DATA
概要
ゲスラに比べて頭は丸っこく、全身の毒棘の量がさらに増えている。また、棘の先端が若干黄色っぽいのも特徴。
猛毒には「ショッキング・ベノム」という名称が与えられ、初登場時にはウルトラマンメビウスを悶絶させた(相手によっては即死するレベルにまで強化されている)。また、赤レンガ倉庫を木っ端微塵に粉砕した強力な突進攻撃「ゲスラ・ヘビーアタック」を得意技としている。
全体的に強化改造を施されたものの、頭部にある金色の背鰭が弱点であるという点は改造前から変わっていない。
爬虫類であるにもかかわらず、海獣なだけに首元には鰓を備え、水中でも目が利く。鰭にはチョコレートにたかる虫をキャッチする能力がある他、「チョコレート胃」「ココア胃」など食べ物によって消化器官が分かれているらしい(『ウルトラマンオフィシャルデータファイル』より)。
大決戦!超ウルトラ8兄弟
スーパーヒッポリト星人がウルトラ戦士のいない世界を征服するべく作り上げた強化怪獣の一番手として登場。メビウスの世界の横浜の赤レンガ倉庫を破壊する。駆け付けたメビウスを毒の棘や自慢の怪力で苦しめるが、少年時代に『ウルトラマン』を見ていた横浜市役所職員のマドカ・ダイゴ(この映画では、ウルトラマンティガの変身者ではなく普通の人間)の助言により、メビウスに弱点である背鰭を引き千切られると一気に弱体化し、形勢逆転。最後はメビウスのメビュームシュートを受けて倒された。
後に黒い影法師の手により、ギガキマイラの下半身となった(倒されたのはメビウスの世界のはずだが、ウルトラ戦士のいない世界の赤レンガ倉庫から出現している)。
なお、海の近くには出現したものの、初代のように水中では戦わず、終始陸上で戦っていた。
その代わりなのか『大怪獣バトルNEO』の技カードでは海から出現する姿や、海中を泳ぐ姿(こちらはソフビの特典版)が描かれている。
デザインは酉澤安施氏が担当。
初稿は可愛過ぎると評価されたため、2稿では成田亨による初代のデザインに近づけて牙や棘を強調したデザインとなった。初代当時はブルーバック撮影が主流だったためもあり体色は緑色だったが、後年にはグリーンバック撮影が主流となり初代のままでは不向きであるため、青と黄色の配色に変更された。
デザイン画を見るに、アクターの視界は口や首元から確保しているようである(出典:『てれびくんデラックス 愛蔵版 大決戦!ウルトラ8兄弟超全集』(2008・小学館)P86より)。
横浜が舞台であることから、過去に横浜に出現した怪獣として登場キャラクターに選ばれ、特撮では「昭和特撮」の再現が目指された(出典:『てれびくんデラックス 愛蔵版 大決戦!ウルトラ8兄弟超全集』(2008・小学館)P77より)。
予告編ではティガやメビウスと共に前売り券の宣伝を担当。本編の凶暴さとは異なる可愛らしい仕草を見せていた。
ウルトラ銀河伝説
ウルトラマンベリアルがギガバトルナイザーの力で甦らせた100体怪獣軍団の一体として、前作のスーパーヒッポリト軍団と共に復活。怪獣墓場でゼットン等と共にウルトラマンに襲い掛かるが、投げ飛ばされて地面に叩き付けられ、頭部を強打して絶命した。
この作品にて初めて初代マンとの直接対決が実現した。
ウルトラゾーン
溜地山王にあるマッサージ店の客として登場。
体中がカッチカチに硬くなっている上に、全身が粘液でヌルヌルしているためか、店のマッサージ師(演:津田寛治)は床で滑りそうになったりと終始マッサージしにくそうにしていた。
それ以前に体表が毒の棘まみれなので本来揉もうにも揉めないはずなのだが、何故かマッサージ師は毒に侵されずピンピンしていた。
新世代ヒーローズ
ウルトラマンX
第17話『ともだちは怪獣』に登場。
本作の世界観では以前からゲスラ及びキングゲスラの存在が確認されていたようだが、多々良町に出現した個体はダークサンダーエナジーの影響で凶暴化しており、目が赤色化している。
弱点だったはずの背鰭が大幅に強化されており、ウルトラマンエックスが軽く触れただけで悶絶するほど強力なダークサンダーエナジーを放射している上、強度も向上してXioの攻撃を全く受け付けないなど、もはや弱点ではなくなっている。
