概要
円谷プロが制作した円谷恐竜三部作の第一作。1976年10月1日から1977年3月25日にかけてNET(現・テレビ朝日)系で放映された。全25話。
モデルアニメーションを含むミニチュアによる実写特撮作品だが、人間などのキャラクターはセル画のアニメーションで表現されており、アニメ部分はサンライズ、特撮部分は日本現代企画が制作している。円谷プロではこの手法を「立体アニメ」と称した。
今作に登場する恐竜は、古生物学者の小畠郁生監修の元、当時の最新学説に基づいて描かれているが、時代背景の影響で獣脚類の生物はゴジラのような怪獣体型になっている。
同じく円谷プロ制作の「プロレスの星アステカイザー」同様、当時特撮に代わって子供番組の中心となりつつあったアニメへの挑戦であったとされていた。
しかしモデルアニメーションを導入した影響で高額の製作費がかかってしまい、スケジュールが破綻し、2クールで終了した。一応打ち切りではない。
なお、円谷プロは本作以前に、パイロット版として「実写とアニメを合成した実験的な映像作品」を製作している。下記パイロット版を参照。
あらすじ
西暦1996年。地球にアービー彗星が接近した影響で地殻変動が発生。
この影響で、中生代の環境を維持していた地底から恐竜達が次々と地上に出現した。これについて国際自然保護連盟は、恐竜を保護する目的で「ボーンフリー隊」を結成。
環境変化や恐竜抹殺を望む人類や、密猟者バトラーと戦っていく。
登場人物
ボーンフリー隊
密猟組織
メカニック
ボーンフリー号
ボーンフリー隊の主力となる探検車。
1号機と2号機に分離が可能で、水上を走ることもできる。
1号機
メイン画像左。
麻酔銃とネット砲を装備し、ウインチ装置を搭載している。コントロール室や居住室もこの中にある。
2号機
小型ヘリコプターのフリーシーガル、小型車フリービークル、潜航艇フリーマッカール、そして気球を搭載している。
キャリーバード
ボーンフリーを輸送する大型輸送機。
キャリードンキー
ジェットエンジンで推進する大型飛行船。保護した恐竜を、気嚢内部から伸ばした吊り下げ式の檻を用いて収納し、中生代と同じ環境に調整してある島、サーロン島まで輸送する。
キングバトラー号
キング・バトラーが搭乗する装甲車で、悪路でも自由に走行できる。大型砲や大型ハサミなどを搭載し、恐竜狩りを行っていた。あるエピソードで、狩っていた恐竜とともに流砂にはまってしまう。ボーンフリー隊はなんとか助けようと試みたものの、助けられず、恐竜と共に沈んでしまった。
関連書籍では「ベアキャット号」という名称の記載もある。
ワイルドキャット
キング・バトラーの娘、レディ・バトラーが搭乗する装甲車。車体には「WILD CAT」と記載されているが、こちらも関連書籍では「ヘルキャット」という記載がされている。
車体前部から、ワイヤー付きの銛を発射する。恐竜とボーンフリー隊を、父を奪った仇と逆恨みし、両者に襲い掛かる。
主題歌
オープニングテーマ「行け!ボーンフリー」
エンディングテーマ「恐竜よ いつまでも」
どちらも作詞:藤公之介 / 作曲・編曲:冬木透 / 歌:子門真人、コロムビアゆりかご会
各話リスト
話数 | サブタイトル | 登場恐竜 |
---|---|---|
1 | 行け!ボーンフリー隊 | ブロントサウルス |
2 | 恐怖の肉食恐竜アロサウルス | ブロントサウルス、アロサウルス |
3 | ブロントサウルスを救え! | ブロントサウルス |
4 | 砂漠の暴れん坊ティラノサウルス | ティラノサウルス |
5 | トリケラトプスの卵を守れ! | トリケラトプス |
6 | トラコドンの涙 | トラコドン |
7 | 親にはぐれたステゴサウルス | ステゴサウルス、アロサウルス |
8 | イグアノドン対ティラノサウルス | イグアノドン、ティラノサウルス |
9 | 赤ちゃん恐竜を救え!! | トリケラトプス、テラノドン |
10 | 少年と恐竜の詩 | トリケラトプス、テラノドン |
11 | 大暴れ!ステゴサウルス | ステゴサウルス |
12 | 素晴らしい友!ステゴサウルス | ステゴサウルス |
13 | 台地の帝王ゴルゴサウルス | ゴルゴサウルス、テラノドン |
14 | 飛べ!テラノドン | テラノドン |
15 | 恐竜の道の秘密 | トロオドン |
16 | アンキロサウルスは友達 | アンキロサウルス |
17 | キングバトラーの最期! | ティラノサウルス、ポラカントス |
18 | 復讐の鬼レディ・バトラー | トラコドン、モノクロニウス |
19 | ジャンボ恐竜ブラキオサウルス | ブラキオサウルス |
20 | 百竜の王ティラノサウルス | ティラノサウルス、コリトサウルス |
21 | ディプロドクス大救出作戦 | ディプロドクス |
22 | ガンバレ!チビッコ恐竜 | ブロントサウルス、ゴルゴサウルス |
23 | 人喰い恐竜を倒せ! | ティラノサウルス |
24 | 謎の恐竜エゾサウルス | エゾミカサリュウ、ステゴサウルス |
25 | 恐竜よいつまでも! |
企画およびパイロット版
本作の前に、円谷プロは2分程度の実験的なパイロット作品を製作している。
1974年「巨獣惑星」、および1975年「円谷立体アニメ」の二作品で、どちらも人形アニメで動く怪獣と人間(セルアニメおよび実写)とが絡む映像になっている。
なお、本作は当初、四つの企画を経て実現している。
「巨獣惑星」はそのうち一作で、製作された2分40秒のパイロットフィルムが、本作品の実現に繋がったとされる。
他の企画案は、『恐竜特捜隊DC-8』、『ザウルス号アドベンチャー』、『ザウルス号の冒険』。
これらはいずれも『モデルアニメーション(人形アニメ)を用い、リアルな恐竜の生態表現を行う』事が念頭に置かれていた。
『DC-8』では、人間は完全実写での表現を予定していた。
『ザウルス号アドベンチャー』からは、『精巧な人形を使って人物を描写する』事を予定していた。これは「サンダーバード」におけるスーパーマリオネーションを参照にしたとの事。
『ザウルス号アドベンチャー』にて、本作の内容的な方向性が定まり、『ザウルス号の冒険』を経て、『ボーンフリー』に至っている。
『ザウルス号の冒険』では、主人公はチームの少年であった。
また、『ザウルス号の冒険』では、内容に怪奇性を盛り込んでおり、企画の一部は『ファイヤーマン』で実現している。
番組の終焉
意欲的だった本作も、特撮パートの撮影に時間が掛かった事で半年で終了の憂き目に遭う。なお、戦闘路線へ変更する続編・ボーンフリーPARTⅡもあったが、放送局、広告代理店を変えた次作で実現した。