忘れたのかい?
おれのクレイジー・ダイヤモンドは破壊したものを治せるっつーのを
概要
【破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - D / 持続力 - B / 精密動作性 - B / 成長性 - C】
『ジョジョの奇妙な冒険』第4部「ダイヤモンドは砕けない」の主人公、東方仗助のスタンド。
仗助が4歳の頃にDIOの影響で、50日間の高熱に苦しんだ末に覚醒した能力。
近距離パワータイプの人間型。デザイン上の特徴としては体の至る所にハートマークがあしらわれており、頚部に数本のパイプの様なものが見られる。差し詰め『ロボットのような鎧を着たマッチョ』か『サイボーグの戦士』めいた感じである。
発動できる射程は2m程度と短いがパワーとスピードに優れる。ゲームでは、ジョセフ・ジョースターから、スタープラチナに迫るパワーと言われている。
また、空条承太郎のスタープラチナには若干劣るものの、バッド・カンパニーの弾幕を拳で撃ち落としたり至近距離から撃たれた銃弾を掴むなど、精密さにも優れている。
殴るスピードは仗助本人曰く時速300km。怒った時の瞬間的な爆発力ならスタープラチナ以上。物語中盤で承太郎からベアリング弾やライフル弾による狙撃を教わったので、弾になるものがあればある程度遠くの敵も攻撃できる。
スタンド名は、仗助のキレやすい一面から承太郎が命名した。
元ネタはピンク・フロイドの楽曲「Shine On You Crazy Diamond (邦題クレイジー・ダイヤモンド)」で、ジョジョ連載初の「曲やバンド名から名前をとった」スタンドである(ただしストーリー登場順ならば、後付された3部の『ティナー・サックス』の方が早い)。曲名の「クレイジー・ダイヤモンド」とは、バンド初期のリーダーを勤め、才能を発揮しながらも薬物中毒と精神病でバンドを去った伝説的なロックミュージシャンのシド・バレットを指すとされる。在りし日の姿を惜しみ、壊れてしまった彼に「再び輝け」と復活を呼びかける内容の詞がこのスタンドのイメージとなったのだろうか。
能力
「壊れたものを直す、生物の傷を治す」能力。ただし、本体には適用されないため仗助自身の傷は治せない。
単純な能力のようで応用の幅がとても広く、使い方によっては治療や修繕以外の効果を発揮する。「直す能力」だけではなくスタンドそのものが持つ高い破壊力とスピード、精密性がいずれも高く併せ持つからこそ可能な芸当が多数ある。
- 体内に敵スタンドが入り込んでしまった人の腹を拳で突き破って敵スタンドを捕獲しつつ、瞬時に傷を治して人体が痛みすら感じないほんの一瞬で敵スタンドを摘出する。
- 直後、破片が飛び散るようにガラス瓶を叩き割ってから直し、敵スタンドなどの物質をガラス瓶の中に閉じ込める。
- 建物内で敵に追い詰められた際、壁を破壊して向こう側に移動し、直後に壁を治して無事に危機を脱する。
- 地面を壊してから瓦礫を壁状になるように直し、敵の攻撃を防ぐ防護壁を即座に作る。
- 極悪人をボコボコに殴りつつ一緒に砕いた岩の復元に巻き込み、岩と人体を融合・一体化させ人ではなく岩として永遠に生き続ける罰を与える。
- 調理されたパスタ料理を原材料(茹でる前の乾麺や具になる前の野菜)に戻したり、地面のアスファルトを原料のコールタールに戻す。
- 紙に書かれた文字を跡形もなく消す。作中では筆跡の一部を消して別の文字に見えるように細工していた。
- 敵が体の一部を飛ばして攻撃してくるタイプの場合は、それを治して本体に戻してしまう。つまり、一部の間接攻撃の無効化ができる。
- 走行中のバイクを一度バラバラに壊して障害物を乗り越え、その直後バイクを即座に元通りに復元し、スピードを落とさないまま回避ができる。
- 人体が爆弾の爆発で木っ端微塵に吹き飛んだその瞬間にスタンド能力をその「爆発で粉砕された瞬間の人体」に使い、(爆破された者の体が爆散しきって落命を迎えてからでは助からないため、タイミングが非常にシビアではあるが)爆破される前にまで戻して救える。
- 相手に何らかの物体の欠片Aを持たせて、自分の手元にある同じ物体の欠片Bを「直す」と、敵の所持する欠片Aに引き寄せられて欠片Bが飛んでいくので追跡・誘導弾として使える(この引き寄せ効果の詳細については明言されていないが、読者からは「直す対象やパーツが重い方に軽い方が引き寄せられる」説が有力である。しかし、仗助が手に持っていた写真の切れ端に能力を使い、ジョセフの持っていた写真を財布ごと引き寄せる描写もあり、この場合は軽い方に重い方が引き寄せられているため一概には断定できない。一連の事件の中で様々な経験を経た結果、仗助がこの引き寄せ効果をコントロールできるようになったのかもしれない)。逆に欠片Aを手元のBに引き寄せてAが入っている容器ごと奪い取る利用法も出来る。
- このうち引き寄せる性質だけは本体も利用できるため、地面の破片など思いもよらぬものを利用した急接近や緊急回避が可能。引き寄せられる物体に縋ればスタンドの能力の応用であるためか、本来問答無用で発生するスタンド能力による効果に抵抗すら出来る。
