概要
パンドン以降ウルトラセブンが地球を去った後に編成されたウルトラ警備隊。隊員服やメカニックのデザインは変わっていない(ただし、隊員服のカラーリングがグレー寄りとなっている)。
『ウルトラセブン』を独立した作品として捉えた上での続編である『平成ウルトラセブン』におけるウルトラ警備隊であるため、MATなどの後続組織は登場していない。
作戦指令室は、従来のウルトラシリーズと比べると割と普通の職場に近い内装となっており映像モニターなどの最新設備が整っている。
旧作の富士山の麓から東京近郊に基地を移転しており、旧作の基地は地球防衛軍特殊部隊の基地となっている。
「太陽エネルギー作戦」で「富士山麓の極東支部」というナレーションがあるため、カジの回想シーンにある隊員が戦死するほどの大打撃を受けた事と、フルハシやカジが参謀に昇格し、新隊員メンバーが入隊したときより、移転した模様。なお、この基地については、EVOLUTION5部作での防衛軍基地爆破作戦の際にシラガネ隊長の「防衛軍創設時からある工事用通路」の発言から新たに建設されたものではなく、創設当時から存在した防衛軍関係施設に移設となったことがわかる。
この他にも、「太陽エネルギー作戦」では地球に墜落してきたウルトラセブンを収容した第17支部格納庫の存在が確認されている他、「ウルトラセブン1999最終章6部作」ではオメガファイルなどの最重要機密文書は保安部によって宇宙電波観測施設にカムフラージュした地下300mのシェルターに保管されていることが明かされている。
動向
(本項では『平成セブン』世界における地球防衛軍の動向についても記述する)
ウルトラセブンがパンドンが勝利して地球が去って以降も地球からは驚異が去ることはなく、環境問題も深刻化していた(※1)。
地球防衛軍は各惑星に前線基地、月面基地「ムーンベース」を持つまでに勢力が拡大し、ウルトラ警備隊も再編を繰り返した。また、環境問題対策としてアンヌの義兄であるクスハラ博士により、1年間に660万キロワットの電力を供給する「ハイパーソーラーシステム」の開発も行われたりと地球人類を守るための模索が続いており、久方ぶりに地球に来訪したウルトラセブンとともに侵略者に立ち向かっていく事となる。
しかし、バンデラスの地球人のマイナスエネルギーを吸い取って平和を実現しようではないかという地球人側に利益のある提案であっても早急に突っぱねるなど徐々に昭和版以上に不穏な一面が見え始める(※2)。
カジが参謀に昇格すると知的生命体の住む惑星にワープ航法ミサイルで先制攻撃を仕掛ける「フレンドシップ計画」が推進されてしまう。
これは過去の地球人が侵略者であったという事実を記した機密文書「オメガファイル」の内容をカジが知ってしまったが故の焦りと地球の居住権を死守したいという思いが背景にあった。
これが引き金となり、ヴァルキューレ星人が報復という名目で地球に襲来。参謀に昇格したフルハシの殺害に加え、ウルトラホーク3号による市街地での破壊活動によって世論が反ウルトラ警備隊に傾くように仕向けられるなど混乱が続く。挙げ句の果てにはキリヤマ隊長を含むオメガファイル関係者を隠蔽のために保安部が処分していたという暗部まで発覚する始末であった。
ノンマルトに迫られて地球人としての誇りを守るべきだとするシラガネ隊長一派はオメガファイルの開示を賭けて地球防衛軍側と対立し、暗号化されたオメガファイルを偽情報という形で発信。フレンドシップ計画はこれにて終わりを告げ、ウルトラ警備隊も軍縮の一途を辿った。
しかしそこから5年後、これ幸いとばかりに地球侵略を目論むゴドラ星人と地球人に宇宙空間都市ペガッサ市が破壊された事を恨み、復讐を目論むペガッサ星人が結託。瞬く間に地球防衛軍が掌握されてしまう。ウルトラ警備隊は地球防衛軍の基地を爆破し、地球防衛軍残党のサイジョウ参謀らと共に独自に活動を行う。
EVOLUTION5部作時点では侵略宇宙人ごと防衛軍基地を爆破した為、シラガネの用意したアジトを拠点に活動を行なっており、ガルト星人のマインドコントロール電波の影響を受けていないため、電波の影響を受けた一般人には彼らの姿は見えていない模様。
