ウルトラマントレギア
うるとらまんとれぎあ
「私はトレギア…君の願いを叶えにやって来た」
「君達の言う『絆』は簡単に壊れる」
劇場版『ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』で初登場する謎多き悪のウルトラ戦士。
偽物ではない純粋なウルトラマンだが、様々な宇宙に干渉しては人の心の弱さに付け込んで星々を滅ぼしてきた存在である。
初登場時は異空間の様な場所に身を潜めており、こちらの世界に干渉する際はテレビ等の画面を介して現れる事が多かった。
口調は至って紳士的で、表面上は物腰柔らかな態度を取っているが、その本性は狡猾にして残忍且つ冷酷。
突如として異空間から姿を現し、夢破れて行き詰ったり悩み事を抱えたりしている人間を言葉巧みに誘惑し悪や絶望に誘い込む。
そして自分が持ちかけた選択を選び取った結果、悲劇に見舞われた人間達を見て嘲笑いながらその様子を楽しむという姿勢はとても正義の使者たるウルトラマンには見えず、寧ろ「悪魔」と言った方がしっくりくるかもしれない(しかも本人はあくまで「夢を提供しているだけ」と言って憚らない)。
それ以外にも劇中ではリクとペガを連れ去り、ペガを怪獣の中に閉じ込め、その怪獣をリクに殺させる事で悲劇を演出しようとした事もある。
また、『ウルトラマンR/B』の前日談小説『蒼い瞳の少女は灰色と名乗った』では、ルーゴサイトの遺伝子に手を加えて狂わせ、数々の星を滅ぼさせようとした青い仮面を付けたウルトラマンの存在が語られており、それがトレギアである事が示唆されている。
つまりは美剣サキの2人の兄の命を奪い、サキの心を歪める遠因となったばかりか、見ようによっては『R/B』の物語それ自体の真の黒幕でもあったという事になる。
想定外の事態が起きようとも特に動じる事無く飄々と人を食ったような素振りや言動を取り続ける様は、一見すると愉快犯の様にも見えるが、彼自身の思惑自体は現段階では全く明らかになっておらず、どこか掴み所の無い、得体の知れない不気味さを漂わせている。
その一方で、自分の計画を台無しにされたり、相手が(故意か否かに拘わらず)自分のトラウマ(?)を刺激する宜しくな言動を取ったりした際、更にはある人物の事が絡んだ際などには、それまでの紳士的な態度から一転して感情を露わにする場面も描かれており、意外に激情家な面も持っているらしい事が窺える。
尚、『ウルトラマンメビウス』から遥かな時間が流れた時代で活躍しているのにもかかわらず年齢が1万2千歳となっているが、あくまでタロウと同年代である事を示す設定なのであって、現年齢というわけではない事には留意されたし(ウルトラ戦士の公式年齢設定はマルチバース設定での混乱を避ける為の基礎設定であり、作品によって年齢が変動する事がある為)。
『メビウス』以後に誕生したタイガの年齢を加算した場合、1万4000歳以上は確実に越えていると思われる。
カラータイマーが位置する部分はX字のプロテクターの様なもので覆われており、ハンターナイトツルギの様に鎧を纏っているように見える。また、腕や足の部分にベルトの様なものが見受けられ、プロテクターの形状と相まって鎧というよりは、寧ろ全身に拘束器具を身に付けている様にも見える。
仮面を付けた様な顔が特徴で、仮面らしきものから覗く目の表情はビクトリーやロッソとブルの頭、ジードのツリ目を思わせる(目が赤いので、ロッソの赤要素も一応は補完している事になる)。
額はクリスタルの様になっている。爪先も先端が反り返る様な形状をしている。
また、顔の輪郭や耳の形はあのルーキーと呼ばれた戦士に似て、胸や頭部の意匠はある戦士を彷彿とさせ、カラーリングも含めるとどことなくあの黒い戦士の様にも見えるが、関連は不明。
と、この様に初登場作品が平成ウルトラマン最終作である為なのか、新世代ヒーローによく似た特徴を有している。一部では、新世代ヒーローに関わる何らかのアイテムを使っているからではないかという説もあった(似た例で言うと、ニュージェネレーションカプセルを二つ使って変身したウルトラマンゼロビヨンドがそれに当たる)。
基本的に権謀術数を巡らせて暗躍し、戦闘は配下の怪獣達に一任する策略家ではあるが、自身の戦闘力もそれなりに高く、ジード・ロイヤルメガマスター/ウルティメイトファイナルやウルトラマングルーブとも互角に渡り合える程。劇中ではグルーブと壮絶な空中戦を展開し、最後の最後まで一進一退の激しい攻防を繰り広げた。
貫手や手刀を使う格闘スタイルが印象的で使用技も攻撃目的なら破壊力抜群、策略目的なら陰湿で汎用性の高いものばかり。
但し、戦闘能力が低い訳では決してないが、冷静さを失ったりして得意の舌戦や精神攻撃抜きの真っ向勝負だと意外と脆いフィジカルの弱さも抱え込んでいる。これに関しては(前日談で語られているが)彼が生粋の戦士ではないという事情も関係しているのだろう。また、多彩で凶悪な必殺技を数多く持っているものの、後述の前日談から実はこの技の殆どがとある存在から由来する力でトレギア本人の固有の必殺技ではない事も判明している。
事実、ウルティメイトファイナルとの対決では序盤こそ手数で押していたものの、一撃が重いギガファイナライザーでの攻撃で次第に劣勢になっていた上、格闘戦ではほぼ互角の戦闘力であるグルーブにもスネークダークネスと戦っている最中への不意打ち以外大きなダメージを与えられておらず、トライストリウム相手に至っては初戦で完敗して以降は殆ど正面から戦おうとしなかった。
結局『タイガ』最終回でもトライストリウムには終始圧倒されており、上記の力を抜きにした本来の単純な戦闘センスで言えばレイブラッド星人の力を得る前のウルトラマンベリアルなどには到底及ばないと思われる。
この為、やんちゃなタイガや煽り耐性の低いフーマを圧倒した一方で、タロウやゼロ、リブットといった挑発等の搦め手が通用しない歴戦のベテラン相手とも相性が悪い傾向があり、彼等程ではないにせよ同じく経験豊富且つ挑発の効かないタイタスからもダメージを受けており、ニュージェネレーションズ戦と比べても決定打を決めあぐねていた。事実、タイタスとの再戦では挑発を無視され、人口惑星破壊後に敢えて挑発に乗られ重い一撃を受けた結果、必殺技を出される前に撤退、リブット戦では最初こそ善戦した様に見えたものの最終的にはキックを受けた結果レッドキングを2体召還して足止めしながら撤退しており、ゼロには挑発を軽く流されている。
一応、本人もこういった事は自覚しているのか、自らの力で敵を直接叩きのめすベリアルとも異なり、話術や幻覚、罠を多用する事で相手の力をフルに発揮させない戦い方を好んでいる。
グルーブが現れた際には「私は残業をしない主義でね」という捨て台詞を吐いて撤退しようとした事から、自身の想定外の戦闘や手の内が分からない相手との不用意な戦闘は極力避けようとしていた様子が窺える。
ゼロに「ベリアル以上に何を考えてるのか分からない食えないヤツ」とも評されている通り、トレギアの真の恐ろしさは純粋な戦闘力ではなく、裏で様々な怪獣や宇宙人を巻き込みつつウルトラマン達を苦しめ続ける執念深さと狡猾さとも言えるだろう。
- トレラアルティガイザー
全身のエネルギーを両腕に集めて打ち出す必殺光線。グルーブを大きく吹き飛ばした。『ウルトラマンタイガ』でも使用するが、エネルギーを貯める際に発生する魔法陣や撃ち出した際の赤い稲妻が省略される事が多々ある(現状、劇場版『R/B』と同じ演出が見られるのは第23話のみ)。
- トレラケイルボス
ロッソやブルの必殺光線と同等の威力を持つとされる破壊光線。
- ギアギダージ
身体を高速回転させつつ突撃して相手を弾き飛ばす必殺技。ルーブをロッソとブルに分離させ、ロイヤルメガマスターのジードがプリミティブに戻る程の大ダメージを与えた。
- オプトダクリス
目から撃ち出す破壊光線。
- トレラアルディガ
両手先から放つ破壊光線。グルーブのデルタブレストランサーとぶつかり合い相殺した。
- トレラテムノー
両腕から放つ10本のカッター光線。
タイガ第21話にて使用し、パンドンを撃破した。
- トレラシウム光線
名前から判断するに恐らくスペシウム光線系統の必殺技と思われる。『劇場版R/B』等では使用されなかったが、『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』においては意外な形でこの技の存在が判明した。
- トレラ・スラー
空間を歪ませて異次元のゲートを作り出す超能力の一種。ここから巨大な腕を伸ばしてリク達を別宇宙へと引き摺り込んだり、カツミを地球から7452光年も離れたホスター21星系の惑星へと誘い出したり、異空間から怪獣を地上に召喚したりした。
因みに、「7452光年ってどれ位遠いの?」という疑問だが、1光年がざっと約9.5兆km(地球2億3000万周以上)となる事を踏まえると、最早途方も無い距離となる事は想像に難くないだろう。
- イスキュロス・イーバ
防御技の一種。ロッソとブルのバリヤと同等の防御力を持つとされる。
- イスキュロス・ダイナミス
相手の怒り等を加速させて増幅させる凶暴化光線で、正気を取り戻しかけたスネークダークネスを再び狂暴化させた。ウルトラマンコスモスのフルムーンレクトとは正反対の性質を持った光線技とも言える。
これの派生技と思われるものを使用した事もあり、やはり落ち着いた怪獣を再度暴れさせている。
セレクト!絆のクリスタル
手始めにリク達を『R/B』の世界に送り込み、上述の悲劇を引き起こそうと目論む。しかし、その目論見がロッソとブルの活躍の前に崩れると、今度はロッソの変身者たるカツミやその友人の戸井ゆきおに興味を示し、彼等の前に姿を見せて闇に引き込もうとする。その過程で自身が召喚した怪獣達を次々にジードや湊兄妹に嗾け、遂にはスネークダークネスと共に自らの手で彼らを抹殺しようとした。
だがカツミは闇に引き込まれなかったばかりか、トレギアにとって想定外の事態が次々に発生。更にトレギア自身が呼び寄せたジードまでも究極の姿となった事で、高みの見物のはずが一転して自ら戦う事を余儀無くされる。
そして激闘の末、ジードのレッキングノバを浴びせられ続けて爆散、倒された──
が、その時の台詞は「これが家族の絆か……勉強になった!!」という、死に際の言葉としては聊か不自然なものであった。
そして、エンドロール後…。
「何だ、君達まだ観てたのか」
何事も無かったかの様にトレギアが現れ、意味深な言葉と共に高笑いをしながら宇宙の何処かへと飛び去っていった…。
「私は忙しいのでね。この辺で失敬するよ」
「また会おう」
ウルトラマン ニュージェネレーションクロニクル
第13話に登場。ブースカとペガの前にブースカ劇場のスクリーンから現れた。
ウルトラマンを苦しめた強敵達を紹介し、ウルトラマンを応援するか、闇に身を委ねるかの二択を迫った。
尚この際、劇場版『R/B』の時と異なり、初めて自らをウルトラマンと名乗っている。
UGFニュージェネレーションヒーローズ
第6話より登場。
今作ではウルトラダークキラーと裏で繋がっていた事が判明しており、新世代ヒーローズのダークネスを作り出そうと目論んでいる。当のダークキラーに「何故そこまでダークネスに拘る?」と問われた際には、「光も闇も、正義も悪も、等しく同じ価値しかない事をウルトラマン達に証明したいだけ」と語っているが…?
