解説
『ウルトラセブン』40周年記念作品。
ウルトラ戦士の登場するシリーズとしては初の深夜帯放映作品であり(ウルトラシリーズとしては『ウルトラQ dark fantasy』以来2作目)、初の16:9サイズのハイビジョン製作、そして初の1クール作品となる(全12話)。
制作は『ウルトラマンネクサス』、『ウルトラマンマックス』、『ウルトラマンメビウス』のハイコンセプト・ウルトラマンの作品から引き続き中部日本放送(CBC)が担当している(ちなみに、『メビウス』の翌年に放送されたが、深夜番組であることと『ウルトラセブン』の番外編的要素が強いためかハイコンセプト・ウルトラマンの括りに入っていない)。同時に、TBS系列のテレビ局が制作・放送に関わった最後のウルトラシリーズのテレビ作品となった(ただし、円谷作品全体としては、同じくTBS系局のMBSが2018年にSSSS.GRIDMANの制作に関わり、円谷作品のテレビシリーズとしては11年ぶりにTBS系列が参加した)。
深夜番組なだけあって全体的に暗く緊張感のある雰囲気で、如何にも「従来とは雰囲気を一新した新たなウルトラシリーズ」といった印象を受ける。
内容はストーリー部分に重点が置かれており、戦闘シーンは存在するものの時間は短く(第10話、11話のようにセブンXが回想を除き一切登場しなかった回も存在する)、たまに苦戦もするが圧勝が基本である。
本作の特撮シーンはジオラマを一切使わず実写との合成で描くという手法を取っており、この技法は後のシリーズにも要所要所で使用され続けている。
また、防衛チームの装備が貧弱で、戦闘がウルトラ戦士の独壇場になりやすいという点は後の新世代ヒーローズシリーズにも通じる部分があり、一種の衰退も表れている。
世界観
近未来を思わせる、我々の世界とは似て非なる世界。
あらゆる戦争やテロが根絶された世界でもあるが、より小さなところでの人間の争いは未だある。
町には政府の広報や様々な情報が与えられるモニターや、ホログラムの投影機が様々な場所に設置されており、人々はその情報に支配される高度な管理社会を形成している。
しかしその裏で、地球を侵略する為にエイリアン達が地球に侵入し、様々な工作を行い、一部のエイリアンは人類を脅かしている。その脅威から地球を守る為、国際的秘密組織「DEUS」が活動し、秘密裏にエイリアンを抹殺している。
ストーリー
一人の青年・ジンは、ある日、とあるビルの一室で目を覚ました。
彼は記憶を失っており、何故ここにいるのかも、自分が誰なのかも思い出せない。
そこに謎の女性・エレアが現れ、「この世界を救って欲しい」とウルトラアイを託す。
何が何だかわからないまま流れに任せ行動する中、彼は自分がDEUSのエージェントであることを知る。
エイリアンとの戦いで追い詰められたジンは、託されたウルトラアイでウルトラセブンXに変身する。
自分の記憶を取り戻す為、DEUSのエージェントとして、そして世界の救世主としてのジンの戦いが始まった・・・。
登場人物
25歳。本作の主人公。DEUSのエージェント。黒いコートを身にまとっている。
記憶を失っているが、時折水に全身を包まれるイメージだけは残っている。
寡黙だが内面は熱く、セブンXの力でこの世界を守ることを決意している。
本来の性格も、第6話で記憶を失う前に出会った隆男とは意気投合したとはいえ初対面で非常にノリの良い反応をしているので根暗ではない。
エージェントとしての実力は高く、生身でもエイリアンに対抗できる戦闘力を有している。
愛車はキャディラックSRX。他のDEUSエージェントからのウルトラガンによる攻撃をはじいていたことから、何らかのカスタムが行われていると思われる。
なお、第11話ではエレアの手を繋ぎながら襲い来る敵を格闘で倒すという離れ業を見せた。休日はバーで酒を飲んでいる。
エレア(冴木エレア)
22歳。本作のヒロイン。ジンに「ウルトラアイ」を預けた。
神出鬼没で、ジンに助言や警告を与えると同時に彼の記憶を気に掛けている。
ケイ
25歳。ジンとチームを組むことの多いDEUSのエージェント。
やや軽い性格でコメディリリーフ的な役割が多いがエージェントとしての腕は確か(ジンも実力を認めている位)で、地球を守ることに使命感と誇りを持っている。
服装は黒いコートを着ているジンとは対照的に、白を基調としている。
甘党で、プリンが好物な事は自分の理想像に合わないようだが、止められないらしい。
エス
25歳。ジンやケイと共にチームを組むことの多いDEUSのエージェントで、潜入捜査を得意とする。
チョコが好物らしく何かと食べていることが多いが、その事を指摘した者は酷い目に遭わせている。
エージェントとしては銃の扱いにも長けているが、格闘技が最も得意。
死んだと思われたエージェント・ディーが現れてもジンが裏切り者として指名手配されても信じていたことから、仲間意識は強いと思われる。
アール
第2話「CODE NAME"R"」に登場。
元はケイも認めるほどの凄腕のエージェント。妻が自殺を遂げたことからこの世界に疑問を持ち、DEUSを抜けて「船」が人々を連れ去るのに力を貸していた。
第7話「YOUR SONG」に登場。
