『仮面ライダー龍騎』のネタバレを含みます。
概要
『仮面ライダー龍騎』に登場する、ミラーワールドに生息するモンスターの総称。
人間の生命や他のミラーモンスターのエネルギーを主食とする。しかし、ミラーワールドの外では長時間生きていくことは出来ない為、狩りの時だけ現実世界に現れたり、何らかの手段で獲物の方をミラーワールドに引きずり込んだりして捕食する。なべて執念深く、ダークウイングのように一度狙った人間は決して見逃さず、一旦逃しても執拗に付け狙うのが特徴。(ちなみにメタルゲラスのように飛べないミラーモンスターは空中に浮遊したモンスターのエネルギーを吸い込んで捕食する模様。)
その正体は幼い神崎優衣と神崎士郎が「自分たちを守ってくれる強い存在」として描いたモンスターの絵が実体化したもの。2人の強い幻想が、ミラーワールドとモンスターとを具現化させた。『仮面ライダー龍騎スペシャル 13RIDERS』では、ミラーワールドの心臓部たるコアミラーに優衣の絵が集まって実体化する設定となっている。
優衣が幼少期の時点ですでにミラーワールド内に存在しており、ミラーワールドから優衣を見守っていた。しかし、この時は優衣のみがミラーモンスターを見る事の出来る存在だった為に、小学校ではいじめのターゲットにされてしまったという皮肉な結果を生むことに…。
以上の誕生経緯から神崎士郎や神崎優衣にはミラーモンスターを操る権限のようなものがあるらしく、神崎士郎は鳳凰型モンスターを配下にしている他、優衣が契約モンスターに襲われそうになった際には手を翳す事で主導権を奪っていた(しかしながら、モンスター達は本能のままに生きている為なのか、彼らに優衣が襲われるシーンは時折見られたが)。
主に野生動物をモチーフとしているが、竜や鳳凰などといった架空の生物をモデルにした者や、マグナギガやワイルドボーダーのように最早原形をとどめていない者までさまざま。
共通する特徴としてはメカニカルな外観と原色系の鮮やかな体色が挙げられる。
士郎に選ばれた人間はミラーモンスターと契約することで仮面ライダーとなり、他のライダーやモンスターと戦うことが出来る。
ただし、人間と意思疎通できる能力は恐らく持っておらず、契約者である仮面ライダーとの関係に特殊性は無い。
本編でも秋山蓮が「もしモンスターに意思があるのなら」という旨の発言をしている。
よって、本作でのモンスターとの契約には、基本的に他作品にてよく見られる絶対的な忠誠や友情、愛情等の介在するような特別な関係は無く、デッキの破損やカードの喪失が起こると契約破棄となり、捕食の対象に戻ってしまう。
また長期に渡り「エサ」を与えなかった場合も、飢えたモンスターの反逆に遭い、同様の事態になる恐れがある。
契約以外にも、「SEAL(封印)」のカードをモンスターにかざすことで、その襲撃から一時的に逃れる事も可能(優衣がドラグレッダーに狙われる城戸真司に渡している)。
しかし、仮面ライダーガイの契約モンスター・メタルゲラスは、契約主である芝浦淳が浅倉威に殺された際には激しい敵意を抱き、同様に仮面ライダーライアの契約モンスター・エビルダイバーも浅倉を敵と認識していたと思しき描写があり、ライダーとの仲間意識を抱いていたと考察されている。ただし普通の野良モンスターが同じ人間を付け回すのと同じで自身の契約者を殺したから記憶に残っていたので執拗に狙っていただけの可能性もある。
また、ドラグレッダーは龍騎のピンチに(アドベント=召喚のカードに関係なく)現れて助けたり、一旦浅倉に反逆したベノスネーカーが彼の一言で大人しく引き下がったりと、一概に感情は皆無とも言い切れない面もある。
なお、放送当時のヒーローショーなどでは喋っている者もいた(『仮面ライダーアギト』のアンノウンとかもそうだが)。また、『鬼ヶ島の戦艦』に登場するオニ一族に飼い慣らされたゲルニュートは日本語を喋っている。
