曖昧さ回避
- 『Echoes』。イギリスのバンド、ピンク・フロイドの楽曲。1971年発表のアルバム『おせっかい (Meddle)』に収録された23分30秒という長い曲。動画を下掲。
- 『ジョジョの奇妙な冒険』第4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場する広瀬康一のスタンド。本稿で解説。
- 『ECOAS』。『機動戦士ガンダムUC』に登場する特殊部隊。「活動場所を選ばず」を意味する"Earth, COlony, ASteroid"の略で、連邦宇宙軍特殊作戦群のこと。
- 『ブギーポップは笑わない』の登場人物。
- 『ECHOES』。バンドブーム期の1981-1991年に活動していた日本のロックバンドで、作家の辻仁成が所属していた。恐らく1.に由来。
広瀬康一のスタンド「エコーズ」
第4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場する広瀬康一の操るスタンド。
名前はピンク・フロイドの楽曲「エコーズ」から。
ACT1、ACT2、ACT3の3つの形態に進化し、それぞれが違った能力を持つという珍しいタイプ。
ACT1は音を物体に染み込ませ、2は擬音の効果を実体化させ、3は重さを操る。
しかし他の人物と違って、康一は「スタンドの才能がない人物」だったようで、そんなに深くはないはずの矢によって受けた傷で命を落としかけていたが、クレイジー・ダイヤモンドで治療されたことで死だけを回避し、「矢に刺されて生き残った人間」としてスタンドを発現した。
能力に覚醒したばかりの頃は(康一の未熟さ故に)卵の状態だったが、初めてのスタンドバトルとなる小林玉美戦(実写映画版では虹村形兆戦)で遂に卵が割れACT1が誕生し、その実力が初めて発揮される。ただし、形兆も未覚醒の卵の時点でエコーズの底知れぬパワーを感じ取っていた節がある。
その後、脱皮により山岸由花子戦でACT2に、シアーハートアタック戦でACT3に進化。康一自身の成長が窺える。
実際、これらの能力で仲間たちの危機を何度も救い、最後の吉良吉影討伐にも大きく貢献した。
また、形態ごとに能力の特性は異なるが、どちらも物理的破壊や切断といった外傷をともなうリスクが低く、時間稼ぎや援護・生け捕りに一役買う特徴が見られる。その特性と康一のムラッ気などが災いして、個人ではなかなか迎撃できず焦ることはあるが、何かと物理攻撃に偏りがちで射程距離が短いスタープラチナやクレイジー・ダイヤモンドとは相性がよく、使い手ともども頼りにされている。
この3つの形態は康一本人の意思で自由に切り替える事が可能。ただしACT3発現以降使われたのはACT1のみで、ACT2は発動していない(音石明を撃退した旨を承太郎に伝える際、岸辺露伴とともに振り返ってはいけない小道に迷い込んだため周囲を確認しようとした際、山岸由花子の本物の顔を探す際にACT1で出現させている)
スタンド名の由来はイギリスのバンド、ピンク・フロイドの楽曲「エコーズ」。この由来はクレイジー・ダイヤモンドと同じ。
アナログレコード盤の片面を使い切った23分30秒にわたる大曲で、大まかに分けて3部に構成されて曲が進行してゆく点が、このスタンドの長く成長し3形態に分かれる能力を連想させる。
能力
ACT1
【破壊力 - E / スピード - E / 射程距離 - B / 持続力 - B / 精密動作性 - C / 成長性 - A】
相手の身体に「音」を染み込ませる能力を持つ。漫画の擬音語を貼り付けたような形で表現され、設定した音を貼り付け位置から発することができるほか、直接音を貼り付けることで同じ音がこだまのように反響させ続け、精神的なダメージを与えて敵を制圧することも可能。
また、玉美によって錠前をつけられた母親に対して「信じて」と信頼の言葉を投げかけたり、電話のプッシュ音を響かせ発信させる応用も見られた。
非力でパラメータ的にも戦闘には向いていないが、その分射程距離はおよそ50メートルと長めで、偵察にも使われている。
ACT2
【破壊力 - C / スピード - C / 射程距離 - B / 持続力 - B / 精密動作性 - C / 成長性 - A】
尻尾を擬音やオノマトペ(擬態語)に変化させ、分離して貼り付けることで能力を発揮、貼り付けられた擬音語、擬態語に触れると、その物理的な効果が現実化する。
