概要
『仮面ライダー龍騎』の北米向けリメイク作品。全40話。タイトルの各単語の頭文字を取った略称として『KRDK』も存在する。
制作方式は『パワーレンジャー』シリーズと同じく、新規撮影されたシーンと日本版からの戦闘パートを織りまぜながら制作し、変身前のドラマパートを現地の俳優が演じる方式を用いている。
『パワーレンジャー』がアメリカが日本から輸入して製作された作品なのに対し、今作は日本がアメリカに輸出する為に製作された作品、つまり日本がアメリカに仮面ライダーを売り込むべく製作した作品との大きな違いがある。
アメリカで製作された仮面ライダーシリーズとしては『仮面ライダーBLACKRX』をベースとした『マスクド・ライダー』に次いで本作が2作目となる。
また、この作品では原典である『龍騎』で秋山蓮/仮面ライダーナイトを演じていた松田悟志が本作における同じポジションであるレン/仮面ライダーウイングナイトの日本語吹き替えを演じているのを始め、主要人物の日本語吹き替えを担当しているキャストの多くが、平成ライダーに出演経験のある俳優・声優が務めている。
後にTVシリーズのその後を描いた小説版『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT 2WORLD 1HEARTS』が発売されている。
『龍騎』との違い
基本的な設定は原作と同じであるが、若干の違いがある。
大きな違いは下記の通り。
- 戦いの舞台が鏡の中の世界ミラーワールドではなく、鏡を通り抜けてたどり着く現実の地球の並行世界「ベンタラ」。鏡や反射物から行けるのは同じだが、抜けた先の風景は元の場所と全く異なる場合が多く(メタ的には日本版のシーンの流用がある為)、鏡の中ではないので左右反転も基本的にしていない。ベンタラは異世界だが現実の世界でもあるのに変わりはない為、ライダーの変身にも時間制限なし。
- 神崎兄妹に当たる「ミラーワールドの創造主」は存在せず、本作の巨悪たる宇宙人・ゼイビアックス将軍に立ち向かう設定になっている。仮面ライダーは元々は異世界ベンタラの騎士だったが、ゼイビアックスに敗北して全滅しカードデッキを奪われ、今度はベンタラのパラレルワールドである地球が狙われている勧善懲悪物にアレンジされている。ベンタラの人間達はゼイビアックスにより尽く攫われてしまった為、ミラーワールドのように建物のみ残った誰も居ない空間となっている。
- 変身ポーズは全員共通。カードデッキを左手で高く持つだけでベルトが出現して(鏡は不要)、「KAMEN RIDER!(カァメンライダァ!)」と叫んでからカードデッキを装着すると変身する(日本語吹替でも変身する時にはネイティブ風のカァメンライダァ発音で統一)。
- 戦いに敗れてもライダーは死なない。その代わりに「ベント」なる現象が発生し、敗れたライダーは光の粒子と化して異次元・アドベント空間に冷凍睡眠の状態で飛ばされてしまう。アドベント空間は本来ならば傷つき倒れたライダーを保護する為に存在する、安全装置のような空間であったのだが、そこに行き来してライダーを復活させられるアドベントマスターがゼイビアックスの手により消息不明となってしまった為、一方通行で戻れない牢獄となってしまった経緯が明かされる。
- カードデッキは決して破壊されない。デッキには使用者のDNAパターンが記録されており、登録されたDNAの保持者しか変身できない。だがゼイビアックスは接触した地球人にカードデッキを渡し、手駒のライダーとしている。その真相は……
- 変身者がベントされても、そのアドベントビースト(契約モンスター)は解放されない。ただし、任意の解放は可能。解放された野良モンスターはただ彷徨うだけの存在で、人間は襲わない。
- ゼイビアックス配下のモンスター達についても基本的に人間の殺害はせず、地球人を奴隷とする計画の一環で誘拐を行っている。この為、劇中では行方不明者の増加が騒がれている。誘拐された後、元の地球に帰還した犠牲者も居るのだが、いずれも魂が抜けたような虚ろな抜け殻状態になってしまっている。
“悪の宇宙人ゼイビアックスは既に異世界ベンタラを侵略した後、そのパラレルワールドである地球に目を着け、更なる侵攻を開始しようとしている” のが物語の始まりである。
上記にある通り戦いに敗れたライダーは死亡するのではなく、魂がアドベント空間に幽閉されてしまう。これはアメリカの子供向け番組の規制によるものだが、この設定により「龍騎」とは異なる一本の連続ストーリーが作り出されている。
「戦わなければベントされるぞ!」
