概要
平成ウルトラセブンと呼ばれるのは、TVスペシャル『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』及び『ウルトラセブン 地球星人の大地』、オリジナルビデオ作品『ウルトラセブン誕生30周年記念3部作』、『ウルトラセブン1999最終章6部作』、『ウルトラセブン誕生35周年“EVOLUTION”5部作』の5つ。
ただし平成ウルトラセブンという名称が公式にシリーズ名として使われている訳ではないどころか特に公式なシリーズ名は設定されてないため、公式の場で平成ウルトラセブンという名称が使われる事はあまりない。円谷プロの動画配信サービスであるTSUBURAYAIMAGINATIONでは、『もう一つのウルトラセブン』と総称されている。
内容は『ウルトラセブン』の続編であるが、本放送当時の設定である、『ウルトラマン』や『帰ってきたウルトラマン』以降のシリーズとは切り離した世界観の上で展開されたストーリーであり、セブン以外のウルトラ戦士は地球を訪れておらず、セブンが地球を去った後の地球防衛はウルトラ警備隊がずっと担っていたという設定(ただし、初期はこうした設定がまだ定まっていなかったらしく、「太陽エネルギー作戦」では『ウルトラマン』のバルタン星人、ゲスラ、ペスター、ガヴァドン(A・B)、『帰ってきたウルトラマン』のツインテール、『ウルトラマンタロウ』のオイルドリンカーの存在が語られている)となっている。
ウルトラマンレオ以来のセブン=モロボシ・ダンの約20年ぶりの復活や旧作レギュラー陣の再登場、世代交代したウルトラ警備隊のメンバー、などといった話題の多い意欲作であり、オリジナルにも見られた強いメッセージ性などは健在である。
また、ウルトラセブンが状況に応じて2つの人間態を使い分けるという珍しい展開もある(変身者が代替わりするという展開は後のウルトラシリーズにも引き継がれる)。
ただ、後半からTV版とは打って変わってハードな展開となり、オリジナルの世界観に踏み込みすぎた部分もあるため、評価は賛否両論に分かれている。
本編の長さは作品によって多少差はあるが、ほぼ一時間程度と割と長め。
バブル崩壊の影響で、低予算体制での製作となっており、ビデオ撮影だったりCGシーンがなかったりするのはそのため。
BGMと主題歌も当初TV版のものが流用されていたが、誕生30周年記念三部作では、同じ円谷プロの作品の恐竜探険隊ボーンフリーなどからも劇伴が一部流用されている。
『1999最終章』からはステレオ化にともないBGMが新規録音されたものになり、主題歌と挿入歌もささきいさお氏がカバーしている。
あらすじ
ウルトラセブンが去ってから約30年後の地球。何者かの攻撃によって瀕死の重傷を負ったセブンが、墜落という形で地球に再来するところから物語が始まる。これを機にセブンは新生ウルトラ警備隊と共に再び地球の守りに着くが、やがて人類は自ら間違った道を歩み始め、セブンは苦悩しつつも人類を信じて戦いに身を投じていく。
戦いの中で、遥か昔に人類が犯した罪を知ってしまったセブンは、それでも地球を守ろうとしたため、M78星雲の同胞から断罪され、馬の首暗黒星雲に幽閉されてしまう。しかし人類は自ら反省の意思を宇宙へ示した事で救われ、宇宙との間で不可侵条約が結ばれる。
地球は平和を取り戻したかに見えたが、その中で新たな侵略者の影が、少しずつ地球防衛軍を蝕みつつあった。その時セブンは――
TVスペシャル
第一作『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』は1994年3月21日(太陽の日)の午前10:30-11:25に、第二作『ウルトラセブン 地球星人の大地』は1994年10月10日の午前10:30-11:25に日本テレビ系列で全国放送された。
資源エネルギー庁とタイアップして製作したため、環境問題がテーマになっている。
元々は3部構成にする事を考えていたようで、3作目の計画は次の誕生30周年記念3部作へ繋がっていく。
ソフト化において、カットされたシーンを復活させたノーカット完全版を収録している。
なお、TSUBURAYAIMAGINATIONではテレビ放送版が配信されている。
放映リスト
ウルトラセブン誕生30周年記念3部作
1998年6月から8月にかけてバップのオリジナルビデオとして発売。全3巻。
内容は、ダンが旅をしながら遭遇した怪事件を調査していくロードムービー形式。ウルトラ警備隊メンバーはTVスペシャルから一新され、4人だった人数も初代と同じ6人となっている。
