概要
2001年4月から2002年3月まで放送されたテレビアニメ。全51話。
デジタルモンスターのテレビアニメ『デジモンシリーズ』の3作目に当たるが、登場人物や世界観は一新されている。通称は「テイマ」「テイマーズ」など。
なお、1998年9月に発売されたセガサターン専用ソフト「デジタルモンスター Ver.S 〜 デジモンテイマーズ 〜」とストーリーや設定のつながりはない。
アニメ初期四作でも特にリアル路線を強く打ち出した作品で、デジモンたちの世話の苦労や身体のしくみ、進化で変わることの不安。人間たちの反応。デジタルワールドの世界観がリアリティーに溢れており、劇場版『デジモンアドベンチャー』のような怪獣映画路線に回帰した作品だと言える。
そのため、シナリオ展開もトップクラスにシリアスで、テイマー同士、子供と大人の対立に始まり、デジモンたちの現実世界への進攻と防衛、パートナーデジモンの喪失、デジモンを超越した粛清プログラムの暴走と、当時リアルタイムで視聴してトラウマになったファンが出たというエピソードが複数存在する。
その結末も四作のなかで、唯一ビターエンドといえる終わり方をしている。
一方で、カードスラッシュによる人間側からのサポート、究極体への進化方法など、デジモンの戦いに対するパートナーのより深い介入や、終盤では強大な存在に大人子供、種族に関係無く人間とデジモン達が一致団結して立ち向かうといった、前作には無い魅力もあり、
テイマーやリアライズ、デジモンに分類されない存在、対デジモン機関など、後続のシリーズに影響を与えた要素も数多く存在する。
派生シリーズとしては人気の高い作品であるものの、心機一転した当時のグッズの売れ行きは前二作に比べると落ち込む結果となった。この地味に重くのしかかった負債は、次のデジモンフロンティアで一気に清算させられる羽目となった。
2021年に20周年を迎え、これに因んで新規グッズが展開されている。
物語
デジモンカードが大好きで、テイマーに憧れる少年、松田啓人(まつだたかと)。あるとき啓人の考えたデジモン「ギルモン」が実体化し、啓人は本物のテイマーになってしまう。
啓人は同じテイマーである牧野留姫(まきのるき)や李健良(リ・ジェンリャ)と出会い、やがて共にデジモンを取り巻く大きな事件に巻き込まれていく。
作品の設定について
本作においてデジモンは「1980年代に研究されていた人工知性を元にした生命体」とされている。原始的データの「デジノーム」やデータを消去するプログラム「デ・リーパー」なども存在し、コンピューター世界としてはよりリアルなものになっている。
また本作においては従来の作品に多かった「ワクチン種のデジモン = 善」「ウィルス種のデジモン = 悪」という図式が取り除かれており、メインキャラ3人のパートナーデジモンの属性が3属性にバラけている。特にアニメでは主人公パートナーの属性が「ウィルス種」である初の作品となっている。
この世界でのデジモンは、ゲームやカードとして広く親しまれる存在である(ただし、本作の世界におけるデジモンのオリジナルデザイナーは渡辺けんじ氏ではなく、アリス・マッコイの実父であるキース・マッコイである)。
ちなみに、作中設定では『デジモンアドベンチャー』シリーズが放映されていたり、作中で使われているカードの殆どは実際の「デジタルモンスターカードゲーム」で商品化されているものである。
またデジモンを消滅するための国家機関が存在することからも分かるように、一部の人間の間ではデジモンの存在がすでに知られている。
物語途中デジタルワールドに渡るものの、基本的には現実世界での戦闘が多い。そのため周囲に及ぼしている被害もおそらくシリーズ中最大といわれる。そのため東京は壊滅した。
世界の成り立ちの関係上、他の作品にある「デジモンが死ぬとデジタマになる」という転生の概念も存在しないシビアな世界観(=デジモンは死んだら消滅する)でもある。これが作中、大きくのし掛かってくることになる。
あまり認識されていないが実は映画第一作で『デジモンアドベンチャー』のデジタル世界とリンクしている。登場する敵のほとんどが『デジモンアドベンチャー02』のパートナーデジモンたちのアーマー体であることも意識してのことである。