警備隊メンバー
フルハシ・シゲル
隊長→参謀
演:毒蝮三太夫
昭和版の隊員の中では唯一、ダンと再会した。
この時既に娘がおり、さらに孫が生まれるはずであった。『最終章6部作』でヴァルキューレ星人によって殺害されるが、後にノンマルト事件の真実を未来に遺す役割を負って1万年前の地球で蘇生され、コールドスリープされて「オメガファイル」として現代に復活。
EVOLUTION5部作では登場していないため、その後の消息は不明だが小説版ではタケナカ長官とともに極東支部再建に尽力していた。
演:影丸茂樹
『太陽エネルギー作戦』から登場した男性隊員。後にフルハシと同時に参謀に昇格。
参謀に昇格後はタカ派となり汚い真似(武力による地球防衛)をしてでも人類を守ろうとするようになり、過激な言動やウルトラセブンとも対立するようになる。詳細は関連項目にて。
トーゴー隊員
演:松山鷹志
TVSP版のみ登場の男性隊員。冷静な判断力を持つ、実質的な副隊長格。『最終章6部作』の回想シーンによると、恐らくある宇宙人との戦いで殉職した模様。
リサ隊員
演:鈴木亜美
TVSP版のみ登場の女性隊員。
少林寺拳法の有段者らしくメトロン星人との戦いでは格闘技を仕掛けたが返り討ちにされた。『最終章6部作』の回想シーンによると、恐らくある宇宙人との戦いで殉職した模様。
※演者は同名の歌手とは別人。
シラガネ・サンシロウ隊長
演:南条弘二
『誕生30周年記念3部作』から登場。ウルトラ警備隊の3代目隊長。かなり勘が鋭く、カザモリがウルトラセブンであることに最初に気づいた。隊長として厳しい判断をせざるを得ないことも多く、彼の苦悩ともなっている。防衛軍内で同僚などから相談を受けているところを見ると人徳はかなりあると思われる。
かつてショウコという妻が居たが、とある事件で出動した時に彼の子供を妊娠した状態で交通事故に遭い、死亡しており、ゴドラ星人につけ込まれて幻覚世界に幽閉された。
カザモリ・マサキ隊員/2代目ウルトラセブン
演:山崎勝之
*詳細は当該項目を参照。
シマ・ケイスケ隊員
演:正岡邦夫
『誕生30周年記念3部作』から登場した男性隊員。
楽観的な性格で飄々としているが、がっしりとした体格を持ち、いざというときは頼りになる。幼い頃に母親と死別しており、父親も迎えに来なかった経験を持つ。カジが推進するフレンドシップ計画が発動された際には疑問視し反対を唱えるなど正義感が強いが、『EVOLUTION5部作』では悪意が無い植物生命体を「化け物」と誤解し攻撃してしまったこともあった。名前を覚えるのが苦手で、サトミ隊員のことを「ミサト」と呼んでしまったこともある。
好物は極東支部の食堂で提供されるカツ丼であり、ゴドラ星人の見せた幻覚では大量のカツ丼にがっつく姿を見せた。
ミズノ・タクマ隊員
演:古賀亘
『誕生30周年記念3部作』から登場した男性隊員。
分析や整備などの担当で、普段は知性派ではあるが、意外と身のこなしが俊敏でボラジョと渡りあった事もあり、また射撃やウルトラホークの操縦なども難なくこなすことができる。ゴドラ星人に見せられた幻覚から膨大な資料に囲まれて研究を進める事が夢のようである。
『EVOLUTION5部作』での防衛軍基地爆破作戦での戦闘でフランケンシュタイナーを繰り出していて身体能力も高い。
ハヤカワ・サトミ隊員
演:鵜川薫
『誕生30周年記念3部作』から登場した女性隊員。登場以後は作品のヒロイン的役割を担う。身長165cm、体重46kg、血液型A+(『EVOLUTION5部作』エピソード1でシラガネ隊長が閲覧していたプロフィールより)。警備隊の中でも親しいカザモリを君付けで呼び、弟扱いしている。幼い頃、父の友人である辺見という男(正体はキュルウ星人)に読んでもらった小説をきっかけに、ウルトラ警備隊を目指した。カザモリの退職と同時にウルトラ警備隊の予備役となり、しばらくは小説を書いていたが『EVLUTION5部作』の途中から復帰。エピソード3で凶弾に倒れ戦死するが、それをきっかけにカザモリがウルトラセブンとなる。