「僕はベントするのもベントされるのもイヤだ!」
しかしながら、この連続ストーリーが難解と受け取られ、またいくら言葉で誤魔化しても実質的に人が死ぬような展開であり、やはり暗めなストーリーなので、明快な内容で人気を得ているパワーレンジャーとは対照的にアメリカではイマイチ人気が出ず、テレビ放送は第38話で打ち切り、残り2話は後日ネットで公開された。
一方で「龍騎」で提示された「多くの人を救う為に1人を犠牲にするのと、1人を救う為に多くの人を苦しめるのと、どちらが正しいのか?」とする疑問に対して、主人公キット・テイラーは「血はモーターオイルよりも濃い」「天秤じゃない」(=どちらも正しくない。全ての人を救える道を探せ)とハッキリとした結論を示して仲間を牽引し、14人がかりでラスボスを撃退し、見事な大団円を成し遂げている。
その為か、本来はアメリカの子供達がターゲットであったはずなのだが、それを差し置いて日本の特撮ファンにコアな人気を博し、続編小説が日本語のみの書き下ろしで登場する事態となった。
登場人物
仮面ライダー
カッコ内は日本版での名称。
変身者 | ライダー | 俳優 | 吹替 |
---|---|---|---|
キット・テイラー | 仮面ライダードラゴンナイト(龍騎) → 仮面ライダーオニキス(リュウガ) | ステファン・ランスフォード | 鈴木達央 |
レン | 仮面ライダーウイングナイト(ナイト) | マット・マリンズ | 松田悟志 |
リッチー・プレストン | 仮面ライダーインサイザー(シザース) | トニー・モーラス | 高橋広樹 |
ドリュー・ランシング | 仮面ライダートルク(ゾルダ) | クリストファー・フォリー | 遊佐浩二 |
グラント・ステイリー | 仮面ライダーキャモ(ベルデ) | クリストファー・バーバーズ | 松田賢二 |
ブラッド・バレット | 仮面ライダートラスト(ガイ) | キース・ストーン | 山本匠馬 |
ジェームズ・トレードモア(JTC) | 仮面ライダーストライク(王蛇) | スコット・ベイリー | 杉田智和 |
クリス・ラミレス | 仮面ライダースティング(ライア) | マイケル・カーデル | 神谷浩史 |
ケイス | 仮面ライダーセイレーン(ファム) | キャリー・レシェンバック | 沢城みゆき |
ダニー・チョウ | 仮面ライダーアックス(タイガ) | マイケル・モー | 櫻井孝宏 |
アルバート・チョウ | 仮面ライダースピアー(インペラー) | トニー・サノ | 村井良大 |
ヴィック・フレイザー | 仮面ライダーラス(オーディン) | マーク・ワイスラッチ | 石川英郎 |
アダム | 仮面ライダードラゴンナイト(初代) | ステファン・ランスフォード | 鈴木達央 |
マヤ・ヤング | 仮面ライダーセイレーン(2代目) | エイリア・アリスター | 芳賀優里亜 |
ユーブロン | アドベントマスター(オルタナティブ・ゼロ) | マーク・ダカスコス | 小山剛志 |
キット達の周辺人物
トレント・モーズリー | タイラー・エマーソン | 梶裕貴 |
レイシー・シェリダン | マリーザ・ローレン | 小松由佳 |
フランク・テイラー | ジェフ・デイヴィス | 小山力也 |
グレース・キーファー | ヴィクトリア・ジャクソン | 山下亜矢香 |
ミシェル・ウォルシュ | キャシー・クリストファーソン | 沢海陽子 |
フィリップス捜査官 | ジャミソン・ジョーンズ | てらそままさき |
ブランドン | ブライアン・ノリス | 間島淳司 |
フィッシュ | オミ・パイディア | 碓氷剛史 |
サラ | カミラ・グリーンバーグ | 秋山莉奈 |
ベンタラの戦士
プライス/仮面ライダーストライク(初代)
チャンス/仮面ライダートルク(初代)
ハント/仮面ライダーアックス(初代)
ゼイビアックス軍
小説オリジナルキャラ
主題歌
英語版主題歌「KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT OPENING THEME」
原語版のOP。
出だしから「仮面ライダードラゴンナイト」を連呼する、流石アメリカと言わざるを得ないほどド直球のシロモノとなっており、ネットではドラゴンナイト=コレ扱いほど有名なネタとして扱われる。
よく「クァーメライダー ドラゲンッナイッ!」と表記されるがオンドゥル語ではなくて、こんな内容。
KAMEN RIDER Dragon Knight! together we can fight the fight!
