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サザエさん時空

さざえさんじくう

サザエさん時空とは、一部の日常物などの漫画やアニメにおける一種のお約束。
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概要編集

サザエさん時空とは、端的に言えば「時間の経過の概念はあるが、キャラクターが年を取らない」状態のこと。その名の通りアニメ版『サザエさん』が由来。イソノ時空またはサザエさん方式等とも呼ばれる。

具体的には季節が現実と同じように春→夏→秋→冬→春…と変化しているにもかかわらず(設定上の誕生日を過ぎたとしても)登場人物の年齢が上がらず、学生のキャラクターは3月から4月になっても学年が上がらないというある種の無限ループになっている作品をいう。


時事偶像 美希誕生日祝い

ただし年齢が変わらないといっても小さな子供だけはいつまでも小さいままだとさすがにリアリティがない為かある程度の年齢までは成長するなど例外になっている作品もあり、サザエさんの原作漫画でも当初独身だったサザエマスオと結婚してタラちゃんが生まれ、アニメ版と同じ年齢まで成長している。

このような設定になっている理由編集

一口にサザエさん時空・サザエさん方式といってもそのような設定になっている理由は作品によって様々。

「日常」を描きたい編集

例えばサザエさんのように登場人物たちの「変わらない日常」を描いたいわゆる日常系のような作品において、季節が一巡したからといって年齢や学年を上げた場合、どうしても登場人物の成長→進学→卒業→就職→結婚…などにより、生活の変化を描かざるを得なくなり「変わらない日常」ではなくなってしまう(無論、日常系でも『あずまんが大王』のように登場人物の成長や日常の変化が描かれている作品も存在する)。


また、日常系でなくとも学園モノなどのように主人公や主要人物が子供あるいは学生などであることが重要な作品の場合、現実通りに成長させてしまうとその前提自体が覆ってしまう。

他にも『ドラえもん』のような作品の場合、特に学年誌では常に想定されている読者層が固定されているわけではなく「読者として想定している年齢層」の方が固定されていて、その時その時で当てはまる層を読者として想定している為、それに合わせて登場人物の年齢を変えずにいるという事情もある。


アマチュアweb漫画など、しがらみや採算を重視する必要がなく、作者が好きに描いている漫画では「描きたいネタ、描きたい季節の行事、主人公が子供でないと成り立たない話が多いので、わざとサザエさん時空にしている」という設定が多く見られる。愛着の湧くキャラクター、話、舞台、環境はそう簡単に量産できるものではない為、一つの作品を丁寧に作って、架空の世界ならではの(半永久的な)モラトリアム感を楽しむ目的もある。

作者自身が作品の方針として「作者が成長させたいと思ったら成長させよう」「テーマを十分に伝え終わったら成長させよう」といった考えを公表しているケースもある。

繊細であり、量産品のようには作れない一つの完成された環境をスルメのように味わわせるのが目的であり、現実のように人物が成長すること、環境が変わることを否定している訳ではない。

作品人気編集

この他にもサザエさん時空がとられる理由として、「人気が出すぎて作品を終わらせることが出来ない」というものがある。サトシポケモンマスターに到達することなく延々と旅を続けていたかつてのアニメ『ポケットモンスター』シリーズや、『名探偵コナン』がそれである。

いずれも2019年までは毎年劇場版が作られ、その興行収入は普通なら簡単には達成できない数十億円。

会社を支え、経済に大きく貢献する社会現象といっても過言ではないほどの一大コンテンツとなってしまった為に、製作者の一存では話を終わらせることが出来なくなっている

一部の二次創作編集

作品はサザエさん時空ではなくとも、ファンの描く二次創作では、ある編のキャラクターとその環境がファンアートで繰り返し描かれていることがある。パラレルワールドに召喚されて年を取らないキャラクター、年齢操作されたキャラクターとして活躍していることもある(これに似た公式のメディアミックス作品もある)。この際に、作品内で描かれなかったキャラクターの新たな一面が描かれることがある。作品舞台に新たな設定が付け加えられることもある。原作とジャンルが変わることもある。(例:アクションもの→日常系、現代もの→時代劇)

時間が進むことを否定しているのではなく、みんなが好きで愛着のあるキャラクター、作品舞台の人気、テーマを伝えやすい環境を最大限に活用している。(詳しくは→スターシステム

メディアミックスプロジェクトでの活用例編集

企画された時点で複数のメディアで展開することが決まっているメディアミックス作品では、サザエさん時空と成長する時空を並行して使い分けている例が見られる。

例えば、原作・漫画・ゲーム・ライブイベントにおいては、サザエさん時空で長期展開しながら、アニメ版では限られたクールのテレビシリーズで時間軸を進め、劇場版でストーリーのクライマックスを描いてしまうケースで、『ラブライブ!シリーズ』・『少女☆歌劇レヴュースタァライト』・『BanG_Dream!』などでこの方式を使用している。アニメ版を作品の入口にしてファンを爆発的に増やして、彼らをゲームやライブ等に誘導し、長期的な利益を得る手段として用いられるが、逆に後述のようなデメリットが発生しやすくなる。