平成ライダーの怪人(全く人型ではない種族もいるので、文字通りモンスター・怪獣に近いが)には珍しく名前の共通する法則がない(他の作品ではモチーフ+分類・種族名になることが多い)ただし、モチーフ毎にある程度の法則はある(竜型→ドラグ+色、ハチ型→ バズスティンガー ○○等)。
なお、劇中では単に「モンスター」と呼称され、本放送当時の関連書籍等でもそれに倣い、「ミラーモンスター」と表記される例は少なかった(玩具のソフトビニール人形など1部の媒体で使用されていた程度)。
現在は「ミラーモンスター」が正式な名称として定着している。
最後は、士郎が運命を書き換えたことで、全てのミラーモンスターが消滅した。
シリーズ初、明確な悪組織が存在せず、何らかの目的を持って行動していた従来ライダーシリーズの「怪人」とは異なり、知性を持たず本能のままに行動する「怪物」であることが特色であるとも言えよう(後の魔化魍にも言えることだが)。
本編での契約モンスター以外の呼称は一貫して「モンスター」となっているが、第42話では神崎優衣の正体を示唆する演出としてテレビシリーズに登場するモンスターの名前が読み上げられた(この時点ではまだテレビ版には登場していなかったレイドラグーンも名前も確認できる)。
関連作品
『小説 仮面ライダー龍騎』
ミラーモンスターは契約者以外の現実世界の人間に干渉できず(すなわち、悪の怪人にもかかわらず現実世界に殆どと言っていいほど害がない)、より契約者同士の内輪揉めという一面が強調されていた。
『仮面ライダーディケイド』
「龍騎の世界」では、契約モンスター以外のミラーモンスターは基本的に登場しない(※ただしガルドサンダーが登場している)。
また、第1話では魔化魍を捕食していたり、逆に捕食されたりしていた。
おそらく生き物は捕食できれば何でもいいようだ。
大ショッカーが出現してからは、彼らに何体かのミラーモンスターが使役される描写があった。
『オーズ・仮面ライダー電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』
改変された世界にて、ガルドストームを始めとする数体のミラーモンスターがショッカーの戦力として登場した。
ただし、全てのミラーモンスターが、そして神崎兄妹がショッカーに従っているのかは不明。
『仮面ライダージオウ』
オーマジオウが龍騎のライドウォッチでドラグレッダーを召喚するシーンがある。
また、終盤では龍騎のライドウォッチが壊れた事で龍騎の歴史が解放され、それに伴い一部の契約モンスターやハイドラグーンなどのミラーモンスターが大量に出現した。
『RIDER TIME 龍騎』
契約モンスターや一部の野生のミラーモンスター達が登場している。
契約モンスター
レイヨウ型モンスター
野生モンスター
- ディスパイダー→ディスパイダー リ・ボーン
- ゼブラスカル(アイアン、ブロンズ)
- ワイルドボーダー、シールドボーダー
- ゼノバイター、テラバイター
- デッドリマー
- バクラーケン、ウィスクラーケン
- ゲルニュート
- アビスハンマー、アビスラッシャー
- ソノラブーマ
- バズスティンガー(ホーネット、ワスプ、ビー、ブルーム、フロスト)
- ブロバジェル
- レスパイダー、ミスパイダー、ソロスパイダー
- シアゴースト→レイドラグーン→ハイドラグーン
神崎士郎に仕えるモンスター
非公式の雑誌企画に登場するモンスター
『妄想戯画』
- EXODIVER
『S.I.C. HERO SAGA MASKED RIDER RYUKI EDITION』
『小説 仮面ライダー龍騎』に登場するモンスター
- 蛾のミラーモンスター(名称不明)
番外
ミラーワールドの住人だがモンスターなのかどうかは不明。
『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT』版設定