小説版では、カザモリとの関係に関して、ある衝撃の設定も加わっている。
現在、鵜川氏はTVCMで再びサトミ隊員を演じている。
ホンジョウ・ルミ隊員
演:あだち理絵子
『誕生30周年記念3部作』から登場した女性隊員。
主に基地内での通信業務やオペレートを担当する。見た目に似合わずかなりの酒豪。サトミ隊員とは仲が良い。『最終章6部作』からはサトミ隊員と同様にカザモリを君付けで呼ぶようになる。
キサラギ・ユキ隊員
演:勝村美香
『EVOLUTION5部作』で、地球防衛軍特殊部隊から転属して入隊した女性隊員。
男勝りな言動をする。幼い頃、両親から虐待を受けていた過去があり、当初は攻撃的で他人に心を許さなかったが、次第に他の隊員達と打ち解けていった。元々特殊部隊所属だっただけあり、実力は相当なもの。特殊部隊時代にアカシックレコード絡みの任務を担当し、生還した2人のうちの1人だが、その時の記憶を失っている。
その正体はネオニューロンを宿した新人類であり、カザモリをアカシックレコードへ導いた。
地球防衛軍TDF
タケナカ長官
演:佐原健二
かつてのウルトラ警備隊担当参謀。後年の『平成ウルトラセブン』では極東基地の長官に就任している。
『EVOLUTION5部作』では未登場であるため消息は不明だが、小説版ではフルハシと共に極東支部再建に尽力していた。
また、海洋学者のジングウジ・アヤとその弟のタカトという2人の孫も登場した。
イナガキ参謀
演:野口雅弘
平成シリーズに登場。『最終章6部作』では、保安部を使ってオメガファイルの隠蔽工作のほか、キリヤマ隊長やノンマルトに関する記録の抹消をしていた。(タケナカに「事実なのか?」と問われたときの様子や次回作で失脚していないところから保安部の独断行動であった可能性もある。)
それでも、ディレクターカット版ではカジにウルトラセブンの処刑を進言された際、「セブンは我々の味方だろう!」と発言した参謀に続き「だったら尚更処刑など!」と発言する面もみせている。
『EVOLUTION5部作』で名誉職に追いやられたタケナカ長官に代わり、地球防衛軍のトップになるが、不可侵条約があるから心配いらないだろうなど、楽観的な意見が目立つようになる。
しかし実際には、4年前にガルト星人にアカシックレコードの記録で地球人に未来はないと騙されて裏で彼らの手引きをしていた。
参謀自身は、人類の未来のためならば一時期星人の支配下に置かれても構わないという考えで行動を起こしていた。
スワリーダーの報告で、自分が騙されていたことを知り、ユキ隊員にすべてを話そうとするが、話し終える前にガルト星人によって抹殺された。
サイジョウ参謀
演:西守正樹
平成シリーズの『EVOLUTION5部作』に登場。
強い正義感と卓越した洞察力の持ち主で、地球防衛軍内に星人の手引きをしている者が居るといち早く察知した。マインドコントロールされ操られてしまったこともあるが、地球防衛軍が壊滅した後も残存部隊を率いて、ウルトラ警備隊と共に星人と戦った。
伊集院貢
演:瀬木一将
『最終章6部作』に登場した、保安部の責任者。
オーパーツが封印されている秘密施設に潜入したカザモリ(ウルトラセブン)を拘束した。シラガネがキリヤマの自宅を訪問した際、保安部の存在を否定しつつ焼身自殺した。
諏訪将校
演:神威杏次
『EVOLUTION5部作』に登場した特殊部隊隊長。
しかしながら、本心は植物生命体を守る事にあり、ガルト星人とは考えを異にする。
宇呂須神社でガルト星人に撃たれて死亡するが、緑の粒子となってユキに宿り、彼女をミュータントとして覚醒させた。
ミク
小説版『EPISODE:0』で登場したカジの恋人で特殊部隊の優秀な隊員だったが、輸送機を異星人の円盤に撃墜されて殉職した。
メカニック
ウルトラホークなどは従来と比べシャープなデザインになっている。コックピットはEYESのライドメカから流用。
- ポインター号
様々な車種をベースとした3号機ポインター「PO-3」が登場。初代のような特殊能力を持っているかは不明で、専ら移動手段や追跡用としての運用が多かった。
キングジョーを改修した捕獲機。
- フレンドシップ3号
