が表現していた心のままということを示唆しているのかもしれない。
また、原典のドライブでも度々登場している『時間が止まってしまった』という表現を示す壊れて針が止まった時計のようにも見える。
左腕に装備するドア銃を模した武器もやはり壊れた車のドアのようで、「ひしゃげて開かなくなった車のドア」がモチーフともとれる。
こちらはオリジナルとは異なり開発者の独特の感性によるギミックは無いが、ドライブの変身者が警察官という連想からか表面に『KEEP OUT』のテープが貼られ、代わりにシフトブレスが無くなっている。
単なる武器としての銃しか持たないアナザードライブの姿は誰も乗らなくなった廃車を連想させるだけでなく、ひしゃげて開かなくなったドアは誰にも心を開かず固く閉ざした心の象徴とするならば、仲間達との絆を胸に戦い続けた本物のドライブとは対照的な「他者を拒み、誰かのために戦うことをしない冷徹な機械」とも解釈できる。故にハート・ロイミュードを筆頭とするロイミュード達さえ持っていた心の強さを持たない、仮面ライダーにもロイミュードにもなりきれなかった半端者の末路がアナザードライブであると言える。
全体的には泊進ノ介に関する要素だけでなく、ロイミュード側とライダー側を経験したプロトドライブの変身者であるチェイスに関する要素を絡めたキャラクター造形とも言え、同時に外見こそ面影があるものの、個々の要素を見れば変身者・ベルトさん・シフトカーの三位一体で成り立つ「仮面ライダードライブ」としての要素が悉く否定されており、アナザーライダーとはどういう存在なのかを体現した個体と言える。
アナザーライダー共通の名前と年号はそれぞれ左胸と左肩に描かれており、左胸に『DRIVE』、左肩に『2019』と描かれている。
原典でロイミュードなどが持っていた重加速を操る能力を持ち、周囲の物体の動きを遅くする事が可能(本来ロイミュードやドライブシステム・ネクストシステムで変身するライダーのようにコア・ドライビアを内蔵していないと発動できないが、できた理由は後述)。
その力は強大で、劇中ではこの力でゲイツリバイブ疾風すらも遅くさせ、ウールに時間を止められた際もこの力で時間停止を無理やり解いて脱出している。
マッハの変身者はかつてロイミュードと同じく重加速の力を持つ仮面ライダーを怪物に喩えていたが、実際に怪物と化した仮面ライダーが現れてしまった。
また、上述のドア銃のような装備による防御及び銃撃の他、本家の「オールタイヤアタック」のようなタイヤ型エネルギー弾を発射可能。
劇中では赤いトゲ付きのタイヤと黄色の炎を纏ったタイヤを続けざまに発射した。
さらに、EP45ではアナザートライドロンを召喚する能力も発動している。
- EP44『2019:アクアのよびごえ』
スウォルツから逃亡するウールに重加速をかけながら出現し襲いかかる。時間停止能力を使われ逃げられてしまうが、自力で能力を解除した。
その後、クジゴジ堂からいなくなったオーラを探していたウールの前に再び出現。
再度襲撃を試みるが、ツクヨミや湊ミハル/仮面ライダーアクア、さらにはソウゴやゲイツに次々と割って入られ取り逃がしてしまう。
そのままなし崩し的にグランドジオウとゲイツリバイブ疾風を同時に相手取る事となり、重加速を発動して2人の動きを止めたものの、ウールの時間停止により重加速を解除される。
そしてグランドジオウが召喚したハンドル剣による必殺技とゲイツリバイブ疾風の「百烈タイムバースト」の同時攻撃を受け爆散した。
しかし、その爆炎の中から現れたのは、オーラだった・・・。
- EP45『2019:エターナル・パーティ』
「あなたにちょっとだけ悪い知らせがあるの。あなたは今日、ここで死ぬ・・・」
演/CV:紺野彩夏
アナザードライブがオーラに化けた偽物だと察し、その疑念から目の前に現れた本物のオーラからも逃げ始めたウールの前に現れて変身。時間停止を発動しようとするウールを重加速で妨害し、動けない隙を突いて痛めつけた。
そして現れた本物のオーラの首を締めながらその正体を自ら明かす。
「もうすぐあなたは消えて、私が本物になる。めちゃくちゃいい知らせよね。力を失ったあなたには、もう何の存在価値もないんだから・・・」
その正体はかつてドライブと戦った、未来と現代の2体のロイミュード108が融合・超絶進化を遂げたパラドックス・ロイミュードだった。つまり、重加速を使えるのも単に「ドライブを模した怪人だから」というだけではなく「もともとその力を使える(コア・ドライビアを持つ)存在が変身しているから」ということである。
