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魔少年ビーティー

ましょうねんびーてぃー

荒木飛呂彦の漫画作品。「週刊少年ジャンプ」の1983年42~51号に連載。コミックに記されているサブタイトルは「COOL SHOCK B.T.」
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概要

荒木飛呂彦氏が初めて本格的に連載した漫画である。全5エピソードで単行本は全1巻。ほか、連載前に掲載された読み切り版が『荒木飛呂彦短編集 ゴージャス★アイリン』に収録されている。

ストーリーは、麦刈公一という少年の視点から、友人ビーティーの巻き起こした(或いは公一共々巻き込まれた)様々な事件を紐解いてゆくものとなっている。



登場人物

ビーティー

本作の主人公。きれる頭脳と器用な指先に、上級生やオトナを敵に回しても怯む事の無い豪胆さ、そして自らの行動に罪悪感を一切感じない悪魔的精神を併せ持ち、事件のさなかで対立した相手には、手品やトリックで惑わしながら応戦する。

ビーティーとは彼のイニシャルB.T.からつけられた仮称で、本名は明かされない。
公一いわく、「12歳にして悪魔的頭脳を持ち、罪悪感ゼロの恐るべき犯罪少年」「社会的ダイナマイト一触即発的、良心罪悪感ゼロ的、猛毒セリフ的、悪魔的計算頭脳的、今世紀最大的犯罪少年
時折、気兼ねや良心といったものがまるでない考えをしている時に、自分の耳を撫でる癖がある。

連載版初回サマーキャンプ事件の時点では、公一の通う学校へ転校したばかりだった。キャンプ中のとある出来事により、公一に信を置くようになる。
頭も良くプライドも高い。サマーキャンプのいじめっ子の命令に対し言い放ったセリフは、

ぼくとお前達とでは精神的身分が違うのだ。ぼくは精神的貴族に位置する。したがってぼくへの命令はゆるさんッ!おまえらのようなブタに命令はされないし、かかわりも持たないッ!

また、ハッタリを行い、相手を疑心暗鬼にさせて、己の思う通りに事を運ばせるのが得意。三話のおじさんと男に対しても、拘束された状態であっても怯む事は一切なく、むしろ脅かすように言葉を投げつけていた。
四話の西戸に対してもハッタリでだまくらかし、デパートからの脱出に成功する。

化石や標本を集めるのが好きで、恐竜の化石を展示中のデパートから盗み出すエピソードもある。また、自宅の自室には「コレクション」を並べた棚があり、化石や標本に加え、人形や鉱石やミニチュアのギロチンなども並んでいる。
コレクションの基準は様々で、「近所の、タバコ屋の片目の犬から採ったダニが入った瓶」があると思えば、「ノルウェーのリルハンメルで出た、オルドビス紀中期の三葉虫の化石」もある(ちなみに三葉虫の化石は、「盗んだ」との事だが、即座に「冗談だよ」と言っていたため、入手の詳細は不明)。

特技は手品。公一と初対面した時も、ピンポン玉を口から多く出すマジックを披露した。
また、読み切り版でファーストフード店に公一と入っていた時、コインとハンカチを用いた新作マジックを公一に披露していた(500円玉が五円玉に変化するというもの)。
三話でも、サイクリングで山奥の湖に釣りへ赴いた時。釣った魚を用いて公一にマジックを披露する。

自分にとって無関心だったり無関係だったら、どうなろうが構わないと考えている様子。読み切り版でも、想いを寄せる美少女、中川冬子に殺人の容疑が掛かっている事に関し、
「(無罪の証拠が無かったら)でっちあげるさ。どっかのだれかを、むりやり身代わりの犯人にしてやる
と、言い放った。
まさに悪魔的な思考を有する少年だが、公一に対する友情は本物で、彼を利用したりする事は無く、様々な行動をする際には同行や協力を求めている。
三話で、おじさんに公一が殴られたのを目の当たりにして、
ぼくの親友に不当な虐待を加えてくれたなッ
と、怒りを露わにした。
また、四話ラストでは。ちょっぴりくすねたあるものを、公一と山分けしていた。
公一の家族が、五話で不気味少年とその家族に家を乗っ取られそうになった時も、自分の智謀で少年たちを家から追い出した。
後年の荒木作品に出て来た言葉で例えるなら、「黄金の精神」と「漆黒の意志」の両方を兼ね備えたキャラと言える

