概要
「巨獣惑星」とは、円谷プロダクションが1974年に制作した、パイロットフィルム第一弾である。
「アニメとモデルアニメーションの合体」という、実験的な映像作品として製作された。
「アニメーションによる人物表現」は、『サンダーバード』などに見られるスーパーマリオネーションを意識したために採られた方法である。また『アステカイザー』共々、特撮に替わり子供番組の中心となっていったアニメーションへの挑戦であったともされ、さらに特撮を加えることによって新しい映像表現を見出そうとしていた。
巨獣惑星
1974年制作。
人物はセルアニメ、登場する怪物はモデルアニメーションによって表現されている。
- 内容
巨大な怪物の白骨死体が点在する、未知の惑星。そこを、タンクで探検する二人の隊員が怪物に遭遇する。
最初に遭遇した二足歩行獣は、洞窟にタンクを追い詰めるも、タンクから発射した光線で撃退される。しかしその後に、地中から現れた触手獣により、タンクを横倒しにされ、一人は捕食される。しかしもう一人は、突如現れた謎の透明巨人によって救出される。
- 隊員二人
髭の中年男性隊員と、若者らしき隊員の二人。
惑星上をタンクで探索していた。その目的は、墜落した宇宙船の捜索らしい。
遭遇した二足歩行獣を、タンクの光線で撃退する。その後に、破損した宇宙船を発見し屋外に出るが、直後に地中から触手怪物が出現。髭の隊員は捕食される。
もう一人は崖に追い詰められるも、透明巨人に助けられる。
- 怪物
長い二本足を持つ怪物と、触手を持つ怪物の二種が登場。
前者はタンクを発見し、洞窟に追い詰めるも、光線を受けて逃げていく。
後者は宇宙船を発見した隊員たちの前に、地中から出現。一人を触手で捕まえ捕食してしまった。
- 透明巨人
触手怪物に追い詰められ、崖から落ちた隊員を受け止めた巨人。
光学撮影による合成で処理されており、隊員を助け、横転したタンクを元に戻した。触手怪物はこの巨人を見て、恐れをなしたかのように地中に逃げている。
円谷立体アニメ
1975年制作。
「巨獣惑星」に続き製作された。こちらもアニメと実写との合成作品としての実験的な映像作品として作られている。
登場怪物はモデルアニメ。人物は実写とセルアニメで描かれており、場面によって入れ替わる。
- 内容
ドライブ中の男(出演・平野康)がトンネルを抜けると、突然砂丘に迷い込んでしまう。
そこで怪獣に襲われ、車を捨てて戦いを挑んだ男は、その最中に起こった地震によって地割れに巻き込まれてしまった。
男は、セルアニメで表現された、巨大な少女の住む世界に迷い込んでしまう。少女に追いかけられる中で、車を見つけた男はそれに乗り込み、そのまま逃走。小さな穴(実はトンネル)を見つけて、(実写に戻りつつ)元の世界に帰還する。
- 怪獣
上半身は翼竜、下半身はカミナリ竜のような四足の怪獣。鳥のようなくちばしを持つが、翼は翼竜のような皮状で羽毛は無い。
砂丘に迷い込んだ男の車を襲撃し、車を捨てた男と直接戦う。
長い枝を持った男と戦い追い詰めるも、突如火山が噴火し、起こった地震に巻き込まれる。
- 少女
背景含め、セルアニメで描かれている。
男(こちらもセルアニメで描かれている)に比べ、非常に巨大で、居る場所も子供部屋らしく同サイズの巨大な玩具があちこちに置かれている。
天上から崩れ落ちてきた男を、好奇心で手を伸ばし捕まえようとした。
部屋には、積み木や鉄砲のオモチャなどがあり、鉄砲の中に隠れた男を見つけて外に出す。
しかし、車の玩具(男にとってはちょうどいい大きさ)を男に発見され、それに乗り込まれて壁の穴から逃げられてしまった。
ちなみに、最初に部屋の外に逃げようとした男は、扉の隙間から外に出るも、そこは「鳥の巣箱の出入口」らしき場所に通じていた(このシーンでは、男以外の周囲は実写になっている)。
関連タグ
魔人ハンターミツルギ:登場ヒーローと怪獣を、モデルアニメを用い動かした日本特撮作品。
コメットさん:1967年の第一期では、「ベータン」「サンダー・コング」といったモデルアニメで処理されたキャラクターが登場する。
スペクトルマン:円谷プロではなく、「ピープロダクション」の特撮ヒーロー作品。初期「宇宙猿人ゴリ」のタイトル時には、着ぐるみではなく人形アニメの怪獣が登場した(詳細は「ミドロン」を参照。