概要
第4部における露伴の名ゼリフ、だが断るのセルフパロディともとれる台詞である。発せられた経緯は以下の通り。
トニオ・トラサルディーの経営するレストラン・トラサルディーを訪れた露伴は、彼の絶品料理で疲れ目を治してもらい絶賛する。そんな露伴に対し、トニオは頼みがあると言う。以下はそれに続くやり取りである。
トニオ「露伴先生 お客さまとしてではなく、友人としてお願いしたいことがあるのですが。一緒に杜王の海岸に「鮑(あわび)」を採りに行ってはいただけませんか? (中略)もし それが手に入るのなら… 露伴先生 わたしの生涯において最高の特別料理を作ることができます。わたしは何としてもヒョウガラ列岩のクロアワビを手に入れたいのです」
露伴「検索によると… クロアワビというのは縄文時代から食べられていて伊勢神宮の神事にも捧げられる特別な生き物だな。 (中略)普段トニオさんがレストランの食材をどこから仕入れてるのか知らないが…。漁師たちから直接買えばいいだろう?」
トニオ「貴重すぎる「鮑」… 漁師たちはひとつも売ってくれません」
露伴「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ。売ってくれないものを採りに行こうって誘ってるのか?それって「違法」って事だろうッ!?」
トニオ「採るのはわたしです… 夜行くのであなたは電灯を照らしてくれるだけでいい」
露伴「ナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナア ライトを照らすだけだって…… 僕は健全な少年少女のために漫画を描いている人間だぜ… …社会的に少しは有名なんだ しかも! 鮑は稚貝を海に放して 成長して収穫できるまで5年以上と書いてあるッ 育てている漁師たちの日々のご苦労は想像できない!!」
トニオ「『密漁』をします」
露伴「だから気に入った」
トニオ「ベネ(良し) そうおっしゃっていただけると思っておりました」
「受けた方が絶対的有利である提案をあえて断る」からこその格好良さがある「だが断る」に対し、こちらは「道義的にも論理的にも引き受けることには全くメリットのない提案をあえて受ける」からこその「『だから』気に入った」である。
そしてそんな露伴の人間性を見抜いて、露伴ならば引き受けてくれると踏んで「それが違法であることは重々承知しているが、それでも私はそれをしなければならない」と堂々と言い切るトニオもまた非常に格好いい、そんな名シーンである。
まあ露伴の場合「通常なら法に触れるような行為はしないトニオのような人間が、犯罪を犯す決意をし決行する」特殊な状況の顛末を見たかっただけと言う可能性も無くはない。だって露伴だし。
…露伴なら別に違法行為に手を出さなくても、ヘブンズ・ドアーで漁師に命令すれば解決した問題じゃないの?というのは言わないお約束。それに、露伴の性格からするとそんな素直な解決方法は死んでもやりそうにないし…。
関連項目
だが断る - セルフパロディ元