DATA
概要
「ウルトラセブン」第48話「史上最大の侵略(前編)」にて初登場。
左右対称な2つの頭を持った怪獣で、見えにくいが嘴のすぐ上に目が2つあるため、合計4つの目玉を持つ。武器は頭に2つある口からの火炎放射「火炎地獄」。
大岩を武器に使う、アイスラッガーを叩き落として封じるなど知能も高い。
接近戦主体のパワーファイトを得意とし、セブン(ダン)の頭部には人間態の状態でも深手が残る負傷を与えた。
鳴き声はミクラスの鳴き声を早回ししたもの。
ゴース星人の生物兵器のような扱いで、生態など詳しい詳細は不明だったが、「デッカー」で幼体であるスピニーの存在が明かされ、少なくとも野生で生息している怪獣である模様。
幼体は単頭であり、成長に従って双頭になるが、これが本来の生態なのか、鉱石による変異なのかは不明。
個体差が大きい点も特徴の一つであり、登場作品によってはシルエットさえ大きく異なることもある。
既出の個体を大きく分けると、一つの頭部に二つの顔タイプ(初代)と首から二つに分かれているタイプ(初期デザイン)が存在する。
活躍
ゴース星人の大型宇宙船・スペースキャリアーに載せられ、宇宙ステーションV3の防衛網を突破して地球に侵入。
このとき地球防衛軍極東本部に警報は届いていたが、折悪く通信に出たダンが過労で意識が朦朧としていたため、ウルトラ警備隊は初動対応が遅れてしまう。地球への侵入を果たしたパンドンは途中でウルトラホークの迎撃に遭うも、地上に到達。地上戦を仕掛けるウルトラ警備隊の前に出現し、強力な「火炎地獄」でキリヤマ隊長らを危機に陥れた。
変身したセブンとの戦いになるが、格闘どころか立つこともままならないほど体調が悪かったセブンの攻撃はことごとく不発(エメリウム光線は標的まで届かない、アイスラッガーは脳波コントロールが出来ないため手持ち武器として使うが叩き落とされる、といった有様)で、とても相手にならず圧倒されてしまう。
弱ったセブンに猛攻を加え、とうとうセブンを追い詰めたかに見えたパンドンだったが、アンヌ隊員の操縦するウルトラホーク3号の援護で出来た隙を突かれ、アイスラッガーで手足を切断されて敗北した。
深刻な深手を負ったセブン(ダン)は再起不能寸前に追い込まれたが、一方のパンドンはゴース星人に回収され(アイスラッガーで切断された手足のみが転がっていた)、義手と義足が移植され復活を果たすのだった。
総括
上記の理由から、「セブンが万全な体調だったら普通に倒されてたのでは?」という意見もある。
赤い体色と特徴的な双頭など外見以外はごく平凡な怪獣でしかなく、セブンが苦戦してしまうことで、痛々しいまでのセブンの衰弱を視聴者に見せつける演出のためだったと考えられる。とはいえ「人間体にも残る重傷を与える」などの一定の成果もあり一概に弱いとは言えないだろう。
「ウルトラ怪獣大百科」では秘蔵っ子の用心棒のように言われた(なお、この時のセブンの体調は「少ーし悪かった」とも言われた)。
漫画版のパンドン
一峰大二の漫画版では再生能力が追加されており、ラスボス怪獣らしい強さに変貌を遂げている。このパンドンの再生能力は腕や足を切断されてもすぐに傷口から新しく生え変わるというもので、ギエロン星獣の再生能力とは別の意味で驚異的なものとなっている。
この再生能力でセブンやウルトラ警備隊を苦しめたが、M78星雲からエネルギーを送られてパワーアップしたセブンに胴体を真っ二つにされてやっと倒された。
その後の作品での登場
ウルトラマンメビウス
第24話にてGUYSにその火炎放射能力を評価され、ウインダムをファイヤーウインダムへとパワーアップさせるためにゼットンやブラックエンドと共にデータが使用されている。
ウルトラマンメビウス外伝超銀河大戦のパラレルストーリーである「戦え!ウルトラ兄弟」ではL・P372星雲でゴース星人に操られ、タロウ&エースと交戦している。
ウルトラ銀河伝説
ベリュドラの左の角を構成する怪獣の一体として登場した。
ウルトラマンオーブ
