わたしの能力…『天国への扉(ヘブンズ・ドアー)』によって心の扉は開かれる
概要
【破壊力 - D / スピード - B / 射程距離 - B / 持続力 - B / 精密動作性 - C / 成長性 - A 】
第4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場する漫画家、岸辺露伴のスタンド。
本編の始まる3ヶ月程前にスタンド能力を引き出す矢によって発現した(射ったのは虹村形兆)。
スタンド名の元ネタはアメリカのフォークシンガーボブ・ディランの「Knockin' On Heaven's Door」。
スタンド像としてのパワーは遠隔操作型スタンド並かそれ以下と推測される。終盤でキラークイーンを攻撃した際はオラオラのような拳ラッシュを見舞っているが、不発に終わっている。
能力
対象を本にする
人に対して行使することで、対象を本にできる。
ほとんどの場合、顔、腕、手の甲などの身体の一部位の皮膚がめくれてその中にページが出現する形で本になるが、露伴の匙加減次第では四肢をまるごとページに変える事も可能。ドラマ版では人を丸ごと書籍に変える描写も(詳細は余談の項を参照)。
この能力で本にした人間を文字通り「読む」ことで、その人の人となり、経歴、能力、本心といった個人情報を読み解くことがこの能力の主な用途である。
ページに変化させた部位は身体の自由が効かなくなる模様で、度合いによっては対象の行動を縛る事もでき、広範囲を本にすれば身動きを取れなくしたり意識を奪ったりできる。
本化は一時的なもので露伴の意思で一時的に解除が可能。またページを物理的に破り取ることで、能力の一時解除後もページを保管することが可能であるが、対象は失ったページの量に応じて体重が激減してしまう(露伴の気絶などによって能力が完全解除されると破ったページは持ち主の元へ戻る)。
発動条件・対象
能力者である岸辺露伴が描いた漫画を見せ、それを対象が読むことで能力が発動する。
厳密には相手との同調が条件の模様で、対象が露伴の漫画を読んで面白いと思わなければ本にすることはできないらしい。なお、露伴と波長が合うほど能力にかかりやすい。
相手へ見せる作品は漫画の生原稿は勿論、空中に描いた絵程度でも、露伴と波長の合う相手なら発動できる。
さらに効果を発動するには、「見せる漫画は露伴が直筆で描いた生原稿でなければいけない」「生原稿であっても、対象以外の人間が先にその漫画を読んでいてはならない」という面倒な条件が存在し、これをすべてクリアする必要がある。
また、漫画を見せても露伴に「ヘブンズ・ドアー」行使の意図がなければ勝手に発動することはなく、露伴の漫画を読んだ編集者が突然本になるといった騒ぎは起きなかった。
初期は前述の通り『ピンクダークの少年』を絵として描いてスタンドを発現していたが、次第に描くプロセスが省略され『ピンクダークの少年』そのものがスタンド像として確立し、スタンドで相手に触れるだけで本にすることも可能となった。
- ある程度知能を持った動物や幽霊など、自我を持つ存在であれば能力の対象にできる。一方で、死体や無生物など魂が無い者への能力行使は不可能……と思われていたが?(後述)。
- 露伴自身にも能力は使用することができる。ただし自身の遠い記憶と運命は読むことが出来ない。
「本」の内容/「本」への書き込み
- 本には肉体や精神が記憶している「人生の体験」……すなわち「本音」が記されており、この能力を持つ露伴の前で嘘や隠し事をすることは不可能。ただ、あくまでも主観的な事実であるため、本にされた人間が認識していない、気づいていない物事については記述されない。また、未来視など実際に体験していない事についても記述されない模様。露伴もスタンド能力を持っている自覚がないスタンド能力者を本にした際、スタンドの記述がないのを見て「こいつはスタンド使いではない」と早とちりして痛い目を見る失敗をしている。
- ドラマ版では、本の書式はその人物の性格・趣味嗜好を反映して変わるような描写がある。たとえば、記者・編集者なら新聞のゴシップ記事、良家に仕える立場であれば20世紀の文学書籍、泉京香なら文字情報のほとんどない写真集など。
- ドラマ版ではさらに、「本にした対象が外的な理由で記憶・精神に介入されていた場合、該当時点のページに異常な記述が混ざる」ことが描写された。
- 「本」に上から記述を書き込むと、その人物は「書き込んだ通り」になる。書き込んだ内容が命令であれば本人の意思を無視して強制的にその行動をとり、予言(「このことを忘れる」等)であれば本人の能力や力量に関係なくその通りの状態になる。
