スタンド使いは スタンド使いにひかれ合う!
概要
荒木飛呂彦原作の漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の副題。単行本では29-47巻にあたる。
連載当時の副題は「第4部 東方仗助」で、記事名の表題は後につけられたものである。三石由起子の小説『ダイアモンドは傷つかない』が元ネタと思われる。
なお、文庫版で付けられた日本における公式な英語表記は「Diamond is not Crash」だが英語としては誤った表現であるため、英語圏およびPS3ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険オールスターバトル』では「Diamond is unbreakable」のタイトルで発表されており、後述するアニメ版でも製作チームが「ジョジョの奇妙な冒険DU 制作委員会」という表記になっている。
あらすじ
1999年、空条承太郎は祖父ジョセフ・ジョースターの隠し子である東方仗助の元へと訪れる。
彼の住む町、杜王町では最近不可解な事件が起きていた。
彼らは平凡な日常を送りながらも、町に潜むどす黒い闇に立ち向かっていく。
特徴
第5部「黄金の風」と並んで、ジョジョシリーズの中では比較的独立した部となっている。
前作「スターダストクルセイダース」までとは違い、杜王町という日本にある架空の町の中だけでストーリーは進行する。序盤はスタンドを生み出す石矢を巡る争い、そして中盤から登場した殺人鬼・吉良吉影がラスボスとなり、彼から町を守るべくスタンド使い達が奮闘する。
登場人物達はごく普通の日常生活を送る中で時折事件に遭遇するという形式になっており、「日常の中の非日常」が描かれるというシリーズ中でも異彩なストーリーが展開されそういった面を好むファンも多い。
また、スタンド能力を使用しての犯罪行為はスタンド能力を持っている者にしか認知する事が出来ず能力的にも法的にも警察組織では対応できない点が強調されており、「スタンド能力者の犯罪行為を阻止し、必要とあれば報いを受けさせる」というのが主人公側の基本的なスタンスとなっている。ともすれば法律で裁けない悪人と戦っているとはいえ私刑とも取られかねない(というより実際に私刑)スタンスだが、作中で主人公側が実際に殺害したのは鼠と幽霊(?)だけである点も他の部には無い特徴である。元々、平和な日本を舞台にした事に加え、中には戦闘力がほぼ皆無で人の為に役立つ能力を発揮するスタンド等もおり、そういった点も、殺伐とした戦いや展開の多いジョジョ本編の中でも極めて異色と言える。
前後の3部、5部と比べ直接戦闘向きでないスタンドも多い。これは、スタンドの矢によって不意にスタンドを発現させてしまったからである。そのためバリエーションも料理、美容など様々。
また、本章はおそらく全シリーズの中でもコメディタッチの使用が最も多く、ギャグ顔なども盛んに登場している(特にストーリー序盤から中盤にかけて)。
また、スタンド能力のタイプ分けや上述されている「スタンド使いは スタンド使いにひかれ合う」というスタンド関連の設定が確立された作品でもある(超能力を可視化する表現手法としてスタンド能力を設定した作者の意向が反映されているのか、登場人物の中で戦闘用として能力を使用しない能力者も少なくない)。
この作品は、作者が若手から中堅、ベテランへと立場が変わりその作風が固まっていった時期でもあるため、全編中最も画風の変化が激しい部となっている。
特にキャラクターのビジュアルの変化は顕著で、序盤の男性キャラクターが1部以来の北斗の拳や魁!!男塾に代表される80年代アクション漫画の影響を強く受けた、逞しい体躯と精悍な面持ちであったのに対して、後半以降スリムで女性的になっていき、一般の漫画ファンがイメージするジョジョのスタンダードな画風が確立されていくことになる。
本部以降、物語の西暦が連載時の西暦より先行する事になった。
第8部「ジョジョリオン」でも同名の町が舞台となる。
主要な登場人物
本作の主人公。リーゼントが特徴的な青年。温厚で軽い性格だが髪型を貶されるとキレる。
仗助の親友で準主人公。元々はスタンドすら見えないただの一般人だったが、作中中盤に起きた虹村一家との戦闘で矢を刺されたことでスタンド使いになった。ストーリーが進むごとに成長していく。設定と比べて身長が低すぎる少年。
仗助の親友その2。仗助との戦闘後、仲間になった。よく仗助といっしょにバカやってる相棒的存在。怖い顔つきだが情に厚い性格。
