曖昧さ回避
キャラクターとしてのジャンボーグAについての詳細はこちらで。
概要
ジャンボーグA とは、円谷プロが作成した特撮番組のタイトル。ならびに作中に登場する巨大ロボットの名前である。1973年に放送された。全50話。
設定上は「巨大サイボーグ」と呼ばれているが、1970年代はロボットとサイボーグを混同する誤用が多かったので気にしてはいけない。巨大ロボで侵略者と戦う単純明快な娯楽性を優先した作品。タイでも放送され、タイ・チャイヨーが映画版を製作した事もある。
また、ミラーマンと同様に漫画版が存在し、ストーリーや設定はテレビ版と大幅に異なる(後述:企画の変遷)。
ストーリー
立花ナオキ*は民間航空会社のセスナ機パイロット。
兄である立花信也をグロース星人に殺されたナオキは仇討ちのためにセスナ機で特攻。あやうく死ぬところをエメラルド星人に救われた。
ナオキはエメラルド星人から巨大ロボット・ジャンボーグAを贈られ、地球を守るように依頼される。
第27話からは更にジャンボーグ9が贈られた。ナオキは状況に応じてAと9を使い分けて戦う。
登場人物
本作の主人公。民間航空会社のセスナ機「ジャンセスナ」の専属パイロットで、特技はトランペットとキックボクシング。ジャンボーグAとジャンボーグ9を操り、PATと共にグロース星人の送り込む怪獣と戦う。
助言を無視して暴走・失敗する事が多い熱血バカ。
- 立花和也
信也と茂子の息子で小学生。ナオキの甥。ナオキを兄のように慕い、途中からはジャンボーグAを操っている事も教えられた。PAT日本支部に自由に出入りしているので、グロース星人にも狙われやすい。ジャンボーグAと殉職した父を重ね合わせており、Aに対し強い依存心を持っている。
- 立花茂子
信也の妻でナオキの義理の姉。夫の死後はPAT日本支部内で喫茶店を経営しつつ、息子の和也を育てているので、PAT隊員全員と面識がある。
- 伴野大作
大利根航空の社長。怒りっぽいが人情に篤く、ナオキや和也の良き理解者でもある。かつては地球防衛に努めてた事があり、PATのOBとして活躍する事もあった。
大利根航空はジャンセスナ1機を持ってるだけの会社なので「ジャンセスナを売って別の飛行機を2つ買おう」という事態になった時には、ナオキと和也が猛反対して止めさせた。
地球を兄弟星というエメラルド星の宇宙人。彼等もグロース星人の侵略を受けている。
ジャンボーグAや9は、彼等が対グロース星人戦用に開発した兵器である。
ウルトラマンのように巨大化も可能。地球上で活動する時にはカラータイマーを身につける。
PAT
Protective Attack Team(地球パトロール隊)の略称。
各種戦闘機や特殊車両を保有し、怪獣や宇宙人の侵略から地球を守る組織。
多くの殉職者や異動が発生。隊長も劇中で三回代わった。
- 立花信也
PAT日本支部の初代隊長で立花ナオキの兄。
グロース星人が送り込んだキングジャイグラスの攻撃を受けて殉死。
以後は主に回想シーンで登場。
- 岸竜蔵
PAT日本支部のチーフ。的確な判断を下す熱血漢。
立花隊長が殉職した後、二代目隊長として昇格する。
第12話にて戦闘機・ファイティングスターでデッドファイヤーに特攻し殉職。
- 浜田守
PAT日本支部の三代目隊長。隊員たちの面倒見の良い人格者。
第32話からヨーロッパにあるPAT隊長会議に出席し戦線離脱。
元SGMのチーフだった村上浩に隊長の座を渡す事になった。
- 熊井五郎
PAT日本支部の隊員。太った体格の男性で、お祭りや行事が大好き。
しかし意外と気が小さく、作中ではジャンボーグAやジャンボーグ9に依存するような場面が見られた。
初めはナオキと衝突する事も多かったが、大喧嘩の果てには、共に行動する程の間柄となっている。
- 野村せつ子
PAT日本支部の隊員であり唯一の女性隊員。
隊長と共にファイティングスターに乗り込んで戦うことが多い。
お節介で口うるさい所もあるが、気遣いは絶対に忘れない。