- ページに書きこむ能力は物理的にあり得ないことでもある程度実現可能。「今すぐ後ろ向きに10m吹っ飛ぶ」と書くと物理法則を無視してその通りに吹っ飛ぶので緊急回避などに応用が効くし、「ネイティブ並にイタリア語を流暢に話せる」と書けば本人にイタリア語の知識が全く無くてもその通りに話せるようになるので、実社会でも優秀すぎる能力。ちなみにチープ・トリックを『決して振り向いてはいけない小道』に連れ込んで始末した際は『地獄に行く』と書き込むという駄目押しをしたが、これは実際にチープ・トリックが地獄に行ったかどうかは不明。
- 上記の描写から一種の現実改変能力があると推測されるが、露伴本人が『リアリティ』を創作の糧にする人間であるため、過度に現実を歪めるような悪用はされなかった。またデスノートの様な恐ろしい使い方も可能と推測されるが、使い手にまだ優しさがある為その様な使われ方は一部を除いてあまりなかった。
- 初期はページに書きこむ能力を行使する際にペンなどの筆記用具を使って書き込んでいたが、スタンド像発現後はスタンドの指でサラサラ書き込めるようになった。
- 露伴曰く書き込む命令は具体的である必要があり、『普通にする』など人によって定義がまちまちな命令は書き込んでも効果が怪しいとのこと。
- ちなみに『岸辺露伴を攻撃できない』と書かれた相手に対し、露伴が「自分にとって不都合な内容でも伝えることを許可する」と言えば一部の制約は解除される(能力自体は継続している)。
- 本化同様に書き込み能力も一時的なものであり、露伴が大きなダメージを受けると書き込んだ命令も解除される。
無敵のスタンド?
一度発動すれば相手の全てを知り全てを支配する能力ゆえ、作中では「無敵」と称されることがあるが、性質上人体に直接触れる必要があるため、ハイウェイ・スター、キラー・クイーンのバイツァ・ダストのような遠隔地から攻撃できるスタンド、そもそも「人体」と呼べるものを持たずに活動できるチープ・トリックのような相手には苦戦を強いられた。
第四部後半で露伴の前に現れた敵は、そのようなヘブンズ・ドアーの真価を発揮できない相手が主であった。
加えて記憶などを読む能力は生きている相手にしか効果が無い。死に瀕している人物をめくると徐々に内容が消えていく様が見られ(『岸辺露伴は動かない』の実写版ではページが黒く塗りつぶされていくという演出になっていた)、完全に死亡すると内容は全て消え、代わりに「死」の文字で埋め尽くされてしまう。
…のだが、能力の成長か、後日にそもそも生物でないものまで本にしだした(後述)。
また、本にした対象が別のスタンドの影響を受けていた場合、露伴まで巻き添えに被害を喰らうこともあり、それに対してヘブンズ・ドアーは無力。
通常であればあり得ないことだが、同様のスタンド能力を持つ相手だと、書き込んだ命令を上書きされて消されてしまう。作中ではボーイ・Ⅱ・マンにスタンドの一部分を奪われた際、それを使って「岸辺露伴を攻撃できない」→「岸辺露伴を攻撃できる」と書き換えられ命令を無効化されてしまった。
容姿
露伴が描く「ピンクダークの少年」の主人公と同じ姿をしている。基本白ベースに黄色淵で塗られていることが多い。少年のような容姿だが本編以外ではロボットぽくなっていたりする。もしかしたら「ピンクダークの少年」に合わせて変化しているのかもしれない。
余談
『岸辺露伴は動かない』エピソード「#07 月曜日 - 天気雨」では
ついに非生物の骨付き肉すらも本にしてみせており、消費期限や原材料、鮮度などを確認して品質チェックを行っていた。
こいつ、どこまで成長するんだ?
2020年12月30日に放送されたエピソード『#8 D・N・A」のドラマ版(第3話)ではなんと人間を完全な本に変えている。
同じドラマ版の1話と2話では原典同様顔にページが現れてパラパラめくれる描写がなされていたため、露伴のスタンド能力(ドラマ内ではあえてスタンドとは呼称せず能力やギフトと言い換えていたが)がさらに成長した結果、人を本そのものに変えられるようになった…という解釈もしうるが、同作のクライマックスでの飛び出す絵本のような描写を見る限り、演出としてあえて原作にはない描写にしたと思われる。
翌2021年に放送された4話からは再び顔がめくれてページが開く演出になっているため、やはり件の演出は3話限定で意図的にそうしたものと見てよさそうである。
【溜池Now!世界一受けたい「ジョジョの奇妙な」授業】内にて、原作者の荒木飛呂彦氏が使ってみたいスタンドに挙げられた。曰く『人の心の中を覗いてみて、その人の謎を見てみたい!』とのこと