劇場版『絆の力、おかりします!』のゼッパンドン変身シーンにゼットンと共に登場。
数十秒というごく僅かな登場ではあったが、本編には『セブン』以来実に49年ぶりの再登場である(映像作品では『私が愛したウルトラセブン』や『ウルトラスーパーファイト』等に登場している)。
スーツはマガパンドンのものを改造、或いはCG加工でマガクリスタル部分を消したものと思われる(マガパンドンのスーツは後年のウルフェスにて展示されている為、改造であったしても簡単に戻せるようなものと見られる)。
ウルトラマンタイガ
第21話「地球の友人」に登場。主人のゴース星人と共に登場したのは51年ぶりである。
冤罪で囚われそうになった主人であるゴース星人を救うために出現。現れたタイガと戦闘になるが、主人の呼びかけもあっておとなしくなる。しかしその隙にトレギアによって体を切り刻まれて殺害されてしまった。
事件が一段落した後、ゴース星人によってささやかな墓が建てられ、丁重に葬られた。
ちなみに偶然か否か、放送日と同じ日に配信された『ウルトラ怪獣大百科』はパンドン回だった。しかも次回に登場したタッコングも同じ日に配信されている。
スーツは(今度こそ)マガパンドンを改造したもので、オーブに登場したパンドンと比べると嘴や体色などがよりオリジナルのパンドンに近くなっている。
よく見なければ分かりにくかったオリジナルのパンドンとは異なり、目の存在がはっきりしているのが特徴。
「タイガ」第21話で脚本を担当した小林弘利は、タイガがパンドンを倒さないことが重要としており、トレギアに倒させることでその非人道性を強調している。
ウルトラマンデッカー
第16話「君は君のままで」に登場。
数年前に発生したクレーターから3日前に突如出現しカリヤシティで飛び回っていた浮遊幼獣スピニーが、スピニー発見直前に地震による地割れで偶然発見された新種の鉱石(ゴースド鉱石)で出来た地層の亀裂内に逃げ込んだことで急成長を遂げた姿(つまり、スピニーはパンドンの幼体であった)。
公式サイトによると、かつてパンドンを使役するはずだった宇宙人により地中に幼体とパワーアップ用の鉱石がリザーブされていたものが、地震の影響により図らずも覚醒したものだと推測されている。実際に地割れから漏れ出たエネルギーを浴びたことでスピニーが双頭に成長を遂げたどころか、成体になっても下記のように鉱石の力で火炎放射の威力が増大していた。
自身を捕獲、駆除しようとしたカナタ達に怒りの火炎放射を浴びせようとするが、修理が終わったハネジローの操縦するGUTSホークに庇われ、そのままカナタ達のフォーメーション・デルタとGUTSホークの攻撃によって転倒するが、すぐさま大岩をカナタになげつけて押し潰すがデッカーに変身したことで大岩を投げ返され戦闘になる。
戦闘では肉弾戦で互角の闘いを繰り広げるが、蹴り倒された際に地割れから再びゴースド鉱石のエネルギーを浴びたことでパワーアップして起き上がり、両方の口から同時に発射した強化された炎の竜巻でデッカーを圧倒し、左腕にケガを負わせる。だがリュウモン、イチカ、ハネジローによるフォーメーション・デルタの援護によってできた隙にデッカーがダイナミックタイプに変身した事により形勢が逆転。ウルトラデュアルソードとデッカーシールドカリバーを手にしたデッカーによって火炎放射を防がれて圧倒され、最後はストロングタイプの力を帯びたデュアルソードとカリバーモードの二刀流によって亀裂に叩き落とされ、ゴースド鉱石もろとも爆散した。
奇しくもこの回の6年前に放送された『オーブ』第17話でゼットンと共に融合したゼッパンドンが登場している。
初代は万全ではないセブンを追い詰めたのに対して、この個体はデッカーを万全ではない状態に追いやった展開となり、翌週の戦闘に影響を及ぼす事となった。因みにリュウモンは「パンドン」の名前を知っていたようだが、この世界で新たに成長したスピニーのレジスト・コードとして扱われていたか過去に成体の出現例がある若しくはTPUが異星人から得た情報として知れ渡っているかは不明。