- 風間一平
元は喧嘩っ早い流れ者の風来坊。大利根航空に就職しようとしてナオキと争った事もあったが、後にPAT日本支部の新人隊員となって再登場。お調子者で熊野隊員と組むことが多い。
第19話では母親に自分の活躍を見せる為に焦ってしまい、水爆ミサイルを東京都に落下(未遂)させてしまう事があった。
その後、自分の失態の責任を感じて謹慎中にもかかわらず出撃、捕えられた隊長達を救うべくバレンタインに特攻を仕掛けようと試みるが、寸前の所でジャンボーグAによって止められる。
謹慎中に出撃した為、最終的に処分を受けてしまうも、浜田隊長の計らいで北海道のレーダー基地へ転属される事になった。
- 大羽健次
PAT日本支部の新人隊員。穏やかな性格だが、時々慌てるところもある。
軽率な発言やジャンボーグAに依存する等、半人前な部分が見られたが、徐々に判断力を身に着けていく。
第42話でナオキと和也を庇ってババラスの攻撃を受けて致命傷を負い、帰らぬ人となった。
- 岸京一郎
PATヨーロッパ支部の隊員であり、岸隊長の弟。
ジャンボーグAの戦闘スタイルを見て、ナオキがジャンボーグAのパイロットである事を見抜く。
パイロットを解任されたナオキに対して助言を与え、ジェットコンドルでジャンボーグAの援護を行い、デッドファイヤーとアンチゴーネを倒すきっかけを作った。
- 村上浩
前作「ミラーマン」に登場したSGMのチーフ。
今作ではヨーロッパのPAT隊長会議に出席した浜田隊長の代理を務め、後にPAT日本支部の隊長となった。
SGMの戦闘機・ジャンボフェニックスを駆り、命がけの攻撃でマッドゴーネの角を破壊しジャンボーグ9に勝利をもたらした。
- 安田秀彦
元SGM隊員。殉職した大羽隊員に代わって補充された。
「ミラーマン」の頃に見せた気の弱い性格は鳴りを潜めており、クールで優しい性格のベテラン隊員に変わった。メガネも着用してないし、すっかり別人。
- 野村由起
SGMの女性隊員で、村上チーフと共にマッドゴーネとの決戦に協力する。
マッドゴーネ撃破後、ジャンボフェニックスと共にSGMに戻った。
- 小野寺参謀
PATの上位組織に所属する高官で、参謀役が似合ういつもの人。PATらしく、パーッとね!
ジャンボーグA
エメラルド星人が開発し、ナオキに贈った巨大ロボット。作中では「宇宙サイボーグ」と呼称される。
普段はナオキが勤める航空会社のセスナ機(ジャンセスナ)に姿を変えている。
ナオキの腕時計がエメラルド色に光り、セスナに乗ったナオキが「ジャン・ファイト」と叫ぶと変型する。空中飛行はもちろん、宇宙へ飛び出す事も可能。
必殺技は、ビームエメラルド、ハンディングフラッシャー、ヘッディングキラー、ジャンサーベル等。ウルトラ戦士と異なり、より機械的な描写が行なわれている。
最大の必殺技は高速回転し、虹色の風車となって敵に突撃する『必殺風車』(ひっさつかざぐるま)なお、必殺風車はビームだけを撃つバージョンも存在している。
腹にあるシャッター『ジャンポケット』には様々な武器が収納されており、劇中では二門の砲門『ジャンキャノン』、投げナイフの『ジェットナイフ』、近接戦において威力を発揮する『ジャンサーベル』を使用していた。
操縦室は目の奥にある。モーショントレース(機動武闘伝Gガンダムで有名なアレ)のようにナオキの体の動きを忠実にトレースする。ジャンボーグAがエネルギー切れで操縦できなくなった際には足の裏の脱出口から脱出する事が可能。
27話で損傷したが、ナオキがジャンセスナを修理すると復活した。
カラータイマーのような機関がバックルに存在し、エネルギー切れが近くなると点滅を始める。
ジャンボーグ9
第27話でエメラルド星人からナオキに送られた新たな巨大ロボット。
普段はナオキが購入した軽自動車ジャンカーZ(ホンダZ)の姿になっている(ちなみに購入の際にナオキは茂子から借金している)。
