※本記事には『ジョジョの奇妙な冒険 ジョジョリオン』の重大なネタバレ情報が含まれるため注意
君はわたしを……「追う」つもりでここへ来たのかね?
厄災が来る やめろと忠告したのにな
順番は君から死ぬ
わたしは『ワンダー・オブ・U』
『流れ』はずっと厄災なんだ
概要
『ジョジョの奇妙な冒険』第8部「ジョジョリオン」に登場する透龍のスタンド。TG大学病院院長・明負悟の正体にして、事実上のPart8のラストボスである。
明負悟が本体だと思われていた謎のスタンドであったが、明かされたのは彼そのものが自我を持つ遠隔型スタンドという衝撃の事実だった。
自我を持ち、本体または他者と会話出来るスタンドは数こそ少ないものの各部に登場していた。そのほとんどはスタンド使いにしか見えず、スタンド使いとしか会話できなかったが(チープ・トリックなどは例外)このスタンドは「明負悟」という個人としての完全な人格と姿を持ち、スタンド使いでない人にも見え会話もできて、さらに表社会で地位を持って暮らしているという類を見ないとんでもないものである。
地位そのものは本物の明負悟から奪ったものだが、10年以上もそれがバレずにいたことはワンダー・オブ・Uの警戒心、そして能力の強さを示している。
本体から離れていても行動でき、情報・ダメージが本体にフィードバックする遠隔操作型の特徴と能力が発動すればスタンド使い本人でも止めることは出来ない遠隔自動操縦型とヨーヨーマッのような自我を持ちながら、それなりの知識を持ちスタンド自身がある程度自由に行動出来る自立型の特徴を併せもつ稀有なタイプ。
高い知能・自我・パワーは、その基礎能力だけでも今まで登場した遠隔型スタンドの集大成とでも言うべき高いものである。
そしてその本質、スタンド能力の凶悪さは、歴代スタンドの中でも疑いようのない最強格である。
容姿
明負悟
黒い衣服、黒い帽子、マフラーを纏い、右目にモノクルをして杖を持った老人の姿。
スタンドヴィジョン
無機質・メタリックな人型スタンドで、全身には横縞のリングが付いている。
両目は「明負悟」の姿の時に身に着けているモノクルにギザギザの棘が付いたデザインで、棘の外側は縦方向に棒のように伸びている。
腰辺りは列車の連結部分のようになって上半身と下半身をつないでいるが、まだ全身が登場した描写はなく下半身がどうなっているかは不明。
腕はジョジョリオンの人型スタンドに多く見られるとても細いもの。初期は刃が付いていたが、後半では付いていない。
このスタンドヴィジョンは、当初は「明負悟」の姿を追跡している時に振り返ると一瞬だけ見えるものだったが、自ら東方定助たちを追うようになってからは、顔の部分が「明負悟」の姿ではなくスタンドヴィジョンを晒して行動するようになった。
時折、スタンドと明負悟の顔を交互に入れ換えているがその理由は不明。「明負悟」の姿のときは一般人にも見えるが、「ワンダー・オブ・U」の姿のときはスタンド使いにしか見えない、ということかもしれない。
能力
定助達は当初、このスタンドの能力を「明負悟を追跡する者に様々な物がぶつかって来るようにする能力」だと予測していた。
そして明かされたその実態は、このスタンドを追跡しようとする行為を実行した者にあらゆる厄災を振りまくという凶悪で理不尽極まりないものであった。
上記の通り、厄災の内容は「周囲の何かに激突する、またはしてくる」が基本となる。以下は実例。
- 待合室のソファーに激突する。
- 自動ドアに激突する
- 車が激突してくる
- 飛行中の飛行機のスライドパネルが激突してくる
などがあるが中には
- 傘立てに激突し足の肉が抉れる
- タバコが激突してきて手の中に食い込む
- 雨や水滴が激突してきて弾丸のように体を貫通する
- 倒れてきた人間が腹にめり込む
- スプレー缶の管が心臓に突き刺さり大量出血する