当初は全身を青黒いオーラで覆っていてはっきりと姿が映らず、クレジットでも「青い巨人」と表記されていたが、第8話にてウルトラマンリブットに暴かれる形で姿を現した(以降、クレジットもウルトラマントレギアに変更されている)。
その後はリブットと一進一退の攻防を繰り広げ、彼の実力を「名前だけは覚えておこう」と暗に認めると、ダークキラーとゼロダークネスを強引に復活させて新世代ヒーローズ達に仕向け、リブットを足止めする為にレッドキング2体(初代と二代目)を召喚して姿を消した。
ダークキラーが倒された後、新世代ヒーローズ達の前に結界を通じて突如現れる。そして、彼こそが全ての黒幕である事、また、ダークキラーにウルトラウーマングリージョを狙わせたのはグルーブの力を使わせない為である事が明らかとなった。
「片方の局面からしか物事を見ない」と新世代ヒーローズ達の正義感を否定し、光の国について「やはり消すしかないな…」と零すと、何処へともなく消え失せた。
光の国を破壊しようとする彼の野望を阻止する為、『R/B』世界の防衛に戻ったグリージョと彼女を送り返すゼロを除く新世代ヒーローズ達は、トレギアの捜索に向かうのだった。
彼の暗躍によってグルーブの力は終盤まで使われず、グリージョによるバックアップも無かった新世代ヒーローズ達はダークネス軍団に大いに苦しめられる事となった。しかし一方で、ダークキラーにギンガ、ビクトリー、ロッソ、ブルのダークネスを催促した事で、ダークキラーが自分の居場所を新世代ヒーローズにバラした結果、グリージョを救出されてしまい、ダークネス軍団も未完成のままダークキラー諸共倒されてしまうという、本末転倒な事態も引き起こしている。もっとも、後述する彼の思想信条を踏まえれば、どちらが破滅しようと彼にとってさしたる問題ではなかったのかもしれないが。
また、交戦した事のある『R/B』組やジード、独自の情報網を持つリブットが存在を知っていた一方、幾多の宇宙を旅してきた経験豊富なベテランであるオーブはその存在を全く把握しておらず、その神出鬼没の暗躍振り故に存在を知る者が多くない可能性が示唆されている。
尚、本作ではトレギアが潜む空間を「魔法空間」と表記している。
ウルトラマンタイガ
「宇宙の番人を気取るな…!光が正義だと誰が決めた!?」
「よき旅の終わりを…そして…始まりを」
こちらでは、全編を通して活躍するメインヴィランとして登場。
本作では「霧崎」(演:七瀬公)という名の地球人の青年に擬態して暗躍。変身アイテム・トレギアアイを所持し、必要に応じて元の姿に戻る。
本作で遂に明かされたその正体は、タイガの父親であるタロウの元親友。即ち、タロウ同様彼の出身もM78星雲・光の国であり、年齢も1万2千歳(放送当時のタロウと同じ年齢だが、ウルトラ銀河伝説以降の時間経過を考慮したものかは不明)と同い年。公式Twitterによると、元は光の国の科学者だったらしく、タイガ達の変身アイテムたるタイガスパークを開発したのも他ならぬ彼であった。
カツミやリクに異常なまでに固執している様にも見えたのは、タロウの力を使っていたが故とも考えられる。ジードが同郷の悪の戦士の息子でありながら正義のウルトラマンとして活動している事についても、何か思うところがあったと考えれば、劇場版本編でリクとペガに手を出したのも当然かもしれない。後の『トレギア物語/青い影』にて、カツミを狙った理由に「忌々しくもタロウの力の込められたクリスタルを使って変身するらしい」と知ったからである事(カツミがその時悩んでいたからというのも大きいようだが)、ジードを狙ったのは親友であるペガを殺すしかない道を選ばせる事で父・ベリアルと同じ道を歩むかもしれないという興味からである事が判明している。
結果として、ベリアルに続いて光の国から新たな悪のウルトラマンが現れた事になった。
更に皮肉な事に、ウルトラの父とタロウは親友が悪に堕ち、敵となってしまう悲劇に親子二代で見舞われた事になった(また、ウルトラの父の親友の息子であるゾフィーと交流があり、タロウの弟子であるメビウスの戦友のウルトラマンヒカリもまた、闇落ちに近い状態になっていた)。奇しくもベリアルとは「劇場版で初登場し一度倒されるも復活する」「二世ウルトラマンやその家族と因縁がある」という似た構図になっている。
『タイガ』第0話では、「ベリアルの様に闇に身を墜としてしまった友」としてタロウの口から存在が語られた。また、この時のタロウの発言から、トレギアもまたベリアルの様に心に弱さを持っていた事が闇に身を堕とす原因になった事が示唆されている。元科学者だった事以外、その経歴も未だに謎が多い(タロウに対する態度から、タロウとの何らかの確執が遠因であったと推察する事も考えられる)が、トレギアもまた、ベリアルと同じように光の国で犯罪を犯したのだろうか…?
また、歴代ウルトラマンに詳しいガイですら彼の存在自体を知らず、タロウの息子であるタイガもタロウとの関係を全く知らなかった事を考えると、やはり彼の事は世間では余り知られていない模様(ガイに関してはメタ的にはオーブより後発のウルトラマンだから仕方無い面もあるが)。
本編の第1話冒頭では、何らかの目的で光の国に迫り(上述の通り『ウルトラギャラクシーファイト』にて光の国の破壊と判明した)、ギンガを筆頭とした新世代ヒーローズ達をたった一人で相手取るが、劣勢に陥ったと見せかけて予め仕込んでおいた爆弾の罠で全員を一網打尽にするという狡猾さも見せ、タロウの制止を振り切って立ち向かったトライスクワッドをも全滅に追いやった。
一方、嘗ての親友であるタロウが現れた途端、それまでの人を食った態度が嘘の様に感情を剥き出しにしている。
現状、タロウ相手に余裕を見せたのはタイガが消滅し、タロウが動揺した時のみであり、その前にタロウと戦闘していた時も、掛け声にかなり感情が籠り余裕が無かった。
また、全身に青い炎を纏ったウルトラダイナマイトに酷似した技も使用している。
その後、地球に降り立った後はヴィラン・ギルドのゼガンのデモンストレーションに「贈り物」と称してヘルベロスを差し向けてオークションを引っ掻き回したり、タイガが現れる事を予見していたかの様な言動を取ったりしている。
また、ボイスドラマ第3回でタイタスが「自分達が同じ星で合流出来たのは、偶然ではない作為的なものかもしれない」と推測しており、トレギアが関与した可能性が示唆されている(タイガは「偶然」だと流してしまったが)。
第2話では、ヴィラン・ギルドの怪獣兵器であり、幼い頃の工藤ヒロユキの友達でもあったキングゲスラを一時的に操り狂暴化させる(イスキュロス・ダイナミスの応用と思われる)。タイガがキングゲスラと戦い、ヒロユキによって幼い頃の記憶を思い出した時、トレギアの姿になってタイガを挑発しつつ圧倒、それを見て怒ったキングゲスラをも翻弄し痛めつけた後、タイガに向かってトレラアルティガイザーを放ち、それを庇ったキングゲスラを殺害する。その光景に怒るヒロユキとタイガのストリウムブラスターをトレラアルティガイザーで押し返すが、続くフレイムブラスターは防御もせずに受ける…が既に空中に逃げており、トレラ・スラーで退却し行った。
これ以降も、先述の初登場時と同じく、追い込まれた者達を言葉巧みに破滅や絶望への道に誘い込む愉快犯のような振る舞いを繰り返し、外道振りにおいてはベリアル以上の活躍を見せている。そのスタンス上、営利目的で悪事を働くヴィラン・ギルドの取引を上記の様に台無しにする事も少なくなく、三角関係を保ちつつ彼独自の思惑のもと動いている模様。
その一方、ナックル星人オデッサがその本質と願いとの間で葛藤している所を見抜き、彼の本心を暴いて焚き付け、タイガと戦う道を選ばせた様は、あたかも彼が果たせなかった願いを叶えさせて救おうとしていたかの様にも見える。実際その境遇には何か思うところがあったのか、倒された際は彼にしては珍しく花を手向けて、一人その死を悼む様子も見せている(戦っている最中は愉快そうに高笑いしていたのでどこまで本気だったのかは不明だが、これはタイガがナイトファングリングを使用した直後の高笑いであり、下記の事も考えるといろんな意味で面白くてしょうがなかったのだと思われる)。
尚、第6話にて等身大の変身を披露すると同時に、ガピヤ星人アベルに握手された際は最初こそ不敵に笑っていたものの、やたら長い握手に「長いな!」と迷惑そうに手を離し、その後は手に付いたヌメリを気にして何処からともなくハンカチを取り出して手を拭く(しかも「取れない…」とぼやきながら)というコミカルな一面も見せた。
ちなみに、等身大のウルトラ戦士は、『ULTRASEVENX』以来12年ぶりの登場となった。
その思惑
(※本編中盤のネタバレにつき注意)
第3話以降も、タイタスやフーマの帰還後、更にタイガがフォトンアースに進化した際にも、まるで彼らの力を試すかの様にちょっかいを出している他、怪獣リングをタイガが使う事を喜ばしく思っている描写がある。あたかもトライスクワッドの面々の成長を促す様な行動を取っているかの様にも思えるが、第12話ではどうやらタイガを闇に誘おうとしているらしい事を口にしている。
次々と現れる敵の陰で彼が暗躍する中、第14話では怪獣リングを使ってきた影響なのか、「タイガが暗い空間の中で仲間を見失い激しい感情が渦巻く」「時々ヒロユキの頭の中で変な音がする」「タイガにヒロユキの声が届かなくなる」「戦闘の最中にタイガが無性にイラついている」「ギガデロスを執拗なまでに殴り続ける」等、明らかに闇堕ちの兆候と思われる行動が至るところに散見された。
「そうだ…もっと怒れ、残忍になれ…!そうすれば君は私になれる…」
そして、第15話でその企みの詳細が判明。それは、怪獣リングの力でタイガの心を闇に染め、自身の傀儡に引き摺り込むという恐ろしいものだった。トレギアはその為に、自身の感情と力を植え付けた怪獣を嗾けてはタイガ達と戦わせ、怪獣リングを収集・使用させていたのである。実はこのリングは、力を求めて使用しては好戦的になり、次の戦いでより使いたくなるというまるで麻薬の様な作用を齎す恐ろしいアイテムであり、しかも使わせていた怪獣リングの力は、正面からのパワフルな戦いを得意とするタイタスや、俊足と手裏剣を用いトリッキーな戦術で相手を翻弄するフーマにとっては、いずれも扱い辛いか彼らの能力と重複したものかのどちらかであった。その結果、収集自体はトライスクワッド全員で行なったにも拘らずその力はタイガのみが使用しており(恐らくはタイガのみが使う様にトレギアが意図的に選んだものと思われる)、これが原因でタイガの戦闘スタイルは回を追うごとに怪獣リングに頼り敵に過剰な攻撃を加えるものへと変貌していった(第15話に至っては然程苦戦していない敵を牽制するという、たったそれだけの為にリングを使用している)。