第3部『スターダストクルセイダース』の主人公でDIOを倒した男。ジョセフの隠し子である仗助に会いに杜王町にやってきた場面から物語が始まっており、実質冒頭の主人公である。
『ピンクダークの少年』を連載している人気漫画家。リアリティを徹底的に追及している。強引な性格。仗助達と別行動で活躍することが多い。康一を気に入っている人その1であり、自称親友。
第2部『戦闘潮流』の主人公で仗助の実の父親。かなりボケてきており、危険なスタンド使いを探すために来日した。老齢のためか戦闘シーンは全くないが透明の赤ちゃんを隠者で探すなど要所で活躍する。
「平穏な生活」を望んでいるごく普通な目立たない会社員。しかし実は女性の手を切り取る異常な性癖を持つ恐ろしい殺人鬼。ラスボスを担当。
吉良に殺された犠牲者の幽霊。吉良の殺人を知らせて犯行を食い止めるために、飼い犬のアーノルドと一緒にこの世に留まっていた。
一般人の少年。スタンドは持っていない。当初は屈折した性格だったが作中で大きく成長する。終盤で仗助に協力。
それ以外の登場人物(登場順)
東方家
東方朋子
仗助の母。スタンドは使えない。
東方良平
仗助の祖父。祖父だが歳は義理の姉である空条ホリィに近い。スタンドは使えない。
虹村家
虹村形兆 / バッド・カンパニー
億泰の兄。親父を殺してもらうためにスタンド使いを量産している。軍隊の様なスタンドを持つ。
虹村父(虹村万作)
億泰と形兆の父。肉の芽の暴走で奇妙な姿になっている。
肉の芽がDIOの細胞で出来ているせいか、再生能力がある模様。
広瀬家
広瀬綾那(CV:武田華)
康一の姉。
ポリス
広瀬家で飼っている犬。
康一の母(CV:長尾歩)
綾那と康一の母。
形兆の矢でスタンド使いになった者
片桐安十郎(アンジェロ) / アクア・ネックレス
連続殺人鬼。水と同化したスタンドを持つ。
小林玉美 / ザ・ロック
ゆすりや。康一を気に入っている人その2。スタンドは取り付けた人の罪悪感に比例して重くなる。
間田敏和 / サーフィス
暴力的で小心者。康一を気に入っている人その3。他人に変身し、藁人形の様に相手を傷つけるスタンドを使う。
山岸由花子 / ラブ・デラックス
康一を気に入っている人その4。一方的に康一を愛していたが最終的に相思相愛になった女子高生。自分の髪の毛を操る。
音石明 / レッド・ホット・チリ・ペッパー
ギターが好きな青年。電気と同化し、電気を操るスタンドを持つ。
ネズミ(虫喰い) / ラット
知能の高いネズミ。肉を溶かす銃を撃つ砲台がスタンド。
厳密には音石の矢で誕生したスタンド使いだが便宜上、ここに記す。
矢安宮重清(重ちー) / ハーヴェスト
ケチな中学生。群体型のスタンドを使う。戦闘後は仗助の仲間になるが・・・。
川尻家
川尻浩作
早人の父親。生前の姿は全く出てこない。
作中での登場の殆どが彼に成り済ました吉良なため、彼の名前が出てくるときは大概吉良のことを指している。
川尻しのぶ
早人の母親。夫の変わりぶりに驚愕している。
吉良吉廣(写真のおやじ) / アトム・ハート・ファーザー
吉良の父親。既に故人だが、能力で幽霊として現世に留まり、吉良のサポートをしている。写真の中に存在し、写っているものに干渉できる。
写真のおやじの矢でスタンド使いになった者
大柳賢(ジャンケン小僧) / ボーイ・Ⅱ・マン
露伴にジャンケン勝負を仕掛けたスタンド使い。ジャンケンに負けた相手のスタンド能力を三分の一だけ奪う。
噴上裕也 / ハイウェイ・スター
相手を臭いで追跡する。戦闘後、仗助の仲間になった。分裂して小さくなり、匂いで相手を追跡するスタンドを持つ。
猫草(タマ) / ストレイ・キャット
唯一吉良を襲ったキャラクター。後に吉良に利用される。自分の周囲の空気を自在に操る。
宮本輝之輔 / エニグマ
恐怖を観察するのが好き。ものを紙に封印する。
乙雅三 / チープ・トリック
露伴の家に来た。「本体を殺害すること」しか出来ない凶悪なスタンドを持ち、それを持て余している。彼のスタンドが最後の敵で今作の準ラスボス(ジョジョの奇妙な冒険)。
その他のスタンド使い
トニオ・トラサルディー / パール・ジャム
シェフ。仗助に敵と勘違いされた。食べ物に紛れ込み、食べた相手を健康にするスタンドを使う。
静・ジョースター / アクトン・ベイビー
ストレスを感じると自分や周囲のものを透明にする赤ちゃん。ジョセフに拾われ、彼のボケを解消させた。
辻彩 / シンデレラ
整体師。骨格すらも変形させる整体を行うスタンド使い。
鋼田一豊大(偽名) / スーパーフライ
待ちはずれに住む青年。人一人を閉じ込められる鉄塔のスタンドを持つが、自分が囚われてしまっている。