- 落ち葉が指を切断する
等々、既存の物理法則では絶対に起こらないような事態まで引き起こす。
この追跡というのはただ追いかけるという範囲に留まらず
攻撃する
倒そうとする
心配で近づく
スタンドについての情報(居場所や能力、正体)を誰かに伝えるまたは探る等も追跡判定となる(ただし明負悟の個人情報については判定外)
しかも実際に行動した者だけではなくそれを思考しただけでも能力判定に入るというクソゲーっぷり。
他にも、
- スタンド能力によって生み出された物質も厄災の対象物となる。
- スタンド使いがコントロール下に置いていたとしても、生み出した本人または別の者に対して激突が起きてしまい、作中では定助がワンダー・オブ・Uに攻撃した際に、自身のシャボンが足に当たり負傷した。
- 物質や生物を生み出すスタンドの場合、このスタンドに対しては攻撃が自身や周囲に被害をもたらす逆効果にしかならない可能性がある。
- 身を守るために攻撃を防御して反撃したとしても「追撃」と見なされ厄災が発生する。
- これはスタンドだけでなく、ワンダー・オブ・Uの仲間(作中では岩昆虫)を攻撃しても発生する。ただし、仲間に敵対するものへの厄災はこのスタンドが対象者に意識を向けている場合のみに限られる模様。
- このスタンドが触れた物に他の者が触れた場合も、「追跡した」と見なされ厄災が発生する。
そして、厄災は「何かが激突する」だけに留まらず、言葉通り厄災そのものまで降りかかってくる上に、これらは現実的に見て確率の低い事柄に対しても発生する。
- 定助と康穂がスタンド攻撃を回避した結果、定助の血が近くにいた男にかかり、男が定助にいちゃもんをつけてきた。そして定助に触れたせいで、厄災が男におっかぶさり、首の骨が折れて死んでしまった
- 密葉がママ友の喜谷真亜子に暴言を吐いた結果、真亜子が彼氏である笹目桜二郎にそれを愚痴り、そこから東方家の噂話を経て桜二郎が等価交換のフルーツのことを思い出したため、フルーツを奪いに東方家を襲撃。その後笹目は常敏に殺害される
- 密葉が料理をしながら、今までの出来事を考えている最中に院長の幻覚が出現。院長が何者なのかを考えていたタイミングで現れたため、驚いた拍子に包丁で指を切断しそうになる。スタンドによって修復するも驚いた際に近くにあったオイルが倒れ、点火していたコンロに引火。鍋が急激に沸騰して倒れ、密葉に降りかかるもスタンドによって回避する。だが、その音に気づいたつるぎが降りてきて、スタンドによって飛び散った鍋の水が天井からつるぎの鼻に激突してつるぎを負傷させる
- 定助がロカカカ6251を飲んだ際に口と等価交換となり窒息しそうになる
- 自身に迫ってきた(ニキビのある)記者に至ってはロカカカの汁がわずかに身体に入っただけで等価交換が起き、ニキビが治る代償として首が岩化して死亡(本来、等価交換はロカカカの実を3分の2以上摂取しないと起きない)
- 作中における過去で豆銑の父が台風が発生してる中、果樹園に向かう途中で崖崩れに巻き込まれ死亡した(台風は普段、杜王町に上陸しないらしい)
といった具合に明負悟に敵対した者だけでなく、周りの者も何らかの形で厄災を受けるため、厄災の流れの中にいる者は安易に応援を呼べず、呼ばなくても近くにいる者が厄災に巻き込まれる可能性があるために、孤立を余儀なくされる。
厄災となって襲いかかる人間すらも、厄災の流れの中にいる謂わばこのスタンド能力の被害者である。
厄災は無差別に、理不尽に、場所や状況を問わず様々な形で襲ってきて、さらにどのタイミングで厄災が起き、どの方向からやってくるかが分からない。中には自らが何かに激突する場合もあり、回避することは不可能に近い。もし回避できたとしても、追跡する意思がある限り次から次へと厄災が降りかかっていく。