ナオキの腕時計がエメラルド色に光り、車内で「ジャン・ファイト・ツー・ダッシュ」と叫ぶと変型する。子孫の同僚曰く「理屈無視の超変形」。
操縦方法は自動車と同じでハンドルとペダルでおこなう。元祖戦闘メカザブングルと言える。
パワーと装甲はAを上回り格闘戦でその真価を発揮する。強力な必殺技も多数持つが、Aと違い飛行能力が無い(とはいえ、地上をマッハで走行できるなど決してスピードがAにも劣っているわけではない)、格闘戦に特化した故に武器がないため、不意打ちや隠し武器に対応できない、操縦システムの影響でAよりも動きが単調で細かい動作が苦手などの欠点を持つなど、決してすべてがAより優れているわけではない。
そのため、ナオキはAの復活後は状況に応じてAと9を使い分けて戦ったり、初めにAまたは9で戦うも負けてしまい、乗り換えて再戦して勝利という形になっていった。
ナオキは最終決戦で月面にいる敵を倒すために、まずAで挑んだが返り討ちにされる。なんとか地球までたどり着くもジャンセスナは大破してしまう。
ナオキは死を覚悟で9をPATのロケットにくくりつけて月まで飛行。最後の敵を倒したものの、飛行能力のない9では地球へは帰れない。月面から青い地球を見ながら「月の沙漠」を歌っていたが・・・
グロース星人
宇宙支配を目論む宇宙人。地球への侵略司令官は三回代わっている。
詳細はグロース星人を参照。
各話リストと登場怪獣
※DVDや地上波再放送ではタイトルの「きちがい」が放送コードに引っかかる為、「謎!ノンビリゴンの正体」になっている。
※キングデッドゴンはテロップミスの為にキングテットゴンが公式名称として扱われているようになってしまった。
余談だが、名前に「キング」と付く怪獣が多く、全体の約40%(46体中13体)を占めている。
※改造フライトキング・ゴールドスネーク・改造サタンゴーネを除く。
企画の変遷
企画が立ち上がったのは1969年初め頃。タイトルは変わらず「ジャンボーグA」だが、ロボットではなく「ジャン」と呼ばれる巨大な人造人間(乗り物に変形もしない)という設定であり、搭乗者も真一という名の少年であった。
しかし、その企画内容は見直される。テレビ放送前の1970年4月号より小学館の学年誌に掲載されたマンガのタイトルは『ジャンボーX』であり、内容もウルトラセブンの弟である「まもる少年」が巨大ヒーローに変身するというものであった。
ただし、そのマンガも12月号より元々のタイトルである「ジャンボーグA」に改題され、内容も当初の案に近いものにリニューアルされて1971年の3月号まで続いた。また、これの内山まもる版が1970年10月より連載開始になっている。
企画は以上のように二転三転を繰り返し、ようやくテレビ放送に至ったのは1年以上を経た1973年のことであった。
関連作品
ミラーマン:本作はミラーマンを製作したスタッフが担当し、同じ世界の後の物語(事実上の続編)になっていて、同じ登場人物やジャンボフェニックスが登場する。
ウルトラマンタロウ:本作と同時期に製作された昭和ウルトラマンシリーズ作品。ミラーマン怪獣の一族ゴルゴザウルス二世が登場していたほか、ロボット怪獣が登場しておらず、同時期に製作された本作との差別化の結果の可能性がある。
マクロス7:軍隊の作戦行動空域に無関係の民間機が飛んでると、すごく邪魔。
勇者指令ダグオン:宇宙人から贈られた巨大ロボで侵略者と戦う。1号ロボが飛行機、2号ロボが飛行能力を持たない点も本作をオマージュしている。
超神マスターフォース:作中に登場する種族プリテンダーの変身システム、ゴッドマスターのトランステクターは異星人の産物であるなどが本作品のオマージュ。他にも1話冒頭に歌われる「月の沙漠」、月面決戦などそこかしこに影響を受けた描写が多い。
SSSS.DYNAZENON:こちらもメカに乗って操縦して怪獣と戦う円谷ヒーロー作品。
関連イラスト
関連タグ
ジャンボット:ジャンボーグAがモデルになっている。
ジャンナイン:ジャンボーグ9がモデルになっている。