支倉未起隆(ヌ・ミキタカゾ・ンシ) / アース・ウインド・アンド・ファイヤー
宇宙人と名乗る青年。自分の体と身につけたものを自由に変形させる能力を持つが、本人は宇宙人としての能力だと主張しており、真相は不明。吉良の親父の矢に当たってもスタンドが発現しなかった。
TVアニメ版
2015年10月24日、テレビアニメ化が発表された。2016年春アニメとしてTOKYOMX、MBS、東北放送、BS11、アニマックスで放送された。スターダストクルセイダースのネット局からCBCとRKB毎日放送が離脱となった。
放送は2016年4月2日にスタート。
心配事の一つであった「サザエさん」等の他作品名は無事に使用され、雰囲気を崩すことがなくなっている。その他「たべっ子どうぶつ」や「PEPSIの看板」もメーカー協力の元無事劇中に登場している。
内容充実の為か次回予告は本放送ではタイトルのみで、本格版はWEBで公開となっている。その際の掛け合いが同じ音響監督が手がけた作品を彷彿とさせる。
サブタイトル・敵
第1クール
1 | 空条承太郎!東方仗助に会う | 承太郎、アンジェロ |
2 | 東方仗助!アンジェロに会う | アンジェロ |
3 | 虹村兄弟その1 | 億泰 |
4 | 虹村兄弟その2 | 虹村形兆 |
5 | 虹村兄弟その3 | 虹村形兆 |
6 | 広瀬康一 | 小林玉美 |
7 | 間田敏和 | 間田敏和 |
8 | 山岸由花子は恋をするその1 | 山岸由花子 |
9 | 山岸由花子は恋をするその2 | 山岸由花子 |
10 | イタリア料理を食べに行こう | (特になし) |
11 | レッド・ホット・チリ・ペッパーその1 | 音石明 |
12 | レッド・ホット・チリ・ペッパーその2 | 音石明 |
13 | やばいものを拾ったっス! | (特になし) |
第2クール
14 | 漫画家のうちへ遊びに行こうその1 | 露伴 |
15 | 漫画家のうちへ遊びに行こうその2 | 露伴 |
16 | 「狩り」に行こう! | 虫喰い、虫喰いでないもの |
17 | 岸辺露伴の冒険 | 振り向いてはいけない小道 |
18 | 「重ちー」の収穫その1 | 重ちー |
19 | 「重ちー」の収穫その2 | 重ちー |
20 | 山岸由花子はシンデレラに憧れる | (特になし) |
21 | 吉良吉影は静かに暮らしたいその1 | 吉良吉影(但しまだ戦闘しない) |
22 | 吉良吉影は静かに暮らしたいその2 | 吉良吉影 |
23 | シアーハートアタックその1 | 吉良吉影 |
24 | シアーハートアタックその2 | 吉良吉影 |
25 | アトム・ハート・ファーザー | 吉良吉廣 |
26 | ジャンケン小僧がやって来る! | ジャンケン小僧 |
第3クール
27 | ぼくは宇宙人 | 仗助 |
28 | ハイウェイ・スターその1 | 仗助、噴上 |
29 | ハイウェイ・スターその2 | 噴上 |
30 | 猫は吉良吉影が好きその1 | 猫草 |
31 | 7月15日(木)その1 | 鋼田一豊大 |
32 | 7月15日(木)その2 | 鋼田一豊大、エニグマ |
33 | 7月15日(木)その3 | エニグマ、チープ・トリック |
34 | 7月15日(木)その4 | チープ・トリック、川尻浩作 |
35 | アナザーワン・バイツァ・ダストその1 | 川尻浩作 |
36 | アナザーワン・バイツァ・ダストその2 | 川尻浩作 |
37 | クレイジー・Dは砕けないその1 | 川尻浩作 |
38 | クレイジー・Dは砕けないその2 | 川尻浩作 |
39 | さよなら杜王町-黄金の心 | 川尻浩作 |
スタッフ
原作 - 荒木飛呂彦
ディレクター - 津田尚克
シリーズディレクター - 加藤敏幸
シリーズ構成 - 小林靖子
キャラクターデザイン - 西位輝実
スタンドデザイン・アクション作画監督:三室健太
サブキャラクターデザイン - 石本峻一
プロップデザイン - 室谷幸稔、棚沢隆
美術設定 - 青木薫、長澤順子
色彩設計 - 佐藤裕子
美術監督 - 吉原俊一郎、加藤恵
撮影監督 - 山田和弘
編集 - 廣瀬清志
音響監督 - 岩浪美和
音楽 - 菅野祐悟
アニメーション制作 - david production
製作 - ジョジョの奇妙な冒険DU製作委員会
主題歌
今回OPは1クール毎に変更される。
OP(第1クール)
「Crazy_Noizy_Bizarre_Town」
歌:THE DU(城田純/和田泰右/Jeity) / 作詞:こだまさおり / 作曲:小田和奏 / 編曲:MACARONI☆
