白倉伸一郎
しらくらしんいちろう
1965年8月3日生、東京都出身。
『特捜最前線』、ドラマ版『スケバン刑事』、『宇宙刑事ギャバン』など、東映制作のテレビドラマ作品に多大な影響を受け、東京大学文学部第三類卒業後東映に入社。
『鳥人戦隊ジェットマン』(1991年)よりプロデューサー補として特撮に関わり始め、翌年の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の途中からサブプロデューサーに昇格、1996年放送の『超光戦士シャンゼリオン』でメインに昇格した。
仮面ライダーシリーズでは、真・仮面ライダー序章(1992年)でプロデューサーを担当。
この時に石ノ森氏のプロットに反対し、より原点回帰の案を考えた所それが採用されたという話がある。
その後、2000年代に入ってからは平成ライダーシリーズの主にディケイドまでの作品に関わったが、同シリーズが10周年を迎えた2000年代末頃からは関連会社の社長など、経営陣としての活動にシフトした。
それでもなお仮面ライダーシリーズへの関わりは深く、アマゾンズなどの企画の担当、他にもデザイン決めまで毎年関わっているという話があるほか、久しぶりに仮面ライダージオウでTVシリーズのチーフプロデューサーを担当。
2023年7月1日付で東映が新設したキャラクター戦略部の部長に就任した後も、『仮面ライダーガッチャード』ではチーフPを初担当する後輩の湊陽祐に対してアドバイスを行うなど東映の重鎮としての地位を確立している。
後に東映のメインプロデューサーの1人に昇格した武部直美は、前出の『シャンゼリオン』の頃から彼の下でサブ時代を送り、事実上の弟子格となっている。
特撮ヒーロー作品において古くから描かれてきた、勧善懲悪的要素や善悪二元論に対して懐疑的な立場を取っており、登場するキャラクターが持つそれぞれの正義や信念が交錯するドラマを盛り込むことが多い。
「ライブ感を重視したい」とし、多少整合性が合わなくても勢いやノリを重視する面もある。
『仮面ライダーディケイド』では最終回など大きな波紋を呼び、単にファン内の賛否両論で終われず、BPO案件にまで発展してしまい、批判されることがあった。
しかし本作は元々制作予定はなくWの放送が先送りになり、その間を埋める作品としてテレビ放映が決定した作品という話がある。
また前半で急遽メインの脚本家が抜けて交代するなど様々な大人の事情があった作品であり、この件に関してはそれらの事情が関連している可能性は高いとも言われている。
話題性のある作品作りには定評があり、関与した各シリーズに残した功績も大きい。
以下、白倉がプロデュースした作品での話題を述べる。
- 従来のシリーズではゲスト扱いだった新戦士をレギュラーとして投入する(恐竜戦隊ジュウレンジャー)
- 昭和ライダーのそれとは異なる、多人数の仮面ライダーが織りなす群像劇を定着させる(仮面ライダーアギト他)
- 従来の正義VS悪の構造を取っ払い、異なる「正義」を掲げた仮面ライダーが殺し合う衝撃的な内容を展開(仮面ライダー龍騎)
- 最終回を先行公開するという触れ込みで劇場版を制作する(仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL)
- 視聴者からのテレゴングや投票で物語の結末を決める(仮面ライダー龍騎 13RIDERS、仮面ライダー大戦)
- それまでは各回のゲストとしての趣が強かった、怪人という存在をドラマに本格的に組み込む(仮面ライダー555)
- 物語の本筋などにメタネタを絡める(仮面ライダーディケイド、仮面ライダージオウなど)
- 東映からはタブー視されていた伝説のヒーローや、タイアップ企画のヒーローを登場させる(仮面ライダージオウ Over Quartzer)
- リーダーがレッドという様式美を脱却し、さらにはメンバーそれぞれが全く異なる戦隊に仕上げる(機界戦隊ゼンカイジャー)
- ピンクは女性という様式美を脱却し、さらにはメンバーそれぞれの頭身や体格等が全く異なる戦隊に仕上げる(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
- 仮面ライダーやスーパー戦隊、 メタルヒーローといったシリーズが異なるスーパーヒーロー達の共演の推進(スーパーヒーロー大戦シリーズ)
- 大人のファン層に向けてリメイク作品やリブート作品を展開(仮面ライダーTHE FIRST&THE NEXT、キカイダーReboot、仮面ライダーアマゾンズ、シン・仮面ライダー)
- それまでバイクが主流だった仮面ライダーシリーズに電車、果ては飛行機という異例すぎる乗り物を導入(仮面ライダー電王、仮面ライダー4号)
- それまでは世界観が独立していたヒーロー達を総登場させ、歴代ヒーローに変身できるヒーローを特撮史上初めて主人公に据える(仮面ライダーディケイド)
また、講談社キャラクター文庫では自身がプロデュースした『仮面ライダー電王』関連の小説二作品を執筆。
TVシリーズとは基本設定が変更されている部分はあるものの、いずれも評価が高い作品となっている。
仮面ライダー響鬼(第30話以降、および劇場版)