そして、第15話後半で現れたトレギアに対しヘルベロスリングを使用した直後、タイガはその身から膨大な闇を発しつつ苦しみ出す(因みにこの時わざとヘルスラッシュの直撃を受けたが「いってぇなぁ……」と普段の演技がかった口調よりも砕けた反応をしている)。それでも尚戦おうとする彼を軽くあしらいつつ、トレギアはその様子を楽しそうに嗤っていたのだが、タイガを説得するヒロユキに不快感を示す。
「絆……?二言目には絆 、絆、五月蝿いんだよ!地球人風情に何が出来る……!」
それ以降は先程までと違ってどこか不愉快そうにタイガを痛めつけ始めるが、遂にタイガに限界が訪れ…。
「聞こえるかNo.6!!闇がお前の息子を蝕んでいるぞ!ウルトラマンタロウの息子を…!!」
闇の力に飲み込まれたタイガは自我を喪失し、ヒロユキ達とも完全に分離。その様を見たトレギアは、自身の傀儡にして一部である怪獣リングをタイガから難無く取り上げる。そして、放心状態の彼に対しまるでペットを愛撫するかの様に接しながら、これまでにない程の愉快そうな高笑いを見せるのだった。
「昨日までのタイガは死んだ。新しいタイガの誕生だ」
「もう君は地球人がいなくても変身出来る。新しい相棒は闇のエネルギーという訳だ」
その後トレギアはタイガ、そして自身が光の力を奪い気絶させたヒロユキの精神世界に現れ、二人の精神を甚振り続ける。
「おやぁ?絆とか大層な事を言っておきながら…他の二人は何処だ?見捨てられちゃったのかなぁ?」
「父親を超える力を手に入れたんだ…私と一緒に、光の国に戻ろう。そして、父親にその力を見せつけてやれ」
タイガを手駒としたトレギアはそれに留まらず、自身やタイガの故郷である光の国への攻撃までも視野に入れていたのだ。
しかし、魘され続けるヒロユキを見かねたE.G.I.S.の面々による介入、タイタスとフーマの尽力、そしてそれ等により先に正気を取り戻したヒロユキにより、怪獣による足止めも実らずタイガを救出され、更に新形態・トライストリウムへの覚醒を許してしまうという想定外の事態に陥る。差し向けた怪獣を瞬く間に蹴散らすタイガを目の当たりにし、トレギアはまるでタロウを前にした様に激怒するや、変身して自ら戦いに挑むも、冷静さを失った事が仇となってか、攻撃を全てあしらわれてしまう。その姿はまるで、地球で初めて二人が戦った時の鏡写しの様でもあった。
タイガ「今のお前では、俺達の絆には勝てない!」
「まだ絆を語るのか!反吐が出る!!」
「この弱者が!貴様等が宇宙の番人だと!?誰が決めたぁぁッ!!」
タイガ「お前は負けるんだ!俺達の!」
トライスクワッド「「「「光に!!」」」」
直後、必殺技・トライストリウムバーストを放つタイガにトレラアルティガイザーで応戦するもまるで敵わず、そのまま押し切られ爆散・敗北した。
「何が光だァァァッ!!貴様等に、私の何が分かるゥゥゥッ!!」
闇の支配から抜け出したタイガは、仲間との絆を更に深め、新たな力を会得。その事実を突き付けられたトレギアは、タイガの仲間にして一部であるヒロユキの存在の重さを、今更ながら理解する。そして、今まで散々嘲笑い続けた絆の力に自身が敗北した事実を噛み締めながら、これまでにない程の悲痛な高笑いを上げるしかなかったのだった。
この敗北以降、タイガのみならずヒロユキにも注意を向ける様になった。第17話では社長を庇って亡くなった、セモン星人ミードの最期に憤るヒロユキの前に霧崎の姿で現れ、同時に正体を明かす。彼の精神を痛めつける言動を取る(最早言わずもがなであるが、この一件にE.G.I.S.を関与させたのも、用済みとなったミードを始末したのも、他ならぬトレギア自身である)。
そして、「私は君に興味を持った。だから君の事をもっと知りたいし、君にも私の事を知って貰いたい」と口にしつつ、遂にその正体を明かした。まるでヒロユキの憎しみを、自分に向けさせようとしているかの様に…。
『私の名は…ウルトラマントレギア』
『これからも、私を愉しませて欲しいなぁ…。君と、君の大切な仲間達の、絆の物語で』
因みに、この時E.G.I.S.のオフィスにある画面から、初登場時の様に姿を映している。また、上記の再編集番組である『ニュージェネレーションクロニクル』を除けば、これが劇中で初めて自らをウルトラマンと名乗った場面であった。
これ以降、
といった具合に、E.G.I.S.の面々を標的とした策謀を次々に仕掛ける様になる。
それ等の目的は全て、タイガの変身者であるヒロユキを闇堕ちさせるべく彼を精神的に追い込む事であった。しかしながら、旭川ピリカを標的にしようと接触した際、何やら只ならぬビジョンを目の当たりにすると、驚きと狂喜を顕にしつつあっさりと手を引き、ピリカを気絶させたのみで去っていった。彼が見たものとは、一体…?
その後、第21話にて、地球人、ゴース星人、パンドンを巻き込んだ騒動を起こし、その過程でパンドンをタイガに倒させようとするも失敗。直後に変身して自らパンドンを始末すると、タイガに軽くちょっかいを出して撤退する。そして、後を追ってきたヒロユキの目の前でゴース星人の地底ミサイルを勝手に使用し、惑星を構成する元素の一つと言われる物質『エーテル』を刺激。それによって「宇宙が恐れ慄く存在」が地球に呼び寄せられた事を告げると、不穏な言葉と共に姿を消した。
「君が消えるか、君の大事なものが全て消え去るか…。タイガ、君がどちらを選ぶのか、見届けさせて貰う」
第23話では、ウルトラマン抹殺を目論むチブル星人マブゼ達がニセウルトラマンベリアルを送り込みトライスクワッドを苦戦させているのを見て、自分の計画を邪魔されては困るという理由で乱入し、一時的だがトライスクワッドと共闘。因みにこの時、ニセベリアルに蹴りを受け止められたフーマの軸足を蹴り上げてニセベリアルに直撃させ、ニセベリアルへの攻撃とフーマへの嫌がらせを同時に行うという彼らしい共闘の仕方を見せた。
ニセベリアルにマブゼ達がいるビルを破壊する様に仕向けた後は、暫しタイガとニセベリアルの戦いをビルの上に座って見物していたが、ウルトラマンゼロが駆け付けるとニセベリアルに加担する形で彼との戦闘に突入。「生命は迷い悩むからこそ美しいもの」との考えから、真っ直ぐなゼロの事を「心底つまらない」と評している(厳密に言えば、今のゼロは数々の戦いを通じて迷いや悩みを乗り越え、肉体的にも精神的にも成長している為と思われる)。
最終的には、タイガの放ったタイガダイナマイトシュートを逃げようとしたニセベリアルを肉壁にする事で防御。
その後ゼロの放ったゼロツインシュートを躱す形で姿を消した。
呼び寄せた終末、その先に見た光(本編24話・最終回)
第24話にて、自身が呼び寄せたウーラーが遂に地球に襲来。まるで打つ手の無いタイガが惨敗を繰り返す様子を嗤いながら見ていたが、「決して満たされない空腹故に自らが起こし続ける悲劇を止めたい」と願うウーラーの真意を知ったE.G.I.S.やトライスクワッド、ヴィラン・ギルドが共同作戦『バディ・ステディ・ゴー』を開始すると、計画の妨害に動く。
宇宙人を忌避する地球人が、同じ宇宙人のウルトラマンに頼るという矛盾をせせら笑いつつ現れ、トライスクワッドにちょっかいを出し、タイガを後一歩のところまで追い詰めるも、自身を救おうとしている事を悟ったウーラーにトドメを刺すのを阻まれ、心底驚いた様子を見せる。表面上の余裕は崩さなかったが、その事態に怒る様にウーラーを痛めつけ、激昂したタイガに「怪獣との絆とか言い出すんじゃないだろうな」とまで言い放ち、今度こそ仕留めようとタイガに光線を放つ。
しかし、タイガは渾身の力でそれを受け止め、自身の光線とそれを合わせる様にウーラーに向けて発射。体内のブラックホールを既に無効化されていたウーラーは、二人のウルトラマンの光線をその身に受け、「空腹」が満たされた歓喜と共に爆散。光線が放たれた当初こそ「邪魔者は排除する、それが答えか」と嘲笑していたトレギアだったが、決して満たされないまま宇宙を彷徨い、望まぬ悲劇を繰り返してきたその心が遂に救われた事実を、彼は知る事になる。…それは、守るべきものを持たない筈の自らが、誰かを傷付ける為に放った光線が、一つの救い様の無い筈の魂を救う奇跡を起こした事を意味していた。
ウーラーが浄化された後に現れたオーロラの様な光を見て、得も言われぬ感情に支配されるトレギア。
「暖かい…この光を……」
タイガ「俺一人のパワーだけじゃ、不可能だった…。俺とお前、二人のウルトラマンの光の力が、あの怪獣の心を救ったんだ…」
その奇跡に、その光に見惚れる蒼き巨人の背中は、どこか哀しく、寂しげな様でもあった。
そんな彼に、タイガは、そしてヒロユキは続ける。
タイガ「どれだけ否定しようと…」
タイガ&ヒロユキ「「お前は、ウルトラマン…」」
タイガ「光を守護する存在なんだ!お前なんだろう?光の国を離れた、父さんの友達っていうのは!」
タイガ「お前がもう一度、光を守護する者として歩みたいなら…!」
数多の者達の運命を狂わせ、自らの心や絆さえも引き裂かんとした悪魔に、それでも救いの手を差し伸べようとするタイガ。そんな光の戦士を前にした孤独な男の出した答えは…。
「何度も言わせるな…この世には光も闇も無い!!」
自嘲する様に笑いながら出したそれは、彼の思いに応えて光の戦士に戻る事でも、一笑に付してこれまで通り悪魔として生きる事でもない、あくまでも「光の守護者に挑む孤独な敵」としてタイガと闘う事であった。普段とは明らかに違う気迫を見せ、真正面からタイガに挑みかかるトレギア。
タイガ「俺は、光を信じる!!」
しかし、トライストリウムとなったタイガの怒涛の連続攻撃の前に押され、タイガブラストアタックの直撃を受けて遂には倒れ込んでしまう。それでも立ち上がったトレギアが上空に見た、太陽を背に立つ光の勇者の美しき姿。脳裏に浮かんだ一人の戦士の名が、その口から溢れた。
「タロウ…」
タイガ「そうだ!俺は、タロウの息子!ウルトラマンタイガだ!!」
眩いばかりに輝く光の戦士から放たれた、最大最強の必殺光線・クワトロスクワッドブラスター。避ける事も出来ただろうその光線を、トレギアは両手を広げて自ら喰らう。それが、既に引き返せない道に踏み込んだ自分自身の、たった一つの取るべき道であるかの様に…。
そして、どこか吹っ切れた様な高笑いと共に爆発。今度こそ完全に倒された……様に見えたが?