本体
これらの凶悪な能力ゆえに、ワンダー・オブ・Uを倒すためには本体である透龍を直接叩く以外に方法は無い。
しかし、このスタンドは前述にある通り、明負悟としての社会的証明をもっている。誰であろうとこいつ自身がスタンド使いだと思いこむため、「他に本体がいる」という可能性にたどり着くことは極めて難しい。
前述の通りスタンドからの情報を共有しているため、相手の行動は本体に筒抜けであり状況に応じて逃走が簡単に出来てしまう。
複数人やローラー作戦で挑むことすら、同時多発的に起こる厄災の前には一切無意味である。
だがそれでもこいつをスタンドだと見抜くことができ、さらに片方がワンダー・オブ・Uを引きつけている間に本体を叩くことができたとしても、ワンダー・オブ・Uの能力にはさらなる秘密がある。
それはこの能力が本体を追跡しても発動し、さらにスタンドもしくは本体にとって最も都合の悪い人間は、厄災が降りかかる順番が最優先になってしまうこと。
これこそが、今までに登場した遠隔型スタンドどころか、全スタンドの中で最も異常と評される所以である。
どれほどスタンドの地力が強くても、本体さえ攻撃して倒せばスタンドは消滅してしまうため、本体であるスタンド使いを倒す方が効率がいい。
その中でも遠隔型のスタンドの多くは強力な能力を持つが、本体とあまりにも離れてしまうと本体が無防備になりスタンドを呼び戻さないと一方的に攻撃を受けてしまう弱点がある。
さらにどんな遠隔型スタンドでも、別々に遠く離れた相手を同時に攻撃する事はできないため、片方がスタンドの相手をしている最中にもう片方が本体を狙った場合、本体になす術は無い。
そもそも近距離型や遠隔型スタンドが放つ攻撃はスタンドそのものから発せられているのであって、別に本体から出ているわけではない(本体と一体化しているスタンドは例外)。
そのため複数の敵に狙われるのは遠隔型スタンド使いの最も苦手なことであり、こうしたスタンド使いは様々な方法を駆使してその欠点をカバーしようとする。
だがこのスタンドは同時に厄災を起こすことができ、さらに本体に対しても効果を発揮し本体に都合の悪い者を最優先で始末する。
これにより攻撃対象をスタンドからスタンド使いに変えても意味は無い挙句、たとえ複数人で襲いかかったとしてもその全員が厄災で死亡する上、本体を狙おうものなら本体に近いものから優先的に厄災に見舞われて死ぬ。
このどうしようもない「理不尽さ」が、厄災を撒き散らすこのスタンドの本質なのである。
豆銑は、定助にこのスタンドの能力をこう語っている。
「この世の中の……天と地の下のあらゆる事柄が………そのあらゆる物質の繫りが……!!お前の味方には決してならないぞ」
謂わばこのスタンドを敵に回すということはこの世の全てが敵になるという事でもあり、もはやスタンドの枠を越え神の領域に踏み込んでいると言っても過言ではない。
この能力から逃れる方法は、スタンドと本体の追跡を中止し「厄災の流れ」にいる者との関係を断ち、全てを忘れる事だけである。
彼を追いかけさえしなければ厄災は起こらず、平穏な日々に戻ることが可能である。
とはいえ、普通に考えたとしてもそのような事は記憶を消す以外に不可能であり、たとえ消せたとしても何らかの形で思い出してしまえば再度厄災の対象になる可能性があり、この能力から真に逃れる術は死以外には無いのである。
変身
スタンドヴィジョンと「明負悟」の2つの姿を持っていることは説明したが、その真相は「彼を人間」または「厄災のエネルギー」としてどう認識しているかで見え方が変わるというものであった。
明負悟の姿のときは映像や写真に映り、スタンド使いでない者とも会話が可能である。
この性質から、明負悟がスタンド「ワンダー・オブ・U」の正体であると見抜くことは不可能に近い。