漫画
ウルトラセブン ゴードの巻
宇宙人達によって、宇宙連合軍の1体として蘇生させられる。目元がハッキリしたデザイン。
炎を吐いて東京を焼き尽くしたが、劣勢になって宇宙船に回収され、最後は宇宙獣神ゴードによって宇宙船ごと撃破された。
ウルトラ忍法帖
敵対組織「朧党」の一員「犯゜鈍」として登場。
当初はゲストキャラとしての登場だったが、作者御童カズヒコ氏のお気に入りであることから準レギュラー的に度々登場した。その理由の一つは「描くのが簡単だから」である(電子書籍のキャラクター図鑑では「簡単忍獣」と記載されている)。語尾に「~ッス」をつけて話す。
劇中では「ウルトラセブンを追い詰めたほど強い怪獣」と解説されたが、初登場時は「口が2つあるから腹一杯食う」目的で怪夢瑠を引き連れて食い逃げをしていた(エース曰く「バカが弁当ただ食いしてるだけ」)。マン(ウルトラマン)には「テレビでは強かったかもしれないけどこのマンガじゃそうはいかないぞ」というメタ発言の後にボコボコにされた。その後体調が悪くなったマンのカラータイマーの点滅を叩いて治そうとしたが、カラータイマーに犬の吠え声で威嚇されてしまう。
再登場した際はタロウやレオを圧倒するほどの強さを見せ、パンがドンと爆発する「パンドン攻撃」を披露した。しかし、マンとエースを赤ちゃんにしたジュースを自分がかぶってしまいめひらす共々ベビー化してしまった(この話が掲載された時スピニーはまだ登場していないため赤ちゃんサイズに小さくなっただけだった)。
『超』最終回(『コミックボンボン』での連載が一旦区切られた回でもある)では特撮テレビドラマ版同様に火炎攻撃を披露するも、ゾフィーの趣味である「爆乳娘コレクション」を焼失させただけだった。直後に「忍法ティガマジック」→「ティガの空手殺法飛び膝蹴り」→「無宿人エースのバーチカルギロチン」→「スペシウム光線」と連載を彩ってきたウル忍たちめいめいの必殺技を波状攻撃で浴びせられて敗退している。
とはいえ戦闘能力は決して低くはなく、『輝』「怨霊党編」で、数多くの忍獣が朧党から寝返っていくさなか、志を同じくする面々と共に、頭数で苦戦している笹比羅や怪夢瑠十人衆の助太刀へ馳せ参じ、火炎攻撃で彼らの危機を救う見せ場もある。
ウルトラマンSTORY0
惑星エレメンターの火の民を守護する怪獣として登場。
四聖獣全滅を目論むガッツ星人の口車に乗せられた火の民の長により風の守護獣ヒドラとの決戦時に爆殺されてしまう(口の上手いガッツ星人は「近接用の必殺兵器だ」としか言っておらず、結果的に長は自爆スイッチだと知らずに押してしまった)。
その後シーモンス、シュガロン、ヒドラの魂と合体し、ガッツ星人の手先にされてしまう。
酩酊!怪獣酒場2nd
次元の穴と連動する「心の穴」の持ち主である「ラスボス」の一体。
唯一の男性社員であるが故に肩身の狭い思いをしており、仕事を押し付けられたり、飲み会に付き合わされたりと散々な目にあっている。しかし、PCのスキルが身に付くなどメリットがなかった訳ではななかった事に気が付いて一度は心の穴が埋まり掛けるが、ゴース星人達の余計な一言で全て台無しになり、退社を選ぶ。
現在はなんでも屋を経営していて、かなり儲かっている模様。
ゲーム作品
スーパーファミコンソフト「ウルトラセブン」
ノーマル・改造共に出演。最終ボスとして登場。
ゲームの仕様上セブンが常時万全の状態である(エメリウム光線やアイスラッガーが問題無く使用可能)にもかかわらず、ストーリーモードやCPUが相手だと鬼の様に強く、射程や効果範囲の広い火炎放射(改造は火炎放射が波状に動く等、微妙に性能が強化されている)をバンバン使ってくるので接近するのも一苦労。しかも、岩石投げ以外バリアで跳ね返せないので待ちバリア戦法も有効とは言い難い。難易度Hardにすると熟練者でも1~2回は負けることもある程である。逆に負けられる事を利用し、1~2回捨てて必殺技ゲージを溜め、光線連発でパンドンや改造パンドンのライフを削っていくと言う方法もある。