※以下、劇場版作品の内容含め、ある恐るべき真実が記されている為ネタバレ注意!!
なんと、彼はその体内に邪神魔獣グリムドなる邪悪な存在を封印していたことが判明。本編第25話でトライストリウムに完全敗北した際に封印が緩み、トレギアから抜け出した様子。
…と思われていたが、実際にはグリムドの力の一部がトレギアの体内に残っていて、それにグリムドが引き付けられる習性からトレギアが滞在する場所へグリムドが引き寄せられる状態となっていた。これを利用して邪神の加護で死んでも復活できる(後述)トレギアは一度死んだタイミングでグリムドをわざと抜け出させ、自分が潜むバースの地球へ降臨するよう様仕組んでいたというのが真相だった。
当然これは新世代ヒーローズに察知されたらしく、彼等は自分達の変身能力と引き換えにグリムドを結界に封じるも、侵攻を完全には止めることまではできず、『タイガ』本編より半年間分の時間を稼ぐのが精一杯だった。
その一方で、トレギアは自分の幻影を宇宙遺跡ボルヘスへ飛ばすのだが、そこには嘗ての親友ウルトラマンタロウを誘き寄せていた…。
トレギアが何故そこまでタロウに執着するか、また彼に抱いている思いは如何なるものかは映画でもあえて省略されていて描写はされていない。しかし諸事情で劇場版が公開延期した一方で、予定通り発売された超全集へ収録された小説を介し、真実が前倒しの形で明かされた。
ダークネスヒールズ
ダークネスヒールズ自体はトレギアの登場する前に出来たものである為、トレギア自身は現時点ではこの括りには入っていない(厳密には加入するかどうか結論が保留された状態らしい)。
しかし、彼も悪のウルトラマンである事から、近年では物語の展開に絡む機会も出てきている。
DARKNESSHEELS_THE_LIVE
ウルトラマンベリアルのサイドストーリーにシルエットとなって登場。多くの惑星を破壊しつつも戻らぬ自分の力に苛立ち、惑星テリオに向かう事を決めたベリアルの前に現れ、ベリアルの影響で闇に惹かれたと語り、対話を求めた。
DARKNESSHEELS-Lili-
第5話のラストにて、キリエロイドⅡ(サイロ)に憑依したヒュース・アーディが研究所に持ち帰ろうとした『力』を強奪しに(原典と全く同じ姿で)現れた。
どうやらこの力を何らかの目的に利用する算段であるらしい。
このトレギアが『タイガ』のトレギアとは別人なのか、それとも復活させられた同一人物かどうかは現時点では語られておらず、不明である。
ウルトラヒーローズEXPO2020
『タイガ』本編完結後の物語でも登場。バックダンサーとしてトレギアに似たマスクを被る霧崎の様な集団を従えている。
悪趣味さは相変わらずであり、腹を満たされて昇天した筈のウーラーを復活させたばかりか、せっかく改心したマーキンド星人とマグマ星人をも操った挙句、彼等を倒してしまう。その狙いは、ヒロユキの怒りを煽ってトライスクワッドを氷漬けにし、闇の戦士に変えてしまおうというものだった。
悪魔の力と呼ばれる謎の力を発揮し、救援に訪れたウルトラマンメビウスとハンターナイトツルギを一蹴、隙を突いてタロウすらも一度倒してしまうが、信じる事の大切さを説くタロウのメッセージを起点に人々の祈りが結集し、ニュージェネレーションヒーローズ、ウルトラマンゼロビヨンド、タイガ トライストリウムが集結。
バックダンサー軍団とウーラーを倒されて冷静さを失い、スーパーグランドキングを召喚してタロウ親子諸共地球人を消し飛ばそうとする程に激昂するが、そんなトレギアに追い討ちを掛けるかの如くウルトラセブン、ウルトラマンティガまで参戦。彼らの合体光線によりスーパーグランドキング諸共に消滅した。
マーキンド星人とマグマ星人はウルトラの母によって治療されており、幸いにも命を落とす事はなかった。
ウルトラヒーローズEXPO THE LIVE ウルトラマンタイガ
第2部の黒幕。惑星侵略連合を利用し、ワイズマンズソードの封印を解き、宇宙恐魔人ゼット、エックスダークネス、ジードダークネスを復活させ、用済みとなった惑星侵略連合を傀儡に変えてウルトラマン達を倒そうと目論む。一度はタイガを倒してヒロユキから変身能力を奪い、救援に現れたニュージェネレーションヒーローズとリブットを倒すも、観客達の応援でヒーロー等が復活。闇の戦士達を倒されて興を削がれたのか、今度はアークボガールを復活させて撤退した。
ウルトラヒーローズEXPO2021ニューイヤーフェスティバル
『ウルトラマンZ』の後日談である本作では、『大いなる陰謀』に登場したトレギア・アーリースタイルが登場。
アブソリュートタルタロスに呼び出されるとウルトラ戦士達にグリムドを嗾け、自らは並行世界の自分と因縁深かったタイガ・トライストリウムやグリージョと戦うが、タルタロスに呼び出されて撤退した。
ウルトラヒーローズスペシャルショー2024
同年9月22日に北海道グリーンランドで開催されたショー。ダークキラーの配下の女性(正体はババルウ星人)が観客から集めた想像力を「ダークチャージ」させることで生み出した、いわば複製体。
ダークキラー達からトライスクワッドを始末するよう命じられるも拒否、逆にタイガに「手を貸そうかい?」と共闘を申し出る。訝しむタイガに「君に手を貸したらどんな結末になるのか興味があってね」という好奇心によるものだった。その後、ウルトラヒーロー達と共に怪獣軍団と戦うが、倒したはずのダークキラーの攻撃からタイガをかばって致命傷を負う。ショックを受けるタイガに「立って戦え、太陽を抱く勇気のある者!」と檄を飛ばし、タイガの戦いを見守りながら「眩しすぎるなぁ…光というのは…」と呟き消滅した。
ギャラクシーレスキューフォースボイスドラマ
第5話にて、ソラとリブットの会話の中で(直接名前は出なかったものの)彼の事が語られる。
尚、時系列上は『ニュージェネレーションヒーローズ』よりも前であり、この為なのか、この時点ではリブットはトレギアと思われる人物の事を聞いても「そんな人が…」と述べたのみで、特別な反応などは示していない。
基本的に他者を悪や破滅へ誘い込み、相手のペースを崩す為に煽る様な言動を見せる事が多いトレギアだが、「光=正義」という価値観や「絆」という言葉に関してだけは、普段とは一転して激情を露にしている。また、ホマレを奇襲した際に「君にも味わって貰いたい、『絶望』という甘美なる味を」と発言しており、絶望という単語にも、何らかの拘りがある様にも見受けられる。
「正義」「絆」「絶望」、こうしたキーワードが、彼の道を狂わせた要因なのだろうか…?