つまり本当の本体を知ることはできず、さらに本体はスタンドから得た情報をリアルタイムで共有しているため、簡単に遠くに逃走することができ、本体捜索がさらに難航してしまう。
自由自在な移動
「ガラスをすり抜けてそのまま通過」「壁の中に侵入して直線移動」といった物体を無視しての移動や、「柱に反射して映り込んだエスカレーターに乗ってそのまま実物のエスカレーターへ移動」「戸棚や写真立てに映った景色(ニ次元空間)を移動」と、二次元と三次元を自在に行き来しての移動が可能。定助たちがいつまで経っても追いつけなかったのは、この能力を使って常識では考えられない移動をしていたためである。
この能力も厄災の能力と相性が良く、特に街中では建物やガラスなどの反射物などはどこにでもあるため、相手はどうしても追う姿勢を取らざるを得ず厄災の能力の対象となってしまう。
下記の幻覚も同じことができる。
幻覚
このスタンドに対して「行動または敵対する意思」を抱いた者の視認範囲内に「明負悟」の幻覚を出現させることができる。この幻覚にも、上述の「認識で見え方が変わる」というルールが適用される。
幻覚が出現する場所は様々で、人が普段立てる場所(駐車場や庭、車のボンネットの上)、人が通常の方法では来れない場所(留置所の塀の上)、そもそも立つことが不可能な場所(細い木の枝の上)など、場所を選ばない。
この幻覚が見えると、「厄災の流れ」の中にはまったことになる。
幻覚である故に「明負悟」を追跡する意思のない人間や、そもそも知らない人間には見えない(作中では、密葉に見えているのに常敏には見えていない描写がある)。
カメラなどで撮ると視認することができる。豆銑と一緒にいた囚人は、カメラで撮られた「明負悟」を見たため、手に持っていた包丁が首に飛んできた。
「明負悟」が戦っている最中に、別の標的に幻覚を見せることもできる。
幻覚とワンダー・オブ・Uは、意識または視覚を共有していると思われる(康穂に「追跡するのをやめろ」と忠告したことを定助に伝えている描写がある)。
これは本体も共有可能で、常敏が持っていた新ロカカカの実を本体が幻覚越しで確認している。
幻覚はただ後ろ向きに立っていたり座っている時もあるが、動くこともできる。
さらに幻覚は追跡時のみに出現するだけなく作中で時折、密葉の前に現れ新ロカカカの捜索を行っていた。
身体能力
このスタンドは肉弾戦を作中で披露していないため、身体能力の高さは不明。
そもそも能力の都合上、接近戦に持ち込まれることはほとんどない。本体の警戒心や慎重な性格も相まって、作中では自分から肉弾戦を挑むことはなかった。
ただ定助のシャボン玉を避けたり、凍らされ向かってきた複数のシャボン玉を杖でガードしたり、花都を羽交い締めしようとするなど、素のパワーはそれなりにある模様。
逆に明負悟の姿のときは老人のように動きが遅いことが多かったので、スピードには難ありかもしれない。
射程距離
射程距離に関して具体的に明言されてはいないが、最低でも杜王町一帯をカバーでき、さらに本体が「厄災の流れはこのままだが、自分はこのTG大学病院からもこの場所からも消える」と言っていることから、恐らく射程距離は無限に近いと思われる。
作中、定助たちがいったん追跡をやめ、病院から離れた場所で追跡を再開しようと思ったその瞬間、瞬時にスタンドが背後に現れ激突が始まるという描写がある。
つまり、スタンドを追跡しようとする意思を持ったが最後、どこに居ても厄災が降りかかるという、凶悪極まりない性能なのである。
短所
このように悪夢の如き力を持つ悪辣なスタンドだが、これら災厄の力は、全て条件を満たした者へのカウンターという形で自動に発動するパッシブスキル的なものであり、本体やスタンド自身の意志で能動的に行使することは出来ないという点が唯一にして最大の欠点。