フレンドシップ計画推進のため、ヴァルキューレ星の調査に使用された有人探査機。
着床型探査システム12号機という無人探査機を搭載している。
- ムーンベース脱出艇
月面基地「ムーンベース」に配備された脱出艇で、ガッツウイング1号を思わせるカラーリングが特徴。
武装
フォルムは原作と同様。シラガネ隊長時代のモデルには特殊アダプターの取り付けによって麻酔弾など特殊弾を発射できるようになっている。
フォルムは原作と同じ。なお、シラガネ隊長時代のモデルはフルハシ隊長のパソコンからVとCのコマンドを打ち込む事で直接通信が可能となった。
- ストラグル7000
ボラジョの種を焼き尽くすためにサトミ隊員が使用した火炎放射器。
- 高性能爆弾
アタッシュケースに収納されて持ち運ぶ事の出来る爆弾。
バンデラス系宇宙と地球を繋ぐスターゲイトを破壊できるだけの威力を持っている。なぜ、一介の爆弾に時空間を繋ぐゲートが破壊できるのかは不明。
- 大気検知器
硫化水素といった大気中に含まれる人体に有害な物質の検知を行う装置。
ガッツ星人が潜伏していた不動岳の調査に使用された。
- 高性能アナライザー
ミズノ隊員が作成した銃型の解析装置。
実体を持たないヴァルキューレ星人を捉えたが、人間に憑依された状態では効果を発揮できないという弱点を持つ。
- 検査機器
アタッシュケース型の検査機器であり、ラハカムストーンによって生み出された複製人間の検査に使用された。
- SSTW
ラハカムストーンに刻まれた古代文字の解析に使用された。
脚注
(※1)その中にはバルタン星人、ゲスラ、ペスター、ガヴァドン、ツインテール、オイルドリンカーといった正史のM78スペースの怪獣も何体か確認されている。
(※2)尤も、バンデラスは降り立った村に金を出現させて村人の欲望を刺激するというマッチポンプを行っており、マイナスエネルギー獲得のためならば地球人類側に害を齎らす存在になり兼ねないため、この判断は間違ってはいないとも言える。ウルトラ警備隊からの評価も割れており、サトミは賛成、シマは「心の侵略」と表現して否定、ミズノはマイナスエネルギーが化石燃料に代わるエネルギーになるかもしれないとして興味を示していた。
余談
「太陽エネルギー作戦」でフルハシが同席していた「地球環境保全委員会」のメンバーはスミヨシ委員長(伊藤紘)を除き、俳優の名前をそのまま使用している。
- クロベ・ススム
- 演ずるは黒部進。国際経済協力会議代表という設定。
- サイジョウ・ヤスヒコ
- ニヘイ・マサナリ
- ツブラヤ・ノボル
- 演ずるは円谷皐。太陽エネルギー工学博士という設定。
- サクライ・ヒロコ
- ヨシダ・テルミ
- 演ずるは吉田照美。宇宙植物学者という設定。
- [[タケウチ・ヒトシ
- 演ずるは竹内均。地球物理学博士という設定。
- タケナカ長官を演じる佐原健二氏は昭和当時からタケナカ参謀として出演しているのだが、「太陽エネルギー作戦」ではこの委員会メンバーの命名に引っ張られてか、サハラ・ケンジ長官なる人物を演じている。後の作品には登場しない。
- 『帰ってきたウルトラマン』でも佐川参謀から佐竹参謀と再出演時に名前が変わっていたことがある。
- 委員会メンバーの西條康彦氏と桜井浩子氏は『ウルトラQ』のレギュラー3人組として共演していた。また、両者とも昭和セブンにゲスト出演している。
- カジを演じた影丸茂樹氏は『ウルトラマンティガ』でGUTSのシンジョウ・テツオ隊員を演じたほか、以降の平成ウルトラシリーズでもちょくちょく出演している。ウルトラシリーズ以外では『特捜エクシードラフト』の主人公・叶隼人/ドラフトレッダー/シンクレッダーも有名。
- シマを演じた正岡邦夫氏は後にウルトラセブン21の変身者の一人・剣持慎也を演じたほか、『超力戦隊オーレンジャー』のオーグリーン/四日市昌平も演じた。
- ユキを演じた勝村美香氏は後に『未来戦隊タイムレンジャー』のタイムピンク/ユウリ等も演じた。
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