放映リスト
ウルトラセブン1999最終章6部作
1999年7月から12月にかけてバップのオリジナルビデオとして発売。全6巻。
本作からストーリーがハードになり、いかにも「大人向けのウルトラセブン」といった内容になり始める。
タイトル通り、本来ならこの作品が平成ウルトラセブンの最終章となるはずだった。
ちなみにEDテーマには本作オリジナル曲『ウルトラセブンのバラード』が使われている。これまで地球のために戦い続けてきたセブンの想いを綴ったような歌詞内容となっており、隠れた名曲というに相応しい曲となっている。
第5話は『ウルトラマン列伝』にて(30分枠に合わせて再編集された上でだが)地上波初放送を果たしている。
最終章は、DVDのみビデオ版でカットされたシーンを再編集した完全版が収録されている。
TSUBURAYAIMAGINATIONでは、最終章は通常版が配信されている。
放映リスト
No. | サブタイトル | 登場怪獣・宇宙人 |
1 | 「栄光と伝説」 | 寄生生命体ヴァルキューレ星人 |
2 | 「空飛ぶ大鉄塊」 | 帰化宇宙人キュルウ星人、宇宙昆虫ガロ星人、鉄鋼ロボット大鉄塊 |
3 | 「果実が熟す日」 | 犯罪宇宙人レモジョ星系人、植物獣ボラジョ |
4 | 「約束の果て」 | 時空怪獣大龍海、乙姫 |
5 | 「模造された男」 | 宇宙ロボットキングジョーⅡ |
6 | 「わたしは地球人」 | 守護神獣ザバンギ、地球原人ノンマルト |
ウルトラセブン誕生35周年“EVOLUTION”5部作
2002年5月から9月にかけてバップのオリジナルビデオとして発売。全5巻。
前作の後日談的な内容で、タイトル通り「進化」がストーリーのキーワードとなる。
前作のラストがラストだっただけに、当初はセブンが登場しないという設定で作られていた名残で、EPISODE:1~2にはセブンが登場しない。
そのため、EPISODE:4がまず第1巻としてリリースされ、いきなりセブンが復活していて地球防衛軍が壊滅しているという衝撃的な展開からスタート。その後、EPISODE:1以降が順に発売され、時間軸を遡ってそうなった経緯が明かされるという構成となっていた。
音楽については、1999最終章6部作で新録されたものを使っているのだが、そちらで未使用だった曲と特定の楽器のみを編集で抜き出したものを主に使っている。
また、ウルトラマンネオスからも音楽を流用している。
放映リスト
No. | サブタイトル | 登場怪獣・宇宙人 |
1 | 「EPISODE:4 イノセント」 | 双頭合成獣ネオパンドン |
2 | 「EPISODE:1 ダーク・サイド」 | 放浪宇宙人ペガッサ星人 |
3 | 「EPISODE:2 パーフェクト・ワールド」 | 反重力宇宙人ゴドラ星人 |
4 | 「EPISODE:3 ネバーランド」 | メタル宇宙人ガルト星人、ネオパンドン |
5 | 「EPISODE:5 アカシックレコード」 | 妖邪剛獣ガイモス、ガルト星人 |
登場人物
ウルトラ警備隊
詳細は新生ウルトラ警備隊の記事を参照の事。
TVスペシャル版
フルハシ・シゲル隊長(演:毒蝮三太夫)
カジ隊員(演:影丸茂樹)
トーゴー隊員(演:松山鷹志)
リサ隊員(演:鈴木亜美)
ビデオ版
シラガネ・サンシロウ隊長(演:南条弘二)
シマ・ケイスケ隊員(演:正岡邦夫)
ミズノ・タクマ隊員(演:古賀亘)
ハヤカワ・サトミ隊員(演:鵜川薫)
ホンジョウ・ルミ隊員(演:あだち理絵子)
キサラギ・ユキ隊員(EVOLUTION5部作のみ)(演:勝村美香)
フルハシ・シゲル参謀
カジ参謀(1999最終章のみ)
その他
モロボシ・ダン(演:森次晃嗣)
植物生命体(EVOLUTION5部作のみ)(演:奈良沙緒理、志田未来)
タシロ/ガルト星人(EVOLUTION5部作のみ)(演/CV:関智一)
その他のキャラクターは平成セブン怪獣も参照。
小説版
シリーズ構成の武上純希により、1999最終章の第1巻と第6巻を中心にダイジェスト化した『ウルトラセブン Episode:0』と、EVOLUTION5部作をダイジェスト化した『ウルトラセブン EVOLUTION』の2作が存在。現在は絶版となっている。
前者ではダンの姿がTVシリーズ当時のままの青年だったり、ザバンギを操るノンマルトがダンの記憶をコピーしたアンヌの若い頃の姿だったり、演者の死去により登場が叶わなかったウルトラ警備隊のキリヤマ元隊長が登場したりなど、小説ならではの演出が随所に見られる。