母星を裏切ったヴァイロ星人ナタルと相思相愛になり、彼女を護るために殉職を装ってDEUSを抜けた。戦闘能力は高く、電磁棒一本でヴァイロ星人と渡り合っていた。
(中の人は昔『スーパー弁護士』兼『牛モチーフのライダー』であった)。
第8話「BLOOD MESSAGE」に登場。
妻のアサミと幸せな生活を送っていたが・・・
(ちなみに演じていたのは、我らが『ニーサン』こと『黒田勇樹』である)
DEUS指令
DEUSの司令官。ビデオシーバーを通して各エージェントにミッションを伝える。どこにいるのかも、何をしているのかも謎に包まれている。
ウルトラセブンX
データ
身長と体重、能力等はウルトラセブンと同等。
だが、外観が大きく変わっている。
[pixivimage:304389ma]
しばしば「悪人面」と言われるほどに目つきが鋭くなっている。
また肩の部分が尖っており、頭身が高くなって全体的に筋肉質な印象を受ける。
特に腹筋の割れ方がすごい。
デザインとしては「最強のウルトラセブン」をイメージしたとか。
「船」
Episode2に登場する、正体不明の宇宙人が搭乗している巨大な円盤。
テレビの砂嵐を利用したサブリミナル効果を通じて社会からの逃避を願う孤独な人々にメッセージを送り、それに応えた人々を次々に特定の場所へと集めて連れ去っていた。
なお、メッセージを送るのには最愛の妻との死別を切っ掛けに世界に疑問をいだくようになった“元”DEUSの凄腕エージェント・アールを利用している。
アール自身は社会に適合できない人々を救ってくれる善意の存在だと信じて疑っていなかったが、彼にウルトラアイをジンから奪う事を命令していた事からも分かるように、その真の目的は地球侵略であり、アールも彼らに心の隙間を利用されて操られていたに過ぎない。
最終的にはアールが指令通りにウルトラアイを奪わなかった為本性を現し、彼を裏切り者として処刑した後宇宙へと逃亡を謀るが、アールの孤独な心に付け込んでいいように利用した挙句に彼の気持ちを踏みにじるその行為に怒りが頂点に達したジン=ウルトラセブンXに追撃され、反撃を試みるも全く通じず、最後は「ワイドショット」の直撃を受けて宇宙船諸共爆死した。ちなみにその後、攫われた人々のその後や、彼らの正体については最後まで謎に包まれたままだったりする。
彼ら以外の番組に登場する怪獣、宇宙人については放映リストのリンク先を参照されたし。
放映リストと登場した怪獣、宇宙人
詳細はセブンX怪獣を参照。
漫画版
『テレビマガジン4月号増刊 テレまんがヒーローズ』(2007年春頃発売)に第7話のコミカライズが掲載された。
ただし、こちらではエージェント・ディーが登場しない。
主題歌
Another day comes
作詞:K/作曲・歌:Pay money To my Pain
エンディング主題歌。歌詞は全編英語となっている。
フルはピアノの伴奏が1分はど続き、2分あたりから歌い出しが始まる。よって再生時間は6分を超える。
この為、EDでは歌い出しの部分が使用され、PVではピアノ伴奏そのものがカットされる。
おそらくではあるが、ウルトラシリーズの主題歌の中でも屈指の歌唱難易度と長さを誇る曲ではないかと思われる。
関連イラスト
関連タグ
ウルトラマンメビウス→本作→大怪獣バトル
ネタバレ
番組終盤におけるジンの記憶の真実やセブンとの関連についてはネタバレとなるため↓にて記述
全ての真相は終盤3話にて明かされ、それまでは全く謎のままである。
世界観
言わばパラレルワールド、並行世界の様な別の地球と言うべき世界。グラキエスによる情報統治と管理がなされており、既に征服と掌握が完了されている。
AQUA PROJECTにより偶然異世界への移動手段が見つかり、そこはウルトラセブンが存在するもう一つの宇宙。グラキエスの侵攻を察知したセブンと支配者の正体に気付いたジンにより、物語は幕を開けた。
かつてグラキエスによって殺されかけたジンを救うため融合したモロボシ・ダン本人。
グラキエスによる異世界への侵略を防ぐ為この世界に現れた。
ジン
記憶を失う前はエレアの恋人で、AQUA PROJECTの裏に潜むグラキエスの存在と陰謀に気付き、エレアに様々な情報を教えていた。最終局面でようやく全ての記憶を取り戻した。
エレア
DEUSのエージェントではなく、元はAQUA PROJECTに関わっていた科学者。ジンからAQUA PROJECTの真実を聞かされ、地下でグラキエスへの抵抗活動を続けると同時に記憶を失ったジンを導いていた。
ケイ
最終局面ではジンとエレアを信じてDEUSを裏切り、グラキエスの打倒に協力した。
エス
最終局面ではDEUS司令の行動に疑念を抱き、ジンのAQUA PROJECTの調査に協力。その後、ケイと共にDEUSを裏切った。
グラキエス
政府と情報を操りこの世界を統制する、虫の様な謎の生命体。
エネルギー資源の生成を目的としたAQUA PROJECTによって偶然開かれた異世界へのゲートを掌握し、攻め込もうとしていた。
DEUS指令
最終局面では真実に近づいたジン達と彼らを導くエレアを始末しようとする。
DEUSの実態はグラキエスの傀儡であり、DEUS指令もまた基地最奥部から指示を発するスクリーンという存在でしかなかった。
最後は自らの元に辿り着いたケイとエスを抹殺せんとするが、爆破され逆に返り討ちにあう。