概要
『ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀』の敵、アブソリュートタルタロスがザ・キングダムへと誘った者たちの一部のこと。
ゾフィー曰く「歴史のどこかで分岐して時間軸を超えてきた並行同位体」。
元々はダークロプスゼロの事件において、ゼロとZAPのメンバーが遭遇した「別世界のZAP」のことが光の国に伝わり、それが「並行同位体事件」として記録されたのが最初である(ゆえに「大いなる陰謀」においてゾフィーがあっさり「並行同位体」という答えに行き着いている)。
タルタロスは時空を行き来する能力で様々な並行世界を行き来し、ウルトラ戦士たちに倒される運命にある怪獣や宇宙人の前に現れてその未来を教えて軍門に勧誘。そうして仲間に加えた彼らを現在の時間軸に連れてくるという手段を使っている。
ベリアルやトレギアの精神的な歪みが生じる時期から干渉を行い、最後に彼らが敗北する未来のヴィジョンを見せて言葉巧みに勧誘し、最終的に力を与えることで自身の指示を聞かせている。
これは恐らくあえてそのような時期を選んだと考えられ、ジュダとモルドは戦闘中優勢だったところに現れて拉致同然で連れて行き、レイバトスに至ってはベリアルに完全に止めを刺される直前に助け出した。
ただ、彼らが命を助けられただけで素直に言うことを聞くとも考えにくいため、ベリアルやトレギアに行ったように、未来のヴィジョンを見せたり、力の取引をしたりといった、何らかの手段はとったと思われる。
形としては過去から連れてくるタイムワープのようだが、こうしてタルタロスの軍門に下ったとしても「倒されない代わりにその次元から去る」という「可能性世界」と呼ばれる新たなパラレルワールドが誕生することとなり、本来の歴史に影響が及ぼされることはないが、ウルトラ戦士達にとっては最悪の敵が立て続けに復活するも同然の事態である為、何にせよ恐ろしい能力である事には違いない。
恐らく、マルチバースのレベル3マルチバースにあたると思われる。
なお、ザ・キングダムに召集されたりタルタロスが利用した怪獣が全て並行同位体というわけでもない。
ギマイラやバット星人はレイバトスによって蘇生された、いわゆる再生怪獣にあたる。
また、宇宙恐魔人ゼットは元々存在していた個体がいるが、今作に登場するのはそれとは別にバット星人が新たに作り出した個体で同一個体ではない。
尚、コスモスの台詞によれば彼らの世界であるコスモスペースでもタルタロスの干渉があった事が語られており、現時点で描写はされてはいないが、その他の次元にも干渉して何らかの脅威を戦力に取り込んでいる可能性は極めて高く、果たしてどれ程の勢力となっているかは不明だが、タルタロスの能力が能力なだけに、前例が無いほどの強大かつ混沌とした軍勢であるのはほぼ間違い無いだろう。
一応はアブソリューティアン傘下ということになるのだが、特に洗脳の類はされていないため、離反されるリスクも孕んでいる。
特に闇に堕ちた後ではなく、その直前のベリアルやトレギアを連れ出したのを見れば解る様に、当初は自分達の脅威にもなる存在には干渉していなかった。しかし、後にレイブラッド星人の並行同位体を解き放つ等、思惑は不明だが、その一線も曖昧になりつつある。
ギャラファイシリーズの監督を務める坂本浩一監督とメインライターの足木淳一郎氏の大いなる陰謀クロストークメイキング内にて、タイムパラドックス等様々なSFの理論が確立されてきた中で、それを取り込んで作品を作る段階で、ウルトラシリーズの歴史を改竄せず+αでいかに面白いものを作れるかを思考した結果、上述のようにマルチバースの設定を扱った上で並行同位体を設定したと語っている。
メンバー
ウルトラ大戦争後、ケンとの差に劣等感を抱き始めた頃からタルタロスの精神干渉を受ける様になり、唆される形でプラズマスパークに手を出して失敗するが、追放される前に自分から光の国を去ってしまう。そこへ現れたタルタロスに、レイオニクスとなってからジードに引導を渡されるまでの自分の未来を告げられる。そして、運命を変える為にタルタロスの誘いに乗った事で正史から完全に分岐した。
これにより、この次元では「ベリアルの乱」を始めとするベリアル絡みの事件は一切起きないという事になるが、彼と接触し損ねたレイブラッド星人の暗躍がどの様に変化したのかは不明。
