概要
2007年、東映が公開した特撮映画。2005年に公開された『仮面ライダーTHEFIRST』の正式な続編である。
監督は田崎竜太、脚本はおなじみの井上敏樹。
本作では漫画版『仮面ライダー』の後半と、特撮番組『仮面ライダーV3』のリメイクが行われているのが特徴。ショッカーライダーを率いて戦う謎のバッタ型改造人間「風見志郎」とダブルライダーの戦い、そして事件の裏で人を殺す謎の女の恐怖を描く。
キャッチフレーズにアクションホラーを掲げているように、仮面ライダーの初期に見られた怪奇性が強調され、恐怖感をあおる場面も多い。そのため、仮面ライダーシリーズでは珍しく映倫からPG-12指定を受けた。
ちなみに、VFX制作協力という形でなんと円谷プロダクションが制作に携わっている。ライバル視されることの多い東映作品の参加は驚かれるだろうが、会社自体の仲は現在でも良好である。
登場人物
仮面ライダーと周辺人物
ショッカーに誘拐され、改造人間へと改造された男。城南大学の付属高校の教師となったが生徒たちの信頼を得られず、逆に馬鹿にされる始末。教え子の一人である菊間琴美が事件に巻き込まれたことをきっかけに再びショッカーとの戦いに身を投じる。
琴美に絡んできたチンピラを追い払うために学校前で力を行使し、バイクなどを破壊したことで生徒たちに「化物」と恐れられ解雇処分となってしまったが、そのことで琴美からの信頼を獲得し、利害の一致から共闘した風見と3人で風見の妹の事件とショッカーの陰謀の謎を追う。
両腕に付けているグローブにはリジェクションの影響で血管から漏れた黒い血が溜まっている。
IT企業「エクサストリーム」の若社長。ショッカーによるナノマシン散布テロに巻き込まれ、適性があったため改造人間となり、別荘で隠遁生活を送っていた。
ショッカーからの指示で裏切り者の本郷と一文字を抹殺するために「年代物のワインが若い」など理不尽な理由を付けて戦いを挑むが、妹のちはるの件を追うごとに心境が徐々に変化していく。
原典では仮面ライダーV3の「V」の文字は「Victory(勝利)」を意味するとされていたが、本作ではオリジナルである本郷・一文字や量産型であるショッカーライダーに続くバッタ型怪人ホッパーの「Version3(第三世代)」を意味するとされている。
ライダーレボリューションでは蜘蛛男に我々のよく知るV3と勘違いされており、デストロン怪人の恨みを晴らすために襲い掛かられる。そもそもこの世界のV3が戦った組織はショッカーであるために当の本人は困惑していた。(この時の掛け合いからV3という名称はこの世界のV3にとっては略称に当たる様子。)
本郷の教え子の一人。親友のちはると音信不通になったため単身調査をしていた結果ショッカーの起こした事件に巻き込まれてしまう。人付き合いが苦手で本郷にも反抗していたが、チンピラから身を挺して守ってくれたことで少しずつ信頼していくようになる。本郷の正体とちはるの事を知ったことで本郷の理解者になると同時に風見がショッカーを裏切るきっかけを作る。
- 風見ちはる
琴美の親友であったが・・・
その名の通り顔に包帯を巻いた謎の女。Chiharuの歌う「Platinum Smile」を聞く人間の前に現れ、その顔を切り刻んで殺害する。その正体は…
ショッカー
前作に登場した三幹部は登場せず、ショッカー首領が声のみで部下に指示を出す。指令を受ける際は何故か仮面以外何も身に着けない全裸体。
新たにナノロボットを使用した改造手術に着手しはじめており、この手法により作られた改造人間にはバッタ型怪人ホッパーの設計を基に改良したタイプと、動物の能力に加えて腕を武器に変化させる能力を持たせたタイプの二種類が存在している。
ナノロボットによる改造人間には前作の改造人間のようなリジェクションが起こらないというメリットがある反面、改造に適応できなかった人間は即座に命を落としてしまうという大きなリスクを抱えている。
- シザーズジャガー
要するにハサミジャガー。ハイテンションな性格のバーのマスターが変身する。
- チェーンソーリザード
要するにノコギリトカゲ。風見の秘書である女性が変身する。
他の怪人と比べても高度な洗脳が施されており、機械のように統率された動きによる連携戦を得意とする。
扱い自体は前作と同じ。本作では原典における白戦闘員に近い存在として、黄色い防護服を着用した「化学班」も登場している。
声のみで部下に指示を出す謎の存在。
その他
- 進藤
ちはるの所属する芸能事務所「トライスタープロモーション」の社長。ちはるの事故の事は知っていたが、ドル箱である彼女の事を「滅びてはならない存在」と呼び、死後も別のアイドルをちはるそっくりに整形させていた。包帯の女の事は知らなかったらしく、彼もまた犠牲者となる。
- 山崎
- 戸塚尚子
- 谷口由加里
尚子の死後整形を受けて二代目偽ちはるとなったが他人の顔で過ごすことと良心の呵責に苦しみ、琴美に真実を伝えた。だが包帯の女に首を撥ねられる。
- 教頭先生
- 岡村
- 輝夫
- パチンコ店の客
主題歌
- CHOSEN SOLDIER
作詞:ISSA/作曲:Daisuke "D.I" Imai/編曲:Daisuke "D.I" Imai/歌:ISSA
タイトルは「選ばれし戦士」の意味。
挿入歌
- Platinum Smile
Chiharuの歌う曲として使用される。
未公開シーン
今作には、撮影されたものの劇場公開の時点でカットされた場面が存在する。
それは、一文字隼人が度重なるリジェクションの影響でボロボロの状態になり、夜遊びしていたキャバクラで豪遊したのち、「いい人生だった」とつぶやいてそのまま死亡するというシーンである。
これは、スタッフが出来上がった場面を見たうえで監督の田崎竜太が「一文字が死ぬシーン」で終わるより、実際に公開された「戦い終えて去っていく」というシーンのほうが効果的であると思ったためであり、『新・必殺仕置人』の念仏の鉄のようにテンションが高いままで死んでいったほうがいいと判断したためである。
セル用DVDでは劇場公開版を「RELEASE Ver.」、このシーンを追加したものを「EXTENSION Ver.」と呼び、いずれかを選択して再生するマルチエンディング仕様になっている。
評価
「仮面ライダーで冬のソナタをやる」という前作同様、鈴木プロデューサーの「仮面ライダーでJホラーをやる」という首をかしげたくなるような発言がきっかけになった題材(確かに初代ライダーは怪奇性の強い内容だったが…)であるため、前作同様心配の声が多かった。
しかし蓋を開けてみればホラー要素はちはるの心情や風見志郎のアイデンティティに深く関わるストーリーの芯として機能しており、その他にも守るべきものを持った本郷猛、友情に厚い一文字隼人などキャラの魅力も増したとの声が多く、公開前の心配の声に反して前作よりも比較的良い評価となっている。
前作でも大好評だったアクションは更にパワーアップ。特にショッカーライダーとのバイクアクションは歴代随一と絶賛するファンも多い。
関連項目
昭和ライダー ショッカー デストロン
チェーンソーリザード シザーズジャガー
仮面ライダーアマゾンズ…コンセプトが似ている。