尚、『タイガ』の番組公式Twitterによれば、『善悪の真理を探求する内に闇に魅入られた』らしいが、見出されたその答えは、本人曰く、「正義も悪もない、あるのはただ真空、底知れぬ虚無」であり、ある種のニヒリズムの様な思想を抱いていると思われる。その為か、光や闇と言った概念の価値を「等しく同じもの」「全部ぶっ壊れれば良い」としか捉えておらず、ベリアルと違って「ウルトラマン」と呼ばれても特に動じる事もなく、それどころか上述した様に自ら名乗ってさえいる。ガピヤ星人アベルにウルトラマンと呼ばれた事に対しては「昔の話さ」と答え、第21話でタイガに「お前もウルトラマンだろう!」と言われた際にも「ああ!」の一言で流している。
その一方、ピリカにはその在り方を「貴方の周りに何もないだけ」と真っ向から否定されている。
上述の様にタイガを手駒に引き込まんとし、光の国の破壊を促す様な言動までわざわざ取っていたトレギアであるが、純粋に自身の傀儡を得たり正義の存在を破壊したりする事を目論むだけならば、過去に心の弱さが原因で友を失ったタイタスや、力に選ばれなかった師匠の為に嘗ての自分を捨てたフーマをも含め、いずれも光の戦士であるトライスクワッドの全員を標的にしても全く不思議ではなく、タイガ1人に拘る必要は薄いどころか、事実そうなった様に奪還されるリスクすらある。
にも拘わらず、タイガの闇堕ちに失敗した後の第17話で、ヒロユキの前に現れた時でさえ「君はウルトラマンタイガなのになぁ」と述べており、最初からタイタスとフーマは眼中に無かった事が見て取れる。第23話の「生命とは思い悩むからこそ美しいもの」という発言を見る限り、コンプレックスを既に自分の中で戦士としての心の在り方に昇華させたタイタスとフーマは「つまらない」という事なのだろう。第23話では「心底つまらない」と評したゼロと対比する形で「タイガ君、やっぱり君は面白い」と告げている。
だが、『タイガ』最終回では、上述した様に自らを「虚無と絶望に魅いられている」と称していながら、その実「完全に引き込まれる手前で迷っている」様でもあり、皮肉にも自分自身が「美しく面白い」状態にある様にも見える。
『タイガ』や『R/B』劇場版におけるロッソ等、わざわざタロウに関わる者ばかりを狙った理由が仮にあるとするならば、それは「嘗ての友への嫌がらせ」あるいは「正義を掲げる嘗ての故郷への挑戦」とも考えられる。だとすればトレギア自身も今尚歪な絆を持ち、ある意味光の戦士以上に善悪に拘り続けている様でもあり、絆や善悪を忌み嫌う彼にとってはこれ以上無い皮肉と言えよう。
『ウルトラギャラクシーファイト』でも、光の国を破壊する決断をした際に「やはり」と述べていた事から、故郷への思い入れ自体は今も少なからずあったのかもしれない。
そして、その真意とそれに纏わる過去は上記の『トレギア物語/青い影』にて明かされるている。
宿敵にして元親友。
彼の前では普段の冷静沈着且つ余裕な態度が一変し、感情的になる。一方のタロウも親友としての情を捨てて冷徹に対峙している様だが、ウルトラダイナマイトでの炸裂時に一緒に光の国へ戻る様に説得したり、劇場版では思い出話をし再び光の国へ戻る様に説得を試みる等、親友としての情を完全に捨ててはいなかった様子。
元親友の息子。
その為か『タイガ』本編では彼への執着が凄まじく、一時は手中に落とす事に成功するも仲間との絆により奪還されてしまう。
タイガの仲間でトライスクワッドのメンバー。本編第1話で激突して以来の因縁だが、タイガと異なり過去にトラウマやコンプレックスを乗り越え、精神的にも成熟している為かトレギア本人はタイガ以外にはちょっかいを掛ける以外そこまで興味は無い模様。特にタイタスと1対1で対決した際には、トライスクワッドで唯一ダメージを与えられ、フーマにも最終回でスピードで翻弄された。
トライスクワッドに変身する地球人の青年。当初は歯牙にもかけていなかったが、自身の計画を台無しにされて以降執着する様になる。
トレギア初登場の際に対峙した兄弟ウルトラマン。特にロッソはタロウの力を使う関係もあってか因縁深い。彼の相方は奇しくもトレギアと同じ青いウルトラマンであるウルトラマンブルで、彼の使用する力もウルトラマンはタロウの戦友であるウルトラマンギンガである。彼の存在はトレギアの目にはどう映ったのだろうか…。
彼をロッソ達のいる地球へ落とし、親友であるペガを手に掛けようとした。後述のウルトラマンベリアルの息子でもある。
前述のジードの父親。トレギアより前に光の国で最初に闇に堕ちたウルトラマンであり、ファンからはよく比較対象にされる事が多い。悪のウルトラマンである以上一見気が合う様に思えるが、ショー等では正義の価値観、闇に堕ちたきっかけが異なるのか、本格的ではないものの寧ろ敵視しあっている傾向が強い。
前述のベリアルの宿敵。『タイガ』第23話にて初手合わせとなる。トレギアはゼロの事を「問題児」と称しているが、ゼロからは「お前にだけは言われたくない」と返されている。「生命は迷い悩むからこそ美しいもの」との考えから、(一人前の戦士として成長し悩みのそこまでない)ゼロに対し心底つまらない人物だと評している。
『UGFニュージェネレーションヒーローズ』にて一度だけ対戦。その実力はトレギアも思うところがあったのか、彼にしては珍しく「名前だけは覚えておこう」と述べている。
ロッソ、ブルの妹である女性ウルトラ戦士。何気に兄達以上に因縁深い関係で、変身者である湊アサヒの唯一無二の親友である美剣サキの豹変、そしてアサヒがグリージョ覚醒への間接的なきっかけとなっている。普段は余裕そうな態度を取るトレギアだが、マイペースなグリージョの前ではキレ気味な傾向があり、グルーブへの変身を防ぐ為だけにダークキラーに誘拐させた事から見ても少なからず注視していた模様。グリージョの方も、トレギアには「名前も思い出したくない」と嫌悪感を露にしている。人の不幸を喜ぶトレギアと皆のハッピーを望むグリージョは正に水と油、天使と悪魔な関係であり、ファンからはトレギアの天敵と謳われている。
声を担当する内田雄馬氏の姉である内田真礼氏は、過去にモーションコミック版『ULTRAMAN』においてメインヒロインの佐山レナを演じた事があった他、映画公開の少し前に展開された円谷プロの作品である『SSSS.GRIDMAN』でEDテーマ「youthful beautiful」を歌っており、これにより姉弟揃って円谷プロ作品に関わる事となった。
因みに弟の雄馬氏は『SSSS.GRIDMAN』の続編である『SSSS.DYNAZENON』にてメインキャラクターの1人であるオニジャを演じる事が決まっており、グリッドマンシリーズにおいても姉弟揃って関わる形となっている。なお、トレギアは狡猾で理知的だが、オニジャはそれと真逆で非常に好戦的で、ヤンキーやチンピラ染みた直情的な性格である。
また、雄馬氏は幼少期にリアルタイムで『ウルトラマンティガ』を観ていたという。
ちなみに雄馬氏は後に、子役時代『ウルトラマンメビウス』に出演した事がある日高里菜氏と結婚している。
トレギアはタロウと同世代設定があるが、内田雄馬氏と当時のタロウの声を担当した石丸博也氏との年齢差は祖父と孫位離れており、年老いたタロウとは対照的にトレギアが若者のイメージが目につくが、後述の設定で極論ではあるが年を取っていないままになっているという可能性も考えられる。
ベリアルに続く2人目の「ウルトラマン」の名を持つ悪に堕ちた悪トラマンであり(偶然か否か、彼の敵の1人はベリアルの息子である)、実際ベリアルに続くウルトラマン達の宿敵と成り得る悪のウルトラ戦士という立場の様だ。ただし、初登場作品である劇場版『R/B』ではウルトラマンと名乗る事も呼ばれる事も無く、後の『ジェネクロ』や『タイガ』漸く名乗るようになった。一方で、ウルトラマンロッソを呼称で初めて呼んだキャラでもある。
トレギアは、暴君で力押しな面が目立つベリアルとは対照的に、人の心を惑わせる狡猾な性格でありある意味でベリアルよりも悪魔らしいとも言える。ベリアルが悪魔の王サタンならば、トレギアはメフィストフェレスの様な黒魔術における悪魔の様な位置付けであろうか。また、ヒュドラ、カオスウルトラマンしか存在しない青の体色を持った悪トラマンでもあり、カオスウルトラマンはニセウルトラマンという系統である為、ヒュドラから2人目の「悪の青トラマン」とも言える(但し、彼のボディカラーは正確には紫である)。
もっとも、ヒーローサイドを含めても青トラマンは重い過去を持っているのが定番であり、トレギアもヴィランながらその例に漏れていない。
雄馬氏も監督から力押しのべリアルとは異なる知能犯的な悪を演じて下さいというオーダーがあったと語っている。
R/Bでは声が高かったのに対しタイガでは人間態を演じる七瀬公氏に合わせてトーンを落としている。
因みに悪の戦士である為、オーブダークと同様、ソフビ人形はウルトラヒーローシリーズではなく、ウルトラ怪獣シリーズからのラインナップとなっている。
トレギアの名はプロデューサーの鶴田幸伸によるもので、古代ギリシア語で「狂った好奇心」を意味している。脚本の中野はツイッターで「【ギリシャ語メモ】 狂気(トゥレラ τρ?λα) 好奇心(テリエルギア περι?ργεια)」と、トレギアの名前の由来であろう意味深なツイートをしている。
『絆のクリスタル』のラストで第四の壁を破るメタ的な展開を披露したが、このシーンが挿入された事により、トレギアはまだ倒されていなかった事が視聴者にほぼ確信に近い形で示唆される事となった。劇中などで見られる画面の中から人々に接触を図るシーンは第四の壁を破る事の暗喩または、上記の展開への布石だったとも取れる。もっとも、爆散する直前の意味深なセリフから、彼がこの時点で死んでいない事を薄々感じ取れた視聴者も多かった事だろう。
トレギア自身に関しても、結局この作品にて明確な目的や出自(他のウルトラ戦士との関係や悪の道に走った原因)等、そのバックボーンの多くが謎のまま物語が終了した事(超全集に掲載された小説作品にて、とある怪獣の誕生に関わっていると思われる描写がある程度)、ゼロと同じく人気声優担当のウルトラマンである事などから、今回限りのゲストキャラとは考え難いという見方もあった。そして、武居監督はパンフレットで「ウルトラマントレギアは、ウルトラマンベリアルに変わって今後のウルトラマン達の宿敵となっていくであろう、“新たな悪のウルトラマン”です」と述べており、実際今後も登場させるつもりである事が窺えた。尚、この演出が印象深かったためか、その年に開催されたウルフェスのライブステージでは、前半と後半いずれのエピソードにおいても、エンディング後に劇場版と同様トレギアが「君達、まだいたのかい?」という台詞と共に現れ、不穏な動きを見せて去って行く…というシーンが設けられていた。