先述の短編集ゴージャス★アイリンの空きページにてリアル調に描き下ろされたビーティーのイラストがあるが、後発作品の名悪役と酷似している。

麦刈公一

本作の語り部で、天然パーマの平凡な少年。行く先々でビーティーの引き起こす事件の巻き添えになるなど、度々痛い目にも遭っているが、その智謀により苦境から救われる事も多く、ビーティーのことは1人の友人として大切に思っている。

ルックス・性格・語り部ポジション・名前の読み方など、数多くの共通点がある為、後発のジョジョ第四部ダイヤモンドは砕けないの登場キャラクター:広瀬康一のモデルは彼なのではと推測する声も上がっている。

おばあちゃん

海外に居るため家を留守にしているらしい両親に代わり、ビーティーの世話をしている老婆。

ビーティーすらも彼女の素性のすべてを把握していないという、謎の多い女性。きな臭い組織とも関わりがあるようだ。また、ビーティーのいたずらを咎めるどころか寧ろ推奨しているような素振りも見せている。


エピソード一覧

読み切り版「有罪くずし事件の巻」
第1話「サマーキャンプ事件の巻」
第2話「イタズラ死体事件の巻」
第3話「おじさんX事件の巻」
第4話「恐竜化石泥棒事件の巻」
第5話「そばかすの不気味少年事件の巻」

各エピソードに登場するゲストキャラ

読み切り版

  • コイン勝負を仕掛けた学生
読み切り版冒頭に登場。ビーティーにコイン勝負(百円玉を賭け、両手のどちらかに入っているのを当てるゲーム)を挑むが、ビーティーのイカサマにあっさり敗れる。「今度は200円賭ける」と続けて勝負しようとしたが、ビーティーは「(勝負は)一日一度だけ」と断った。
  • 中川冬子
ビーティーが密かにあこがれている年上(15歳)の少女。公一いわく、
「いわゆる夢の美少女で、その魅力は完璧。うしろからついていきたい……そんなふうに思う少女です」
「しかしながら、独特の近づきがたい雰囲気があり、ミステリアス! 逆にビーティーはそんなところにひかれているのかもしれない」
実際、ビーティーも落としたコインを拾ってもらい、赤面していた。
学校の成績はバツグン、友人はあまりおらず、両親はフランスに赴き、おばさんの家に住んでいるとのこと。
後述のルポ・ライター殺害の容疑をかけられ、警察で尋問される。しかし尋問中は冷静に振る舞っており、後に自供した。
ビーティーと公一の活躍により、容疑は晴れるが……。
  • 公一の叔父
ルポ・ライター殺害事件の現場に出向いていた、警察(サツ)回りの新聞記者。ビーティーに「日付や番組表だってあてにできないデマカセ新聞だもんな」と言われ、公一に「おまえの友だちはおっそろしく口が悪いなァ」と激昂していた。
  • ルポ・ライター
中川冬子の学生証を拾い、彼女を自宅に呼び出した。学生証の写真から冬子を気に入り、そのまま手籠めにしようとするも、ハサミで背中を刺されて殺害される。
しかし実は、様々な人物の写真を撮り、それを用いて強請りを行っていた。
  • 刑事
事件を担当した刑事。冬子の尋問も行った。その際に用意されたコーヒーを下品に飲んでいた。

