振り返れど
戻ることも
立ち止まることも
叶わない
ただ
一方向に流れるのみ
概要
ホットサマー・マーサは、『岸辺露伴は動かない』の一エピソード、及び作中作に登場するキャラクター。
本作は”コロナ禍”をテーマにしており、緊急事態宣言が発令され、海外はおろか国内の移動も著しく制限されていた騒動まっただ中の空気感を生々しく描いているのが特徴である。
そんな社会情勢に作家生活を著しく狂わされ、完全に参ってしまった露伴が見せる意外な側面や人間くささも見所の一つで、どこか超人然としている露伴もまた色んな意味で人間に過ぎないことが描き出されている。
2022年3月発行の「JOJO magazine 2022 SPRING」に掲載。同年12月26日にはNHKで本エピソードを実写化したテレビドラマが放送された。荒木先生が手がけた作品の中では、最速で映像化された作品である。
あらすじ
7月7日水曜日12時42分。
六壁坂にだけ雨が降っているところを愛犬のバキンと見ていた露伴。世間はコロナ禍で自粛と移動制限が課せられ、取材旅行もままならない。
泉京香とリモートで自身の漫画のキャラクター「ホットサマー・マーサ」のデザインの打ち合わせをし、くさくさした気分を少しでも晴らそうとマスクをしてバキンと散歩に出かけた。
当て所なく歩いているうちに、いつの間にか神社の境内に迷い込んでしまう。神社内にはご神木があり、その幹の空洞には古びた鏡が置いてあった。
「やはり取材は出歩くに限る」と気分良く帰宅した露伴だったが、家に帰ると色々と様子が変わっており、強い違和感を感じた。何かがおかしい。
スマホの表示を見ると10月7日16時48分。知らぬ間に3ヶ月もの時間が経っていたッ。神社の宮司によると、それは藪箱法師の仕業であるらしいが……。
登場人物
ご存じ本作の主人公。外出もままならぬコロナ禍で神経をすり減らし、普段の冷静さが保てずイライラムカムカしていて情緒不安定になっている。
露伴が飼い始めた子犬。名前の由来は「南総里見八犬伝」の著者:曲亭馬琴であろうか。人間味の薄い露伴が子犬を可愛がっている様は色んな意味で読者に衝撃を与えた。
露伴の担当編集。リモート打ち合わせで、露伴の作品に登場する新キャラであるホットサマー・マーサのデザインの修正をしつこく頼んでいる。原作においては「富豪村」以来久々の登場。
岸辺露伴の熱狂的なファン。露伴が好きすぎて度々庭まで侵入してくるちょっと厄介な女性。
- 神主の親子
まるきり同じような言葉を続ける親子の神職。
後述の怪異の対応策を露伴に説く。
- 広告代理店の2人組
ドラマ版冒頭にのみ登場。露伴にVRヘッドセットで海中を体感させてその感想を広告に使おうとしたものの、「苦しくなかったし死ななかった、死のリアリティは体感出来ない」という趣旨の露伴のコメントを勝手に差し替えようとしたことでその怒りに触れてヘブンズ・ドアーされる羽目になる。
劇中用語
- ホットサマー・マーサ
岸辺露伴が自身の作品に新登場させようとしているキャラ。黒い円が三つのデザインであり、泉京香は著作権的な問題や誹謗中傷を心配してデザイン変更を勧めていた。
露伴はトリスケルの例を出して撥ねつけていた、はずであったが、10月7日には……
さらに実写ドラマ版では、この一件が原因で露伴がさらに面倒なことに巻き込まれてしまう羽目に…。
- 藪箱法師
本作に登場する怪異。
鏡に映った者と入れ替わって生活を行い、3ヶ月経過すると鏡の中に戻っていく。
性質はその人の「暗黒面」として現れるという。