THE DUは同曲のために結成されたユニット。
なお、作曲の小田氏は第2部OP曲の歌手「Coda」と同一人物であることが明かされている。
「Crazy Noizy Bizarre Town ~EDM Arrenge ver.~」
歌:THE DU / 作詞:こだまさおり / 作曲:小田和奏 / 編曲:田中義人・鈴木Daichi秀行
カップリングの別アレンジバージョン。
8・9話でのみ使用。ちなみに彼女が登場する回である。
OP(第2クール)
「Chase」
歌:batta / 作詞・作曲:ホシノタツ / 編曲:batta
OP(第3クール)
「Great_Days」
歌:青木カレン・ハセガワダイスケ / 作詞:エンドケイプ / 作曲・編曲:菅野祐悟
ED
「I Want You」
歌:Savage Garden
放送中の5月25日に同曲を含めたベストアルバムが発売され、限定生産版は『ジョジョ』仕様のパッケージとなる。
ボーカルのダレン・ヘイズも起用に関しtwitter上で好意的なコメントを残している。
「Great Days-Units Ver.-」
歌:JO☆UNITED(富永TOMMY弘明/Coda/橋本仁/城田純/和田泰右/Jeity/ホシノタツ/青木カレン/ハセガワダイスケ) / 作詞:エンドケイプ / 作曲・編曲:菅野祐悟
最終話のみ使用。1~4部のOP歌手全員によるオールスターバージョン。
実写作品
実写映画
ワーナーブラザースジャパンおよび東宝の共同制作という形で実写化されることになった。
タイトルは『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』で、2017年8月4日に公開された。
第一章としているのは、第4部の話を映画一本でやり切るのは困難なことと、客の応援次第で第4部をすべてやっていきたいとの考えから。
また題材として第4部が選ばれたのは「日本人が主人公で日本を舞台にした作品」であることも大きい様子(他の部は外国や外国人が主軸であるため、読者の間でも日本での実写化は困難であると考えていた人も少なくない)。
なお、東宝の関係者曰く「あんな壮大なスケールの作品の実写化はムリだろうな、と思っていた。映画化出来なかった最後の原作と言っていいでしょうね」とのこと。
ジョジョを知らない視聴者からはそれなりに好評ではあったものの、ジョジョファンからの評価はお世辞にも高いとは言えず、特に第4部という長い物語を一本の映画に詰め込んだ事による原作改編及びキャスティング面に関してはかなり批判的な評価となっている(よく言われるのが伊勢谷友介は承太郎よりも吉良吉影の方が適役だったという意見だろう)。更に、運悪く同時期に公開された銀魂が大ヒットを記録したことにより比較され、興行的に爆死に終わってしまった。もし公開時期がずれていたなら続編が見れた可能性があったとすると実に残念な話である。
監督
三池崇史
キャスト
東方仗助 - 山崎賢人
広瀬康一 - 神木隆之介
虹村億泰 - 真剣佑
山岸由花子 - 小松菜奈
虹村形兆 - 岡田将生
片桐安十郎 - 山田孝之
空条承太郎 - 伊勢谷友介
東方朋子 - 観月ありさ
東方良平 - 國村隼
岸辺露伴は動かない
4部のスピンオフの実写ドラマ化。制作はNHK。
こちらは無理なく原作を実写に落とし込んでおり、高い評価を得ている。
詳細はリンク先を参照。
余談
ジョジョ連載25周年の2012年、カプコンの『モンスターハンター3G』でコラボレーションが行われた。このうち、とあるコラボクエストが尋常ではない難易度を誇るクエストとして、プレイヤーの間では話題になった。詳細はリンク先を参照。
関連タグ
← 第3部 | 第4部 | 第5部 → |
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「スターダストクルセイダース」 | 「ダイヤモンドは砕けない」 | 「黄金の風」 |
荒木飛呂彦 ジョジョの奇妙な冒険 ジョジョ JOJO 4部
スタンド スタンド使い ジョジョの奇妙な冒険・スタンド一覧 混部
杜王町 ガオン だが断る じゃんけん 黄金の精神
岸辺露伴は動かない:四部に登場する岸辺露伴を主人公(読み手)にしたスピンオフシリーズ。OVA化・実写ドラマ化もされるなど高い人気を誇る。
デッドマンズQ:四部に登場する吉良吉影のその後を描いた後日談
魔少年ビーティー:荒木飛呂彦の連載デビュー作。セルフオマージュの意図があったのか不明だが本作に通じる要素がある。
2016年春アニメ