概要
ニコラ・テスラ(Nikola Tesla)
1858年から1943年まで生きた電気技術者・発明家。
オーストリア帝国統治下のクロアチア出身(但し、両親共にセルビア人)で、プラハ大学を卒業。1884年に渡米してエジソンが経営するエジソン電灯会社に勤務。しかし、ほどなくエジソンの主張する「直流送電」に異を唱え、「交流送電」を主張したことからエジソンと対立し退社した。
その後独立してエジソン社のライバル企業ウェスティングハウス・エレクトリック社の出資を受け、送電効率を飛躍させた発電所をナイアガラの滝に設置した。
無線トランスミッター、点火プラグ等、ごくまっとうな発明のかたわら、人工地震発生装置や無線送電装置「世界システム」など妄想的とも評される奇想天外な発明計画を打ち出した。そのためマッドサイエンティストとしても知られる。とは言え、現在存在する発電所や送電システム、蛍光灯・ラジオやラジコンの無線装置などは彼の発明を発展させたものである。また彼が構想した遠隔送電システムはスマートフォンなどに用いられる非接触充電、遠隔充電として形になろうとしており、時代に合わせて発展している。最近では本格的遠隔充電装置“WattUp”が登場。部屋に一つおけば部屋中の機器に充電可能なWattUpはテスラの構想そのものといえる
容貌は長身でとてもハンサムであり、教養豊かで詩作、音楽、哲学などにも精通していたが、その人となりは変人そのもので、「宇宙人と交信している」「地球を割ってみせる」などの奇怪な発言をたびたび行っていた。
荒木飛呂彦原作・鬼窪浩久作画の『変人偏屈列伝』に彼を取り上げたエピソードがあるが、かなり奔放な筆致で描かれている。
ちなみにアメリカに「テスラ・モータース」という電気自動車会社があるが、電気というイメージから彼の名を借りただけで、別にテスラとゆかりのある会社というわけではない。
電流戦争とエジソンとの確執
もともとエジソンの元で働いていたテスラだったが、「直流用に設計された工場システムをテスラの交流電源で稼働させたら、褒賞として5万ドル払う」と提案。エジソンは「交流は難しいし、直流が優れていることが嫌でもわかるだろう」と高をくくっていたが、テスラはなんとこの無理難題を成功させてしまう。交流を認めたくないエジソンは褒賞を「冗談だった」で済ませ支払わなかったため、テスラは激怒して会社を退社。エジソンと袂を分かったテスラは後に交流を支援するウェスティングハウスから出資を受けて「電流戦争」を繰り広げた。エジソン側直流派閥は「野良犬や野良猫を交流電気で殺すショーを民衆の前で行う」「処刑方法として交流形式の電気椅子を推進する」とネガティブキャンペーンとプロバガンダを繰り広げた。
しかし対するテスラ側交流派閥はこれらの卑劣な作戦に負けず、民衆の感情に訴えるのではあくまで理論的に交流の優位性を主張。時には交流電気を放電している場でテスラ自身が読書をするショーを行い、安全性や無害化の容易さも示した。結果として「送電範囲の大幅な拡大と送電効率の向上」「送電における安全性」が認められ、発電でも送電でも交流が主役となり、電流戦争は交流側の完全勝利で終わった。
この経緯から「エジソンを負かした唯一の発明家」とも言われている。
(ちなみに、技術の進化によりエジソンの直流送電技術は同じ電圧であればロスが多く交直変換の手間が掛かる交流に比べて効率面で遥かに優れていることがわかっており、現在では交流とほぼ同等の電圧の直流送電技術がほぼ確立しつつある。家庭への送電は未だに交流が主流だが、今後は長距離間の送電システムは直流が主流となる見込みである。要するにエジソンの主張は「時代が早すぎた」のである)
しかし電流戦争云々関係なく、そもそもエジソンとテスラは水と油の関係であったため衝突は避けられなかったであろう。
エジソンは身も蓋もない言い方をすれば高等教育どころかまともな教育を受けていないため(エジソンが直流にこだわったのは「交流に関わる数式を理解できなかった」という点もあったという)、その研究手法は地道なトライアンドエラーを繰り返す泥臭い「実験科学者」であったのに対し、テスラはきっちり大学を卒業しており、数学と物理を駆使してある程度の指標を導き出してからスマートに研究する「理論科学者」であった。つまり方向性が真逆で、お互いの言っていることが何一つ理解できないのである。
エジソンの死後、テスラは彼を「ちょっと計算すれば削減できる90%の労力をエジソンがわざわざ費やしている姿が非常に残念でならなかった。彼は本の学習や数学的な知識を軽視し、発明家としてのカンやアメリカ人的感覚のみを信じていた。」とエジソンの名言になぞらえて批判的に語っている。
その確執から「電気の普及でテスラとエジソンにノーベル賞同時受賞が検討されたが、テスラとエジソンの両者が同時受賞することを拒否した」と噂されている。またテスラは「エジソン勲章」を受章しているが、彼の名前を冠しているのが気に入らなかったのか一度拒否している。
ニコラ・テスラをモチーフにしたキャラクター
- ニコラ・テスラ(黄雷のガクトゥーン)・・・黄雷のガクトゥーンの主人公。
- 電気眼魔・・・仮面ライダーゴーストに登場する眼魔怪人。
- ニコラ・テスラ(Fate)・・・Fateシリーズに登場するサーヴァント。1のテスラとはある繋がりがある。
- ニコラ・テスラ(#コンパス)・・・#コンパス_戦闘摂理解析システムに登場するキャラクター。
- ニコラ・テスラ(ラヴヘブン)・・・ラヴヘブンに登場するキャラクター。電波キャラ。
- ニコラ・テスラ(シンフォギア)・・・戦姫絶唱シンフォギアXDに登場するキャラクター。新規長編クエストLOST_SONG編の黒幕と思われる。本人なのか名前が同じだけの別人なのかは不明。
- ニコラ翁の頭蓋・・・WARHAMMER40000に登場する、サーボスカルと呼ばれるドローンの一種。サーボスカル自体が人骨を材料の一つとしており、〈ニコラ翁の頭蓋〉はニコラ・テスラ本人のそれを用いていると窺えるような解説がされている。
- ニコラ・テスラ(終ワル)・・・終末のワルキューレの人類側代表「神殺しの13人(エインヘリャル)」の一人。
関連タグ
テスラコイル:彼の発明品。
Occultic;Nine:ニコラ・テスラの存在が世界観および物語に深くかかわる