デザイン段階では設定が固まっていなかった為、後藤の独自解釈でウルトラマンの特徴である顔とカラータイマーを封印しているイメージとなった。全身のディテールは拘束具をモチーフとしており、尖った爪先は初代ウルトラマンのBタイプを意識している。全身の拘束具や仮面という要素から「特殊なプレイみたいに見える」とネタにされた他、どこか色気のある仕草も相まって「存在が如何わしい」等とも言われている。
更にはタロウと同年代という設定も明らかになったため、「アブナイ格好をして元親友の息子をストーキングするヤバいおじさん」というネタまで誕生してしまった。
フルCGのグルーブと対決する都合から、トレギアもフルCGモデルが制作された。
脚本を担当した中野は、ピラミッド型ヒエラルキーの頂点であったベリアルに対し、トレギアは顔を見せずに人の心に付け入る現代的な敵と位置付けている。また中野は、紳士的な態度で腹の探り合いを行うなど、『007』シリーズに登場するようなブリティッシュ・ヴィランをイメージしている。実際、意識したのかは定かではないが、『UGF』英語版のマイケル・リース氏が演じるトレギアもイギリス英語で会話している。また、PCモニターに出現する描写は、前年に放映された『SSSS.GRIDMAN』のヴィランであるアレクシス・ケリヴへのオマージュとの指摘も存在するが、中野は脚本を執筆したのはその前なので偶然の一致であるとしている。
記事の中で既に述べている様に、純粋なウルトラマンであるにも拘わらず、作中では愉快犯的なノリで極めて陰湿かつ悪質な所業を繰り返しており、これまでの怪獣や宇宙人よりも邪悪な絶対悪として描写されている。現に『劇場版ウルトラマンタイガ公開直前スペシャル!グリージョの30分で分かるウルトラマンタイガ』にて、あの湊アサヒことウルトラウーマングリージョにさえ劇場版『R/B』での邂逅を「思い出したくもない」とまで言われてしまっている始末である。その事もあってか、ファンの中ではかなり好き嫌いの分かれるキャラとなっており、「突き抜けた外道っぷりや狡猾で残忍な性格も含めて悪役として魅力を感じる」という人もいれば「行動も性格も余りにクズ過ぎて冗談抜きで受け付けない」という意見も出る程。もっとも、トレギア本人からすれば自身の悪評なぞ寧ろ褒め言葉でしかないのだろうが。ただ、トレギアが過去に手を掛けたり破滅に追いやったりしてきた対象は、いずれも怪獣や闇堕ちの兆候のある者、或いは利用価値を見出した者ばかりであり、意外にも無関係の善良な人間に直接手を出した事は一度もない。
特に、正論を述べつつも狡猾に立ち回り、視聴者の心に凝りを残していくスタイルは多くの視聴者にトラウマを印象付けた事もあり、視聴者からは一種のハッピーエンドクラッシャーと認識されつつある。その影響は最早、次回作でのあの回やこの回でもしもトレギアが現れていたら、更に恐ろしい事になっていたのではないかと心配するファンが現れる程。それ程までにこのキャラの残した影響は凄まじかったという事であろう。尚、その次回作のヴィランがある回でやらかした時は、思わずトレギアを連想したファンも多かったとか。
タロウに対する激しい執着心を抱いているが、何故かタロウ本人に直接戦いを仕掛ける事は殆ど無く、タロウの力を借りた戦士達や息子のタイガにばかり攻撃を仕掛けている。その具体的な理由は本編では不明であった。
なお、タロウの元親友という設定から『ウルトラマン物語』に登場したドックンを思い出した人も多く、設定が公表された当初は「トレギアの正体はドックンなのでは?」と囁かれた事も…。
イベントでの活躍も多く、ショーの黒幕として暗躍しタイガやショーに出ていた他のヒーローと戦っている。
全ウルトラマン大投票では怪獣部門にて13位を獲得。
トレギアとタロウの出会い。それはウルトラ小学校でタロウに声を掛けられ小さな冒険に出かけてからであった。
トレギアの名は、光の国の言葉で「狂おしい好奇心」を意味する。そんな名前に負けず自身の持つ強過ぎる好奇心が招いた過ちをタロウに庇われ、その負い目を吹き飛ばすかの様な笑顔に救われる。
彼の眼にはプラズマスパークに照らされ逆光となったタロウの姿が写っていた…。
ウルトラ小学校卒業後も学業に励む傍ら、タロウと共に宇宙各地を旅する様になった。
星間ヒッチハイクをしたり、タロウの書いたラブレターの添削をしたり、と二人にとってまさに青春の日々であった。
しかし惑星ティカ=ドゥにて宇宙創世以前の混沌の一片であるガゴゼに捕らわれ、自身か遠方で危機に陥る人々のどちらかしか助けられない状況で、自身を見捨て人々を救う様にタロウに懇願するも、タロウはその両方を救うことを選択。そしてそれを見事に達成した。
この頃から光の国に存在しないが故に闇への実感を得られぬままエンペラ星人がウルトラマンの対の存在であることを知り、形の無いエネルギーに過ぎない光と闇が何なのか考える様になり、タロウを太陽に見立てたポエム染みた怪文書を綴る。
長い長い夜がやってきて
星の明かりすら見えなくても
太陽のような君がそばにいてくれたら
僕は怖くない
だからそばにいておくれ
タロウにそのメモを見られてしまうが、彼からは「詩人の才能がある」と褒められていた。
タロウと共に並び立つ為に宇宙警備隊入りを目指し地獄の特訓を繰り返すが夢破れ、生まれて初めての挫折を味わうこととなる。
しかしブルー族特有の優秀さを買われて宇宙科学技術局に入りウルトラマンヒカリに才能を見初められるが、ヒカリがバット星人との戦争の責任を取りリタイアしたことで、ウルトラマン、それもスターマークを与えられる程の人物と言えど苦悩すると実感。
ヒカリ辞職の混乱で、自身の発明に必要な外宇宙に派遣された戦士のデータを得られず無為に過ごす日々が続いていたが…やがて光の国に帰還したタロウの協力を得て発明品が完成。名称を決める際にプラズマスパークに照らされたタロウの姿を思い浮かべ「タロウスパーク」という案を出すが、タロウには却下され、代わりに提案された「タイガスパーク」を採用する。
この時に何を壊され何度倒れても立ち上がる地球人の素晴らしさをタロウに説かれるが、トレギアは既にアーカイブで戦争や犯罪を繰り返す地球人の愚かさを知っていたために響く事は無かった。
復活した異次元人ヤプールの暗躍を察知したタロウは再び光の国を去り、心に孔が空いた日々を過ごしながらも防衛を進めるが、光の国が護りを固めれば固める程同等に攻勢を強める尽きることの無い侵略者から光と闇の表裏一体性に気付き、解決のために「闇」についての研究を始める。
アーカイブを漁る内にウルトラマンベリアルの存在を知り、誰でも知る反逆の顛末ではなくベリアルの内面について調査を進めていた矢先、惑星アーブがボガールに滅ぼされ、ヒカリがアーブギアを纏いハンターナイトツルギに変貌したとのニュースが届く。
これがきっかけでトレギアは「光の国の住人も図体が大きいだけで、 自身が嘗て危惧した地球人と変わらない未熟なメンタルの持ち主である」という結論に至り、そんな未熟者が正義を名乗り力を振るう現状に恐怖を覚え半狂乱となり光の国を脱走。
ゴミの惑星チュツオラに辿り着き、自身も「ゴミ」だと隠居を決め込んだ。
チュツオラで過ごす日々の中、ゴミから生命を生み出し、光の国の言葉でチビスケを意味する「スナーク」と名付け、自覚も無いまま孤独を癒やす友とするが、星間連盟が持ち込む無限とも言える程に膨大なゴミによってスナークは暴走。
人々を護る為に友を手に掛け苦しみ藻掻く最期を目にし、何も無い宇宙空間の孤独に包まれ長い月日を経て過ごす中、光と闇は表裏一体であるという彼の思想はやがて「闇を極めることは光を極めることと同一」という微かな希望を生み、嘗てガゴゼの欠片を目撃した際に得た手掛かりから混沌そのものである邪神を探す旅に出る。
邪神を求めるため、深淵を覗き続ける孤独で過酷な果てなき旅はトレギアの精神をすり減らしていき、遂には正気を失い光からも闇からも価値を見失い、全てのものは虚無であるという妄執に囚われてしまう。
漸く辿り着いた宇宙遺跡ボルヘスで探し求めた邪神達の力を手に入れた彼は、邪神達に引き寄せられるがままに出遭った夢を失った者に野心と力を与え、光の国、そして最愛の友「ウルトラマンタロウ」の信じた絆と光を否定し、友の影で在り続けるため、力持つ者を歪め破滅に導く事を目的とする様になっていた。
タロウ、私は君が生きられなかった反面だ。
漸く私は君の「影」になれたんだ。
つまり、本来のトレギア自身のフィジカルは意外にも低く、これまでに見せた技の殆どが邪神由来だった他、劇場版『R/B』やトライストリウム戦等で倒された際に本当に死亡していた模様。
しかし邪神の加護によりマルチバースに存在するトレギアがバックアップとなり、ほぼ不滅の存在となっていた事が判明したのだった。
上述の経緯から、少なくとも『ウルトラマンメビウス』の時代には光の国に居たことが分かり、(『ウルトラギャラクシーファイト』に至るまで)ベリアルが「光の国で悪の道に堕ちた唯一のウルトラマン」と言われていたのも、M78ワールドの時系列からすればトレギアが悪の道に堕ちたと判明したのがごくごく最近であったためである事が示唆されている。
しかもその闇堕ちの経緯はどちらかというとツルギに近く、ベリアルと違って光の国で直接犯罪を犯した訳ではないことから、当事者がトレギア本人しか居らず、タロウ以外の光の国の住人達、引いてはタロウでさえもその詳細を把握していなかった可能性もある。
タロウへのコンプレックスにより、トレギアは憧憬の対象だったタロウの力を使う者達を許す事が出来なかったらしく(とはいえ、カツミに関してはそれ自体を忌々しく思いつつも、干渉したのは彼が進路で悩んでいた事が一番の理由の様だ。
ジードに関しても、ベリアルの息子にタロウ同様に二択を提示した場合にどう行動するかの方を楽しみにしていたとも取れる)、それに突き動かされる形で相手へ執拗に粘着、嫌がらせを行う真似をしていた。
その中でもタロウの実子故に自分と同じコンプレックスを抱えるだろうタイガには、自分と同じ場所に墜とせる可能性を見出していたと思われ、あの様な遠回しの策謀を用いて彼を闇に引き摺り込もうとした。しかしこれは逆にタイガが絆の力を自覚するきっかけとなってしまい、結果的には自分が心身共に敗北を味わう事に…。
だがこの経験により、抱えていたタロウへのコンプレックスと自己無価値感が同時に膨れ上がったトレギアはとうとう、憧憬しつつも思想面で張り合っていたタロウを自分の策謀に巻き込むことを決意。
幻影を介す形で自分の体内より解き放ったグリムドを餌としてタロウを挑発、タイガの居るバース内の地球へ赴くよう誘導した事で、それに乗ったタロウがタイガ達の元に姿を現すこととなった。
考察
トレギアの行動理念の土台となっているのは、『タロウの様になりたかったがなれなかった』コンプレックスと、それによって拗れてしまった自己無価値感と考えられる。
子供の頃から賢く好奇心のあったトレギアだったが、そこで幼い頃から才能に溢れ実力を発揮していたタロウと繋がりの深い間柄になった事で親友の輝きに目が眩み、行き過ぎた好奇心の末で『タロウと同じ所に立つ』思考に囚われて自分自身の器を見失ったのが、彼の最初の間違いだった様子。