また登場人物の一人秋山遼はデジモンアドベンチャー02に出てきた秋山遼と同一人物である(ただし設定に多少の差違がある)。
放送終了後(2002年9月)に発売された『SF Japan』vol.05(2002年夏号)に掲載された小中千昭(シリーズ構成)による設定によれば本作の時代設定はリアルタイムでの放送年と同じ2001年で、舞台設定は東京・西新宿周辺である。この設定は2018年に発売された本作のBlu-ray BOXに初回限定特典として付属した新作ドラマCD『デジモンテイマーズ2018「Days-情報と非日常-」』でも継承されており、同作中で「2018年には啓人たちは28歳」と明言されている(年老いた山木満雄が「2003年の中学生〈設定では13歳・中学1年生〉の啓人君に…」と発言している=「啓人たちが小学5年生の時期に起こったテイマーズの物語は2001年の出来事である」と明言されている)。
つまり、啓人たちは前作『デジモンアドベンチャー02』(時代設定は2002年)に登場した(同作劇中設定では2002年時点で小学6年生の)井ノ上京と同い年・1990年度生まれ(誕生日は1990年4月2日~1991年4月1日)ということになるが、前年に放送された『02』の(先代)主人公・本宮大輔(1991年度生まれ・2002年時点で小学5年生)より1歳年上という逆転現象が生じることになる。
登場キャラクター
デジモンテイマーズの登場人物一覧を参照。
主題歌
オープニングテーマ
- The Biggest Dreamer
作詞:山田ひろし/作曲・編曲:太田美知彦/歌:和田光司
OPではシルエットとしてグレイモン、ホウオウモン、ワーガルルモンが、テイマー(本編未登場)が連れているデジモンとしてオーガモン、ナイトモン、デスメラモンが登場(この3体も本編では活躍していない)。
エンディングテーマ
- My tomorrow
作詞:松木悠/作曲・編曲:大久保薫/歌:前田愛
- Days-愛情と日常-
作詞:うらん/作曲:大久保薫、うらん/編曲:大久保薫/歌:前田愛
劇場版主題歌
- トモダチの海(冒険者たちの戦い・挿入歌)
作詞:山田ひろし/作曲・編曲:山崎耀/歌:Sammy
- Moving on!(冒険者たちの戦い・エンディング)
作詞:ai/作曲・編曲:太田美知彦/歌:AiM
- 夕陽の約束(暴走デジモン特急・エンディング)
作詞・作曲:泉川そら/編曲:阿部靖広/歌:AiM
挿入歌
- SLASH!!
作詞:山田ひろし/作曲・編曲・歌:太田美知彦
- EVO
作詞:大森祥子/作曲・編曲:渡部チェル/歌:WILD CHILD BOUND
作詞:山田ひろし/作曲・編曲:太田美知彦/歌:谷本貴義
- 3 Primary Colors
作詞:山田ひろし/作曲・編曲:太田美知彦/歌:テイマーズ
- 風
作詞・歌:和田光司/作曲:大久保薫/編曲:渡部チェル
- ひまわり
作詞:ai(前田愛)/作曲・編曲:樫原伸彦/歌:AiM
- Across the tears
作詞:山田ひろし/作曲・編曲:太田美知彦/歌:松田啓人(津村まこと)
- 男飛沫
作詞:山田ひろし/作曲・編曲:太田美知彦/歌:塩田博和(玉木有紀子)、北川健太(青山桐子)
- くるっくるっクルモン
作詞:山本英実/作曲・編曲:嶋田陽一/歌:クルモン(金田朋子)
- Black intruder
作詞:山田ひろし/作曲・編曲:太田美知彦/歌:ベルゼブモン(高橋広樹)
- Fragile heart
作詞:ai/作曲・編曲:近藤昭雄/歌:AiM
- Starting Point
作詞:松木悠/作曲・編曲:太田美知彦/歌:和田光司、AiM、太田美知彦
劇中未使用曲
- 小春とテリアモンのおっかけっこデュエット
作詞:松木悠/作曲:渡部チェル/歌:李小春(永野愛)・テリアモン(多田葵)
- あそぼクルクル
作詞:大森祥子/作曲:樫原伸彦/歌:クルモン(金田朋子)
- Believe
作詞:矢野有香/作曲:太田美知彦/歌:AiM
- サンタモンをさがせ!
