概要
(以下、ウィキペディアより引用・改稿)
ピカレスクロマンとは、ピカレスク小説の別名。16世紀から17世紀のスペインを中心に流行した小説の形式。悪漢小説や悪漢譚、悪者小説とも呼ばれる。
特徴
- 一人称の自伝体
- エピソードの並列・羅列
- スラムなどの下層出身者で社会的に弱者、または不適合者の存在の主人公
- 社会批判的、諷刺的性格
のいずれかの要素を持ち、写実主義的傾向を持った小説を指す。
直截的で口語的な語りと皮肉の口調の文体の中にもユーモアを加えるところや、高貴な生まれではない主人公が、非日常ではなく現実という日常を舞台に生きるための闘いを繰り広げ、繁栄の裏で、多くの社会的矛盾を内包する国を批判的に記している事、などが挙げられる。
語源
ピカレスクの語源はマテオ・アレマンの『ピカロ:グスマン・デ・アルファラーチェの生涯』の 「ピカロ」から。
悪者と訳されるが、単なる悪人ではなく、この小説の主人公グスマンのように、
- 出生に含みのある表現がある(私生児やユダヤ系や娼婦の子等であることを暗喩しているものが多い)
- 社会的には嫌われ者である(が、カトリック的には慈悲を施すべき対象)
- 生きるために罪を犯したり、いたずらをしたりする
というような特徴を持った者のことをピカロという。
日本では、上記のような性格の主人公の時代小説も多い。有名なのは石川五右衛門やねずみ小僧あたりだろうか。
ピカレスク小説の例
『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』(ピカレスクの先駆けともいえる作品)
『グスマン・デ・アルファラーチェの生涯』(前述のピカレスクの語源ともなった小説)
『ドン・パブロスの生涯』
『セビーリャの色事師と石の招客』
『従士マルコス・デ・オブレゴン』
『びっこの小悪魔』
中国のピカレスク文学
『三国志演義』:正史の『三国志』とは違い、劉備たちを主人公に据えているためピカレスクの範疇に入る。
『水滸伝』:日本のヤクザ映画にも用いられるピカレスクの決定版。
他。(ウィキペディアより抜粋。他にもありましたら追記お願いします)
日本のピカレスクロマン
日本のピカレスク小説は、悪漢の主人公(たち)が巨悪や猛悪に立ち向かうという構図で描かれる物語の場合、主人公が行う悪の行為は、結局は「正義のイメージ」のみを持ち、結末に至っても主人公が生き残るというパターンが、かなりの割合で存在するのも日本のピカレスクの大きな特徴と言える。このパターンで有名なのはルパン三世であろう。(これは正確には劇画、アニメだが)
日本のピカレスク小説で有名な作家といえば、阿佐田哲也、大藪春彦、馳星周などがいる。(ただ、馳星周の作品については、人間の暗部を深く抉る様に描写して行く傾向が色濃く、暗黒小説、暴力小説などと呼ばれ、ピカレスクとは別分類される場合もある)
関連タグ
ペルソナ5(アトラスのゲーム。怪盗が主役なので今作を「ピカレスクロマン」と謳っている)
コードギアス 反逆のルルーシュ(サンライズのロボットアニメ。公式で『主人公・ルルーシュの復讐劇を描く「ピカレスクロマン」』と銘打たれている)