本作では鏡の向こう側に存在する反地球のようなパラレルワールド、ベンタラに住む存在として登場。
当然仮面ライダーと契約して使役されたモンスターが登場する他、敵の首領であるゼイビアックス将軍が数多くの個体を使役している。
ゼイビアックス将軍はある目的のために地球上から全人類を一気に転送する装置を製作しており、それに必要な地球人のDNAサンプルを集めるために配下のミラーモンスターに地球人の拉致を命じている。
本作ではミラーモンスターが人間を襲うのは他者の命令を受けている場合のみであり、仮面ライダーとの契約から解放されたりしたモンスターは人間を捕食することなくただベンタラを彷徨うだけとされている(ただし、後日談となる小説ではゼイビアックス将軍配下のミラーモンスターが彼の死により統率を失い、人間を捕食して増殖しているという設定になっている)。
また、原典では怪人の1種類という扱いだったゲルニュートがレッド・ミニオンという名前で戦闘員ポジションとして大量に登場しており、終盤ではホワイト・ミニオン(シアゴースト)→ブルー・ミニオン(レイドラグーン)と成長している。
日本オリジナル小説『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT 2WORLD 1HEARTS』ではマザーモンスターという親玉が存在するという設定になっている。
余談
放送当時小学館から発売されていた『仮面ライダー龍騎 超全集上巻』p.79では、ドラグレッダーの頭脳にAIが搭載されている設定が明かされたりと、初期の作品では機械生命体ないしは機械の要素を組み込んだモンスターという設定だったようである。
また、実は現在知られているミラーモンスターはほんの一握りに過ぎず、神崎兄妹が幼少期に描いた絵の数がそれを示唆しており、超全集最終巻』pp.22-23や劇中で確認できる一例をあげると…
- ヘビ(ベノスネーカーの絵とは別のようだ)の尾を挟むクワガタ
- ゴリラのような絵
- 獣脚類のようなもの
- 肩から棘らしきものが生えた灰色系のカマキリ
- 二足歩行のヒョウないしジャガー
- モグラを描いたと思しき絵
- 両手がハサミになった赤い甲殻類風
- 背びれがノコギリのようになった怪獣のようなフォルムのトカゲ?
- 亀(3種ほど確認できる)
- 二足歩行のニワトリ
- 二足歩行のゾウ
- 赤色など、数種類の蟹型モンスター(ボルキャンサーの同族?)
- ゼブラスカルらしきモンスター
- デストワイルダーらしきモンスター
- 腕がカッター状になった金色や黒色系の二足歩行のライオン
- バイオグリーザらしきモンスター
- ガゼル系らしきモンスターの絵が数点
- ドラグレッダーらしきモンスター
- レスパイダーらしきモンスター
- クワガタかアリジゴクのような黒い頭部を持つ二足歩行のモンスター
- ミスパイダーらしきモンスター
- ウィスクラーケンらしきモンスター
- ブロバジェルらしきモンスター
- 赤いサソリ風
- メタルゲラスらしきモンスター
- 青いディスパイダーやディスパイダー リ・ボーンらしきモンスター
- ベノスネーカーらしきモンスター
- ダークウイングらしきモンスター
- 一本の大きな角のあるモンスター
- 赤い頭部に、ボディや羽と思しき部分が赤・青・黄で塗られたニワトリ風の絵
などなど劇中に出なかったものでも相当な数である。幼い頃に描いた故か、モデルが不明瞭な絵も少なくない。
登場できなかった理由は無論大人の事情によるものなのだが、龍騎の物語はループしている為、どこかの時間軸でライダーと契約していたり、倒されたりしていたのかもしれない。
関連タグ
宇宙忍群ジャカンジャ:ニチアサ同期の敵対勢力。
カルマ(牙狼):同じく鏡に相手を引き込んで人間を捕食する敵つながり。
デッドマンズ:次世代3番目の仮面ライダー作品に登場する敵対勢力。
平成ライダー怪人