「パンドンに苦戦する」意味では原作通りかもしれない。
なお、対戦モードで操作キャラとして使うと、手足のリーチは短い上にジャンプ攻撃は出来ず、自キャラはゲームの仕様上必殺技ゲージが貯まるまで岩石投げも火炎が使えないので非常に使いづらい。
ただし、改造パンドンの場合は一撃死の首絞めが追加されている。そのため、油断して接近してきたら組技で一気に持っていかれることも。
スーパーヒーロー作戦
宇宙人連合組織ETFの手先怪獣として登場。地球防衛軍TDF極東基地を襲撃し、ザラブ星人の破壊工作でまともに抵抗できないウルトラ警備隊を窮地に立たせた。ライの駆るアルブレードとR-GUNを痛めつけたがリュウセイ・ダテ達の手で復活したSRXとR-GUNパワードの合体技「天上天下一撃必殺砲」で敗れ去った。
ロストヒーローズ
リジェス・ファイト参加者として登場。
予選大会のサバイバル・イレブンを勝ち残った猛者だったが、ウォルターガンダム(中身は口調から察するに間違いなくこいつ)に敗れてしまった。
厄介な再生能力を持つDG細胞で構成されたデビルガンダム四天王が相手だった以上、運が悪かったという他ない…。
巨影都市
同作品にも登場。
主人公達が最後に遭遇する巨影で、夜の街でウルトラセブンと戦った。
最後は原典同様アイスラッガーで切り裂かれるが、腕と足が切り落とされたような描写は無い。
亜種
各個体の詳細はリンク先を参照。
ネオパンドン
OV『ウルトラセブン EVOLUTION5部作』に登場するパンドン。
キングパンドン
映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』以降の作品に登場するパンドン。
マガパンドン
『ウルトラマンオーブ』に登場した、パンドンの新種。
ゼッパンドン
こちらも『オーブ』に登場した怪獣で、後の『ウルトラマンZ』にも登場。
ジャグラスジャグラーが大魔王獣マガオロチの尻尾をベースにゼットンとパンドンの力を融合させて誕生した、合体魔王獣。
余談
名前
OPの2番の歌詞にある「倒せ火を吐く大怪獣」に該当するのは宇宙人を除きパンドンのみである。
脚本では名称は「バンドン」となっており、放送当時の書籍でもそう記載されていたが、「パンドン」と誤植されて以後訂正されず、現在の公式設定となった。ちなみにバンドンはインドネシアの港町&観光都市。
尚、名前の由来に「パンドラの箱」が挙げられるが、二見書房刊「懐かしのヒーロー ウルトラマン99の謎」が出典の俗説である。
「最終回に登場する最強の怪獣であり、なおかつ箱のなかから登場する強烈なインパクトを持つこの怪獣の特性を考えると、パンドラの箱から登場する「パンドン」が、もっともあてはまる名前がだと思うのだが……。」とあるため、あくまで「筆者の感想、思ったこと」の部類で、一次ソースではあり得ない。同書でも誤植の公式化は言及されている。
設定の変遷
デザイン画では鳥のような形の首が2つあり、高山良策によって最初に制作された着ぐるみも同様の形状だったが、その後に現場スタッフの手で改造が施され、現在の形状になった。監督を務めた満田かずほはこの件に関して「当時の技術で2本の首を同時に動かすのは無理だと思った」と後のインタビューで述壊しており、嘴はボール紙で作られている。この案は後にネオパンドンに受け継がれた。
脚本では、セブンのビームランプに蹴りを入れて「割る」描写があった。変身を解除した後のダンが額に裂傷を負っているのは、この名残である。
関連イラスト
関連項目
改造パンドン ネオパンドン キングパンドン マガパンドン ゼッパンドン
とんかつ…ファンからのあだ名の一つ。外見がトンカツに見える事から。外見的にチキンカツでも良さそうなものだが。小林晋一郎氏は串カツと称する。
同じような事例で、マガオロチはエビフライ(どちらかといえばゼッパンドンの肩が近いか?)、ガヴァドンは餃子に例えられる事も(ガヴァドンの場合は公式でやらかした事がある)。