宇宙警備隊への入隊が叶わず、「光の使者」に対する疑念を持ちながらも宇宙科学技術局でタイガスパークを開発していた頃、ボガールによる惑星アーブ滅亡の悲劇が起こる。しかし、そこで「ヒカリを直接迎えに赴くも、復讐鬼ハンターナイトツルギに変身した彼に拒絶される」と言う、完全にイレギュラーな事態が発生。
結果として、「光の使者」への疑念が強くなってしまい、それから程なく惑星デスターでタルタロスと邂逅。ベリアルと同じく未来のヴィジョンを見せられた後、力の誘惑や好奇心からタルタロスの軍勢に加わる。
これで、この次元ではルーゴサイトの暴走やグリムドの解放も回避され、当然ながら『ウルトラマンR/B』や『ウルトラマンタイガ』における一連の事件も起きない事になる…しかし、上述の通り、それ以前に惑星アーブでの出来事から歴史が変化しており、ヒカリがトレギアに刃を向けてしまった件も含め、必ずしも正史よりもマシな可能性の未来を歩んでいるとは言い難い面がある。
宿敵であるアンドロ警備隊と戦っていたが、上述の2人の様に何らかの干渉を受けた影響か、既に昭和作品の姿では無く、平成作品の強化形態となっていた。そして、アンドロメロスとの戦闘の最中にいきなり現れたタルタロスにモルドとジュダが拉致同然にナラクへと誘われ、その後のやりとりは不明だが軍勢として戦う事になるも、コスモミラクル光線に敗北。そして、元の次元では彼ら二人を欠いて弱体化したグア軍団がアンドロ警備隊に敗れて壊滅し、ギナも戦死する末路を辿っていた。
しかし、タルタロスの企みによってレイバドスに蘇生され、より惨たらしく利用される羽目になる。
時空移動で所属していた世界そのものから完全に消えてしまった為、後の『ウルトラファイトビクトリー』や『ウルトラマンX』におけるグア軍団との戦いは発生しない。しかし、その事件の裏で暗躍していたヤプールに何らかの影響が及んだ可能性が考えられる。
正史通りベリアルに始末される寸前でタルタロスに救出されて分岐。
何気に同位体の中で、ウルトラ戦士達に敗れた記憶をそのまま明確に持っている。
また、結局は正史通り「ベリアルに攻撃された所為でこの世から消えた」為、可能性世界は生まれていないと思われる。
孵化する前の卵の状態でタルタロスに調達された。
『ウルトラマンオーブ』の個体が基になっているかは不明。
撃破前である事以外正確な時間軸は不明だが、『ウルトラマンR/B』の個体が基になっている。
少なくともトレギアの同位体の次元同様、美剣サキが生還する可能性世界が生まれたと思われる。
『ウルトラマントリガー』で登場。バット星人の手で改造が成されている。
なお、どの時空の個体かは不明。
第一特殊空挺機甲群で運用されていたウルトロイドゼロが回収され、バット星人の手によって自律稼働型に改造された。
よって、デストルドスが誕生しなかった世界線が生まれた事になるが、予期せぬ形で文明自滅ゲームを潰されたセレブロがどの様な行動に出たかは不明。
「運命の衝突」のラストで、本人の口から並行同位体である事が明かされた。ただし、こちらは無理矢理連れて来られただけで、アブソリューティアンの軍門に下ってはおらず、後にユリアン王女レスキュー隊がザ・キングダムに潜入した際にユリアンと共に救出され、アブソリューティアンと闘う事となった。
また作中の人物達のセリフを総合すると、境遇は上述のレイバトスの並行同位体に近いらしく、可能性世界が生まれているかは不明。
「ウルトラマンジード」最終回にてウルトラマンベリアルの体から切り離されたレイブラッド星人の怨念がタルタロスによって別次元へと逃がされていた。
並行同位体の疑いがあるメンバー
作中では推測できるような発言や描写もされていないが、過去死亡した者ばかりで並行同位体かレイバトスによる再生個体の可能性がある。
この中でもヘルベロスやスラン星人は出自不明であり、ナイトファングはタルタロスに連れてこられている。
また、ゴーデス細胞はウルトラマンリブットによってマガオロチ、ルーゴサイトと並んで復活したものと語られていることから、UGFTAC時点で本来の歴史では既に存在していない可能性がある。
- グリムド(ウルトラヒーローズEXPO2021ニューイヤーフェスティバルの個体)
外部作品で並行同位体として登場したメンバー
ウルトラヒーローズEXPO2021ニューイヤーフェスティバル