作詞:山田ひろし/作曲・編曲:太田美知彦/歌:テイマーズ
- Black X'mas ~山木のテーマ~
作詞:山田ひろし/作曲:樫原伸彦/歌:山木満雄(千葉進歩)
- クリスマス・アローン
作詞:松木悠/作曲・編曲:太田美知彦/歌:インプモン(高橋広樹)
- 歌おう 僕らのメリークリスマス
作詞:小柴裕子/作曲:太田美知彦/歌:和田光司
- いっしょがいいね
作詞:大森祥子/作曲:太田美知彦/歌:デジモンテイマーズ
- Across the tears
作詞:山田ひろし/作曲:太田美知彦/歌:松田啓人(津村まこと)
- ギルモン・マーチ
作詞:松木悠/作曲:太田美知彦/歌:ギルモン(野沢雅子)、コーラス:苅宿少年合唱団
- ふたりでラララ
作詞:大森祥子/作曲:太田美知彦/歌:松田啓人(津村まこと)・ギルモン(野沢雅子)
- Moon Fighter
作詞:松木悠/作曲:山崎燿/歌:牧野留姫(折笠富美子)
- Flaming ice
作詞:山田ひろし/作曲:渡部チェル/歌:レナモン(今井由香)
- Last Piece-強くなりたくて-
作詞:うらん/作曲:山崎燿/歌:牧野留姫(折笠富美子)・レナモン(今井由香)
- 未来
作詞:松木悠,作曲:太田美知彦/歌:李健良(山口眞弓)
- エニータイムモーマンタイ
作詞:大森祥子/作曲:高橋ひろ/歌:テリアモン(多田葵)
- 僕のともだち
作詞:うらん/作曲:高橋ひろ/歌:李健良(山口眞弓)・テリアモン(多田葵)
- さよならだけが知ってた
作詞:大森祥子/作曲:渡邉美佳/歌:加藤樹莉(浅田葉子)
- Bark at the Lies
作詞:松木悠/作曲:井上日徳/歌:レオモン(平田広明)
- 終わらない物語
作詞:大森祥子/作曲:渡部チェル/加藤樹莉(浅田葉子)・レオモン(平田広明)
- Digital Surviver
作詞:山田ひろし/作曲:太田美知彦/歌:秋山遼(金丸淳一)
- DoD
作詞:山田ひろし/作曲:太田美知彦/歌:サイバードラモン(世田壱恵)
- FIGHTING SOUL
作詞:松木悠/作曲:太田美知彦/歌:秋山遼(金丸淳一)・サイバードラモン(世田壱恵)
- “HERO”KAZUのロケンロール
作詞:山田ひろし/作曲:太田美知彦/歌:塩田博和(玉木有紀子)
- 飛ばせ!ガードロモン
作詞:松木悠/作曲:渡部チェル/歌:ガードロモン(梁田清之)
- 男子チーム
作詞:山田ひろし/作曲:太田美知彦/歌:塩田博和(玉木有紀子)・ガードロモン(梁田清之)
- 僕のブルーカード
作詞:山田ひろし/作曲:太田美知彦/歌:北川健太(青山桐子)
- オーシャン・スマイル
作詞:松木悠/作曲:大久保薫/歌:マリンエンジェモン(岩村愛)
この曲のみ、全編マリンエンジェモン語である。
- 白いカモメ
作詞:松木悠/作曲:太田美知彦/歌:北川健太(青山桐子)・マリンエンジェモン(岩村愛)
- 届きたいな
作詞:大森祥子/作曲:高橋ひろ/歌:李小春(永野愛)
- ひとりにさせない
作詞:大森祥子/作曲:渡部チェル/歌:ロップモン(多田葵)
- ひとつのきもち
作詞:渡邉美佳/作曲:大久保薫/歌:李小春(永野愛)・ロップモン(多田葵)
各話リスト
No. | サブタイトル |
---|---|
1 | ギルモン誕生!僕の考えたデジモン |
2 | 君はぼくのともだち テリアモン登場 |
3 | レナモン対ギルモン!戦いこそがデジモンの命 |
4 | テイマーの試練!ゴリモンを倒せ! |
5 | くるっくるーん!クルモンと遊ぼ! |
6 | パートナーの意味 レナモン進化 |
7 | ギルモンが危ない!ぼくの町の冒険 |
8 | ギルモン進化!西新宿大決戦 |
9 | ギルモンに戻って!グラウモン騒動 |
10 | レナモンは友達!留姫の迷い |
11 | 新宿大ガード1分30秒の対決! |
12 | 留姫とレナモンきずなの危機! |
13 | デジモン捕獲司令!災いの予感 |
14 | テイマーよ立て!メガログラウモン超進化 |