第1話
  • 黒山
サマーキャンプに参加した生徒。他の生徒に「君の両親は火事で焼け死んだ」と言って、慌てる様子を見て楽しむ悪質ないたずらを行う。薪を運ぶビーティーの足を引っかけて転ばし、自分たちの薪も運ばせようとした。それを断ったビーティーに対し、二人がかりで一方的に殴りつける。
友人の赤川に対しても、水着の中に羽根をむしったトンボを入れるなど、他者への迷惑行為を好んで行っていた様子。赤川が苦しんでいても、それを笑って見ていた。
  • 赤川
黒山の友人。眼鏡をかけており、黒山といつもつるんでいる。しかし対等の関係性ではないらしく、下に見られている様子。黒山とともに上記の悪質ないたずらを行うのみならず、ビーティーを殴る蹴るしていた。
ビーティーの怒りを買い、トリックを用いられ、黒山ともども制裁を受ける。

第2話
  • 伊達先輩
ビーティーと公一が通う学校の、剣道部の主将。
実家は寺で、資産家。成績優秀で、優秀メダルを授与されている。教師からの信頼も厚い。
公一いわく「音楽の才能はポール・マッカートニー並み。ジェームズ・ディーンみたいにハンサムで、ユーモアのセンスはウッディ・アレン並み(披露したギャグは『ボタンからシャツがとれた』)。
そして、兵頭天妃子と交際しているらしく、手を握り合うなどしていた。
しかし、演劇部に所属していたビーティーのメーキャップを笑い、ついでに演劇部そのものも嘲笑していた。他にも、以前に30秒遅刻したビーティーの頭を竹刀で小突き、ワザと校長室の前で説教したらしい。
ビーティーのトリックで、二の森を殺害したと思い込んだ時、「これは事故だ」と責任逃れしたのみならず、「(この事を黙っている条件として)兵頭天妃子に近づくな」と言われた際にも「あんな女などどうでもいいことだ」と言い放つ。更にその後で、先生や他の生徒を呼び出し、ビーティーと公一が二の森を殺したのだと罪を着せようとした。
  • 二の森
剣道部の部員で、ビーティーと公一の上級生。伊達に負けっぱなしのために快く思っておらず、ビーティーの話に乗って伊達に制裁を加えようとする。あまり顔を洗っていないのか、目やにが付いているらしい。
  • 兵頭天妃子
ビーティーが想いを寄せている上級生の美少女。伊達と交際しているらしく、ビーティーはその点からも伊達を気に入らなかった。

第3話
  • おじさん(本名不明)
ビーティーと公一が、山奥の湖にて出会った中年の男。最初はロングコートを着ていたが、いきなり軍服と馬上鞭を手にした姿を見せ、自分を「強制捕虜収容所の所長」と名乗り、二人をスパイだと言って縛り上げる。
普通の会社員で妻子ある身らしいが、時々人気の無いこの場所に来ては、サディストの軍人になり切って、犬猫相手に「遊んで」いたらしい。偶然見つけたビーティーと公一を、今回の遊び相手としたが……。
  • 曹長(本名不明)
上記おじさんに付き従う、大柄な男。乱杭歯で、知性をあまり感じさせない顔立ちをしている。彼もまた軍服に身を包み、おじさんから「曹長」と呼ばれていた。
ビーティーと公一の自転車を分解した後で、おじさんの「遊び」につき合い、二人をロープで縛り上げた。

第4話
  • 西戸
恐竜化石展を開催していた、とあるデパートの警備員。
自分を「このデパートの影の支配者」と言い放つが、しかし実際は、支店長にも頭が上がずぺこぺこしている。
倉庫に入って来た公一を「何かを盗もうと侵入した」と決めつけ、その腕を握りねじろうとした。公一はこの男の脈絡のない会話と暴力に恐れを成し、そのまま倉庫に隠れ、ビーティーの恐竜化石泥棒に諮らずとも協力してしまう。
夜のデパート内で公一を見つけ、自転車のチェーンで本気で殴りつけてきた。ビーティーの機転で消火器の目つぶしを食らい、鍵をかけられた部屋に閉じ込められるも、力づくで鍵を壊し脱出。チェーンで公一の首を絞めて気絶させるが、ビーティーのトリックで恐れをなし拘束される(その際にビーティーは、『前足と後足を縛って!』と公一に頼んでいた。彼にとっては人間扱いするに値しない相手だったらしい)。
コインロッカーの鍵束を、支店長から託されているが……。
なお、『バオー来訪者』に登場した、ドレス暗殺部隊の隊長は、この西戸にどこか似ている。
  • おばあちゃんを訪ねた女性(名称不明)
冒頭で、ビーティーの自宅に彼のおばあちゃんを訪ね、そのまま帰宅した女性。帽子を忘れそうになり、その事を注意されていた。
実はある組織の人間らしく、とある事件の証拠を見つけるために、おばあちゃんに相談していた。
デパート内でも、ビーティーおよび公一と鉢合わせしている。