- ウルトラダークキラー(※再生固体か純粋な並行同位体かは不明)
※配下にグリージョダークネス/エックスダークネス/ジードダークネスを引き連れている。
NEW GENERATION THE LIVE ウルトラマントリガー編
TDG THE LIVE ウルトラマンダイナ編 in 博品館劇場
TAMASHII NATIONSスペシャル配信:ウルトラマントリガー編
※この他、タルタロスが復活させた存在としてイーヴィルトリガーが登場。
配下にダークザギを連れている。ダークスパークによる対象のスパークドールズ化も健在。
これ以前には『New Generation Heroes Live Stage』でもルーゴサイト、レイバトスと共にタルタロス配下として登場。ゼロダークネスをダークライブさせてゼットに仕向けた。
『ウルトラゼロファイト』時同様に鎧は「テクターギア・ブラック(あるいはテクターギア・ヘイトリッド)」となっており、出身の時系列はプラズマスパークコアに手を伸ばそうとして止められた後の修行時代。
K76星でのレオとの修行の最中で一人になった隙に、タルタロスにエタニティコアの力を匂わされた上で、仲間にならないかとの勧誘を受けタルタロスと一時的に行動をともにした。
タルタロス側についていたダークルギエルとともにゼットとトリガーを相手取る事になったがゼットの熱い気持ちのこもった拳を受け覚醒、「俺には限界がねぇってことを見せてやるぜ!ブラックホールが吹き荒れるぜ!」と発言した上でテクターギアを解除しウルトラマンゼロとしてゼット達とともに戦った。その後の行動は不明。
戦闘能力はテクターギアを付けた状態でも成長したゼット(ゼットやハルキにとって戦いにくい相手とは言え)を相手取ったり、直後に離反してダークルギエルをも相手取るほどに高い。
ゼット達との共闘の後の行方は不明。
余談だが上記の「俺には限界がねぇってことを見せてやるぜ!ブラックホールが吹き荒れるぜ!」という台詞とともにテクターギアを解除しウルトラマンゼロとして覚醒するシーンではゼロのデビュー作『ウルトラ銀河伝説』からウルトラマンゼロの声を担当しておりゼロに変身するモロボシ・シン:ライト役もつとめている宮野真守氏が歌唱するZERO_to_INFINITYが使用されており、このステージのメイン監督で音響や演出も担当していたのがゼロのデビュー作『ウルトラ銀河伝説』で監督した坂本浩一氏であったのも相まってウルトラ熱い展開だった。
無論この時のゼロはまだゼットとも知り合ってないためゼットの変身者の仲間であるナカシマ・ヨウコにゼット様のお師匠さんと言われた時には、「え?師匠?俺が?」とびっくりした反応をしておりゼットは正史の師匠が自分になかなかしてくれないグータッチをしてくれたことに感激したり飛びついたりしている。
トリガーの発言から「過去から連れてこられた」事が判明。
TAMASHII NATIONSスペシャル配信:ウルトラギャラクシーファイト編
タルタロスによってスフィアに加えてアブソリュート粒子でさらに強化された個体で、レグロスとデッカーを圧倒したが、終盤ダイナミックタイプになったデッカーのダイミュート光線とレグロスの白虎赤龍弾の同時攻撃を受け倒れた。
ウルトラヒーローズEXPO2022 ニューイヤーフェスティバル STAGE3「時空を超えた戦士たち」
マルゥルはカルミラがブルトンを利用し、時空の歪みを生じさせてアブソリューティアンやゼットらウルトラ戦士達を呼び寄せた際に偶発的に出現。
正史のマルゥルとは微妙に性格が異なり若干馴れ馴れしい対応をする為、事情を知らないイグニスやマナカ・ケンゴを意図せず困惑させてしまった。
その後、終盤で危機に陥ったトリガー達を救う為、2人のマルゥルがブルトンにナースデッセイ号からエネルギーを打ち込んで並行同位体のウルトラマン達を呼び寄せる。
このウルトラマン達はカルミラによってトリガーの世界に集められた正史の本人達と共演しており、分身などではない形で同じウルトラマンが2人同時に並び立つという非常に珍しい光景が見られた(ちなみに冒頭の戦闘では、トリガーが分身して4形態が並び立っている)。
戦いが終わった後、時空の歪みが消えると共に全員元の世界に帰っていった。
転じて