また、イカルス星人のように全身の棘を赤い光弾状にして連射する「ベノムショット」という新能力を得ており、ウルトラマンエックスに大ダメージを与えるどころかベムスターアーマーすら破壊してしまった。
劇中では多々良町に落ちたダークサンダーエナジーの影響で実体化して暴れ回った。
出現したエックスを背鰭からのダークサンダーエナジーや棘攻撃で苦戦させ、大地は「キングゲスラがこんなに強いなんて!」とコメントしている。エックスがエクシードXに強化変身しても互角に戦ったが、エクシードXのエクシードエクスラッシュでダークサンダーエナジーを浄化され、最後はザナディウム光線を受けて爆発、スパークドールズに縮小された。
脚本を担当した勝冶京子は、スパークドールズが世界中に散らばっているという設定から「本来は海にいる怪獣が街中に出現したら面白いのではないか」と考え、キングゲスラを登場させたとの事。
ウルトラマンオーブ
ジャグラスジャグラーの所持するキングゲスラの怪獣カードが登場。海獣であることもあり属性は「水」である。
クグツキングゲスラ
前日譚『THE ORIGIN SAGA』に登場したクグツ怪獣の一体。詳細はリンク先を参照。
ウルトラマンタイガ
第2話「トレギア」に登場。
元々は『ウルトラマン』で語られていた通り小さな怪獣で、幼い頃の主人公・工藤ヒロユキが拾って「チビスケ」と名付けて育てていたのだが、実はレキューム人が育てていた生体兵器であり、奪い返されてしまった。その時にヒロユキが勇気を出してレキューム人に挑みかかったのを見て、トレギアに敗れ光の粒子になっていたタイガは(ウルトラシリーズのお約束通り)ヒロユキの命を救い一心同体となった。
つまる所、劇中でタイガとヒロユキが出会うきっかけとなった重要なキャラクターである。
それから時は流れ…レキューム人に育てられたゲスラはキングゲスラに改造され、脳改造を受けて地球の海に放流された。好物のカカオ豆を狙って暴れ回り、暴れる映像がマーキンド星人の怪獣オークションに出品される。
なお、『X』では地中から出現したが、この個体は完全に地面を掘り進んでおり、スーパーヒッポリト星人のソレ以上の改造を施されたと思われる。また、『X』同様にダークサンダーエナジーが発生していなくてもベノムショットも使用可能となった。
チョコを一心不乱に貪り食う様子を見たヒロユキは、キングゲスラがチビスケだと推察してかつて教えていた芸の「クンクン、パッ」を見せ、一時期鎮静化する。見かねた霧崎が細工したことで再び暴れ回り、ヒロユキはタイガに変身してやむなく応戦。ヘルベロスリングのヘルスラッシュと背負い投げでダメージを負い、何とか大人しくなった。
しかし、霧崎が変身したウルトラマントレギアが出現したことで事態は急変、タイガはボコボコに叩きのめされ、トレギアは挑みかかって来たチビスケにも暴行を働く(この時トレギアはどう見てもトゲに触っているが、何の変化もなかった)。最後はトレギアが放ったトレラアルティガイザーからタイガを庇って爆殺されてしまった。
チビスケの死は、タイガだけでなくヒロユキにもトレギアへの強い憎しみを与えることとなる(ちなみに、この時インナースペースで激昂するヒロユキの周囲をよく見ると、黒い波動のようなものが溢れ出している)。同時にヒロユキにとって強烈なトラウマにもなっており、第8話でナイトファングの音波で悪夢を見せられた時は、チビスケがトレギアに殺害される光景が映し出されている。
監督の市野龍一は、ウルトラマントレギアの残忍性を印象付けるためにチビスケ(キングゲスラ)を殺す展開とした。特撮監督の神谷誠も、トレギアがキングゲスラをいたぶる場面で如何に可哀想に見せるかがテーマであったと述べている。目論見通り、当エピソードでのトレギアの所業は本作における彼のキャラクター性を強烈に印象付けたとも言え、話の展開もあってか、後述の『Z』応援配信の時には「賛否両論の嵐」だと当時の反応が語られていた。