その後、現実に打ちひしがれる内にネガティブな感情を募らせ『タロウと同じ所に立てなかった自分』への恨みと憎しみを膨れ上がらせていき、いつしかあの様な性格へと変質したと推測される。
そしてここから、トレギアの悪行は自分の嫌な面を他者に外化しての自己蔑視に過ぎないという、最低過ぎる本質を持つと考える事が可能である。つまり、自分の策謀にまんまと踊らされて苦しみと絶望の中潰れていく相手に『タロウと同じ所に立てなかった自分』を投影、それを嘲笑する事で優越感に浸っていたという事で、邪神の価値観と思わしき虚無主義を後ろ盾としたニヒリズムは自らの自己無価値感を思想に聞こえる様に気飾った代物に過ぎなかったのかもしれない。
―だって、そうでなければ。
新世代のひよっこたちの中でもとりわけ自分と同等と言えるほどにタロウと深い関わりを持ち、その名の通り光輝く太陽のようにいつでも誰よりも前向きなあの冒険好きの青年に、なぜトレギアは面と向かって挑戦しなかったのだろうか。或いはなぜ、かつて闇と諦観に飲まれかけながらも、それを受け入れ見事に克己し高みの光に至ってみせたあの新世代の英雄に一度もちょっかいをかけなかったというのだろうか。
彼の一見すると強気な言動に現れる無意識の行動スタイルに、まるで恥じらう乙女のようにひた隠しにする、か弱い心中が表れていると言えよう。
遂に封印を破って降臨したグリムドを追い、タイガ達の戦いに割り込むタロウ。息子達若い世代を守るべく単身で戦い、切り札のウルトラダイナマイトでグリムドを粉砕したかに見えたが、グリムドは身体をエネルギー化してタロウに融合、トレギアの思い通りに動く人形へ変えてしまう。
その真意はタロウ親子の殺し合いをお膳立てする為であり、自分の誘惑に乗らなかったタイガに父親を殺す様に仕向けて絶望させるのが目的だった。
一度は動揺して手が出せないタイガを霧崎の姿で見物し、戦いの余波でタイガが落とした怪獣リングを回収。やがて集結した新世代ヒーローズに詰め寄られるが余裕の態度でタロウを伴い姿を晦ます。
そして日を跨ぎ、潜伏場所を突き止めて踏み込んできたヒロユキや、ウルトラタイガアクセサリーにより変身能力を復活させた新世代ヒーローズと決戦を開始。怪獣リングで呼び出した怪獣達に新世代ヒーローズを足止めさせつつ、ヒロユキへ長い間同化していたことで単独での実体を取り戻していたトライスクワッドと戦うべく、操られたタロウを引き連れて参戦。
やがて戦いはタロウとトライストリウムの一騎打ちに移行。ここで2人の戦いを止めようと怪獣軍団を倒した新世代ヒーローズが割って入ろうとするが、トレギアが「親子水入らずの時間を邪魔するな」とこれを妨害。
その間にタロウ親子はお互いにウルトラダイナマイトのぶつけ合いで勝負に出る。タイガの方は見様見真似で技を再現する一方でクワトロスクワッドの仲間達の心の火も借りて火力を底上げ、凄まじいエネルギーをタロウに送り込むことでグリムドを引き剥がす事に成功した。
これはクワトロスクワッドだけでなく、グリムドに操られたタロウが耐え切ってくれるのを信じた上でタイガが仕掛けた起死回生の一手だった(タイガ以外の3人の協力が無ければ、タロウから追い出されたグリムドは憑依先をタイガに変えていたと言及されている)。
この幕切れに唖然とするトレギアだったが、振り返って考えればタロウは時には他者の助け=絆の力を借りて数多くの困難を乗り越えて輝かしい偉業を成し遂げた勇者であり、トレギアがこれまで陥れてきた者達と違って心に付け入る隙も無く、例え策謀に嵌められても周りの手で助けて貰える環境を作り上げていた人物だった。
そもそもトレギアがタロウに心奪われたのはこの気質に間近で触れたからであり、その原点をコンプレックスと自己無価値感で忘れ去ってしまった時点でトレギアはどう足掻いてもタロウや彼との絆を確信したタイガ、そしてその仲間達に勝てる道理を失っていたのだった。
その真実をこの瞬間で悟ったかは定かではないが、尚も持論と態度を曲げないトレギアは自分が吸収されるのを承知でグリムドに力を返還、完全体へと変化させる。
この時のトレギアからは嘗ての様な悪辣さと陰湿な感じが消えており、代わりに哀しみと儚さを醸し出していた。邪神の本質である虚無との一体化を素晴らしいと説いたのに、それとは真逆の感情に浸りながら本当に虚無と化した、皮肉としか言い様の無い顛末だった。
完全体と化したグリムド/トレギアはタロウとタイガにその私怨を爆発させ、最強タイプとなった新世代ヒーローズ達を圧倒するが、「俺達は一歩も退かない!」と奮起したタイガが、タロウの提案でウルトラホーンに新世代ヒーローズの力を集めた事によりウルトラマンレイガが誕生すると形勢が逆転。レイガフォトンブローで手足による攻撃を受け止められ、最期は「レイガ・アルティメットブラスター」によって引導を渡された。
その一部始終を見届けたタロウの前で、グリムドの胸の顔にトレギアの顔がオーバーラップ、「タロウ…」と哀しげに呟きながらグリムドと共に消えていくのだった…。
この結末を迎える過程で、トレギアが自己蔑視に陥る前に発明したタイガスパークが大きな役割を果たしている。レイガが誕生する為の骨子になったのは勿論のこと、タイガスパークで精製したウルトラタイガアクセサリーの力を還元する方法で新世代ヒーローズが変身能力を取り戻してトレギアとの決戦に参戦、それに取り巻きの怪獣を任せた事でクワトロスクワッドがタロウの開放に集中できたのは大きい。
それに振り返れば、出奔した友の発明品を大事に保管していて尚且つそのネーミングにあやかり息子に「タイガ」と命名、そして絆の力を説きつつ息子に友の発明品を託した行動から、タロウはトレギアの事を親友として変わらずに見ていたのが読み取れる。
結局、トレギアの周りに居た親しい者はありのままの彼を愛しており、唯一彼を心の底から、そして誰よりも嫌っていたのは他ならぬトレギア自身だけだったと言える。そう考えれば邪神と一体化して以降、初登場時より上から目線で悪辣な振る舞いと暗躍を繰り返す姿はその実、嫌いなありのままの自分を嘲るのに全てを費やし関わった者を巻き込んだ哀れな道化でしかなかった。
これも含めた真実をタロウを策謀へ嵌めるのに失敗した結果、トレギアは気付いてしまったと思われるが、この結果へと至らせる道筋に嘗てのありのままの自分が作って残した発明品が大きな役割を果たしたというのは何の因果か。
兎にも角にもこうしてトレギアは滅び、『R/B』から続いてきた長い因縁にも漸く終止符が打たれた…
…筈だったのだが…。
『大いなる陰謀』
本作では、邪神を取り込む前の素顔のトレギアが登場。
また、公式サイトにおいてもグリムドと無関係のトレギア固有の技と思われるトレラシウム光線を使用出来る事が明かされている。
今作では主に第2章に登場し、時系列的には『トレギア物語』と同じ時期。正確に言えば宇宙警備隊試験に落ちた後タイガスパークの開発に取り掛かっていた頃で、宇宙科学技術局長官であったヒカリと共に研究に勤しんでいた。
原典同様に人一倍努力したにも拘らず宇宙警備隊に入れなかったことに少なからずコンプレックスを抱いていたものの、「力が無くとも自分達のやり方で守れるものがある」と彼を諭し励ますヒカリからは少なからず影響を受け、彼を尊敬している様子であった。
この時期のタロウは他の兄弟のほとんどが諸事情によりまともに活動出来なくなったために、彼らの抜けた穴を埋めるべくウルトラ6兄弟の一角として相当な多忙を強いられていたが(恐らく教官として後任の指導等も兼任していたと思われる)、仕事の合間を縫って度々トレギアと交流を重ねていた様で、『タイガスパーク』の名を命名したシーンも映像化されている(この際トレギアはタロウに「完成したら、君に(タイガスパークを)プレゼントするよ」と言及している)。
この大きな変化で、トレギアは荒廃した星でヒカリが自暴自棄となる様を間近に見たこと、「力が無くとも自分達のやり方で守れるものがある」と言っていた筈の彼が惑星アーブを守る力を求めていたこと、そして自分の目の前でツルギと化した彼に容赦無く攻撃されたことに大きなショックを受け、「光の使者」に対する不信感を募らせていく事になる。
そして、この時期からタルタロスの「力が欲しくないか?何事にも屈しない、欲望のまま生きる事が出来る。そんな力が…」という悪魔の囁きが聞こえる様になる。
タロウ「そうか…ヒカリ長官が……」
トレギア「やはり、闇には逆らえないという事なのか……」
タロウ「何を言っているトレギア!僕達には光の使者として……」
トレギア「君には分からないさ!大隊長を父に持ち、宇宙警備隊のエースに昇り詰め、ウルトラマンNo.6等と持て囃されている君にはね!!」
こうしてタロウとの溝も深まり続け、彼の「心配するな!僕が君を闇から守る」という言葉にも内心では「光の使者を気取って…」と返す様になり、どこまでも「光の使者」としての任務を全うするタロウの思想とは少しずつ相反する様になっていった。
ある時、異常なエネルギーが観測された惑星デスターにて科学技術局の協力を得たいとタロウに同行を持ち掛けられ、共にデスターへ向かうことに。そこでタルタロスが召還したナイトファングと対峙。先に戦闘を始めたタロウを援護しようとするも、掛けた者に強制的に悪夢を見せつける攻撃「ナイトメアウェイブ」を受け、そこでツルギの「闇へ来い」という誘惑とタロウの「闇から守る」という言葉の二つを同時に囁かれることで、恐怖とコンプレックスの狭間に置かれ半狂乱状態へと陥る。
そんな不安定な精神の中でタルタロスがその姿を現し、ボルヘスでグリムドの混沌の力を得て今とはかけ離れた姿となること、タロウやその息子タイガに幾度となく行く手を塞がれた事といった、自身が闇に堕ちた後の未来を見せられることになる。
ここではボルヘスで力を得る瞬間の様子や『タイガ』第1話冒頭のタロウとのウルトラダイナマイト対決における会話についても明かされている。一方で、ベリアルと異なり、最期を遂げる姿は明かされていないという相違もあった。恐らくは、力を手にした末に破滅する様子を見せればトレギアの経験・性格から提案に乗って来ないと考え、タルタロスが意図的に明かさなかったものと思われる。
或いは、タルタロスがトレギアを引き込むために動き始めた時期はまだ正史の方のトレギアは存命しており、タルタロス自身が彼の最期を(過去の彼に干渉していたことも相まって)知らなかったという可能性もある。
そしてタルタロスの「仮面で自身を偽らずとも、力が手に入る」という勧誘に乗る形で、ベリアルに続きタルタロスの軍勢に加わる事になる。よりにもよってタロウが文字通り「命を削って」友を守った、その目の前で…。
タロウ「この世に闇がある限り、我々ウルトラ族が闇を消し去る光となり、照らし続けるんだ!」
トレギア「…そうやってお前は、片方の局面からしか物事を見ない…」