敵が自身を追跡・追撃をすれば自動的に厄災は起きるが、逆に言えば上述の追跡する意思を無くす、或いは最初から無いと厄災は発動しない。
当然"自分から"直接出向く場合も、能力で自発的に攻撃する事など出来ないため、「自分達の都合で始末したいが、向こうに追跡する気が無い」場合、相手がその気になるよう誘導するか、別の攻撃手段を用いる必要がある。
起きる厄災にしても、「誰に対して」「何が」「いつ」「どのように」降りかかるかは本人達も完全には把握できないため、好きなタイミングで問答無用で相手を即死させるなどは出来ない。追跡する限り厄災は襲いかかるものの、むしろ(「ジョジョ」の登場人物のタフさもあるが)作中で起こった厄災の一つ一つ自体はさほど致命的ではない物の方が多い。
詳細は後述するが、現に作中でも、辛くもギリギリまで生き延びた定助達のこの世の理を超えたスタンド攻撃によって追い詰められてしまった。
また何も知らない第三者によって本体やスタンドの近くに運び出された場合も、本人の意思で追跡している訳では無いため厄災は起きない。
その他、自分に都合の悪い動向があった時に厄災が起きるということは、逆に自分にとって都合の悪い行動が何か、相手に筒抜けになってしまうという事も意味しており、康穂はこれを利用し、定助の助けになりうる人物のアドレスを発見した。
作中ではこの情報を吉良ホリーから聞いた定助は、この性質を利用して明負を誘き寄せることに成功した。ジョジョでは戦術として逃げるという事が度々あるが、このスタンドが相手の場合逆に相手から逃げる構図に持っていかなければ土俵にすら立てない。
とはいえ、いずれもこのスタンドを撃破出来るような決定的なものではないため、大した弱点とは呼べないだろう。
総括
ここまでこのスタンドの能力を説明してきたが、この能力の長所をまとめると
- 自身を追う者・追ってきた者を厄災で自動的に排除できる(しかも、たとえ厄災を掻い潜られても二次元・三次元問わず常識外れな移動が出来るため追い付くこと自体がほぼ不可能)
- 追わない者・追わなくなった者は厄災を恐れない限り自身の邪魔をしてこなくなる=自らの目的を邪魔されることなく達成できる
スタンド使いの宿命である「スタンド使いは惹かれ合う」というルールの中で、この特徴は自らを脅かすかもしれない存在を、戦闘すら行わず遭遇前に自動的に排除できるというあまりにも凶悪なアドバンテージである。
もし仮に鉢合わせて戦闘になったとしても、厄災により逆に返り討ちに遭う可能性が極めて高いため凶悪極まりない。
なぜなら、「厄災の流れ」とはこの世の理であり、それを越えてくることなどありえないからだ。
存在する以上は、どれだけ強力な力であろうとこの世の条理の影響を受けてしまうのだ。
また完全自立型遠隔系スタンドのため本体の特定も困難で、そもそも前述の変身能力により、普通はこのスタンド自体を本体と誤認してしまう。
そしてスタンドと情報がリンクしているため、相手の動きを見ながら本体は別行動をする事が可能。
そして何より、遠隔系一番の欠点である「スタンドが離れていると本体が無防備になってしまう」という欠点がなく実質無敵になる事である。
ワンダー・オブ・Uはとにかく厄介で対処のしようが無い不条理な能力こそが肝であり、数あるスタンドのなかでも最も ”凶悪” な能力であるのは間違いない。
作中での動向
TG大学病院にて
ミナちゃん事件の発生当時、現場にいたことが学校の監視カメラから判明している。
その1日後、病院の受付で定助たちが押し問答している最中、後ろをよろよろと通り過ぎる形で登場。
その後ずっと追跡されるも、タイミングよく定助たちが足止めされ、追いつかれずに病院を抜け出す。そのままバスに乗って定助たちを振り切り、東方家に向かった(密葉に東方家敷地外に居るシーンを目撃されている)。
