概要
『ピンクダークの少年』とは、『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する岸辺露伴が16歳の時から連載しているデビュー作であり、週刊少年ジャンプ掲載の漫画作品である。
連載開始は1995年で、そこから2012年3月現在(第6部時点)まで約17年以上に渡って連載されている。厳密な公式ではないが、第4部の後日談を書いたスピンオフ小説「The Book」によると、2000年(第4部から半年後の冬)の時点で第3部完結。また、同じくスピンオフ小説「JORGE JOESTAR」の記載によると、2012年の段階で『ピンク・ダークの少年』Part8連載中・既刊112巻とある。また、2020年の実写ドラマ版での露伴の発言によると、作中現在第8部連載中らしい。
本編中でも、広瀬康一、間田敏和、小林玉美などがファンであることを明言している(『武装錬金』の武藤カズキもファンらしい)。国外でも台湾やヨーロッパでは出版されているが、英訳版は未刊行。このことに対して本人は「アメリカ人はセンスがダサイから僕の漫画を理解できない」とのこと。また、2012年に開催されたジョジョ展で配布された杜王新報によると、『ピンクダークの少年 岸辺露伴の追憶展』と題して、もりおうメディアテークにてピンクダークの少年も含めた初の原画展を開催した。なお、ヨーロッパでの個展にも意欲的らしい(開催時期としては1面の記事の内容を見る限り第4部の決着がついた直後の1999年夏頃と思われる)。
内容
原作及びスピンオフの内容描写
原作における肝心の内容の描写は台詞なしの数コマと休載の告知ページのみでほぼ皆無に等しい。また、生原稿の描写があるが台詞が抜き取られた虹村形兆、虹村億泰戦の時のコマになっており詳細がわからない。扉絵のファンレターの紹介ページでは、絵柄など好みがはっきり分かれるような作品であることが示唆されている。原作の広瀬康一の説明によると、「いわゆるサスペンス・ホラー的な作品であり、生理的に気持ち悪い(グロテスクな)シーンもあるが、迫ってくるようなスリルと、本当に居るような登場人物が魅力的な漫画」であるという。
よって『ジョジョの奇妙な冒険』や荒木飛呂彦作品初期の『魔少年ビーティー』に近い作風であることが予想される。
また、「The Book」の記述によると、特徴的な擬音、コミック表紙に描かれた登場人物のカッコいいポーズという特徴や露伴曰く、第9部までのストーリーや台詞は脳内で全て完成しており、後は描くだけであるとも述べており、よりジョジョに近い印象を受ける(第9部まで構想があるという点に関しては実際のジョジョと同じである)。実際にTVアニメ版のEDや実写ドラマ版ではその特徴をより意識して製作していることがわかる。
ただ、後述の2016年に開催されたウルトラコミック大賞の応募条件の際、内容について特に指定はなかったので、実際のところ公式サイドでもピンクダークの少年の漫画の内容に関する設定が定まっていない可能性がある。
また、「岸辺露伴は動かない」の一エピソード・"懺悔室" では、露伴がストーリー新展開のためにイタリアに取材旅行をしたとのことなので、もしかしたらイタリアに関するエピソードが存在するのかもしれない(脚注1)。
同 "ホットサマー・マーサ" ではホットサマー・マーサなるキャラの新登場を巡る泉京香との打ち合わせが描かれている。
TVアニメ版及びドラマ版などの内容描写
2016年に放映された『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』では、コマ数の描写がさらに増え、EDでも少年ジャンプで巻頭カラーを飾るピンクダークの少年などを見ることができる。また、ピンクダークの少年の漫画が一般的な漫画に比べて大きい(上段の辞書や図鑑と同じくらい分厚い)ことから、既にJOJONIUMのような愛蔵版が出ていることも示唆されている(さらには前述の『魔少年ビーティー』や『ゴージャス★アイリン』なども)。
2020年に放映された実写ドラマ版『岸辺露伴は動かない』では、製作がNHKであるためなのか、掲載している雑誌の名称が“集明社の週刊少年ジャンボ”という架空のものへと変わっている。
また、作中には『ピンクダークの少年』の原稿と単行本が登場するが、これらのイラストはイラストレーターの蒼木雅彦氏が手掛けており、コマ割りのあるページについては、実際に荒木飛呂彦氏がネームを切ってくれたとのこと。
2021年放送の第2シーズンでは、露伴がファンの子供にサインをする際、『ピンクダークの少年』の主人公を一緒に描き込んであげる一幕がある。また、第5話のエンディングでは露伴が劇中描いていた『ピンクダークの少年』の原稿の完成版が流れるというニクい演出があった(ちなみに、こちらも実際には荒木氏が切ったネームを蒼木氏が描くという方法で描かれている)。
スタンドとの関連
露伴のスタンドであるヘブンズ・ドアーは、『ピンクダークの少年』の主人公(名称不明)と同じ姿をしている。ただ、『岸辺露伴は動かない』の六壁坂で再登場した際はロボットに近いデザインに変わっており、ピンクダークの少年で連載されている主人公の姿やデザインとリンクしているのかもしれない。
余談
- ウルトラコミック大賞
あしたのヤングジャンプにおいて、ウルトラコミック大賞のピンクダークの少年部門と題して、「原作でも明らかになっていない『ピンクダークの少年』とはどんな作品だったのか?」というテーマで作品募集が行われた。また、pixiv上でも有志により描かれた『ピンクダークの少年』の漫画が存在する。
- オールスターバトル
オールスターバトルのBGMの中には、同名タイトルのBGM『ピンクダークの少年』が岸辺露伴のテーマ曲として使われている(通称:露伴のテーマ)。
脚注
- 意外にも「岸辺露伴は動かない」などのスピンオフ作品において『ピンクダークの少年』に関する記述が少なく、大抵はそれ以外の読み切りに関するエピソードが多い(未知との遭遇をテーマにしたものやグルメ漫画など)。『ピンクダークの少年』以外にも掛け持ちで連載している作品が存在する可能性もある。