などなど、無機物・有機物を選ばず、復元するタイミング・範囲・段階まで任意で選べるためかなり応用の利く能力である。
ただし、治せないものもありそれは後述となっている。
- パーツ部品同士やクレイジー・ダイヤモンドと距離が離れ過ぎていると治せない。
- 使用済み燃料等、消費されて既に消えたエネルギーを呼び戻せない。
- 虹村億泰のスタンド「ザ・ハンド」で削り取られたものは、「元からなかった扱いになる」ため直せない。
- 人や生き物の怪我は治せるが病気は治せない。
- そして失われた生命、および本体の損傷そのものも戻せない。
厳密には『触れた物を損壊もしくは怪我をする以前の状態に戻す』もしくは『物質を組み立て直す(元通りとは限らない)』能力と思われる。読者からは「一種の時間操作ではないか?」とする説もある(後に原作者はクレイジー・ダイヤモンドの能力を「『エントロピー増大の法則』の不可逆性を覆す性質」と述べており、それに当てはめると前述の推測も強ち間違っていない)。
尚、一連の復元効果を使わず、スタンドでダメージを与えて破壊するだけに留めるのも可能。
病院内にて噴上裕也と対峙した際には「悪人とはいえ怪我人を痛めつけるのは卑怯だし心が痛む」として、初手のカウンターの一撃を以て怪我を完治させた上で、改めてボコボコにして入院続行させている。
死んだ者に対しては遺体の損傷を修復するだけに留まり、生き返らせはできないが、逆に完全に死亡してさえいなければ対象がどんな致命傷を負っていたとしても、何事もなかったかのように一瞬で完治させられる(虫喰いの餌食にされた老夫婦、キラークイーンに腹を貫かれた広瀬康一、爆破された直後の川尻早人など)。
その完全に死んでなければOKの強力な回復能力故に、上記の早人の蘇生の経験から吉良が看護師を人質に取った時も仗助が「(早人の時のように)爆破した瞬間その女を治してやるぜ」と、ドラゴンボールでまた蘇るのような倫理的にかなり危ない発言をするほど。
尚、感情が昂ぶっているとこの能力が思うように発揮されない場合があり、そうなると元の状態には戻らず歪んだ形に復元されてしまう。
悪逆非道な相手には、それを逆手に取って殺すよりひどい落とし前を付けさせた。
凄まじい応用バリエーションを持つこの能力は、しょっちゅう金欠でピーピーしていた仗助がその気になれば、幾らでも悪用が可能だったであろうが、ついぞ悪用しはなかった。宝くじのネコババやジョセフの財布をいただくなど、セコい行為はちょくちょくやらかしているものの、前者の宝くじは盗んだ物ではなく落とし物であり、後者の財布も結局「お小遣い」としてジョセフ本人が譲渡を認めている。
過去に様々なスタンド能力を見てきたであろう承太郎に『この世のどんな事よりも優しい』と評価された通り、黄金の精神を持つ仗助だからこそ発現した能力なのかもしれない。ただし、応用幅が広すぎるがゆえに、拷問や報復など相手に地獄を味わわせるのにおいても、かなりの適性を誇っているのだが…
破壊力と再生能力の相反する属性を併せ持つ性質から、スピンオフ小説等では『仗助の性格の二面性』と結びつけて語られる作品がままある。
ラッシュの掛け声は「ドラララララララララァ!」
余談
一部の読者から「心なしかDIOのザ・ワールドに似ている」との指摘が多い。
これは空条承太郎のスタープラチナに対比する形で、ザ・ワールドとクレイジー・ダイヤモンドがそれぞれデザインされているため。
カラー絵で見ると違いがわかりやすく、明確なカラーが決まっているわけではないものの、黒系のスタープラチナ、黄金系のザ・ワールド、白系のクレイジー・ダイヤモンドが多い。
他にも、この時期の作者はハートのデザインに凝っており、第3部終盤のペット・ショップ~第4部の仗助あたりまでのキャラ(当然DIOも含む)には、服のどこかにハートマークがついていたりする。
北米版の名前はShining Diamond(シャイニング・ダイヤモンド)。
更に余談
モンスターハンター3Gでは、コラボとしてこのスタンドを模したハンマー『クレイジー・D』がある。
攻撃力は高めで、原作を忠実に再現した結果、殴った味方の体力を僅かに回復させる特殊能力がある。
しかし、斬れ味があまり良くない上にこの武器を作るためのクエストが非常に難しい。
難易度と武器の性能が割に合ってないために、この武器を持っているハンターは多くないのである。
→ 詳細は「黒曜石は砕けない」を参照。
関連イラスト
関連項目
クレイジーダイヤモンド:表記ゆれ
ゴールド・エクスペリエンス:別系統だが『怪我を治す』能力を持つスタンド。本体のジョルノは次部の主人公で、私生児であるなど何かと仗助と共通点が多い。
歴代主人公のスタンド
承太郎 | 仗助 | ジョルノ |
---|---|---|
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