15 | 巨大ヘビ出現!大江戸線大パニック |
16 | 街の灯を守れ!デジモンたちの危険なキャンプ |
17 | ブルーカードを追え!ラピッドモン電光石火 |
18 | 美しき進化!月光に舞うタオモン |
19 | 強くなりたい!這い上がれインプモン |
20 | 切り札はこれだ!友情のブルーカード |
21 | 樹莉のパートナー!?私のレオモン様 |
22 | ヴィカラーラモン登場 僕たちの街を守れ! |
23 | デジモン総出撃!風に向かって進め |
24 | デジタルワールドへ…旅立ちの日 |
25 | デジタルワールド突入!さらば僕たちの街 |
26 | 小世界!風の強い谷のジジモン・ババモン |
27 | インプモン進化!魔王ベルゼブモンの戦慄 |
28 | 敵か味方か!?伝説のテイマー秋山リョウ |
29 | ここは幽霊の城!迷えるクルモン大脱出 |
30 | デジタルワールドから緊急司令 クルモンが… |
31 | ガードロモンとの友情!僕も戦うテイマーヒロカズ |
32 | ギルモン誕生の謎!神秘なる水の宇宙 |
33 | テリアモンはどこ!小春デジタルワールドへ |
34 | 心優しき勇者レオモン死す! |
35 | その名はデュークモン!真なる究極進化 |
36 | 決戦!デュークモン対ベルゼブモン |
37 | 対決スーツェーモン!セントガルゴモン究極進化 |
38 | 動き出した真の敵!四聖獣の戦い |
39 | 舞い散る究極の花!サクヤモン進化 |
40 | 進化の輝きシャイニング・エボリューション |
41 | 帰還 リアルワールドへ |
42 | デ・リーパーに襲われた街 テイマーの決意 |
43 | つながる心 復活のベルゼブモン |
44 | 謎の少女!奇跡を運ぶドーベルモン |
45 | デ・リーパーに立ち向かえ ゾーン突入! |
46 | 爽やかな究極戦士 ジャスティモン見参! |
47 | デュークモンを救え!グラニ緊急発進 |
48 | 樹莉を守る力 ベルゼブモンの拳 |
49 | 首都壊滅!クルモンの願い |
50 | 真紅の騎士デュークモン 愛する者たちを救え! |
51 | 夢見る力こそ僕たちの未来 |
余談
主題歌の「The Biggest Dreamer」は初代のButter-Flyと並んでデジモン黄金期世代のファンからは非常に人気の高い曲となっている。サビから「ビガビガ」の愛称でも親しまれており、歌詞をサビだけでごり押すMADがあるぐらいである。(後にこの方式のMADは「ビガビガ戦法」なるタイトルでじわじわと広まりつつある。)また、ラストには本作に未登場のデジモン(ケンタルモンやオーガモンらしき個体など)やテイマーも影絵姿で数体登場している。
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デジモン四部作 - 本作を含め「デジモンアドベンチャー」からから「デジモンフロンティア」までの4作を指す通称
劇場版「『デジモンテイマーズ 冒険者たちの戦い』『デジモンテイマーズ 暴走デジモン特急』。
小さき勇者たち~GAMERA~:小中兄弟は平成ガメラの最初期の構想を練っており、後に作品化したのが『小さき勇者たち~GAMERA~』である。デジモンテイマーズの初期の話と「小中ガメラ」には類似性が見られ(参照)、実際に小中千昭は小中ガメラが『デジモンテイマーズ』の作風に影響を与えたとしている(参照)。また、プロガノモンとジャンボガメモンもガメラの影響を受けていると指摘される場合がある。ちなみに、両シリーズには他にも共通する関係者がいたり、映画デジモンアドベンチャーと同日に封切された『ガメラ3』のプロデューサーはデジモンアドベンチャーを絶賛し「この様な映画を作らないとダメだ」と述べている。
ウルトラマンティガ:同じく「小中ガメラ」を応用した作品。なお、同作品の小説「深淵を歩くもの」に登場する内原戸哲夫が本作第44話にゲスト出演している。