その4日後、TG大学病院で催される講演会に出席する。この時、会場に入る際にカメラを持った記者たちが、明負を取り囲み写真を撮る様子を定助が目撃。その後は講演会に出席し再生医療についての講演を行う。
この場で、自身がLOCACACA6251を開発したこと、近い将来に完全な技術となること、その基本的な理論などを説明した。
98話では定助がホリーの人体実験の映像をSDカードに納めて記者に送り、記者からそれを突き付けられたことで、定助の口を封じるべく自ら動き出す。一方、本体は東方家に赴き康穂と対峙する。
このため本体は康穂と会話を進め、スタンドが定助たちと激突するという珍しいラストバトルとなった。
最終決戦
記者を始末した後、病院の一室で待ち構えていた定助、および合流した豆銑の両名と対峙。しかし罠を警戒して岩昆虫ドゥードゥードゥー・デ・ダーダーダーをけしかける。その後は豆銑を始末するなど一方的に追い詰めていくが、追い詰められた定助によって部屋にあったLOCACACA6251をすべて破壊され、康穂の連絡を受けた虹村京の「ボーン・ディス・ウェイ」が定助の偶然とった行動によって応戦してきたことにより、ついに頭部への傷を負った。
その後、虹村京をスタンド能力で再起不能にしたものの、定助の「見えないシャボン玉」を警戒、そのまま逃亡して定助の始末を諦めてしまう。
エレベーターに乗ろうとした時、定助が背後からシャボン玉を放つが、持っていた杖によって防ぎさらに携帯していた新たな岩昆虫オブラディ・オブラダを差し向ける。
もう一度至近距離からシャボン玉を放つ定助だったが、増殖したオブラディ・オブラダに軌道を変えられたため攻撃は外れる。定助を戦闘不能に陥らせることには成功したものの、見えないシャボン玉がペイズリーパークの能力によって導かれて本体の脇腹に直撃し、本体のダメージがフィードバックした事で脇腹を負傷してしまう。
そしてエレベーターから降りた後に看護婦達が声をかけるも無視して(その際に看護婦の一人が近づいたが追跡判定を受けもう一人の看護婦が持っていたカートに激突した)、エスカレーターに乗って逃走した。
その後、東方花都による透龍への攻撃に呼応する形で東方邸に登場するものの、攻撃の意思のない彼女に能力を発動できず、見ていることしかできなかった。
が、本体の透龍がピンチに陥ると一転、能力に頼らず花都に襲いかかるが、本体のダメージがフィードバックする形で頭部が崩壊。そのまま本体の死亡と同時に消滅した……
と、思われていたが……
本体死亡後
なんと本体が死亡したにもかかわらず生き伸びており、真のラスボスとして最後の足掻きを見せる。
どうやらこのスタンドは元から世界に存在する「厄災」のエネルギーや理そのものと一体化して発現しているらしく、能力も決して無くなることのない「厄災の理」を本体のために利用しているだけに過ぎなかったのだ。余所から力を借りて遠隔操作型の弱点を補うという方法は第四部にて登場したレッド・ホット・チリ・ペッパーがやってのけているが、あちらが有限の力である”電力”を利用しているのに対し、ワンダー・オブ・Uの場合は決して無くならない”厄災”という事象をエネルギー源にしているのでよりタチが悪いと言える。
自我や人格はもはや残っておらず、残存したスタンドエネルギーによって「ワンダー・オブ・U」としての姿を保った厄災の流れそのものになってしまっている。
頭部は半分以上(描写によっては完全に)消し飛んでおり、身体のあちこちが崩れかけているもののしぶとく忍び寄り、気絶していた東方憲助の病状を悪化させて襲いかかる。
憲助の身体に入り込み一同を再び絶望の淵へ陥れるも、すんでのところで病院から駆けつけた定助が到着。
コントロールがある程度は可能になったゴー・ビヨンドを憲助の体を「貫通」して打ち込まれ、今度こそ完全に消滅した。
