私生児

三十一歳を迎えた寺垣　隆博（てらがき　たかひろ）は、前日までの仕事の疲れが取れず、昼になってもアパートで寝ていた。するとそこに、呼び鈴が何度も鳴り、隆博の頭の中に響き渡る。 隆博はイラッとしながらも体を起こしてゆっくりと玄関へ向かい、ドアを開けた。するとそこには、一人の小柄な女性が立っていた。もちろん、隆博とは何の面識もない。 女性の名は稲本　博美（いなもと　ひろみ）。博美は隆博の名前を確認し、間違いないと分かると、急に笑顔を見せて“お父さん！”と言って抱き着いてきた。しかし、隆博は独身なので、子供などいないのは当然である。それに、博美は二十歳であることから、差し引けば隆博が小学校五年生で産まれたことになるので、尚更有り得ない。 それでも博美は身を引こうとはせず、その証拠として一枚の写真を取り出し、隆博に見せ付けた。その写真は産まれたばかりの女性を胸に抱く母親らしき女性の姿があったが、隆博はその女性と面識があり、博美と見比べてそっくりだった。そして、博美から事実が告げられ、隆博は気絶してしまう。 それは今から二十年前、小学生だった隆博と写真の女性が犯した“タブー”から始まった。 しかし、お互いの関係を知った隆博と博美だが、それから予想外の展開を迎えるのであった。 （タイトルの「ペアレンチャイルド」とは、英語で親子を現す“parent and child”を略した独自の造語です。）

藤永耕太郎が高校生の頃、付き合っていた彼女の坂野真理が突然貧血で倒れ、そのまま退学した。理由は伝えられず、彼女の家は既に誰も住んでいなかった。 その後、耕太郎は高校・大学を卒業し就職。別の女性と結婚したが、子供はできず死別。同じくして、人事異動で別の部署に移ったが、そこで入社したばかりの女性社員、坂野彩香と席が隣になった。ただ、その時はこの女性が私と思わぬ繋がりがあることなど、知る由もなかった・・・・・。

表と裏、女子高生それぞれの