KAMEN RIDER Dragon Knight! together we can fight the fight, so Let's Ride!
ただし、上記の通り作風を丸ごと変えねばならぬほどに、表現規制と挑戦が厳しいアメリカでは当然の成り行きかもしれない。そう考えるとドラゴンナイトの作品自体を象徴しているようで、何とも感慨深く思えてくる…
「レッツラァーーーイ…」
地上波・日本語版主題歌「DIVE INTO THE MIRROR」
唄 -defspiral
イントロは『龍騎』の「Alive A life」を髣髴とさせるものだが、そこから急転して上記原語版OPの主旋律が流れ、サビで最高潮に達する。
無限の世界に飛び込め今
(クァーメライダー ドラゲンッナイッ!)
閉ざされたドア開いて
(トゥギャザー ウィーキャン ファイトゥファイッ!)
こんな感じで芸が細かい。
地上波・日本語版エンディングテーマ「ANOTHER WORLD」
唄 - キット&レン(鈴木達央&松田悟志)
シングルでは、キットとレンだけのソロバージョンも収録されている。
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第一シーズン | |
第1話 | ドラゴンを探せ |
第2話 | ドラゴンとの契約 |
第3話 | 仮面ライダーインサイザー |
第4話 | ライダーへの挑戦 |
第5話 | 2つの力 |
第6話 | 仮面ライダートルク |
第7話 | 敵か味方か |
第8話 | 仮面ライダーキャモ |
第9話 | 仮面ライダートラスト |
第10話 | バトルクラブ |
第11話 | 勝利か消滅か |
第12話 | 仮面ライダースティング |
第13話 | ハンティング |
第14話 | 悪魔の約束 |
第15話 | 選ばれし者たち |
第二シーズン | |
第16話 | グラマシーの英雄 |
第17話 | 3つの力 |
第18話 | チョウ兄弟 |
第19話 | センパーファーイ |
第20話 | 戦場からの手紙 |
第21話 | 兄弟の最期 |
第22話 | セイレーンの帰還 |
第23話 | 服従か復讐か |
第24話 | 黒の誘惑 |
第25話 | 家族の肖像 |
第26話 | 仮面ライダーラス |
第27話 | ノーマン |
第28話 | 囚われのドラゴンナイト |
第29話 | 嵐の前の静けさ |
第三シーズン | |
第30話 | スワン・ソング |
第31話 | 赤龍落つ |
第32話 | アドベントマスター |
第33話 | アダム |
第34話 | 黒龍見参 |
第35話 | 堕ちた英雄 |
第36話 | 裏切りの連鎖 |
第37話 | 内なる敵 |
第38話 | 滅亡へのカウントダウン |
第39話 | ベンタラと地球に |
第40話 | キットの物語 |
余談
本作がコケたせいで立ち消えとなってしまったが、実は次回作も構想されており、その際には『龍騎』の次回作である『仮面ライダー555』をローカライズする予定だった。