ゲーム作品
CV:菅生隆之
上記の能力から参戦は不可能かと思われたが、11月22日のpvにて『オールスターバトルR』の第7弾DLCでプレイアブルキャラクターとして参戦が確定することとなった。
余談
- 初登場
初登場は84話、単行本にして全27巻中21巻目である。それまでは登場どころか存在を示唆するような描写も一切なし。
本作は割と序盤からラスボスの存在が示唆されているのでこれは珍しい例である。
- 元ネタ
スタンド名の元ネタはエルヴィス・プレスリーの楽曲「The Wonder of You」から。このエピソード内で透龍が元ネタの楽曲を聴いているシーンがある。
話の中で元ネタとなった楽曲が登場するのはジョジョ史上初。
- 進化
第5部のキング・クリムゾン以来となる作中で一度もパワーアップしなかったラスボスのスタンドである。もっとも強すぎるため、これ以上パワーアップされたら定助たちも勝てなかっただろう。
- 遠隔スタンド
ジョジョのラスボスとしては同じく初となる遠隔型スタンドでもある。そして上記の能力故、作中で一度も近距離での肉弾戦を行ったことがない初のラスボススタンドでもある。
また本体とスタンドが別々の場所で主人公たちと対峙するという、ラストバトルとしては初のシチュエーションでもある。
- 作者コメント
この「厄災」という能力を、作者の荒木先生はコミックス27巻の著者コメントで「最強で最恐だと思った。厄災は不条理で襲って来るけれども、実は「理」でがんじがらめに繋がっていて、万人のもとに平等にやって来る。強すぎる。厄災を「乗り越える」とか考える事、それ自体がいけない事なのかもしれない」と語っている。
ジョジョのテーマのひとつとして「運命に立ち向かう」というものがあるが、その「運命」に干渉して厄災として襲いかかってくるワンダー・オブ・Uはまさしくラスボスとしてふさわしいスタンドだと言える。
- 強さ議論
能力の項目や作者コメントを読めば分かるように、その余りの強さゆえに登場から間もなくジョジョにおける強さ議論の1位候補となってしまった。
ただし、ワンダー・オブ・Uは他のスタンドのように直接的なパワー、分かりやすく言えば破壊力だとか戦闘力だとかで計れる類いの強さは不明である。何せ劇中では文字通りの”厄災”と化して理不尽な不幸を撒き散らしただけで、スタンド自身が直接戦っている訳では無いのだ。なのでスタンド本体の実力は不明瞭である。
あくまでワンダー・オブ・Uの強さは、「厄災」という世界の理そのものである。
ちなみに、院長や本体の事を知らずに無差別型のスタンド(グリーン・ディ、ウェザー・リポート、ボヘミアン・ラプソディーなど)を使って巻き添えに出来れば勝てるとはよく言われているが、それは例を出せばAが歩いていたらBの車が突然故障してAに激突するのと同じで、偶然起こる事故はどんなスタンド使いでも防ぎようがない(むしろそのような事故を意図的に起こすのがこのスタンドである)。
仮に「全てを巻き込んで本体ごと倒す」つもりでそれらの能力を使っても、その場合は「攻撃しようとしたこと」が厄災のトリガーになってしまう。
同じく対策として挙げられることのある「時間停止」、「意思の力による攻撃」に関しても、この世の条理の影響を受ける限り厄災を超えて攻撃することは出来ないことが作中で語られているため、彼らであっても世界の理の元に存在する以上は明確な優位になる可能性は低いだろう。
また、仮にそれで倒せるとて、その前後の厄災から身を守りきれるかは未知の領域である。作者コメントの通り、厄災は万人のもとに平等にやってくるのだ。
やはり一番の天敵は、条理や理をも越えていく存在しない力なのだと思われる。
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