神谷は、自身が特殊技術として参加した映画『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』のリベンジで海から出現するシーンに力を入れようとしていたが、実現には至らなかった。背負投げ(タイガスウィング)の描写は、映画『キングコング対ゴジラ』をイメージしていたが、同作品のような描写はオープンセットでクレーンを用いなければならなかったため、軸に棒を入れスーツを回すという手法を用いた。神谷は背負投げをどうしてもやりたかったというが、結果として回転ギミックを合成で消す作業を自らやることとなり苦労した旨を語っている。
ウルトラマンZ
第23話「悪夢へのプレリュード」に登場。
特空機4号ウルトロイドゼロの起動実験の影響で目覚めた怪獣の一体として登場。改造怪獣でありながら、初めて完全なる野生の怪獣として登場した。
地球の脅威となる大量破壊兵器D4レイを搭載しているウルトロイドゼロの存在によって暴走状態となっており、その破壊を目的として鶴河湾からタッコングと共に出現。沿岸部でアルファエッジ形態のゼットと戦闘になる。
今回は従来の猛毒要素などは控えめな代わりに、異常な興奮状態となったことで発生したエネルギーを使って口から高熱火球を吐く能力を初披露している。タッコングとは終始息の合ったコンビネーションを見せ、ゼットの攻撃を物ともせず反撃し続け、火炎の同時発射や海中での連携攻撃でゼットに善戦し、葛葉山でウルトロイドゼロと死闘を繰り広げるデマーガ、ゴメス、パゴスたちに加勢しようとするが、復帰し駆け付けたゼットデルタライズクロー相手には流石に分が悪くベリアロクとM78流・竜巻閃光斬の二刀流で手玉に取られてしまい、さらにデスシウムクローを受けて沈静化、タッコングと共に元の住処に戻って行った。
ゲスラ自体がプール撮影をするのは初代以来54年ぶりである他、キングゲスラが地味に劇中で明確に死亡しなかったのは『X』以来2度目でもあり、今回の相方であるタッコングは『タイガ』でも前述のチビスケと同様に只の敵ではない特殊な待遇を受けた怪獣という繋がりもある。今回倒されなかったのは恐らくファンの間でこうしたイメージが残っていたために配慮がなされたのに加え、“ウルトラマンであり悪意のない怪獣は殺さない”ゼットと、“兵器であり怪獣は容赦なく殲滅する”ウルトロイドゼロの対比を描くことで、ウルトロイドゼロの危険性を表現する意図があったためと思われる。
また、今回は令和ウルトラシリーズ初となる水中戦が描かれており、映像作品においては『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』第9話のエレキングVSゾアムルチ戦以来13年ぶり、ウルトラ戦士との戦いでは『ウルトラマンメビウス』第6話のツインテール戦以来14年ぶりであり、12月の放送となると『ウルトラマンA』第35話のドリームギラス戦以来48年ぶりである。
なお、この話の応援配信では上記の『タイガ』第2話がチョイスされている。その理由として、シリーズ内でキングゲスラの登場した回自体はそれなりにあるが、初登場したのが映画作品のため単体で紹介するには難しく、同時期に『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』でトレギアがフィーチャーされることもあり、選択肢的にこの話が選ばれたと思われる。
同話でタッコングとキングゲスラを演出した坂本浩一監督とメイン監督及びシリーズ構成を務めた田口清隆監督の対談内にてこの回の裏話が語られており、当初はゼットがばっさばっさと怪獣を倒していく展開だったが坂本監督は第23話の台本を呼んだ時前半戦の第11話と第12話で過去のトラウマが起きたハルキの行動から得た印象が違ったため、修正しないとダメだと思い田口監督に直接連絡を取り話し合い、「ゼットはばっさばっさ倒すのではなく逃がすのがいいんじゃないですか?」と提案した事で路線変更することになった。『ウルトラギャラクシーファイト運命の衝突』にゼットが客演した際もレギオノイドやダークロプスと言ったロボット怪獣を倒している。
ウルトラマンデッカー
第10話「人と怪獣」に登場。
市街地で新生GUTS-SELECTと交戦中、突然現れたネオメガスと激突。
最期は口を無理矢理開かれ、口内に光線を直接撃ち込まれ爆死してしまった。
なお、この戦いは先のサドラ戦と同じく、ネオメガスのデモンストレーションが目的だったようだが、今回の出現が作為的に仕組まれたものなのかは不明。