タロウ「何…?トレギア、今何て…!?」
トレギア「この世界には、光も闇も無いというのに…」
タロウ「トレギア…行くな!トレギアーっ!!」
その後、並行同位体として本編の時間軸に召喚されると、モルド・スペクターとジュダ・スペクターとの戦いで消耗していたウルトラ6兄弟をアーリーベリアルと共に強襲。
この時点で既に好戦的な性格に豹変しており、何の躊躇いも無くタロウを含めた6兄弟に攻撃を浴びせる等、未来の自分自身と同じ冷酷な悪と化したも同然の状態となっていた。
ベリアルと二人がかりとはいえ消耗した6兄弟を圧倒し、駆け付けたウルトラマンゼロとも互角以上の戦いを繰り広げる。しかしそこへタルタロスが現れ、二人に対して「ザ・キングダムへと向かうぞ」と告げると、それに従う形でその場から撤退した。
また、上記にもある様に、ファンからよく比較の対象にされてきたベリアル(本物)との本格的な絡みや共闘が描かれたのも映像作品においては今回が初となる。正史の自分自身と異なり、良くも悪くもタロウという枷から解放されて自由に振る舞える様になったためか、特に仲の悪そうな描写は無く、戦闘面でも足を引っ張り合うこと無く割と息の合ったコンビネーションを見せていた。
何の因果か、嘗ての友人に対して「老いたな、光の使者ウルトラマンタロウ」と嘗ての別の未来のベリアルと似た漸くな事を言っている。
第3章にも登場し、未来の自身と因縁深いトライスクワッドやグリージョ達と対面。ベリアルと共にタルタロスを援護し、目的であるユリアンの拉致に成功すると、すぐさま撤退した。
『運命の衝突』
引き続き登場。
未来の自身に引導を渡したタイガ達トライスクワッド、そしてニュージェネレーションヒーローズと直接対決となる。
プロローグでは、ザ・キングダム本星に訪れた際にエルドラタワーの存在に気付き解析。
光の国のディファレーター光線に酷似しているが、それが更に強大な力「カスケード光線」であることを知る。
しかし、余りに強大故にコントロールが出来ていない状態だと気付き、タルタロスから故郷が滅びの運命を歩んでいるのを阻止するために光の国を奪おうとしている理由を教えられる。
その後、デビルスプリンターを巡る怪獣墓場でのグア・スペクターと別の自分を倒したウルトラマンレイガの戦闘直後にベリアルと共に乱入。『挨拶』と称して消耗し切っていたタイガを急襲。ベリアルと共に戦士たち(少し離れた位置にいたルーブ兄弟とゼットを除く)に光線を放って足止めすると、タイガを痛ぶった。
その後はザ・キングダムに帰還し、ディアボロがコスモ幻獣拳の使い手であることに興味を示していた。しかし、ユリアン王女レスキュー隊がザ・キングダムに潜入すると、自身は嘗ての上司であるヒカリと交戦するも、ユリアン救出が成功したことで逃げられてしまい、タルタロスらと共に惑星ブリザードまで追撃。
そこで、最大の因縁の相手であるタロウ親子と交戦、タロウがメビウスに力を貸すべくその場を離れたため、タイガと一騎討ちとなる。
タイガ「貴方は、俺の知っているトレギアじゃないんだ!もう一度……『光の使者』として共に戦うことはできないのか!?」
トレギア「何度も言わせるな……この世には、光も闇もない!!親子揃って……その真っ直ぐな瞳がムカつくんだよ!!!」
タイガ「……それでも俺は、光で照らし続ける!『太陽を抱く勇気ある者』ウルトラマンタイガとして!!貴方と父さんが付けてくれた名前だ!!!」
タイガのその言葉に何かを感じたのか、戦闘面では善戦したにも拘わらず、戦意を喪失。
トレギア「……お前らエリートには、私の気持ちなど解らないよ……」
そう吐き捨てて独り去って行ったトレギアの姿には、深い哀愁が漂っていたのだった…。
その後はベリアルと共にザ・キングダムに帰還したが、ベリアルは自分自身の手で力を手に入れる事を決意しアブソリューティアンの軍門から離脱。その際にタルタロスが隠し持っていたギガバトルナイザーを強奪し、更にトレギアアイをトレギアへ渡した。去りゆく直前にベリアルに『お前はどうする?』と尋ねられても、答える事が出来なかったトレギア。既にグリムドは滅びているが、果たして本来の時間軸の自分と同様、仮面を付けてしまうのか、それとも……?
尊敬していた嘗ての上司にして、闇に堕ちるきっかけを作ったウルトラマン。
正史と並行同位体の両方含めて多大な影響を与えており、同じ光の国出身の青トラマンとしてだけでなく実際に(職業的に)トレギアの先輩であった事がトレギア物語にて明かされた。そして、彼もまたハンターナイトツルギとなって心を失っていた時期があったが、皮肉にもそれがトレギアが闇の道に進むきっかけの一つとなっていた事も判明した。
『ウルトラヒーローEXPO2020』では掛け合いがあり、本人としてはトレギアにこれ以上罪を重ねて欲しくないと思っている様だが、自身が闇に堕ちるきっかけとなった人物の言葉に耳を貸すトレギアではなかった。
並行同位体のトレギアにとっては恩人にして付き従うべき人物。
彼から与えられたアブソリューティアンの力には満足している。
同じくタルタロスに救われた、トレギアの新たな仲間。
上述のベリアルとは打って変わり、仲は比較的良好でゼロとの対決では「手を貸そう」と言って断られるも、それを無視してベリアルに加勢した。
ベリアルも加勢された事には特に気にしていない様子で、更にはザ・キングダムに乗り込んできたヒカリがトレギアと因縁がある事を察すると自分はビクトリーの相手をする等気を利かせる一面も見せている。一方でこの少し前にタルタロス達がユリアン王女レスキュー隊を迎え撃つ準備をしていた際、トレギアが『私達はどうしますか?』とベリアルに尋ねると『楽しませて貰うだけだ』と言う彼らしい返答に『良い性格してるよ…』と呟いており、その好戦的な性格には呆れている様子(とは言えトレギア自身もウルトラ戦士との闘いを楽しんでいる様子がある為人の事は言えないが)。
また、ザ・キングダムを離脱する際のやりとりを見るに、態度自体は横柄なベリアルではあったが、同じ光の国を(しかも、ケンの一族との溝がきっかけで)捨てた者同士として思うところはあったらしく、自分なりにトレギアの事は気にかけてはいた様である。
並行世界で因縁があった親友の息子。
本編で幾度となく彼を苦しめてきたが、一方のタイガはトレギアが父の嘗ての親友である事を知った事と、自分と同じく、父の存在によってコンプレックスを抱き、闇へと堕ちた事 、そして、父と共に自身の名を付けてくれた事を知った為か、トレギアの心を今度こそ救おうと戦闘の際に説得を試みている。また、本編では『お前』と読んでいたが、父の元親友である事を知った為、運命の衝突では『貴方』と言う呼び方になっている。
正史において、実はトレギアの干渉を受けていた事が後に判明した人物。『R/B』や『タイガ』における黒幕に等しいトレギアであったが、実際には『オーブ』の物語にも少なからず影響を与えていたのであった。
正史において、やはりトレギアによって暴走させられていた事が判明。ここから『R/B』での悲劇が始まる事になる。
正史のトレギアが遭遇していたが、彼曰く「どうする事も出来なかった」様で、そのまま放置される。良くも悪くも何もしなかった事でその後の事件には何の関与もしていないが、もし仮にトレギアが何かしていた場合、『X』の物語は全く違うものになっていた可能性もある。
尚、タロウと決別する場面での「片方の局面からしか物事を見ない」という台詞は、奇しくも未来の自身がニュージェネレーションヒーローズを否定した時と同じであり、その台詞が語られた作品もまた前作の『UGFニュージェネレーションヒーローズ』であった事も踏まえると、制作スタッフもある程度意識しての発言だったと思われる。
トレギアの顛末が最後まで明かされなかったメタ的な理由として、『ニュージェネクライマックス』のBD&DVDが発売前という事もあり、未視聴者への配慮ではないかという可能性もある(但し、タルタロスに見せられた未来のトレギアの「何も分かっていないなタロウ」という台詞は、『ニュージェネクライマックス』でもタロウとのボルヘスでの会話で登場している)。
ベリアルに変わって今後のウルトラマン達の宿敵となっていくであろう、新たな悪のウルトラマンと述べられていたが、本史では約2年で退場。その役割はアブソリューティアンに引き継がれ、別時間軸の別個体とはいえ奇しくも取って代わる筈であったベリアルとコンビを組む形となった。
因みにアーリースタイルであってもソフビでは一貫して「怪獣」として扱われており、公式からは「ウルトラマンの姿をした怪獣」という認識と言える。
- ダークザギ:ベリアルと並ぶ、ウルトラシリーズにおける巨悪にして、作中の行動が極悪非道過ぎる悪トラマンの筆頭格。
- 蛭川光彦:ウルトラシリーズ史上最大の嫌われ者。好き嫌いが分かれるまでもなくトレギア以上に忌み嫌われているが、当のトレギア本人は好みそうな人物ではある。因みに彼は「ウルトラマンこそ地球が怪獣や宇宙人に狙われる元凶」という屁理屈同然の思想を抱いていたが、皮肉にもトレギアは「怪獣や宇宙人が地球を狙うきっかけとなったウルトラマン」とそれまで妄言にしか思われていなかった彼の思想を現実のものとしてしまった。
- メトロン星人:ウルトラシリーズで初めて人間同士の信頼関係を破壊する作戦を立てた宇宙人。トレギアの様な変則的な策を練る敵は、ある意味ここから始まったと言えるかもしれない。
- ヤプール:陰湿な策略・奸計に長けた、ウルトラ戦士の宿敵たる狡猾な異次元人。異次元空間を駆使して暗躍する点でもトレギアと共通している他、彼らもまた心の弱さに付け込んで人間を唆したり、他者を人外に変えたり等の所業から「悪魔」と評されている悪役である。
- エルフ(ウルトラ戦士):内山まもるの漫画に登場するウルトラマンタロウの幼馴染。こちらも何らかの理由で光の国から離れて闇堕ちしている(トレギア程情を捨てた訳ではないが)。トレギアはこのエルフのIFと言える存在である。
- サンダーアロー:かたおか徹治の漫画に登場するウルトラ戦士。こちらは自分を追放した光の国に復讐する為に闇堕ちしており、最終的にタロウと彼の母を死に追いやるという暴挙に走った。こちらはベリアルの元ネタである。
- ジャグラスジャグラー、伏井出ケイ、チェレーザ、美剣サキ:歴代の新世代ヒーローズと対立したヴィラン達。いずれも「ウルトラマンへの憧憬が拗れたコンプレックス」を抱えている。さらに言うならば、トレギアの心理面と境遇が彼等の細部の要素を抜き出して再構成したものとも言え、
- 等の共通点を見出せる。
- ユーゼス・ゴッツォ:トレギアと同じく「ウルトラマンに対するコンプレックス」が要因で悪に墜ち仮面を付けた科学者。しかも上記のヴィラン4名に関する要素はユーゼスにも当てはまる。そういう意味では、ユーゼスはトレギアの先駆者とも言える。
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