スウォルツ/アナザーディケイドが「ドライブを倒し、『永遠のグローバルフリーズ』を起こして支配に成功した世界」を生み出して呼び寄せたと思われ、用済みになったウールとオーラを始末すると同時に、自身がコピーしているオーラに成り代わることを目的に行動していた。
しかし、現れたウォズギンガファイナリーとゲイツリバイブ剛烈にオーラの抹殺は阻まれ、2対1の戦いになる。
時間や空間といった概念の根源たる宇宙の力を持つウォズギンガファイナリーには重加速が通じず、高速移動もゲイツリバイブ疾風に回避されるも、アナザートライドロンを呼び出して互角に戦える戦闘力を見せつけた。
すると、本物のオーラがスウォルツの魔の手から生き延びるべくウールを殺害。それを見届け高らかに笑った。
「ハハ・・・、ハハハッ・・・! さすが私・・・。私以上に私!アハハハハ…!」
そのウールの死を嘲笑するかのような態度に、ソウゴは初めて明確に怒りを爆発させる。
ソウゴ「何、笑ってんだ・・・。何笑ってんだよ!!」
グランドジオウの怒りの猛攻に押され、さらにグランドジオウはドライブ・タイプスピードを召喚。
最後は「オールトゥエンティタイムブレーク」でアナザートライドロンもトライドロンに破壊され、2人の「スピードロップ」を受けてアナザードライブからオーラ、そして元のパラドックス・ロイミュードの姿に戻って爆散。2つの108のコアに分離し、そのまま消滅した。
劇中では登場の原因が「ジオウがドライブの力をまだ継承していないから」とされており、泊進ノ介/仮面ライダードライブから力を奪って生み出された可能性もある。
アナザードライブとの戦闘の際にジオウに客演したトライドロンはCG合成と思われる。(その理由はトライドロンの項目を参照)
- ドライブの力については物語序盤からライドウォッチやアーマーが度々登場しており、視聴者の間では早くよりその登場が期待されていた。
- その一方で、逆に「もうウォッチを所有しているのでアナザードライブは出ないのでは?」と言う意見もあり、登場が不安視されてもいた。
- アナザーオーズ、アナザーリュウガ、アナザーブレイド、アナザーカブトに続く5人目の過去作品のキャラクターが変身するアナザーライダーであり、劇場版の敵キャラクターとしては裏真司に続いて2人目となる。
- また、アナザーライダーで唯一、明確に原典の怪人と呼べる存在が変身した個体となった。
- 元となった「仮面ライダードライブ」劇中で培われてきた「絆」などの要素や敵対組織との繋がりを誰の目にも見える形で否定・反転させたような容姿に加え、その衝撃的な正体、さらには時間を操るジオウやゲイツ、タイムジャッカーにさえピンポイントで対抗できる能力まで備えている事実を踏まえるなら、アナザードライブは「歴史から消えた仮面ライダーとその敵の存在を引き受ける存在」にして「仮面ライダージオウにおける敵怪人」でもあるアナザーライダーの1つの完成形とも呼べる存在であり、アナザーライダーの大トリ(特殊な立場のアナザーディケイドを除く)を務めるにふさわしいと言えるだろう。
- また、『正義のヒーローから奪った力で悪を成す』アナザーライダーの在り方は、ロイミュード108がパラドックスロイミュードとなる為に原典でした行動とも類似している。
- オリジナルの人間がその人間をコピーしたロイミュード以上の悪意を持っているという展開は『本当の悪意はロイミュードではなく、その元となった人間の心の中にある』というドライブのテーマを体現しているとも取れる。
- ロイミュードが偽のドライブに変身するという展開は、本家でも似た例があった。
魔進チェイサー:原典に登場した、同じくジャンクモチーフで左右非対称の存在。アナザードライブの造形や変身者、そしてその動向は、彼に対する強烈なアンチテーゼとも解釈できる。
仮面ライダーハート、仮面ライダーブレン:原典のVシネマで初登場した、ロイミュードが変身した仮面ライダー達。アナザードライブとは真逆の存在と言える。
ゴルドドライブ/ブロンズドライブ、仮面ライダーダークドライブ:原典(後者は後年のクロスオーバーの派生作品)に登場した、同じくドライブの紛い物と言える敵役。
アナザーディケイド:同じエピソードで初登場したアナザーライダー。
ビースト・ドーパント:同じくロイミュードが他作品のアイテムを使って変身したライダー怪人。
泊進ノ介:本来の仮面ライダードライブ。
アナザーキカイ/アナザーディケイド:タイムジャッカーが変身したアナザーライダー(但し、アナザードライブのみ偽物が変身している)。
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