概要
愛称は「靖子にゃん」で、名付け親は東映の武部直美プロデューサー。
経歴
1965年4月7日生まれ。東京都出身。
元々シナリオ作成術を持つ会社員だったが、ある日たまたま『特警ウインスペクター』を見て特撮に興味を持ち、どうすれば関われるのかわからなかったため企画書をメールで送ったところ、たまたま当時の堀長文プロデューサーの目にとまり、毎週台本が送られてくるようになる。
その後本格的に勉強することを決意し、改めてシナリオライター養成学校に入学。
1993年『特捜ロボジャンパーソン』でデビュー。
1998年『星獣戦隊ギンガマン』でメインライターを任される。
2010年代ごろからは『ジョジョの奇妙な冒険』や『進撃の巨人』といった人気アニメのヒットに貢献し、アニメ脚本家としても高い評価を得ることとなった。
作風
- 子供向けが基本の特撮ヒーロー番組の中でも、特に重くシリアスな展開を得意とし、一見明るい作風に見えても、その裏に重く暗い設定が散りばめられていることも少なくない。以上により、ファンからは親しみを込めて「黒靖子」「外道衆」とも評されることも。
- その過程でストーリー描写や設定がかなり難解になることもある。特にSF色の強い『未来戦隊タイムレンジャー』の設定は非常に複雑。同じ時間物である『仮面ライダー電王』では、公式HPに設定解説コーナーを用意するほど難解な設定を用意し、「わからない人はわからないままでも、イマジン達で楽しめるようにする」と言う開き直りまで見せている(HPを担当したのは当時のチーフプロデューサーである白倉伸一郎。ちなみに、本人もこれに関しては「失敗した」と反省している様子。)。
- 丁寧かつ巧みな物語作りや伏線回収に定評があり、物語終盤に思わぬどんでん返しを用意していることも多い。また、『仮面ライダー電王』ではヒロインを演じた白鳥百合子の降板トラブルをうまくストーリーに絡めて着地させており、アドリブ力も高い。
二人目のレッド
なお、彼女がメインライターを務めた戦隊には「赤が二人」という法則がある。
- 『ギンガマン』:リョウマ(ギンガレッド)とヒュウガ(当初のギンガレッド、後に黒騎士)
- 『タイムレンジャー』:タイムレッドとタイムファイヤー(+リュウヤ版タイムレッド)
- 『シンケンジャー』:シンケンレッドが当主と影武者
- 『ゴーバスターズ』:レッドバスターとダークバスター
- 『トッキュウジャー』:トッキュウ1号とこどもトッキュウ1号(同一人物だがVシネにてまさかの共闘)
更に赤い戦士は終盤までのストーリーに欠かせないキャラとなる。
人物
- 自らのことを厳密には"脚本士"であると語っている。自分は他の有名作家や脚本家のように自分にしか書けないものがあるタイプではなく、渡された作品やキャラクターの魅力を映像的にどう伝えるべきかを考え、これまで培ってきたシナリオライティングの技術を駆使してそれを実現しているのだと自己を認識しているとのこと。
- 台詞を考えるのは好きだが小説の地の文は苦手とのことで、『夢使い』のノベライズを台本形式で発表した際には後書きでそのことを謝っている。そのためか、仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズにおいて自身が手がけた作品の小説版は他の脚本家が担当している。
- キャラをしっかり掴めないと話を書けないため、登場人物の数が多い場合は、動かすキャラを絞る傾向がある。『シンケンジャーVSゴーオンジャー』ではゴーオンジャー側、『電キバ』ではキバ側の描写が少ない。
- メインライターを務めた作品で他のライターが脚本を執筆する際には、「監修」「脚本協力」といった形でクレジットされることがある。
- 「アニメだと普通に見られるものでも、実写だとあり得ないと思ってしまうことがある」という考えを持っており、アニメのシーンを実写に落とし込む際にはそれが現実の世界で起こったとしても本当に違和感なく演出できるかどうかを吟味するという。
- その例として、『岸辺露伴は動かない』の「背中の正面」の脚本を執筆した際、露伴が通行人の背中にピッタリ背中合わせでくっついて歩き、背中を見られないようにするという原作のシーンが本当に実行可能なのか自分自身で検証したと証言している。なお、結果は「意外に気付かれなかった」とのことで、それならば実写作品でも不自然なく取り入れることができるだろうと考え、ドラマ本編で露伴が通行人を利用してその場をやり過ごそうとするあの珍妙なシーンが再現されることとなった。
関連人物
井上敏樹は、平成ライダーシリーズにおいて小林と人気を二分する脚本家だが、当人たちは公私ともに仲が良いという。ただし井上が小林の新居祝いに料理を作りに来た際に片付けも何もしなかったせいで暫く連絡が不通になったことがある。
逆に両澤千晶とは不仲であった、と言う噂がある。『GEAR戦士電童』の執筆の際に対立したとされるが、いろいろな説がありソース不明。ただ、『電童』を降板したのは事実である。
また、香村純子は小林の脚本家デビューに関するとある有名な逸話を知り、小林靖子に出来た事なら自分にもできるはずと思った事が脚本家を目指したきっかけである。
作品リスト
特撮
『星獣戦隊ギンガマン』1998-1999年
『未来戦隊タイムレンジャー』2000-2001年
『仮面ライダー龍騎』2002-2003年
『美少女戦士セーラームーン』2003-2004年
『仮面ライダー電王』2007-2008年
『侍戦隊シンケンジャー』2009-2010年
『仮面ライダーOOO』2010-2011年
『特命戦隊ゴーバスターズ』2012-2013年
『烈車戦隊トッキュウジャー』2014年-2015年
『仮面ライダーアマゾンズ』2016年
『仮面ライダーアマゾンズ season2』2017年
ドラマ
『岸辺露伴は動かない』2020年-2024年
『犬神家の一族』2023年
実写映画
『絶狼-ZERO- -BLACK BLOOD-』2014年
『映画刀剣乱舞-継承-』2019年
『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』2023年
テレビアニメ
『DINOZAURS : THE SERIES』2000年
『あぃまぃみぃ!ストロベリー・エッグ』2001年
『ごくせん』2004年
『灼眼のシャナ』2005-2006年
『夢使い』2006年
『ウィッチブレイド』2006年
『CLAYMORE』2007年
『BLASSREITER』2008年 - シリーズ構成は虚淵玄
『キャシャーンSins』2008-2009年
『ジョジョの奇妙な冒険』2012年-2022年
『進撃の巨人』2013年-2019年
『賭ケグルイ』2017年-2019年
『どろろ』2019年
アニメ映画
『劇場版 遊☆戯☆王』1999年
『デジモンテイマーズ 冒険者たちの戦い』2001年
『劇場版 灼眼のシャナ』2007年
『TRIGUN Badlands Rumble』2010年
『劇場版 ハヤテのごとく! HEAVEN IS A PLACE ON EARTH』2011年
『GARO 薄墨桜』2018年
舞台
『平家物語-胡蝶の被斬-』2025年
ゲーム
『ワンダーグラビティー ピノと重力使い』2019年
漫画
『ウィッチブレイド丈流』2006年
『アンロック』2017年
『断罪六区』2022年
著作
『小説夢使い 心の言葉・繭子の日記』2007年