上述したように作中では現在のところ「分岐した別の歴史の同一存在」のことを指しているが、視聴者の間ではさらに拡大解釈して「別の世界の同一(的)存在」(中の人が同じ、名前が似ているなど)レベルをも並行同位体と呼称することもある。もちろん同一の存在を指すこともある。
ここでわかりやすいように過去作の例をいくつか挙げてみると以下の例が該当する。
原典 | 並行同位体 |
---|---|
『ウルトラマン』におけるウルトラマン | 『ULTRAMAN』におけるベムラー |
『ウルトラマン』におけるガヴァドンA | 『ウルトラマンブレーザー』におけるガヴァドンA |
『ウルトラセブン』のウルトラセブン | 『平成ウルトラセブン』のウルトラセブン |
『ウルトラセブン』のメトロン星人 | 『ウルトラマンマックス』のメトロン星人 |
『ウルトラマンネオス』のウルトラマンネオスとウルトラセブン21 | パイロット版のウルトラマンネオスとウルトラセブン21 |
『ウルトラマンティガ』におけるウルトラマンティガ | 『大怪獣バトルNEO』のウルトラマンティガ等 |
『ウルトラマンコスモス』の春野ムサシ | 『ウルトラ銀河伝説』におけるZAPに所属するムサシ |
『ウルトラQ』〜『ウルトラマンコスモス』までの登場人物 | 『大決戦!超ウルトラ8兄弟』における横浜市民 |
『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』のレイやZAPのメンバー | 『ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』に登場する別世界のレイやZAPのメンバー(他にもヒュウガとクマノが登場し、残りのメンバーやゴモラもいたことが明言されている) |
ここで注意して欲しいのは並行同位体は必ずしも、原典と同じ種族あるいは原典と同じ時代の生まれというわけではない事である。特に超ウルトラ8兄弟の登場人物は原典がウルトラマンが人間に変身した存在であっても、地球人生まれという事になっているし、先輩と後輩の間柄であった人物が同年代という事になっている。
身も蓋もない事言っちゃうと、IF(もしもの可能性)なのだから、作品展開に支障がなければなんでもアリというわけなのだ。
また前述のウルトラマントレギアもまた、初登場作品である映画「セレクト!絆のクリスタル」から「ニュージェネクライマックス」時の設定の段階で、自分が死ぬとグリムドの力で任意の並行同位体を召喚してそれまでの記憶を引き継ぐという設定があり、そのため「絆のクリスタルのトレギア」、「タイガ1話序盤のトレギア」、「タイガ本編のトレギア」、「ニュージェネクライマックスのトレギア」はそれぞれに並行同位体同士であるが、グリムドの力でこれまでの自分の記憶や経験を上書きしていると考えるのが自然である。
余談
近年のサブカルチャー界隈の動きとして
実は、こうした「並行世界の自分」を扱っているのはなにもウルトラシリーズに限った話ではない。原義の起源を遡るとドラえもんのもしもボックスにまでたどり着き、また「別の世界の似たもの同士」という意味なら火の鳥シリーズなどにも早くからそのような描写が取り入れられている。
また近年ではマルチエンディング方式やメディアミックスにより、ゲーム、マンガ、小説、アニメなど、同じ公式作品でも同一シリーズ内に互いに設定や展開が噛み合わない複数の「正史」が誕生することがよくある。そういった場合、それぞれを「別の世界」と定義して矛盾を解消していることがある。この場合それぞれの同名キャラ同士は、全員並行同位体として扱われることになる。
関連項目
スターシステム:似ているようで違う概念。
ウルトラマントリガー、カルミラ、ダーゴン、ヒュドラム、イーヴィルトリガー:その容姿、能力、果ては境遇などの類似点の多さから、ファンからはそれぞれウルトラマンティガ、カミーラ、ダーラム、ヒュドラ、イーヴィルティガの並行同位体である可能性を疑われている。現時点では真相は明かされておらず、どういう関係なのかは一切不明。(一方、ダイナとデッカーの関係は判明しており、並行同位体ではないと確定している)
リピアー:ファンの間では初代ウルトラマンの並行同位体ではないかと疑われている。一方ウルトラマンパワードは完全な別人であることが確定しており、ウルトラ銀河伝説やウルトラギャラクシーファイトなどで共演することもある。