例を挙げると、「ドジュウウ」という焼けるような擬音に触れれば火傷を負う程の熱さを感じる。自分の衣服に擬音を刻み、触れた相手にダメージを与えるというカウンター技も可能。また尻尾文字そのものに擬音の効果を持たせることも可能で、例えば高熱の塊にすることもできる。
欠点もあり、尻尾の先端を擬音文字に変換しているため、擬音攻撃が使えるのは一度に一回まで。また当然のように、尻尾文字そのものを破壊されてしまうと使えなくなる上、本体へのダメージフィードバックが生じる。
ACT2の際はスタンドを通じて微細な音を聞き分ける事が出来るようになっており、倒れて気絶した由花子の心音を確認すると同時に、崖に僅かにヒビが入る音も聞いている。
この能力によって崩れた崖から落ちた由花子を救助、後にその岬は「ボヨヨン岬」と名づけられた。
利便性が高すぎた故か、シアーハートアタック戦を最後に出番がなくなってしまった形態。
ACT3
第4部
【破壊力 - B / スピード - B / 射程距離 - C / 持続力 - B / 精密動作性 - C / 成長性 - A】
第5部
【破壊力 - A / スピード - C / 射程距離 - D / 持続力 - C / 精密動作性 - C / 成長性 - B】
音を操る能力を持ったACT1とACT2から一変、相手を「重く」する特殊能力、『エコーズ3FREEZE』(エコーズスリーフリーズ)を持つ。その由来は、音や言葉を張り付ける→音は実体を持つ→言葉は重みを持つという変化との説もある(ごく少数派ではあるが、超音波が重力に干渉する現象が能力の由来ではないかとする説も存在する)。
人型になり格闘戦が可能になったが、パワーが強くなった分、射程距離が短くなった(5m程度)。
小柄なこともあり一線級のスタンドと比べると格闘能力は劣るが、重くする能力のパワーは(距離への依存が大きいものの)強く、5mギリギリでも人の力では引きずらないと動けず、30cm以内なら近距離パワー型のスタンドすら身動きが取れなくできるほど重くできる。ただし能力が使用できるのは同時に一か所のみで、その描写から発動に多少時間を必要とするようである。
この「重く」する能力はある程度加減ができるようで、シアーハートアタック戦の様に地面へめり込ませたり、病院受付の棚の上を高価な薬ビンを崩すなど応用が利く。第5部で再登場した際にはブラック・サバス戦でジョルノと共闘し、ブラック・サバスの手を重くしていた。
この形態はセックス・ピストルズやスパイス・ガール同様に自我を持っているのも特徴。三形態はそれぞれ別扱いなのか自身を「私達」と呼んでおり、口調は礼儀正しいが「S・H・I・T」と汚い言葉を平気で言う。
ACT3まで発展しても成長性は未だにA~Bを保ち続けているため、これからさらに形態・能力が増える可能性がある空恐ろしいスタンドである。
他
スタンド能力を身につけるにはスタンドの素質がなければならない。
しかし、康一はスタンドの素質がない(虹村形兆にスタンドの矢で射抜かれた際、矢に選ばれなかった)にもかかわらず能力を発現させている。これが傷を治したクレイジー・ダイヤモンドの影響なのか、それとも康一自身に少ないながら素質があったのかは不明。
のちに第5部において、「矢」には殺人ウイルスが仕込まれていること、そしてそのウイルスは感染しても生き残った生命に対してご褒美を与えるかのように新しい能力(スタンド能力)を授ける、といった事実が明かされた。
これと併せて考えると、康一はウイルスに打ち勝つだけの生命力・精神力(スタンド使いとしての素質)を備えていないにもかかわらずスタンド能力を身に付けている珍しい例であるとも考えられる。
その場合、クレイジー・ダイヤモンドと「矢」の組み合わせによって、全ての人間をスタンド使いに変化させられる可能性がある証左なのかも知れない…。
もしくは、【元々スタンド使いになれるだけの才能こそあったが、当時の康一にはそれを操るに足る精神力を持ち合わせていなかった】と解釈する事も出来る(ホリィや幼少期の仗助に近い)。
関連項目
- C-MOON:重力に関係する能力を持つスタンド繋がり。こちらは本体を中心に重力を反転させ、その拳で触れた者を裏返す。ホワイトスネイクから進化し、新月の重力に到達することでメイド・イン・ヘブンへ進化する。
- イン・ア・サイレント・ウェイ:擬音に関係する能力を持つスタンド繋がり。こちらは擬音を具現化し、触れた人や物にその擬音から連想させる事象を実際に起こす。
- タスク:進化するスタンド繋がり。こちらはACT4までの形態を持つ。能力は大きくは変わらない。