今作が『ウルトラマンダイナ』25周年であり、ネオメガスがネオザルスのオマージュということもあって、立ち位置はクローンシルバゴンを意識した可能性もある。
シルバゴンの強化体であり、かつて共演したキングシルバゴンが登場しなかった理由は不明だが、近年の怪獣スーツ事情を踏まえると、恐らくスーツの都合と思われる。
派生作品
大怪獣ラッシュ
第3弾でプラズマ怪獣として登場。プラズマソウルを取り込み凶暴化したキングゲスラ。“ウルトラ大集結!”の前編のボスの一体として登場する。
レインボーキングゲスラ
2015年7月30日~8月30日にかけて開催された“海の大ハンティングまつり!”のEXステージのボスとして登場。
オリハルコンプラズマソウルやメタルプラズマソウルと並ぶレアなプラズマソウルであるレインボープラズマソウルを身にまとい、プラズマ怪獣化したキングゲスラの亜種。
能力がけた外れに高く、その能力は何とオリハルコンベロクロン等をも上回る程。更に属性による愛称も受け付けない恐るべき強敵である。
ウルサマ2022 ボイスドラマ
第6話「集う光」に登場。
どこかの星でパゴス、レッドキング、デマーガと共にゼロと戦っていたが、駆け付けたジードのレッキングリッパーとタイガのスワローバレットで一掃された。タイガ曰くレイブラッド星人の配下とのこと。
なお、この4体は『Z』で単なる敵ではない怪獣として登場したという共通点がある。また、レッドキング以外の3体が現れた理由は共通している。
ウルトラマンブレーザー大決戦!!キング怪獣軍団
突如駿河湾から出現し、キングシルバゴン、キングザウルス三世と共に富士山麓に集まった。
アースガロンMod.2と交戦するが、ロボットであるアースガロンには毒の棘が利かず弱点である背びれを引き抜かれ弱ったところにアースガロンの一斉掃射を受け絶命。その死体はほかの2体と共にキングジョーの頭部によって富士山火口に投げ込まれた。
立体化
『ウルトラ怪獣シリーズ 2008 MOVIE』から発売。黄色い塗装は控えめになっている為、全身の青みが強まったような印象を受ける。特典として『大怪獣バトルNEO』に対応の技カードが付属。『RR』でスキャンすれば初代ウルトラマンを使用できた。
『ウルトラ怪獣X』化もなされ、そちらでは特典として『サイバーキングゲスラ』のサイバーカードが入手できた。
食玩『プレイヒーローVS ウルトラマン対決セット 超ウルトラ8兄弟スペシャル』ではミニソフビ化を果たすが、同梱されているのは本編では戦っていない初代ウルトラマン(Aタイプ)である。
食玩『HDM 創絶 超ウルトラ8兄弟-後編-』ではリアル造形のフィギュアとして立体化されている。
余談
現在円谷プロにはゲスラの着ぐるみが存在しない(可能性が高い)ため、新世代ヒーローズ以降ではほぼ自然発生の怪獣として扱われ、しかも登場する度に何者かに利用されるなどの外的要因で凶暴化したり操られたりしている。
しかし一方で、そういった着ぐるみの事情も相俟ってか、『超ウルトラ8兄弟』で初登場した怪獣の中ではダントツで再登場の回数が多い。同作に登場した他の怪獣に関しては、キングゴルドラスは『ウルトラ銀河伝説』以降一度も再登場しておらず、キングシルバゴンも『ウルトラゼロファイト』を最後に登場していない。キングパンドンは『ウルトラマンサーガ』(及び『ウルトラマン列伝』)、『ウルトラマンギンガ』に登場した後、『オーブ』のマガパンドンに改造されたという。スーパーヒッポリト星人は『ゼロファイト』でダークネスファイブの一員たる地獄のジャタールとして流用されて以降、通常のヒッポリト星人と同等の扱いとなり、ウルトラ戦士と戦ったのは劇場版オーブのヒッポリト星人カリストが最後となっている。
この為、初登場作品で共演した他の4体と比べると、些細な改造や修繕を繰り返しながらも、当時の名称・肩書きとほぼ変わらないまま令和の作品まで使用され続けるという破格の扱いを受けている。劇中の立ち位置としては不遇かもしれないが、メディア的な意味合いでは寧ろ優遇された怪獣だと言えるだろう。
関連項目
火山怪鳥バードン:メビウスと戦った猛毒持ちの怪獣。
ワニゴドン:『タイガ』版の立ち位置はこれのオマージュとも取れる。