デメリットや問題編集

矛盾の発生編集

変わらぬ登場人物たちを描けるサザエさん時空によるデメリットはそれなりに存在し、年齢がループすることによって誕生日の設定が実質的に死に設定になったり作中での時系列が合わなかったり、また作中の展開に合わせて新キャラを出しにくくなる・あるいはレギュラーキャラクターがリストラしてしまうといった欠点も存在する。


アニメ『ポケットモンスター』のサトシなど、冒険や精神的成長、時間の経過は描かれつつも肉体は変わらないなど日常系作品以外では違和感が発生するケースも。また、長期連載でなおかつ今でも連載中となっていくと、重要そうな伏線がいつまでも回収されないこともあり、それが問題になることもある。


他にも、作中で登場人物の若い頃や幼少期が回想などで描かれた場合に、作中の時系列上はその人物の初登場回より前の出来事であるはずなのに時代設定の描写が初登場回より最近になっている等といった混乱が見られるケースもある。その上、キャラクターや舞台設定が初期と食い違っているという矛盾も見受けやすくなる。

現実世界との帳尻合わせ編集

基本的に登場人物の年齢は変化していないにもかかわらず、時代が進んでいること前提の現象が発生することがある。

たとえば、その時その時に合わせた時事ネタが挟まれたり、作中に登場する携帯電話などのギミックは現実通りに変化しているなど。また、かつては合法だったが法律の改正の影響で設定が合わなくなったという、社会情勢の影響で矛盾が発生するパターンも存在している。(最近の例では、民法731条の改正で16・17歳の女子が結婚できなくなった為、その年での結婚に関する話題や設定が合わなくなるケースが存在している)

2000年代前後だと下手をすれば初期には家にアナログテレビがあったり、公衆電話ポケベル等を利用したりしていたはずの登場人物がいつの間にか、地デジテレビに買い換えられたり、折り畳み携帯やスマートフォンを持ち歩くように様変わりしたりしているのが顕著な例だろう。

これは、架空の世界を使わず、現実の世界を使うことによる弊害でもある。


当の『サザエさん』ではカツオのクラスメイトのカオリが万国博覧会の記念硬貨を見て『私達が生まれるずっと前の万博』(「ずっと前」から2005年開催の愛知万博ではなく、それ以前の花の万博つくば万博沖縄海洋博大阪万博のいずれかと見られる)と言うシーンが2016年に放送されたのだが……、当のカツオは1970年6月14日放送分にて実際に大阪万博に行った事があるというオチがついてくるのである。

そもそも『サザエさん』においては花の万博沖縄海洋博つくば万博についても取り上げられた回が存在する(沖縄海洋博は1975年12月14日放送分、つくば万博は1985年6月30日放送分、花の万博は1990年4月29日放送分)ので、どの万博だったとしてもおかしな話になってしまう。

放映当初「お前は一体何歳なんだ」というツッコミが相次いだのは言うまでもない。

リセット編集

良くも悪くもキャラクターの成長を描かなくても良い為、ストーリー性の強い作品で(世界観のリセットの有無にかかわらず)メインキャラが続投される場合、以前に描かれた精神的な成長がリセットされたりそれが無駄になったりという一面も存在している。人によっては、変わり映えの無さに飽きてしまうかもしれない。

終わる時をどうするのか編集

また、上記のように終わりが見えないのも問題点になりがちとなり、仮に最終回を設けるにしてもどういった展開になるのかは不透明になりやすい。

長寿アニメやゲームシリーズの場合、声優の高齢化等による声優交代も課題点になる。

サザエさん時空と異なる形式をとる長期作品編集

なのはさん 誕生日2021(MAJORメジャー) 茂野吾郎と本田吾郎

一部の長期に渡って続けられている作品は、主人公が最初は幼かったのが、話の進行に合わせて現実世界と比べると緩やかながら青年→大人への成長が描かれるという人気作品も少なからず存在する。


これは話の進行に合わせて作中の時間の流れ方が変化している。

ある程度話が続いている作品に起こりやすいという点はサザエさん時空をとる作品と共通しているのだが、こちらは日常ものや学園作品とは逆に登場人物(特に主人公)の成長や変化を積極的に描くことでストーリーを続けさせているのが特徴。(『太臓もて王サーガ』の作者によれば、学園モノでも学校内での季節のイベントを難なく入れることができ、新入生の形で新キャラを登場させることもしやすいというメリットが語られている)

場合によっては、主要キャラの結婚も描かれるなど、キャラの大きな変化を組み込みやすいメリットもある。特に主人公の子供が生まれた場合、そのキャラが主人公となる物語(俗に言う「2世もの」)が新たに続編として描かれることもある。