第5話
  • 公一の両親
父親は眼鏡をかけた、ごく普通の中年男性。自宅から、ビーティーとともに車でピクニックに赴こうとした際、バックしている際に不気味少年にぶつけて怪我をさせてしまう。ビーティーに「いちおう(警察に)届けたほうが良いのでは?」と言われても、事を荒立てたくないのか、誤魔化そうとしていた。
母親は髪を後ろでまとめた女性で、眠っている不気味少年の事を「カワイイ」と言っていたが、料理にケチを付けられ、物を壊され、散々な目に合う。
  • タロー
公一の飼い犬。「ストロベリー・ジャム(伏せ)」「アップルジュース(前転)」「バナナパン(飛び出せ)」など、食べ物のキーワードで命令を聞く。ビーティーの命令もよく聞き、彼いわく「利巧な犬だ、もっと仕込めばいい犬になるぜ」
不気味少年との賭け代にされてしまうが……
  • 不気味少年(マナブ)
そばかすだらけの少年。本名はマナブ(苗字は不明)。眠っている姿は、公一の母が言うには「カワイイ寝顔」だが、陰のある顔からは不気味な雰囲気を漂わせている。
麦刈家の車にぶつけられ軽いけがを負うも、「病院は嫌いだが、休みたい」と申し出て家の中で休み、目覚めたら昼食を無言で要求。大食らいで図々しい態度を少しづつ露わにして、公一の服も勝手に着て、家の冷蔵庫やタンスなどを漁りはじめる。
ビーティーと同じく賭けが好きで、アリの巣の蟻と飴玉を用いた賭けを行うが、イカサマを用いビーティーに勝利する。
  • 不気味少年の家族
母親、父親、兄と姉、祖父の、5人の男女。家族ぐるみで他の家庭に入り込み、そのまま居座って支配しては、財産を食いつぶし、破産したら別の家へ……という事を繰り返してきたらしい。
ビーティーからも「この回虫め」と怒りをかい、彼から然るべき報いとして差し入れされた「フグの刺身」を食し……。

※なお、荒木氏いわく「ビーティーに匹敵する能力を有する不気味少年の登場したエピソードは、評判が良く、『敵』『ライバル』の重要さを学んだ」とのこと。

後の荒木作品との繋がり

初期の荒木作品であるため、絵柄やコマ割りなどが現在の作品とはかなり異なっている(どちらかというと、当時の漫画界の重鎮であった手塚治虫石ノ森章太郎などに近い)ものの、独特の擬音や不気味さ、単純な力押しでは終わらない頭脳戦など、後の「ジョジョの奇妙な冒険」に繋がる要素が早くもあちらこちらに見られることがわかる。

バイオレンス色の濃い「バオー来訪者」に並び、ジョジョのルーツともいえる作品かもしれない。


余談

主人公イニシャルB.T.の由来については幾つかの作者コメントがあり、「特にモデルはなく、語感でこうした」と言う趣旨の物もあれば、後年では「漫画家の寺沢武一氏から採った」と言う物もある。

映画に影響されていると思われるキャラが散見され、特にイタズラ死体事件の巻では表紙や腹話術人形のデザインに時計じかけのオレンジへのオマージュらしきものが見て取れる。

意図は不明だが、いくつかのエピソード中に『3-D』と言う文字が目立たないように書き込まれている。

関連タグ

荒木飛呂彦

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