概要
一風変わった生涯を送った、この世に実在した6人の「変人偏屈」を描く短編集。2004年に函装版の単行本が出版、2012年に文庫化された。
本来は原作だけでなく作画も荒木飛呂彦が担当する予定だったが、当時彼は『ジョジョの奇妙な冒険』の連載で忙しかったため、荒木飛呂彦のアシスタントだった鬼窪浩久が4作品の作画を担当することになった。
発表された年はバラバラであり、特に「ニコラ・テスラ」の回は1989年という、『ジョジョ』が始まって間もない頃に書かれている。
基本的には実在の人物の伝記のような形式だが、サラ・ウィンチェスターやコリヤー兄弟は創作的な修飾が多く施されている。
収録エピソード
※印の回が作画・荒木飛呂彦
タイ・カッブ
アメリカ野球史上初の殿堂入りを果たした伝説の選手にして球界一の嫌われ者。高い実力を持ちながら、常に他者を排斥することしかしてこなかったカッブの生涯。
康芳夫
オリバー君を仕掛けた究極の「虚」業家。ある意味究極のエンターテイナー、康芳夫が日本全国に向けて放った「虚」とは?
メアリー・マロン(腸チフスのメアリー)※
魔女か、それとも悲劇の女性か。「腸チフス菌の健康保菌者」という稀に見る特異体質の彼女は、なぜ賄い婦以外の道を選ぼうとしなかったのか。
サラ・ウィンチェスター(ウィンチェスター・ミステリー・ハウス)※
生涯に渡り改築を続けた奇怪な屋敷。おぞましいほど複雑な彼女の屋敷はいかなる内面を表しているのか。
コリヤー兄弟
徹底した引きこもり兄弟、世俗を捨てた彼らに怪しい影が……。あらゆる世間との繋がりを絶ち、兄弟だけで巨大な屋敷に引きこもる男を取り巻く物語。
どこかプロシュートとペッシを思わせる泥棒コンビが主役で、タイトルにもなっているコリヤー兄弟はほとんど出てこない。
ニコラ・テスラ
あのエジソンを嫉妬させた異形の天才。今日の電気産業の礎を築いた人物はとてつもなく偏屈であった。
ライバルであるエジソンもまたテスラに負けず劣らずの変わり者っぷりを発揮しており、このエピソードを読むとエジソンへのイメージもガラリと変わるかもしれない。