但し、作中での時系列やキャラ設定を最大限に活かす為に「キャラの変化を長期的に描く」事の難しさから制作面で大きな苦労も存在しており、後述する『ドラゴンボール』シリーズや『おジャ魔女どれみ』シリーズは作品を継続するか否かで問題があった模様。最悪のケースが『魔法少女リリカルなのは』シリーズであり、時系列が最新となる作品が実質的に打ち切りとなっており、これ以上の進展が見込めない状況となってしまっている。


そう言った点から、作品の世界観をより広げられるメリットがある一方で製作の難易度の高さも無視できないという諸刃の剣になっていると言えよう。

派生編集

第1話から最終回までずっと登場人物の年齢が変化しない作品の他にも、当初は登場人物の年齢が上がっていたが連載の長期化などによりループ状態に入っている作品や逆に最終回あるいはその直前になって登場人物の年齢が上がりだす作品、登場人物の年齢や学年は上がっているのだが現実通り春→夏→秋→冬の一巡で一年ではなくもっと遅いペースになっているといった作品、普通に年齢が上がっていくがSF表現で過去に戻ったりパラレルワールドに移動したり魔法で若返ったりする作品も存在しており、見方によってはサザエさん時空の派生といえる。


その他、本編の中心となる時間軸はサザエさん時空であっても、登場人物の過去が回想や過去編として描かれるなど特定の場面のみにおいて「登場人物が現実通りに加齢している」ものとして一時的に扱う作品も存在する。

中には本編とは異なる年齢の時の登場人物を描いた外伝が存在する作品もある。これも多くの場合原作の過去や将来像とは明言されず、原作と別のサザエさん時空になっていたりする。

ループものとの違い編集

サザエさん時空と同じように作中の時間軸がループしている作品に、ループものが挙げられる。


ループものとサザエさん時空との大きな違いとしては、ループものでは登場人物がループ状態に対して何らかの干渉を行うことができる(可能性がある)ということがある。

つまり、ループものではループを作品内で起きた出来事として扱っている。


一方、サザエさん時空では仮に登場人物がループ状態を自覚した言動を取ったとしてもあくまでメタ発言の一環であり、登場人物がループ状態からの脱出を考えたりループを起こしている人や物が作中に存在している(言及される)ことはない。

ループものではループは作品内の現象であるが、サザエさん時空ではループは作品外の舞台装置なのである。


なお、『ドラゴンクエストⅦ』ではこのサザエさん時空とループものの両方が起きている。サザエさん時空についてはゲームなので主人公が行動しない限り1日がループし続けることになる。これは他のタイトルでも同様である。一方ループものについては過去のリートルードでそれが起きており、町に初めて来たときの展開が毎日同様に発生する。問題解決後は結局(少なくともその時代に主人一行がいる限りは)サザエさん時空になってしまう為、非常にややこしい。


また、後述する類例で挙げられているように、サザエさん時空をモチーフにしたループものと呼べるような作品も存在している。


聖剣伝説COM』では「過去を振り返る」という形で同じ時空(一度クリアしたダンジョン)を何度も経験できるようになっていた。プレイヤー視点で見ればサザエさん時空だが、物語上の設定はサザエさん時空ではないという珍しい設定であった。


一部の作品は後述されているが、2010年代以降の日常系アニメ・漫画の代表格の一つともなった「まんがタイムきらら」系列の多くの作品は初期を除いて「現実世界よりスローペースながらも時間経過が発生する」作品が増加しており、対照的に長らく時間経過を遅らせていた作品においては作中キャラの進級を以て作品自体を終わらせる事例も多く発生している。

テーマを決めて連載している作品を除けば、「進級」「卒業」そのものが作品の締めくくりに関わる重大な表現となる事例が多いこともその理由として有力であり、「終わらない日常」を体現するきらら作品は実はあまり多くない。

もっとも、最終話の最後の一幕をもってのみ時系列の進展を感じさせる描写を入れ、それまでは全く進行の要素を見せない作品もある。


これは何もきららに限らず、同年代以降に連載された、「学園もの」「日常」系作品ではしばしば見られるようになった。背景としては日常系作品が大幅に増加し、長期に安定した人気を保つ作品を提供し続けることが難しくなったことや、「サザエさん時空」そのものがネタにされる中で作品傾向そのものの変化によるところがあると言えよう。


また、一部では意図的に一つの季節イベントを作中1年間につき一度しか発生させず(同一イベントの2回目の発生時には進級等している)、前後の話で時系列を明確化させない、意図的にシャッフルするなどの措置で、現実世界の数倍から数十倍もの掲載期間を経ているにもかかわらず、大きく矛盾の無いまま「時間の進む作品」を掲載している例がある。


主なサザエさん時空の作品編集

サザエさん』はもとより、他にも以下のようにサザエさん時空またはそれに近い作品は多数存在している。

日常作品・4コマ漫画などは特に連載の長期化の結果、この時空になっているものが非常に多い。

作品についてはサザエさん時空の作品一覧を参照。


関連タグ編集

サザエさん方式(表記ゆれ)

日常系 お約束

無限ループって怖くね? 不老 パラレル設定


大人化:サザエさん時空に対するアンチテーゼとして描かれやすい

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